目次
- ルーティング技術を徹底解説!〜CCNA合格への道〜
- 🌟 ルーティング3種の解説(CCNA対応)
- 🖥️ Ciscoルータでの設定コマンド例とPacket Tracer検証
- 📒 まとめ表(Ciscoルータ設定比較)
🧭 ルーティングとは?
ネットワークにおいて、「どの宛先へ、どの経路でデータを送るかを決める仕組み」です。ルータはルーティングテーブルという道しるべを使って、宛先への最適な経路を判断します。
データが目的地にたどり着くためには、ルータが正しい「道案内」をする必要があります。この道案内役を果たすのがルーティング技術です。
🌟 ルーティング3種の解説(CCNA対応)
CCNA試験で頻出のルーティングプロトコルは、大きく分けて以下の3種類です。それぞれの特徴をしっかり理解しましょう。
① 静的ルーティング(Static Routing)
📌 特徴
- 管理者が手動でルートを設定します。
- 小規模なネットワークや、特定の経路を厳密に制御したい場合に適しています。
- 設定ミスには注意が必要ですが、一度設定すれば非常にシンプルで安定しています。
🧠 覚え方
「自分で地図を書く」=「自分でルートを書く!」とイメージすると覚えやすいでしょう。
✅ 図で理解(静的ルーティング)
静的ルーティングのイメージを図で見てみましょう。
PC-A --- R1 --- R2 --- PC-B
ルータR1に以下のルートを手動で設定:
「PC-Bのネットワークに行きたいなら、R2へ送れ」
R1のルーティングテーブルは以下のようになります。
ルーティングテーブル(R1)
宛先: 192.168.2.0/24
ゲートウェイ: 192.168.1.2(R2のIP)
② RIP(Routing Information Protocol)
📌 特徴
- 距離ベクトル型のダイナミックルーティングプロトコルです。
- メトリックは「ホップ数(経由ルータ数)」 で、ホップ数が少ない経路を優先します。
- 最大15ホップまで通信可能で、16ホップは到達不能と判断されます。
🧠 覚え方
「リップ(RIP)は hop で測る旅人」と覚えると良いでしょう。つまり、「近いルータから順に情報を伝える方式」です。
✅ 図で理解(RIP)
RIPの経路学習のイメージです。
[PC-A] -- [R1] -- [R2] -- [R3] -- [PC-B]
RIPは、R1 → R2 → R3 → PC-B という経路を学習
ホップ数 = 3 (R1, R2, R3の3つのルータを経由)
📢 RIPのポイント:
- 30秒ごとにルーティング情報を** 全ルータに定期的に送信(定期広告)** します。
- この定期広告によりネットワークトラフィックが多くなりがちです。
- 大規模ネットワークでは収束(経路情報の安定)が遅くなる傾向があります。
③ OSPF(Open Shortest Path First)
📌 特徴
- リンクステート型のプロトコルで、ネットワーク全体の接続状態(リンクの状態)を共有し、最適な経路を計算します。
- メトリックは「コスト」 で、帯域幅が大きいリンクほどコストが小さい(優先される)という考え方です。
- 収束が速く、大規模ネットワークでも効率的に動作します。また、** 階層構造(エリア)** を持つことができます。
🧠 覚え方
「OSPF=最短経路オタク」と覚えてください。経路の状態を全体で把握し、最短ルートを計算することに長けています。
✅ 図で理解(OSPF)
OSPFが帯域幅を考慮して経路を選択するイメージです。
[R1]
/ \
10Mbps \
/ \
[PC-A] [R2] ---- [PC-B]
100Mbps
OSPFは「帯域幅の高い」ルート(R2経由)を選ぶ
→ より速くて安定した経路に!
📢 OSPFのポイント:
- ネットワークを論理的に分割する階層構造(Area 0=バックボーンエリア) を持ちます。これについては後ほど詳しく解説します。
- 各ルータはネットワーク全体のマップであるLSDB(Link State Database) を保持します。こちらも後ほど詳しく解説します。
- Helloパケットを使って近隣ルータとの隣接関係を確立し、情報共有を行います。
📝 まとめ表(比較)
| 項目 | 静的ルート | RIP | OSPF |
|---|---|---|---|
| タイプ | 手動設定 | 距離ベクトル | リンクステート |
| メトリック | 手動設定 | ホップ数 | コスト(帯域幅) |
| スケーラビリティ | 小規模向け | 中小規模向け | 大規模向け |
| 経路学習 | ×(手動) | ○(自動) | ◎(高速自動) |
| 管理のしやすさ | △(変更時手間) | ○ | △(エリア設計が必要) |
🔍 ネットワーク用語を理解しよう!
ネットワークの学習を進める上で、特に重要なキーワードをわかりやすく解説します。
リンクステートとは?
ネットワークの世界におけるリンクステートとは、「ルータが知っているネットワークの接続情報(リンクの状態)とそのコスト(どれだけ通りにくいか)」 のことです。
たとえるなら、あなたが持っている詳細な道路地図のようなものです。この地図には、どの道(リンク)がどこに繋がっていて、その道がどれくらいの広さ(帯域幅)で、渋滞しやすいか(コスト)といった情報がすべて載っています。
この「リンクステート」の情報をネットワーク上のすべてのルータが共有することで、各ルータはネットワーク全体の地図を頭の中に描けます。そして、その地図を使って「目的地までの最短経路」を計算できるのが、OSPF(Open Shortest Path First) のようなリンクステート型ルーティングプロトコルの特徴です。
メトリックとは?
メトリックとは、「どの経路が最適かを判断するための基準となる値」 のことです。これは、経路を選ぶ際の「物差し」のようなものと考えてください。
例えば、家から駅まで行くのに、いくつかの道があるとします。
- 「時間」 をメトリックにするなら、一番早く着く道を選びます。
- 「距離」 をメトリックにするなら、一番短い道を選びます。
ネットワークのルーティングプロトコルも、それぞれ異なるメトリックを使って最適な経路を選びます。
- RIPでは、「ホップ数(経由するルータの数)」 をメトリックとします。ルータをたくさん経由するほど、メトリックの値は大きくなり、その経路は最適ではないと判断されます。
- OSPFでは、「コスト(帯域幅に基づく値)」 をメトリックとします。回線の帯域幅が広い(速度が速い)ほどコストが小さくなり、その経路が最適と判断されます。
スケーラビリティとは?
スケーラビリティとは、「ネットワークの規模が大きくなったり、トラフィックが増えたりしたときに、どれだけ柔軟に対応できるか、拡張できるか」 という能力のことです。
想像してみてください。小さな喫茶店を開いたとします。最初は数人のお客さんで十分対応できますが、人気が出て急にお客さんが増えたときに、どれだけスムーズに店舗を大きくしたり、従業員を増やしたりできるかが「スケーラビリティ」です。
ネットワークの場合も同じです。
- 静的ルーティングは、管理者が手動で設定するため、ネットワークが少し大きくなるだけで設定変更の手間が大幅に増え、スケーラビリティが低いと言えます。
- RIPは、ホップ数制限があったり、定期的な情報更新でトラフィックが増えたりするため、大規模ネットワークにはあまり向かず、中程度のスケーラビリティです。
- OSPFは、階層構造を持てることや、効率的な経路計算ができることから、大規模ネットワークでも安定して動作し、スケーラビリティが高いと言えます。
💡 OSPFの階層構造(エリア)について
OSPFが「ネットワークを論理的に分割する** 階層構造(Area 0=バックボーンエリア)** を持ちます」という記述は、大規模なネットワークにおいて、ルーティング情報の処理負荷を軽減し、安定性とスケーラビリティを向上させるための仕組みです。
VLANがレイヤ2(データリンク層)で物理的なスイッチポートを論理的にグループ化し、ブロードキャストドメインを分割するのに対し、OSPFのエリアはレイヤ3(ネットワーク層)のルーティングプロトコルOSPFの動作範囲を論理的に分割するものです。
VLANは「建物の部屋分け」、OSPFエリアは「会社の部門分け」 と考えるとイメージしやすいでしょう。
-
「Area 0」(バックボーンエリア):
- OSPFネットワーク全体の** 「幹(バックボーン)」** となるエリアです。
- すべての他のエリアは、直接的または間接的にこのArea 0に接続されている必要があります。
- エリア間のルーティング情報は、必ずこのArea 0を経由して交換されます。
- 例えるなら、会社全体の「本社」や「中央管理部門」のようなものです。
-
その他のエリア(Area 1, Area 2など):
- Area 0に接続される「枝」のようなエリアです。
- 各エリアは、それぞれ独立したLSDBを保持します。
- 例えるなら、各地域の「支社」や「事業所」のようなものです。
大規模なOSPFネットワークをエリアに分割する主な理由は、ルーティングテーブルの縮小、ルーティング計算の負荷軽減、安定性の向上、LSAのフラッディング制限などです。
💡 LSDB(Link State Database)について
「各ルータはネットワーク全体のマップである** LSDB(Link State Database)を保持します」という記述は、「OSPFが有効になっているルータは、自分の所属するエリア内のすべてのリンクの状態と接続情報を詳細に記録したデータベースを持っている」** という意味です。
つまり、自分の所属するエリア内においては、ネットワーク全体の関係をすべて知っています。
-
LSA(Link State Advertisement)の集まり:
- 各OSPFルータは、自分が知っているリンク(インターフェース)の状態、接続されているネットワーク、隣接ルータの情報などをLSA(Link State Advertisement) というパケットとして生成します。
- このLSAは、同じエリア内のすべてのOSPFルータにフラッディング(洪水のよう散布)されます。
- すべてのルータが同じLSAのセットを受け取ると、それらをまとめてLSDBを構築します。
-
エリア内の「完全な地図」:
- LSDBは、あるエリア内のルータ、リンク、ネットワークアドレス、それらの間の接続関係やコスト(メトリック)など、そのエリア内のトポロジ(構成図)に関するすべての情報を含みます。
- これにより、各ルータは、自分のエリア内の「詳細な地図」を持っている状態になります。
-
SPFアルゴリズムの基盤:
- 各ルータは、このLSDBの情報(完全な地図)を使って、SPF(Shortest Path First)アルゴリズム(ダイクストラ法とも呼ばれる) を実行します。
- SPFアルゴリズムは、LSDBに記録されたリンクの状態やコスト情報をもとに、自分自身からネットワーク内のすべての宛先への最短経路を計算します。
- この計算結果が、最終的にルータのルーティングテーブルに書き込まれ、パケット転送に利用されます。
RIPのような距離ベクトル型プロトコルが隣接ルータから受け取った情報のみを基に経路を選択するのに対し、OSPFが 「ネットワーク全体の地図」 を持つことで、ループの回避、高速な収束、柔軟な経路選択といったメリットが生まれます。
💡 Helloパケットとは?
OSPFにおけるHelloパケットとは、OSPFを動作させているルータが、「私はここにいますよ!あなたもOSPFを話せますか?」と、隣接するルータに自身の存在を知らせ、関係を築くためのメッセージです。同時に、「私はまだ生きていますよ」という生存確認にも使われます。
これは、TCPの3ウェイハンドシェイクと目的が非常によく似ています。TCPがデータ通信の開始前に「接続していいですか?」「はい、いいですよ」「了解!」とやり取りするように、OSPFのHelloパケットも、ルーティング情報の交換を始める前に、ルータ同士がお互いの存在とOSPFの共通パラメータ(エリアID、サブネットマスク、Hello/Deadインターバルなど)を確認し合う 「ご挨拶と生存確認」 の役割を果たすのです。これらのパラメータが一致しないと、ネイバー関係は確立されません。
主な役割は以下の2点です。
-
隣接ルータ(ネイバー)の発見と確立:
- OSPFを有効にしたルータは、インターフェースから定期的にHelloパケットを送信します(デフォルトでは10秒ごと)。
- 受信したルータは、Helloパケットに含まれる情報(ルータID、エリアID、サブネットマスクなど)を確認し、自身もOSPFルータであれば、相手を「隣接ルータ」(ネイバー)として認識し、ネイバー関係が確立されます。
-
ネイバー(隣接ルータ)の生存確認(キープアライブ):
- 一度ネイバー関係が確立された後も、ルータは定期的にHelloパケットを送り続けます。
- もし、一定時間(デフォルトでは40秒、Hello Intervalの4倍)Helloパケットが途絶えると、相手のルータは「ダウンした」と判断され、ネイバー関係が解消されます。これにより、OSPFはネットワークの障害を素早く検知し、ルーティングテーブルを更新することができます。
🖥️ Ciscoルータでの設定コマンド例とPacket Tracer検証
CCNA試験レベルで問われる各ルーティング方式について、Ciscoルータの設定コマンド例と、Packet Tracerを使った実際の検証手順を解説します。手を動かして理解を深めましょう!
📘 事前準備:Ciscoルータのコマンドモードについて
Ciscoルータを操作する際は、コマンドを入力する「モード」を切り替えながら作業を行います。それぞれのモードでできることと、そこへの移行方法を理解することが重要です。
-
User EXEC Mode (
Router>)-
表示:
Router> - 何ができる?: ルータの基本的な情報を見るだけのモードです。設定変更はできません。例えば、ルータが起動しているか確認したり、日付を確認したりするような、安全な操作が中心です。
- 移行方法: ルータにログインすると、まずこのモードになります。
-
表示:
-
Privileged EXEC Mode (
Router#)-
表示:
Router# - 何ができる?: ルータのすべての情報を見たり、ファイルの保存や再起動など、重要な操作ができます。設定変更自体はできませんが、変更を反映させたり、設定ファイルを操作したりする際に使います。
-
移行方法:
User EXEC Modeでenableと入力します。パスワードが設定されている場合は入力が必要です。Router> enable Router#
-
表示:
-
Global Configuration Mode (
Router(config)#)-
表示:
Router(config)# - 何ができる?: ルータの** グローバルな設定(全体に影響する設定)** を行うモードです。ルーティングプロトコルの有効化や、ホスト名、パスワード、バナーメッセージなどの設定をここで行います。
-
移行方法:
Privileged EXEC Modeでconfigure terminalまたは短縮してconf tと入力します。Router# configure terminal Router(config)#
-
表示:
-
Interface Configuration Mode (
Router(config-if)#)-
表示:
Router(config-if)# - 何ができる?: 特定のインターフェース(物理的なポート)に関する設定を行うモードです。インターフェースのIPアドレス設定、有効/無効化、帯域幅の設定などをここで行います。
-
移行方法:
Global Configuration Modeでinterface [インターフェース名]と入力します。インターフェース名には、GigabitEthernet0/0やSerial0/1/0などが入ります。Router(config)# interface GigabitEthernet0/0 Router(config-if)#
-
表示:
-
Router Configuration Mode (
Router(config-router)#)-
表示:
Router(config-router)# - 何ができる?: ルーティングプロトコルに関する設定を行うモードです。RIPやOSPFなどのダイナミックルーティングプロトコルの有効化、ネットワークの指定、各種パラメータ調整などをここで行います。
-
移行方法:
Global Configuration Modeでrouter [プロトコル名]と入力します。プロトコル名にはripやospf [プロセスID]などが入ります。またはRouter(config)# router rip Router(config-router)#Router(config)# router ospf 1 Router(config-router)#
-
表示:
モード移動のコツ
- 基本的には、上位のモードから下位のモードへ移動していきます。
- 各モードから一つ上のモードに戻るには
exitと入力します。 - どのモードからでも
Privileged EXEC Modeに一気に戻るにはendまたはCtrl + Zを入力します。
① 静的ルーティング(Static Routing)検証
静的ルーティングでは、管理者が明示的に経路を設定します。
📘 トポロジ図(Packet Tracer)
Packet Tracerで以下の構成を作成してください。
[PC-A] (192.168.1.10/24)
|
| Fa0/0 (192.168.1.1/24)
[R1]
| Se0/0/0 (10.0.0.1/30)
|
| (10.0.0.2/30) Se0/0/0
[R2]
| Fa0/0 (192.168.2.1/24)
|
[PC-B] (192.168.2.10/24)
-
R1
- Fa0/0:
192.168.1.1 / 255.255.255.0 - Se0/0/0:
10.0.0.1 / 255.255.255.252(DCE側、クロックレート設定)
- Fa0/0:
-
R2
- Se0/0/0:
10.0.0.2 / 255.255.255.252 - Fa0/0:
192.168.2.1 / 255.255.255.0
- Se0/0/0:
-
PC-A
- IPアドレス:
192.168.1.10 - サブネットマスク:
255.255.255.0 - デフォルトゲートウェイ:
192.168.1.1
- IPアドレス:
-
PC-B
- IPアドレス:
192.168.2.10 - サブネットマスク:
255.255.255.0 - デフォルトゲートウェイ:
192.168.2.1
- IPアドレス:
✅ Ciscoルータ設定コマンド
以下のコマンドを各ルータのCLI (config-if, config) で設定してください。
R1の設定:
Router> enable
Router# configure terminal
Router(config)# hostname R1
R1(config)# interface FastEthernet0/0
R1(config-if)# ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
R1(config-if)# no shutdown
R1(config-if)# exit
R1(config)# interface Serial0/0/0
R1(config-if)# ip address 10.0.0.1 255.255.255.252
R1(config-if)# clock rate 2000000 # DCE側で設定
R1(config-if)# no shutdown
R1(config-if)# exit
R1(config)# ip route 192.168.2.0 255.255.255.0 10.0.0.2 # 静的ルート設定
R1(config)# end
R1# write memory # 設定の保存
R2の設定:
Router> enable
Router# configure terminal
Router(config)# hostname R2
R2(config)# interface Serial0/0/0
R2(config-if)# ip address 10.0.0.2 255.255.255.252
R2(config-if)# no shutdown
R2(config-if)# exit
R2(config)# interface FastEthernet0/0
R2(config-if)# ip address 192.168.2.1 255.255.255.0
R2(config-if)# no shutdown
R2(config-if)# exit
R2(config)# ip route 192.168.1.0 255.255.255.0 10.0.0.1 # 静的ルート設定 (逆方向)
R2(config)# end
R2# write memory # 設定の保存
✨ 検証
-
ルーティングテーブルの確認:
R1とR2それぞれでshow ip routeコマンドを実行し、設定した静的ルートが表示されていることを確認します。R1# show ip route # 出力例: # S* 0.0.0.0/0 [1/0] via 10.0.0.2 (デフォルトルートがあれば表示) # 10.0.0.0/30 is directly connected, Serial0/0/0 # 192.168.1.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0 # S 192.168.2.0/24 [1/0] via 10.0.0.2 <-- これが表示されていればOK -
疎通確認 (Ping):
PC-AからPC-BへPingを実行します。Desktop->Command Promptを開き、以下のコマンドを入力します。C:\> ping 192.168.2.10Replyがあれば成功です。
-
シミュレーションモードでの確認:
Packet Tracerの右下にある「Simulation」タブに切り替え、PDU(Simple PDU) を使ってPC-AからPC-Bへパケットを送信してみましょう。パケットがR1、R2を経由してPC-Bに届き、返信も戻ってくる様子を視覚的に確認できます。
② RIP(Routing Information Protocol)検証
RIPはシンプルなダイナミックルーティングプロトコルです。
📘 トポロジ図(Packet Tracer)
Packet Tracerで以下の構成を作成してください。
[PC-A] (192.168.1.10/24)
|
| Fa0/0 (192.168.1.1/24)
[R1]
| Se0/0/0 (10.0.0.1/30)
|
| (10.0.0.2/30) Se0/0/0
[R2]
| Se0/0/1 (10.0.0.5/30)
|
| (10.0.0.6/30) Se0/0/1
[R3]
| Fa0/0 (192.168.3.1/24)
|
[PC-B] (192.168.3.10/24)
-
R1
- Fa0/0:
192.168.1.1 / 255.255.255.0 - Se0/0/0:
10.0.0.1 / 255.255.255.252(DCE側)
- Fa0/0:
-
R2
- Se0/0/0:
10.0.0.2 / 255.255.255.252 - Se0/0/1:
10.0.0.5 / 255.255.255.252(DCE側)
- Se0/0/0:
-
R3
- Se0/0/1:
10.0.0.6 / 255.255.255.252 - Fa0/0:
192.168.3.1 / 255.255.255.0
- Se0/0/1:
- PC-A / PC-B は静的ルーティングと同じ設定をしてください。
✅ RIP設定コマンド(各ルータで実施)
すべてのルータでRIPを有効化し、直接接続されているネットワークを広告します。
【共通手順】
R1での設定例です。他のルータ(R2、R3)も同様に、自分のインターフェースに合わせて network コマンドを指定します。
R1(config)# router rip
R1(config-router)# version 2
R1(config-router)# network 192.168.1.0 # 直接接続されているネットワーク
R1(config-router)# network 10.0.0.0 # 直接接続されているネットワーク
R1(config-router)# no auto-summary # 自動集約を無効化 (推奨)
R1(config-router)# end
R1# write memory
R2の設定:
Router> enable
Router# configure terminal
Router(config)# hostname R2
# インターフェースIP設定
R2(config)# interface Serial0/0/0
R2(config-if)# ip address 10.0.0.2 255.255.255.252
R2(config-if)# no shutdown
R2(config-if)# exit
R2(config)# interface Serial0/0/1
R2(config-if)# ip address 10.0.0.5 255.255.255.252
R2(config-if)# clock rate 2000000 # DCE側で設定
R2(config-if)# no shutdown
R2(config-if)# exit
# RIP設定
R2(config)# router rip
R2(config-router)# version 2
R2(config-router)# network 10.0.0.0
R2(config-router)# network 10.0.0.4 # 注意: 10.0.0.4/30 のネットワークアドレスを指定
R2(config-router)# no auto-summary
R2(config-router)# end
R2# write memory
R3の設定:
Router> enable
Router# configure terminal
Router(config)# hostname R3
# インターフェースIP設定
R3(config)# interface Serial0/0/1
R3(config-if)# ip address 10.0.0.6 255.255.255.252
R3(config-if)# no shutdown
R3(config-if)# exit
R3(config)# interface FastEthernet0/0
R3(config-if)# ip address 192.168.3.1 255.255.255.0
R3(config-if)# no shutdown
R3(config-if)# exit
# RIP設定
R3(config)# router rip
R3(config-router)# version 2
R3(config-router)# network 10.0.0.4 # 注意: 10.0.0.4/30 のネットワークアドレスを指定
R3(config-router)# network 192.168.3.0
R3(config-router)# no auto-summary
R3(config-router)# end
R3# write memory
✨ 検証
-
ルーティングテーブルの確認:
しばらく待ってから(RIPは30秒ごとに更新)、各ルータでshow ip routeコマンドを実行します。
R(RIP) のエントリで、遠隔地のネットワークが学習されていることを確認します。ホップ数も表示されます。R1# show ip route # 出力例: # R 10.0.0.4/30 [120/1] via 10.0.0.2, 00:00:20, Serial0/0/0 <-- R2経由で学習 # R 192.168.3.0/24 [120/2] via 10.0.0.2, 00:00:20, Serial0/0/0 <-- R2経由、ホップ数2で学習 -
疎通確認 (Ping):
PC-AからPC-BへPingを実行します。C:\> ping 192.168.3.10Replyがあれば成功です。
-
ルーティング情報のデバッグ:
R1# debug ip ripコマンドを実行すると、RIPパケットの送受信状況を確認できます。情報が交換されていることがわかります。確認後はundebug allでデバッグを停止しましょう。
③ OSPF(Open Shortest Path First)検証
OSPFは大規模ネットワークで広く使われる、リンクステート型プロトコルです。
📘 トポロジ図(Packet Tracer)
RIP検証時と同じトポロジ図を使用します。
[PC-A] (192.168.1.10/24)
|
| Fa0/0 (192.168.1.1/24)
[R1]
| Se0/0/0 (10.0.0.1/30)
|
| (10.0.0.2/30) Se0/0/0
[R2]
| Se0/0/1 (10.0.0.5/30)
|
| (10.0.0.6/30) Se0/0/1
[R3]
| Fa0/0 (192.168.3.1/24)
|
[PC-B] (192.168.3.10/24)
✅ OSPF設定コマンド(各ルータで実施)
OSPFでは、networkコマンドでネットワークアドレスとワイルドカードマスク、そしてエリアIDを指定します。
R1の設定:
Router> enable
Router# configure terminal
Router(config)# hostname R1
# インターフェースIP設定 (静的ルーティング時と同様に設定)
R1(config)# interface FastEthernet0/0
R1(config-if)# ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
R1(config-if)# no shutdown
R1(config-if)# exit
R1(config)# interface Serial0/0/0
R1(config-if)# ip address 10.0.0.1 255.255.255.252
R1(config-if)# clock rate 2000000 # DCE側で設定
R1(config-if)# no shutdown
R1(config-if)# exit
# OSPF設定
R1(config)# router ospf 1 # プロセスIDは任意の数字
R1(config-router)# network 192.168.1.0 0.0.0.255 area 0 # ワイルドカードマスクに注意
R1(config-router)# network 10.0.0.0 0.0.0.3 area 0 # ワイルドカードマスクに注意
R1(config-router)# end
R1# write memory
R2の設定:
Router> enable
Router# configure terminal
Router(config)# hostname R2
# インターフェースIP設定
R2(config)# interface Serial0/0/0
R2(config-if)# ip address 10.0.0.2 255.255.255.252
R2(config-if)# no shutdown
R2(config-if)# exit
R2(config)# interface Serial0/0/1
R2(config-if)# ip address 10.0.0.5 255.255.255.252
R2(config-if)# clock rate 2000000 # DCE側で設定
R2(config-if)# no shutdown
R2(config-if)# exit
# OSPF設定
R2(config)# router ospf 1
R2(config-router)# network 10.0.0.0 0.0.0.3 area 0
R2(config-router)# network 10.0.0.4 0.0.0.3 area 0 # 10.0.0.4/30のネットワーク
R2(config-router)# end
R2# write memory
R3の設定:
Router> enable
Router# configure terminal
Router(config)# hostname R3
# インターフェースIP設定
R3(config)# interface Serial0/0/1
R3(config-if)# ip address 10.0.0.6 255.255.255.252
R3(config-if)# no shutdown
R3(config-if)# exit
R3(config)# interface FastEthernet0/0
R3(config-if)# ip address 192.168.3.1 255.255.255.0
R3(config-if)# no shutdown
R3(config-if)# exit
# OSPF設定
R3(config)# router ospf 1
R3(config-router)# network 10.0.0.4 0.0.0.3 area 0
R3(config-router)# network 192.168.3.0 0.0.0.255 area 0
R3(config-router)# end
R3# write memory
✨ 検証
-
隣接関係の確認:
数秒待ってから、各ルータでshow ip ospf neighborコマンドを実行します。
隣接するルータが表示されていれば、OSPFが正しく動作し、隣接関係が確立されています。R1# show ip ospf neighbor # 出力例: # Neighbor ID Pri State Dead Time Address Interface # 10.0.0.2 1 FULL/DR 00:00:3X 10.0.0.2 Serial0/0/0 <-- R2が表示されていればOK -
ルーティングテーブルの確認:
show ip routeコマンドを実行します。
O(OSPF) のエントリで、遠隔地のネットワークが学習されていることを確認します。コストも表示されます。R1# show ip route # 出力例: # O 10.0.0.4/30 [110/128] via 10.0.0.2, 00:00:XX, Serial0/0/0 <-- R2経由、コスト128で学習 # O 192.168.3.0/24 [110/129] via 10.0.0.2, 00:00:XX, Serial0/0/0 <-- R2経由、コスト129で学習-
コストの計算例: FastEthernet (100Mbps) のコストは
1、Serial (1.544Mbps = 1544kbps) のデフォルトコストは64です。(※Packet Tracerではデフォルトで帯域幅が低く設定されているため、シリアルリンクのコストが高くなります。bandwidthコマンドで変更可能ですが、今回はデフォルトのまま進めます。)- R1-R2間のシリアルリンクのコストは
64。 - R2-R3間のシリアルリンクのコストは
64。 - R3-PC-B間のFastEthernetのコストは
1。 - R1から192.168.3.0/24への経路は、R1(Si0/0/0) -> R2(Si0/0/1) -> R3(Fa0/0) を経由するため、コストは
64 + 64 + 1 = 129となります。
- R1-R2間のシリアルリンクのコストは
-
コストの計算例: FastEthernet (100Mbps) のコストは
-
疎通確認 (Ping):
PC-AからPC-BへPingを実行します。Replyがあれば成功です。C:\> ping 192.168.3.10
📒 まとめ表(Ciscoルータ設定比較)
| 項目 | 静的ルーティング | RIP | OSPF |
|---|---|---|---|
| 方式 | 手動 | 自動(距離ベクトル) | 自動(リンクステート) |
| 設定対象 | ip route |
router rip |
router ospf |
| メトリック | なし(固定) | ホップ数 | コスト(帯域) |
| 試験出題形式 | コマンド選択・効果確認 | 設定の穴埋め | ネットワーク+ワイルドカードの理解力 |
| Packet Tracer 検証 |
show ip routeでS表示 |
show ip routeでR表示 |
show ip ospf neighbor show ip routeでO表示 |
✅ CCNA対策!理解度チェック問題
最後に、これまでの内容がしっかり理解できたか、簡単な問題に挑戦してみましょう。
📘 一問一答(ルーティング)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| ルーティングとは何ですか? | どの宛先へ、どの経路でデータを送るかを決める仕組み |
| ルータが経路を判断するために使うテーブルは? | ルーティングテーブル |
| 静的ルーティングの特徴は? | 管理者が手動でルートを設定、小規模ネットワーク向け |
| 静的ルーティングのメリットは? | シンプル・制御しやすい・安定 |
| 静的ルーティングのデメリットは? | 設定ミスや変更時の手間がかかる |
| RIPの正式名称は? | Routing Information Protocol |
| RIPはどのようなルーティング方式ですか? | 距離ベクトル型 |
| RIPのメトリックは? | ホップ数(経由したルータの数) |
| RIPで到達不能となるホップ数は? | 16ホップ(15ホップまで有効) |
| RIPの情報更新頻度は? | 30秒ごとに全ルータへ定期広告 |
| RIPの短所は? | トラフィックが多く、収束が遅い |
| OSPFの正式名称は? | Open Shortest Path First |
| OSPFはどのようなルーティング方式ですか? | リンクステート型 |
| OSPFのメトリックは? | コスト(帯域幅に基づく) |
| 帯域幅が大きいと、OSPFのコストは? | 小さくなる |
| OSPFの経路収束速度は? | 高速 |
| OSPFの特徴的な構造は? | 階層構造(エリア、特にArea 0) |
| OSPFが使うルーティング情報のデータベースは? | LSDB(Link State Database) |
| OSPFが近隣ルータと情報共有に使うパケットは? | Helloパケット |
| 静的ルートは自動で経路を学習できますか? | いいえ、手動のみです |
| RIPは大規模ネットワークに向いていますか? | いいえ、ホップ制限があり不向きです |
| OSPFはどのような規模のネットワークに向いていますか? | 大規模ネットワーク |
| 静的ルート・RIP・OSPFの中で最も設定が簡単なのは? | 静的ルート |
| 最も収束が速いルーティングプロトコルは? | OSPF |
✅【○×問題】
※正しいものは「○」、誤っているものは「×」で答えてください。
| 問題 | 答え |
|---|---|
| 静的ルーティングは自動で経路を学習する。 | × |
| RIPは距離ベクトル型のルーティングプロトコルである。 | ○ |
| RIPのメトリックはコスト(帯域幅)である。 | × |
| OSPFはリンクステート型のルーティングプロトコルである。 | ○ |
| OSPFは30秒ごとに全ルータに情報を送信する。 | × |
| RIPは最大16ホップまで通信可能である。 | ×(※15ホップまで有効) |
| 静的ルーティングは設定ミスのリスクがあるが、シンプルで安定している。 | ○ |
| OSPFは階層構造を持ち、Area 0がバックボーンである。 | ○ |
| OSPFのメトリックはホップ数である。 | × |
| RIPは大規模ネットワークに最適である。 | × |
✅【選択式問題】
※正しい選択肢を選んでください(選択肢は3つ)。
| 問題 | 選択肢A | 選択肢B | 選択肢C | 正解 |
|---|---|---|---|---|
| RIPのメトリックは? | 帯域幅 | ホップ数 | 遅延時間 | B |
| OSPFの経路選択基準は? | ホップ数 | コスト | RTT | B |
| OSPFのパケット共有に使う仕組みは? | ARP | Helloパケット | NAT | B |
| 静的ルートのメリットは? | 自動設定 | コストが安い | 安定して制御しやすい | C |
| RIPの更新間隔は? | 10秒 | 30秒 | 60秒 | B |
| 到達不能と判断されるRIPのホップ数は? | 15 | 16 | 17 | B |
| リンクステート型に該当するのは? | RIP | OSPF | 静的ルート | B |
| 小規模ネットワークに適したルーティングは? | 静的ルート | OSPF | BGP | A |
| ネットワークマップ(LSDB)を持つのは? | OSPF | RIP | 静的ルート | A |
| バックボーンエリアである「Area 0」を使うのは? | RIP | OSPF | 静的ルート | B |
この記事が、あなたのCCNA学習の一助となれば幸いです。
ルーティング技術はネットワークの根幹をなす重要な概念なので、Packet Tracerでの実践を通じてしっかりマスターしましょう!
でも、時間のない人は、知識の整理のためにコマンドを整理・確認だけでも、非常に役に立ちます。