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「2025 DORA Reportから読み解く!AIが映し出す、成果を出し続ける組織の共通点」の社内向けイベントレポート

Last updated at Posted at 2025-12-01

はじめに

11/30に「2025 DORA Reportから読み解く!AIが映し出す、成果を出し続ける組織の共通点」という講演があり、それが素晴らしい内容だったので社内向けに文脈を補足しつつ共有するための記事です。

弊社(株式会社LIFULL)社内でも生成AIでの業務改善が大きなテーマとなっており、例えば「AIで加速する個人、伸びないデリバリー──2025 DORAレポートが示すフローと摩擦の真実」という記事などをきっかけに職種問わず2025 DORA Reportが話題になっていました。

Four Keysとその発展

2014年から2017年へのDORAレポートでFour Keysという概念が提唱されました。これはのちに『LeanとDevOpsの科学』という本でまとめられています。これは開発チームのパフォーマンスがなんと4つの指標(デプロイの頻度、変更のリードタイム、変更障害率、サービス復元時間)に集約できるというものです。

Findyのブログ「2024 Accelerate State of DevOps Report 概説#1 『"LeanとDevOpsの科学"の「科学」とは何か?』」でも詳しく解説されているんですが、「その指標があまりにもシンプルで、なおかつ説得力に満ちて」いて衝撃を受けたと書かれています。

ただ発表によると2024年のレポートではメトリクスが5つに増えていたらしく、2025年では更に概念の数が増えてしまってるようです。それ以外の変数を見ていかないと現状を見誤るんじゃないかとのこと。あのシンプルさはどこに(笑)。

スクリーンショット 2025-12-02 0.26.00.png

私も『LeanとDevOpsの科学』を読んだことはあったものの、これがFour Keysを生み出したレポートで、議論されているのがそれをアップデートさせたものだってことに気づいていませんでした。

AIは増幅器である

実際にFour Keysに含まれていない要素として、AIによって「個人の有効性(Individual effectiveness)」は向上しているものの、「ソフトウェアデリバリーの不安定性(Software delivery instability)」「燃え尽き(Burnout)」「開発の摩擦(Friction)」の値は悪化しているというグラフが紹介されています。そしてこのような恐ろしい文言が…。

AI’s primary role in software development is that of an ampli er. It magni es the strengths of high-performing organizations and the dysfunctions of struggling ones.
AIの主な役割は増幅器である。高パフォーマンス組織の強みを拡大し、苦戦する組織の機能不全も拡大する

どの要素が原因かは分からないものの、LIFULL社内でも個人の生産性向上が必ずしもチームの生産性に繋がっていないと述べられています。レポート内ではバリューストリームマネジメント(VSM)による改善が推奨されています。LIFULL社内でもVSMによる改善事例はいくつかあるので、この動きを広げていきたいなと思います。

AI駆動開発は一足飛びに手に入らない

また発表の中では、アジャイルやDevOps文化などそのときどきの開発手法の発展を取り込めているチームはAI駆動開発をそんなに違和感なく取り込めるが、そうでないチームは一足飛びでは手に入らないんじゃないかとも述べられていました。

スクリーンショット 2025-12-02 0.43.16.png

講演者の高橋さんの解釈では、これがAI駆動開発にうまく取り組めているチームとそうでないチームが二極化している原因なんじゃないかと解釈されていました。つまり、チームの状況によっては、アジャイル手法や文化を先に学ぶ必要がある場合もありそうです。

最後の質疑でも、「従来のアジャイル開発(リーン開発)と変わってる部分と変わらない部分が知りたい」という質問に対しても、「小さいバッチサイズにする」などは変わらず有用だと説明されていました。ただし、個人とチームの比重が変わって、局所最適じゃなくて全体最適を目指さないといけなくなっているとも。

プラットフォームエンジニアリングへの投資を優先・資金提供する

AI導入の成功は、AIの「ツール」の問題ではなく、「システム」(組織の仕組み)の問題であると強調されています。その中の要素として、内部プラットフォームやエコシステムを重視している点、プラットフォームエンジニアリングを強調している点が印象的でした。

スクリーンショット 2025-12-02 0.49.25.png

まとめ

この記事では、DORA Reportを読むための事前知識や、講演者の高橋さんを社内の文脈に持ち込んだ内容をまとめました。つまりレポート本文の主張にはまだほとんど触れていません。また「個人の生産性向上がチームの生産性に必ずしも繋がらなくなってきている」など、一部の議論はエンジニア以外にもつながる部分があるんじゃないかと私は感じています。

アーカイブ動画と実際のレポートから学んで、一緒にLIFULLの生成AIを使った改善に取り組んでいってもらえると嬉しいです!

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