この記事では、Excelに不慣れだった私が、生産管理の混乱した業務を仕組み化して立て直すまでのプロセスをまとめています。
経験談として少し長めの記事ですが、どこか一つでも参考になれば幸いです。
1. 異動直後に直面した、生産管理の“構造的な問題”
16年間の現場(航空機整備)経験を経て生産管理へ異動しましたが、最初に直面したのは Excelが業務に耐えない構造 になっているという問題でした。
現場で使われていたExcelは紙帳票の延長で作られており、
● セル結合が多い
● 項目配置が不規則
● 部署ごとにフォーマットが違う
● 手入力の文字列混在(データの抽出や加工に時間が掛かる)
といった状態で、データとして扱える形にはなっていませんでした。
さらに部署が抱える問題もありました。
● 人員不足
・ 本来4名体制 → 実質2名で運用。
・ 上司も人員不足を理解していたが、現場の安全管理を優先のため、すぐに補充できない
● 管理部門とExcelの経験不足
・ 2名の内、自分と他1名も管理部門未経験。申し送り無し。Excelに不慣れ
● 残業時間 増
・ 月の残業80〜100時間、繁忙期200時間に迫る業務量
加えて、数年前に撤退した主要部品メーカーの影響で、リードタイムが長い部品は在庫が尽き始め、代替部品の製造も間に合わず、予算があっても部品が入手できない現状
● 頻発する大幅な計画変更
・ 枯渇部品の故障、納期遅延により作業工程の順番が狂い、計画は毎日のように崩れる
● 部品待ちにより、年間1600件を超える流用を強いられる
という状態が続きました。
Excel構造の問題、人員制約、供給遅延という複数の要因が、業務の不安定化を招いていました。
2. 外部コミュニティで得た、Excel改善の“基礎となる考え方”
状況を変えるため、自費で外部コミュニティに参加しました。
そこでExcelの構造設計に長けた方から、最初にこう質問されました。
「データはしっかり格納されていますか?」
当時は意味がわかりませんでしたが、後にこの一言がすべての出発点になりました。
そこで学んだ内容は、操作よりも 考え方そのもの でした。
Excelを整えるために必要な事
● 1行1データ・1列1項目の原則
● 格納 → 加工 → 出力 の3層設計
● テーブル設計書を作る重要性
● 転記をなくすための構造化
業務を整えるため必要な事
● 業務棚卸しと作業時間の可視化
● 業務整理と優先順位の付け方
● 標準化と他部署との連携
特に「構造化されていないExcelでは効率化は起きない」という点は大きな気づきでした。
3. 職場に戻り、まず取り組んだのは“業務棚卸し”
Excelを触る前に、まず業務そのものを分解しました。
洗い出した主なムダは以下の通りです。
● 手入力
● 転記作業
● 整形作業
● 使われていない帳票
● 担当者によって品質がバラつく工程
棚卸しの結果、全作業の約40%が不要 であることが判明。
改善の方向性が明確になりました。
4. Excelを“表”から“データベース”へ再構築
学んだ内容を職場に落とし込み、Excelを根本から作り直しました。
✔ 提出フォーマットを統一
データの構造が整い、計画作成時の修正が大幅に減少。
✔ 入力・加工・出力を分離した構造
抽出や加工の変更が簡単になり、属人性も低下。
✔ 抽出前提の構造に設計
転記作業が不要となり、操作回数が劇的に減少。
「Excelは見た目の表ではなく、データを扱う環境である」という感覚が定着していきました。
5. 自動化のために全国の協力者とマクロ開発
さらに省力化を進めるため、組織内の掲示板で協力者を募集し、全国のExcelに強いメンバーと連携してマクロ開発を行いました。
Before
● 計画作成:数時間
● 転記・整形に膨大な時間
● 属人化が強く再現性が低い
After
● 出力が 数十秒 に
● 作業品質が標準化
● 新人でも同じ成果物が出せる
● 現場への説明が安定し、混乱が激減
“手で頑張る仕事” が “仕組みで回る仕事” に変わっていきました。
6. 組織全体に広がった変化
仕組み化が進むにつれて、次のような変化が起こりました。
● 計画が安定し、現場の段取りが早くなる
● 余裕ができ、ミス・混乱・負荷が減る
● 情報の流れが整理され、部署間の連携がスムーズに
個人の努力ではなく、仕組みがチーム全体の負荷を軽減する ことを実感しました。
7. 最後に──業務改善DXで得られた気づき
今回の改善プロセスを通じて、DXは必ずしも最新技術の導入を指すものではないと分かりました。
成果につながったのは、むしろ業務を支える仕組みを整えることです。
● データ構造化
● 標準化
● プロセス分離
● 転記の排除
● 再現性のある仕組みづくり
これらの基盤づくりが、業務の負荷を大きく下げ、組織全体の安定につながりました。
この記事が、業務改善や仕組みづくりに取り組む方にとって、何か一つでも参考になれば幸いです。