前回の「AI Slack botと共に創り上げる、コラボレーションの新たな可能性」に引き続き、ChatGPTの生成AIのユースケースをまとめてみます。
繰り返しますが、LIFULLではkeelaiという社内向けのAIアプリケーションが運用されています。詳しくは相原さんがクリエイターズブログで紹介しています。
keelaiはSlack上で動くChatGPTベースのAIチャットボットを含んだ "汎用AI(仮)" 技術スタックで、現在は社内外の情報検索や画像生成などのいくつかの機能が利用できます。私はkeelaiの開発者として、生成AIの社内ユースケースを考えることと、ドッグフーディングも兼ねて積極的に使うようにしています。そのためよく細かいエラーやバグを見つけて直してます😅
今回は会社でのオフライン飲み会を企画した際に生成AIを使ってみて、役に立ったシーンを紹介します。実際に使っているのはChatGPTとDALL-E3の画像生成の機能だけで、それだけでも様々な接点で利用できます。
開催したイベントの概要
私は「リモートワーク下でどうやって偶発的なコミュニケーションを生み出すか」という記事にある社内のエンジニアの交流促進を目的としたワーキンググループにも参加しています。
- 今まではコロナ禍でリモートの交流イベントを主催していたが、今回はオフラインイベントにチャレンジした
- ちょうど新部長(河津さん)が就任されていたので、それに乗っかって部内の交流飲み会も兼ねた形でイベントを開催した
- イベント自体は先日開催して、プレゼント企画など乗っかってくれる方もおり、想定以上の人数も集まった
アイデアのブレストに使う
ChatGPTのよくあるユースケースですが、ブレストでは積極的に利用しました。交流会でもあるため、「普段関わらない社員も集まるようにどう対応すればいいのか」みたいにアイデアを広げる際に利用しました。この中からは、催しものを行うということで、クイズ大会が採用されました。
ちょっとふざけて大げさな表現を使ってるのは気にしないでください😅
前回の記事にもある通り、Slack上のやり取りで、人のチームとAIシームレスに議論できるのはなかなか便利だと感じています。
アナウンスの文章を作る
様々な告知文章を作る際にも使っています。次の2点が注意点だと思います。
- やや直訳っぽい文章になるので少し手直しする必要はあること
- アナウンスでは次の行動を喚起すること(この場合は「忘れないようにGoogleカレンダーに登録してね」等)が必要だと思っていて、そういう注意点はプロンプトで伝える必要があること
目を引く画像を作る
「最後に生成AIのイメージイラストを添付します」と言って、ちょっと大げさに喜びを表現した画像を添付していました。keelaiにはDALL-E3による画像生成の機能が実装されています。
まずは様々な人々が集まるカーニバルの告知。よく見ると腕が3本になってる人もいます。
何のイベントか分からないが、「偉大な男が就任した飲み会が開催される」ことだけ分かる告知。
また、当日の発表スライドでも利用しています。真面目な用途だと試しづらいですが、飲み会などの気楽な場では試しやすいです。あとこうした用途で絵を描くのは無理でしたが、毎回画像生成してもそれほど手間暇はかかりません。
ただ、本家ChatGPTの画像生成では「前の画像をちょっと〇〇にして」といった指示で割と柔軟に修正できるのですが、keelaiではそこまでの柔軟性はありません。これはおそらく生成した画像の説明文を参照してプロンプトを作っているんじゃないかと思っています。
我々は「OpenAI Assistants APIを使わずに無限にスケールする汎用AI(仮)を開発した」にある通り、
会話の履歴は当然Slack側に保存されているためこちらで保存する必要がない
という方針で楽をしているのですが、個々の機能をもし洗練させるならバックエンド側にもデータベースを持ってうまく加工する必要がある場合もありそうで、限られた人員でどの程度汎用的に作り込むかは課題になっています。
アナウンス文を翻訳する
この飲み会はネット上(Google Meet)でも参加できるようにしました。
LIFULLにはベトナムやマレーシアに開発拠点となる子会社があり、部長と縁のある方も多いため、部長のアナウンスするための英語のメッセージも生成しました。本当は現地の言語が良いんでしょうが、中身が分からないものを投稿するのは怖くてできませんでした…。
余談ですが、一応オンライン側とスピーカーで会話できるようにしていたのですが、実態は何人かがネット上から軽く挨拶できた程度で、ハイブリッドでの盛り上がりはできてなかったと思います。
まとめ
今、多くの方が生成AIで業務改善しようと取り組まれていると思います。ただ、ハルシネーション等や細かい部分への手の届かなさの問題はあり、例えば先の「群衆の中に腕が3本ある人が生成されてしまう」ような画像は、場合によっては社外向けのアウトプットには使いづらいかもしれません。
まず気楽な用途のほうが色々試しやすく、その中で「あ、これは普段の業務でも使えそうだ」とアイデア元になるルートもあるんじゃないかと思ってます。
- プライベートも含めて、気楽な用途で新技術を試し続ける
- いずれ本業で使えるアイデアがあれば導入できるように常にスタンバイしておく
みたいなスタンスも案外重要なんじゃないかと思います。この記事がそうした動き方のヒントになると嬉しいです。