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【令和7年最新進化版】Debian 13 (Trixie) でKDEデスクトップ環境を使うための設定

Last updated at Posted at 2025-09-06

はじめに

Debian 13 (Trixie)で、KDE Plasma 6デスクトップ環境を使う場合に必要なことをまとめました。GNOMEなど、ほかの環境はわかりません。

DebianでKDEデスクトップ環境をインストールするには

DebianでKDEデスクトップをインストールするには、Debianインストールの「ソフトウェア選択」で、GNOMEのチェックを外して「KDE Plasma」を選択します。GNOMEのチェックは必ず外してください。チェックが両方ついているとGNOMEが使われてしまうので外します。

次のような画面になっていればOKです。

パッケージマネージャの設定

Debian 13 (Trixie)の新機能

aptがコマンド1回だけでupgrade可能に

Konsole(KDEのターミナル)から設定しますが、Debian 13(Trixie)からaptコマンドが便利になったのでお知らせです。

apt-Uオプションが導入されてリポジトリリストが更新できるようになりました。debパッケージをインストールしたりアップグレードするとき、下のようにオプションを付けると、コマンド1つだけでリスト更新とパッケージアップグレードができます。

# -Uオプションでコマンド1つだけでパッケージをアップグレードできます
sudo apt -U upgrade

デスクトップ環境の必須設定

Debianのデスクトップは、お世辞にもキレイとは言い難いです。また、日本語入力についても統合デスクトップ環境を考慮して設定されていません。

これらも、ほんの少しの設定で劇的に改善されるので最初に設定しておきましょう。

フォントのインストール(Noto CJKフォント, BIZ UDフォント)

Debianのtask-japanese-desktopパッケージでインストールされるフォントは、VLゴシックとIPAフォントです。20年前ならいざしらず今はNoto CJKフォントなどフリー(自由)かつ高品質なフォントが利用できるので、そちらを使いましょう。

# フォントをインストールする
sudo apt install fonts-morisawa-bizud-gothic fonts-morisawa-bizud-mincho fonts-mplus fonts-noto-cjk fonts-noto-cjk-extra

上のコマンドではfonts-noto-cjkfonts-noto-cjk-extraパッケージを含めていますが、KDEデスクトップ環境では、すでにインストールされています。明示的に含めています。

フォント表示の設定(KDEシステム設定)

フォントはインストールしただけでは変わりません。fontconfigの設定が、Noto CJKフォントなどの新しいフォントを優先的に利用しないのでKDEの設定でフォントを指定します。

変更するには、「KDEシステム設定」から「テキストとフォント」を開き、「すべてのフォントを調整」からNoto Sans CJK JPを選択します。そして、ヒンティングを「なし」にします。これで、くっきりした見やすい表示になります。

インプットメソッドの変更(uim→fcitx5)

Debianの日本語環境向けインプットメソッドとしては、uimがインストールされます。uimでも文字は入力できますが、KDE環境とは統合されておらず使い勝手がよくありません。KDEデスクトップ環境では、fcitx5がデスクトップ環境と統合されていて使い勝手が良いので入れ替えましょう。

インストールするパッケージは、fcitx5-mozckde-config-fcitx5の2つだけです。この2つをインストールすれば、依存関係で必要なパッケージがすべてインストールされます。

# fcitx5のインストール
apt -y install fcitx5-mozc kde-config-fcitx5

fcitx5の設定

fcitx5は、「KDEシステム設定」から設定できます。「言語と時刻」に「入力メソッド」が増えているので、ここから設定できます。

fcitx5インストール直後は、fcitx5が動いていないのでパネルにアクセスしても使えませんが、uimを削除して再ログインまたは再起動すれば、パネルが利用できます。

不要パッケージの削除【重要】

必須パッケージを追加したので、VLゴシックやuimなどの不要なパッケージを削除します。

特にVLゴシック、IPAフォント、Droid fallbackのフォントは、fontconfigが優先的に扱うため、表示の邪魔になるので削除しておきましょう。

# VLゴシックやuimなどを削除
sudo apt purge uim uim-mozc fonts-ipafont fonts-ipafont-gothic fonts-ipafont-mincho fonts-vlgothic fonts-droid-fallback uim uim-mozc anthy
# 関連パッケージを削除
sudo apt autoremove

足りないパッケージをインストール

ここでインストールするパッケージは、インストールしておくとよいパッケージです。必須ではありませんが、使っていると必要になる場面が多いのでインストールしておくと楽になります。

特にVirtualBoxやOBS Studio、NVIDAドライバーを利用するのであれば、カーネルモジュールが必要になるので、そのビルドに使うdkmsbuild-essentiallinux-headers-amd64の3つのパッケージは、必ずインストールしておきましょう。

KDE関連パッケージについては、DebianのKDEデスクトップでは、最低限のパッケージしかインストールされません。KDEを完全にインストールしたい場合は、apt install kde-fullとすればインストールできます。しかし、大量のパッケージがインストールされるので、ここでは必要なものだけインストールしています。

# あると良さそうなパッケージ
sudo apt install dkms build-essential linux-headers-amd64 git tmux ripgrep ufw curl
# KDE関連
sudo apt install plasma-workspace-wallpapers kdeadmin kdeutils debconf-kde-data debconf-kde-helper grub-theme-breeze kde-config-gtk-style-preview kio-gdrive kwin-addons xsettings-kde colord-kde okular-extra-backends

外部パッケージを追加する

ここからは、デスクトップのカスタマイズについての話です。自分に必要なものを選んで利用してください。

Google ChromeやVS Codeなどをインストールする(extrepo)

DebianでGoogle ChromeやVisual Studio Codeを使いたい場合、どうやってインストールしますか?サイトからdebパッケージをダウンロードしてインストールは間違いです。

2025年の正解は、extrepoを使うです。

extrepoは、Debianで利用できる外部リポジトリを管理するツールです。有名な外部リポジトリは網羅されているので、これを使うだけで、ほとんどの外部パッケージがインストールできます。どういった外部リポジトリが利用できるかは、こちらをご覧ください

extrepoのインストールと設定

extrepoを使うには、パッケージをインストールした後、設定ファイル/etc/extrepo/config.yamlを変更してcontribnon-freeを有効にします。そして、extrepoのリポジトリをアップデートします。

# extrepoをインストール
sudo apt install extrepo
# extrepo設定ファイルのcontribとnon-freeを有効化
sudo sed -ie 's/^# -/-/g' /etc/extrepo/config.yaml
# extrepoリポジトリをアップデート
sudo extrepo update

extrepoを使ったパッケージのインストール

extrepoの準備ができたのでパッケージをインストールします。Google Chromeをインストールするには、次のようにします。

# Google Chromeのapt-lineを有効にしてインストール
sudo extrepo enable google_chrome  # リポジトリを有効にする
sudo apt -U install google-chrome-stable  # パッケージをインストール

extrepo enable <リポジトリ>で外部リポジトリを有効にします。無効にする場合は、extrepo disable <リポジトリ>です。

VS Codeのインストールもこれだけで終わります。とても簡単です。

# VS Codeのapt-lineを有効にしてインストール
sudo extrepo enable vscode
sudo apt -U install code

ChromeとVS Codeだけの注意ですが、パッケージをインストールするとextrepoのapt設定とパッケージに含まれるapt設定が競合してエラーが出ます。この2つだけは、パッケージをインストールしたらextrepoの設定を無効にしておきましょう。

# この2つはパッケージインストール後に無効にしておく
sudo extrepo disable google_chrome
sudo extrepo disable vscode

extrepoで追加できるリポジトリについて

ChromeやVS Code以外にもDockerやVirtualBoxなども追加できます。extrepoで追加できる外部リポジトリの種類は、/usr/share/extrepo/offline-data/debian/(コード名)に追加できるリポジトリのGPG鍵があるので、それを見ればどんなリポジトリがあるかわかります。

Dockerをインストールしたい

extrepoを使うとインストールできます。gpasswdを使ってdockerグループに追加していますが、これがないとユーザーからdockerコマンドが利用できません。

# Dockerをインストールする
sudo extrepo enable docker-ce
sudo apt -U install docker-ce
sudo gpasswd -a $USER docker  # 自分をdockerグループに追加

uvをインストールしたい

extrepoに入りました。これだけで入ります。

sudo extrepo enable uv
sudo apt -U install uv

以下、古い記述なので隠してます。

pipx経由でインストールしましょう。uvに限らずcurl bashを使ったインストールは危険です。

# Python関係をインストールする
sudo apt install black flake8 pipx python-is-python3 python3-all python3-flake8 python3-flake8-black python3-flake8-builtins python3-pexpect python3-pip python3-venv python3-yaml python3-tk
pipx ensurepath   # ~/.bashrcにpipxのパス(~/.local/bin/)を追加する
source ~/.bashrc  # パスを再読み込み
pipx install uv   # uvをインストール

VirtualBoxをインストールしたい

bookwormで入っていたのでtrixieのextrepoにも入るだろうと思って先行して書いてましたが、未だ入っていません。VirtualBoxのWebサイトからDebパッケージをダウンロードしてインストールするしかなさそうです。

VirtualBoxをインストールした後ですが、利用ユーザーをvboxsfvboxusersグループに入れておかないとファイル共有やUSBデバイスなどが使えないので必ず入れておきましょう。

sudo gpasswd -a $USER vboxsf  # 自分をvboxsfグループに追加
sudo gpasswd -a $USER vboxusers  # 自分をvboxusersグループに追加

以下、古い記述なので隠してます。

extrepoを使うとインストールできます。 VirtualBoxをインストールしたら、gpasswdを使ってグループに追加します。これをしておかないとホストとゲストでファイルのやり取りができません。

sudo extrepo enable virtualbox
sudo apt -U install virtualbox-7.2
sudo gpasswd -a $USER vboxsf  # 自分をvboxsfグループに追加
sudo gpasswd -a $USER vboxusers  # 自分をvboxusersグループに追加

Flatpakを利用する

安定したシステムを利用しつつ、最新のアプリを使うためのFlatpakパッケージを利用する方法をまとめました。

Flatpakとは

Flatpakは、デスクトップ環境向けのディストリビューションを超えたユニバーサルなパッケージシステムです。

Debian安定版の場合、リポジトリのdebパッケージはバージョンが変わらずセキュリティ修正だけ行われます。Flatpakは、アプリをサンドボックス環境に入れてシステムと別に管理するので安定したシステムを使いながら最新のアプリが利用できます。

Flatpakアプリは、サンドボックス環境で動かすという特性上、ChromeやVS Codeのようにシステムと連携して動くアプリには向いていませんが、システムと連携しない通常のアプリ、LibreOfficeやGimp, Inkscape, VLC, Steam, OBS Studioといったアプリは、Flatpakからインストールして利用がおすすめです。

Flatpakのインストール

Flatpakは、KDE環境ではGUIから簡単にインストールできるので、こちらの方法でインストールしましょう。

Discoverアイコン
このDiscoverを開いて設定から「Integrates Flatpak applications into discover」と書かれたところのボタンを押せば全自動でセットアップできます

FlatpakはGUIで設定できるので以下は不要ですが、コマンドラインを使ってインストールしたい場合は、次のようにするといいでしょう。

# flatpakのインストールとセットアップ
sudo apt install flatpak kde-config-flatpak plasma-discover-backend-flatpak
flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://dl.flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo

Flatpakアプリのインストール方法

Flatpakパッケージアプリは、KDEアプリストアのDiscoverからインストールするのが一番楽です。アプリの情報については、FlathubのWebサイトを見ると新着アプリなどがわかります。

コマンドラインから操作する場合は、次のようにします。詳しいオプションは、`flatpak --help`を参照してください
# 簡単なFlatpakコマンドの使い方
flatpak list                   # インストールパッケージ一覧を表示
flatpak search libreoffice     # Flatpakパッケージの検索
flatpak install libreoffice    # Flatpakパッケージのインストール。完全なパッケージ名でなくても補完される
flatpak uninstall libreoffice  # Flatpakパッケージのアンインストール

デスクトップ周辺を設定する

デスクトップを利用する上で、よく利用しそうな設定などを集めました。

スプラッシュスクリーンの有効化

Debianを起動するとき、カーネルメッセージが表示されますが、ほかのディストリビューションのように隠すこともできます。

# スプラッシュスクリーンの有効化
sudo apt install plymouth-x11 plymouth-themes plymouth-theme-breeze kde-config-plymouth
sudo sed -ie 's/\(quiet\)"/\1 splash"/g' /etc/default/grub  # grubにカーネルパラメータsplash追加
sudo /usr/sbin/update-grub

ホームディレクトリにあるフォルダー名を英語にする

ホームディレクトリの日本語フォルダーは、xdg-user-dirsで設定されますが、日本語から英語にしたい場合は、次のようにすると変更できます。

# フォルダー名を英語にする
LANG=C xdg-user-dirs-update --force

ただし、ファイルマネージャーDolphinの場所エントリーは以前のままなので自分で修正する必要があります。

debパッケージをGUIでインストールしたい(synaptic, aptitude)

KDEには前述のDiscoverというパッケージマネージャーがありますが、アプリストアという位置づけなのでアプリ以外はインストールできません。

KDEには、Apperというdebパッケージマネージャがありましたが、長らくメンテされておらずTrixieでは外されてしまいました。GUIでパッケージをインストールしたい場合はsynapticaptitudeを使いましょう。特にaptitudeはターミナルで使えるので、とても便利です。

# synapticとaptitudeのインストール
sudo apt install synaptic aptitude  

【Tips】素早くアプリケーションを起動する

それでは、コマンドラインを使ってデスクトップ環境を整備するのでKDEのターミナルアプリkonsoleを起動します。KDEデスクトップには、画面左下のメニューボタンがあるのでWindowsユーザーならすぐにアプリが起動できますが、ここで少し便利な技を紹介します。

KDEでアプリを素早く起動する技
デスクトップの何もないところでkoと入力してください。すると画面上部にアプリメニューが表示されます。ここでkonsoleを選ぶとターミナルが起動できます。

これは、キーボードランチャーのkrunnerです。krunnerは、何もないところでキー入力、またはAlt+Spaceキーで呼び出せます。
Krunnerはアプリ以外にさまざまなものを呼び出して起動できます。どんなものが使えるかは、KDEシステム設定の「検索」に設定があるので見ておくとよいでしょう。

最後に

こんな設定をしなくてもインストールしただけで、いい感じになるようにしたいですね。そのためには、自分に時間とお金をください。もしくは、あなたがDebianコミュニティで頑張ってください。

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