はじめに
Googleの研究結果でも言われている心理的安全性の重要性ですが、具体的な実践については触れられてないことが多い気がするので、自分のケースとして心がけていることを公開します。
(最後の方にペアプロとかの話を出してるので、Qiitaでも大丈夫だよね・・・?)
前提
個人的にコミュニケーションは以下前提に立って、行っています。
『自分を含め多くのヒトは「心理的負荷が低いコミュニケーション」を ついつい とってしまう性質がある』
当然、いろいろなコミュニケーションスタイルがあるので、これが正しいコミュニケーションだ!と言いたい訳ではない。
そんな前提を置いた上で、以下のようなことに注意しています。
基礎理論
コミュニケーションを取る上で特に意識している基本的な理論部分です。
ヒトの性質
「例」が「例」じゃない時もあるけど、許して。
公正世界仮説
端的な説明:『ヒトは「結果には原因がある」と信じたい』
例:本人は何も悪くないのに「何もしてないのに上司に怒られたんだよね・・・」という相談に対して、「何か悪いことやったの?」と聞いてしまう。極端な場合は、本人も「自分が悪い」と思い込んでしまう。
そもそも、上司の虫の居所が悪いだけだったとかもよくある話。
真面目なヒトほど抱えがちになるのは、これが原因だと思っている。
共感疲労
端的な説明:『他者の相談を真面目に聞くと疲れる』
例:あまりにも大量の悩みを相談してくる人に対して「ぐちゃぐちゃうるさいなぁ!」と、苛立ってしまう。
そもそも、悩みの相談以外にも、その人のキャパシティを食いつぶす原因はたくさんある。
ただのタイミングの問題で「ぐちゃぐちゃうるさいなぁ!」と急にキレられることもある。
ヒューリスティック
端的な説明:『経験則・直感』
例:以下のように、人間は論理に厳密ではない人の方が多い。
「リンダは31歳、独身で、非常に聡明で、はっきりものをいう。大学では哲学を専攻し、学生時代は人種差別や社会正義の問題に関心を持ち、反核デモに参加していた。」リンダの今を推測する場合、可能性が高いのはどちらか。
- A:銀行員である。
- B:銀行員で、女性解放運動もしている。
BはAの部分集合なので、AよりBの方が確率が高くなることはないが、多くの人はBと回答する。
カテゴリー化
端的な説明:『あの人は◯◯だから、きっと☓☓だよ』
例:『あの人は草食系だから、きっと◯◯だよ』『あの人はO型だから、☓☓なんだよ』など
内集団バイアス
端的な説明:『身内贔屓』
例:仲間と認識すると、ちょっとだけ贔屓したくなる。
心理的安全性
「目の前の人との議論にちゃんと向き合おう」という言葉に尽きるのですが・・・
Google公式: 心理的安全性のために管理者ができること
GoogleDriveが開けないヒト(会社のプロキシとかで制限されているヒト向け):
【Google研究結果】生産性の高いチームに共通する要素【心理的安全性】>心理的安全性のために管理者ができること
バイスティックの7原則
人から相談を受けたときはこの原則に従って聞くようにしています。
バイスティックの7原則
実践編
上記内容を自分自身に落とし込んで実践している・意識している要素です。
自己理論バリバリなので、これがベストかどうかは知りません。
意識していること
外的要因
その人が置かれている状況(朝ごはんは食べていない/直前に誰かに怒られた/雨が降ってる)などの外的要因がコミュニケーションに与える影響は馬鹿にならない。
認められたい
「否定されたくない」よりも一歩進んで「認められたい」という欲求を持っている人が多いと思う。
相手の言い分を端的に否定するのは楽なんですけど、「そういう状況ならそういう行動になってもしかたないよねー。でもやっぱりやっちゃダメなことだから、どうすればそういう状況にならないかなー?」とか、一つ相手の行動を認めた上で、改善を考えていきたい。
(人を認めた上で、「状況」のせいにする。実際そういうケースが多いし。)
笑顔
笑顔であること。
Googleの研究結果でも表現されているけど、ノンバーバルな部分が心理的安全性に影響を与える部分は大きい。
打ち合わせのとき「真顔を貫く」人が多いPJに居た時もあるけど、発言するのが結構プレッシャーだった記憶がある。
無理に笑顔を維持する必要はないけど、人と打ち解けるには一番効果があるのは笑顔だと思う。
うなづき・あいづち
理解度に合わせて、うなづくこと・あいづちをうつこと。
「笑顔」にほとんど同じだけど、これするだけで、話し手としてはすごくありがたいです。伝わってる感があるので。
聞き手に回る時は意識的に頷いてます。
なお、当たり前ですけど、分からない時まで頷く必要はないです。(分からないときは、嫌らしく無い範囲で、首捻ってます。)
失敗を見せる
「いやー、この前、電気ケトルひっくり返して、床びっちゃびちゃにしちゃったよー」とか、「クソみたいなコードを晒してみる」とか、何でもいいので、失敗を堂々と見せる。
「失敗してもいい」って空気を作るのは自分だ!自分は心理的安全性を作っているんだ!
という言い訳をしながら失敗をしつづけます。
チャットがあるなら、雑談チャンネルとかで、「恥ずかしい失敗談」を小出しにすると良いかも。
(「恥ずかしいふりをした失敗談風の自慢話」や「恥ずかしさを感じない失敗談」はノーサンキューです。)
相手の方向性を考える
相手が何を目指しているのか?が大事。
表面的な質問に対してのレスポンスは、意味がないことが多い。(けど、とりあえずはレスポンスする。)
例えば、「NullPointerExceptionってなんですか?」って新人が聞いてきたとして、「NullPointerException」の説明をしても多分意味がない。普通に考えて、何かしらバグを踏んでるはず。
こういった背景も考えて、質問を受け取るようにしてます。(背景や状況から発言が生まれる。発言に囚われても意味がない。)
ただ、背景が全く分からないときは、質問に質問で返します・・・
「言葉にしてない意味」を含めない
「どうしてこんなことしたの?」という質問を「叱責」の意味で使うのは止めよう。という話し。
「原因追求」としてなら使って良い。
「言葉にしてない意味」を基準にコミュニケーションすると、適切に言葉が伝わらなくなる。
含める人も居れば、含めない人も居るので、一人だけ徹底しても無意味な状況も多い気はする。
また、程度の問題でもあるので、「言葉にしてない意味」がゼロにはならないと思う。
けど、これを減らすことで、意味のわからないストレスからはだいぶ解放される気がする。
伝えたいことは伝わらないし、自分も受け取れていない
結局、相手が受け取りたいようにしか受け取られません。
言葉にした内容を額面通り受け取ってくれる人はほとんど居ない。
お互い様な部分はあり、自分は自分の見たい真実しか見えてない時も多い。
そんなもん。
無理なときもある
- 自分のキャパオーバーで、イラっとしちゃう時もある
- しょうがない。
- これを許せなくなると、鬱まっしぐらなので、イライラしちゃう自分を許す。
- 気を使いすぎてたら言えないことを、言わなきゃいけない時がある
- 相手との方向性のズレ
- このコミュニケーションのとり方は、相手の反応を前提としたコミュニケーションなので、自発的な意見を求められている場にはフィットしない。
- 相手の顔色を伺わない時の方が、上手くいくケースもある。
- 結局、「コミュニケーションの原則は1対1」である。
- 心理学的に「多くの人がこうである」というのは研究結果が出てますが、目の前の人に完全に当てはまるかは別の話。
- 論理性を優先する人には、「ロジカルシンキング」をベースに会話したほうがいい
- 感覚値としては、技術屋はこっちが多い気がする。
- なお、「ロジカルであれば感情は無視していい」という話では無い。
- 感情を優先する人には、「感情」をベースに関係性を構築したほうがいい
- 感覚値としては、技術屋じゃない人はこっちが多い気がする。
- 「コミュ力が高い人」ってのは、「陽キャ」ではなく、いろんなパターンのコミュニケーションが取れる人だと思う。
- 基本的には、そういうパターンをどれだけ持てているか、なだけだと思う。
コミュニケーションスキルの伸ばし方
「コミュニケーションスキル」って生まれつきのものであると諦めて、努力してない人が多い気がする。
社会人一年目の自分は、まぁまぁコミュ障だった気がします。
(大学ではコミュニケーション得意だと思ってたけど、それは小集団内部の話であって、知らない人が増える社会人一年目では全然通用しなかった。)
個人的に努力していたこと
- この人と話してて気持ちいな!って人の「話の引き出し方(聞き方)」を真似する
- 真似してると一定の話題があることに気づく:「天気」「前のプロジェクト」「休日の過ごし方」「最近買った高いモノ」
- 結局は「相手に興味を持つこと」が一番大事だと気づく
- 「興味を持つ」ってのは一種のスキルなので、意識的に育ててかないと興味は沸かない。
- 上司とか「長く付き合う必要がある人」の「コミュニケーション」を不自然じゃない範囲で真似る(うまく言語化できてない、ごめん。)
- 特徴的な用語を真似る・筋道の建て方を真似る
- オウム返しは嫌われるので、そういうことではない。
- 自然に出てくるようになると、コミュニケーションを合わせやすくなるし、こちらの要求も伝えやすくなる。
- 特徴的な用語を真似る・筋道の建て方を真似る
- 上司とか、「長く付き合う必要がある人」の「指摘内容」をまとめる
- 自分に対してはもちろん、自分以外に対しての指摘も記憶するようにする
- 意外と似たような指摘しかしてないことが多い
ぜんぶ細かくやってたわけではなく、印象に残った範囲で整理しただけですけど、ここらへん意識するようになってから割と楽にコミュニケーションとれるようになった気がします。
ペアプロ/モブプロ編
Qiitaはプログラミングに関することを書くサービスなので、最後にプログラミングに絡めます。(申し訳程度ですけど)
声に出す
ペアプロ中は全員ソースコード見てるので、うなづいているだけだと、視界に入ってない可能性が高いです。
「なるほど~」「いいねー」とか、そんなことをひたすらつぶやいてます。
周りの様子を見る
嫌らしくない範囲で、メンバーの顔色を見たい。でも、横顔くらいしか見れない。
なので、「椅子の座り方」を見てます。「前のめりに座ってる」のか、「完全に椅子にもたれかかっている」のか?
反応がない
声どころか、目が死に始めた時は、一旦ストップします。
追いつけて無くて、脳の動きを止めた気配があるからです。
休憩が必要なのか、説明が必要なのかはケース・バイ・ケース。
ミスとして指摘しない
「その変数名ダサくない?」みたいな事は言わない。
「あ~、変数名どうしようね~?」とか。課題に目を向けるのが大事なのであって、「現時点で悪い」を伝える必要は全く無い。
「あれ?駄目だった?」みたいに聞き返される時もありますが、「処理中における主要な変数だからもう少し練りたいんだよねー」とかいう表現で返します。(駄目かどうかはポイントではなく、もっとより良くしたい理由があり、それだけの価値ある課題であることを共有する。)
「コミュニケーション」を振り返る
ペアプロ/モブプロとはちょっと違うかもですけど、スクラムでやってる場合はレトロスペクティブでコミュニケーションをターゲットにしたりします。
具体的には、以下のような感じです。(コミュニケーションというより、「感情」を振り返るといったほうが適切かも。)
ファン・ダン・ラーン(Fun/Done/Learn)で振り返りしてみた+独自拡張してみた
さいごに
そろそろ社会人10年目なので、振り返ってまとめてみました。
うまくいく時/行かない時いろいろあり、まだまだ勉強中です。
気が向いたら更新しますが、他にもノウハウあれば是非コメント下さい。
以上です。