はじめに
AI-DLC(AI駆動開発ライフサイクル)は、知識としては知っていましたが触ったことはありませんでした。
いつか触ろうと思いながら腰が上がらなかったところに、AWSの新認定「AWS Certified AI Business Strategist」が登場しました。そこで自分用の模擬試験サイトをお題にv1とv2の違いを体験してみました。
AI-DLCの基礎的なところは以下の記事に書いたAWS Skill Builderのコースで学びました。
ツールの動作条件を揃える
| 項目 | v1 | v2 |
|---|---|---|
| aidlc-workflows バージョン | v1.0.1 | v2.10.0 |
| 実行ツール | Claude Code | Claude Code |
| モデル | Opus 5.5 | Opus 5.5 |
依頼文も同じものを貼りました。本番モード、ドメイン別の練習、1000点換算の採点、解説、間違えた問題の再挑戦、問題のJSON管理が要件です。問題は全てオリジナルで作ることを条件にしています。
依頼文(intent.md)の全文
# Intent(v1・v2 に同じ文面を渡す)
AWS Certified AI Business Strategist (AIB-C01) の模擬試験をローカルで受けられるWebサイトを作りたい。
## 前提
- ローカルPCだけで動くこと(AWSアカウント・クラウド不要、DB不要)
- 技術スタックは任せる(ただし理由を説明すること)
- 問題は全てオリジナルで作成する。実際の試験問題や公式問題集の転載はしない
- 想定ユーザーは自分1人。ログイン機能は不要
## 試験の仕様(公式ページ・受験記事ベース)
- 85問、択一選択と複数選択
- 時間: ベータ版170分(標準版は130分との記載あり。タイマーは設定で切替可能に)
- 合格ライン: 700/1000点
- 4ドメイン
1. AI Fundamentals and Literacy (24%)
2. AI Strategy and Business Value Creation (28%)
3. AI Governance and Responsible AI Leadership (24%)
4. Business Readiness, Leadership, and AI Transformation (24%)
- 出題の軸: AWS CAF for AI、Responsible AI Lens、AI成熟度、ROI/KPI、Bedrock・SageMaker AI等の概要レベル
## 機能要件
1. 本番モード(ドメイン配分どおりに出題、タイマーあり)
2. ドメイン別練習モード(問題数・ドメインを選択、タイマーなし)
3. 複数選択問題は「2つ選べ」のように選択数を明示
4. 採点: 1000点換算、ドメイン別正答率、合否表示
5. 結果画面で各問の解説(なぜ正解か/他の選択肢がなぜ不適切か)を表示
6. 間違えた問題だけ再挑戦できる
7. 問題はJSON等の外部ファイルで管理し、追加しやすくする
8. 初期の問題数は各ドメイン10問、計40問程度(拡張可能な作りにする)
## 非機能要件
- `README` の手順だけで起動できる
- 日本語UI
Claude Codeと一緒にはじめる
AI-DLCは未経験だったのでいきなり動かさずに、まずClaude Codeに相談するところから始めました。お題と参考にしたい記事を渡しました。
すると、Claude Codeが次の3つをやってくれました。
- v1とv2の違い、試験の概要(問題数やドメイン)を調べる
- 同じ依頼文(
intent.md)を作る - v1用とv2用の作業フォルダを分けて用意する
aidlc-v1-v2-mock-exam/
├── PLAN.md 実験の進め方と記録用のメモ
├── shared/intent.md v1にもv2にも貼る依頼文
├── v1/ v1の作業場所
└── v2/ v2の作業場所
実際にAI-DLCを動かすのはClaude Codeの画面から開いたターミナルで行いました。また、Claude Codeには導入手順の案内、詰まったときの相談、記録のまとめなどを手伝ってもらっています。
うっかりしやすいところを先に教えてくれて、なんて気が利くやつなんだと握手しました。
- 以前ダウンロードして忘れていたAI-DLCのzipが古い版(v0.1.7)で、v1の最新はv1.0.1だった
- 古い解説に「v2はKiro専用」とあったが、いまはClaude Codeでも動く
- v2のインストーラーは、実行する前に中身を読んで確認してくれた
みのるん式を実践
最近発売された「[みのるん式]ビジネスパーソンのためのClaude Code仕事術」を読んでいます。「何でもAIに相談する癖をつけよう」という内容があり、これもこの機会に実践してみたかったので、初手のAI-DLCを始めるところから相談していきました。
書籍自体も読みやすくて、早く手を動かしたくてうずうずしていました。
v1を動かす
導入は設定ファイルをコピーする
リリースページから ai-dlc-rules-v1.0.1.zip をダウンロードして、作業フォルダに2か所コピーするだけです。
cp aidlc-rules/aws-aidlc-rules/core-workflow.md ./CLAUDE.md
mkdir -p .aidlc-rule-details
cp -R aidlc-rules/aws-aidlc-rule-details/* .aidlc-rule-details/
あとは claude を起動して、Using AI-DLC, に続けて依頼文を貼れば始まります。
質問は16問でファイルにAnswerを記入
最初に16問の質問が来ました。技術スタックや採点方法、履歴の保存など、実装が分かれるところを広く聞いてくれます。
回答は、質問ファイルの [Answer]: の後ろにアルファベットを書き込む方式です。一度書き方を間違えて、検証エラーで怒られました。ファイル編集で答えるのは若干手間ではありますが、回答の補足などするときには良いかもと感じました。
工程は必要なものだけ選択
v1は計画の段階で必要な工程だけを選びます。今回はユーザーストーリーや非機能要件などを飛ばしました。各工程の終わりに承認を求められます。
できあがった画面
npm install と npm run dev で起動できます。本番モード、練習モード、解説の表示、間違えた問題の再挑戦が動きました。
ただ、問題数が40問となるのが期待値でしたが、41問となっていました。
v2を動かす
導入は設定の質問がある
v2はインストーラーでバイナリを入れて、プロジェクトのルートディレクトリから設定を行います。
aidlc config --harness claude
aidlc doctor
aidlc config --harness claude の実行ログ
❯ aidlc config --harness claude
Initialize AI-DLC in /Users/xxx/aidlc-config-replay? [y/N]: y
MCP servers
1. on
2. off
MCP [2]:
MCP servers off.
configured /Users/xxx/aidlc-config-replay for Claude Code 2.10.0; next: open Claude Code in this project and run `/aidlc --doctor`
Setup check - 3 of 8 sections need you.
[ok] Harnesses claude recorded
[needs] Models no recorded policy; agents inherit your session model and effort
[needs] Runtime aidlc resolves only through the interactive PATH at /Users/xxx/.local/bin/aidlc
[ok] Flags defaults
[ok] Project plugins: all installed, MCP: none, completions: none
[needs] Providers no recorded answers; provider access unverified
[ok] Trust no unmet host trust
[ok] Workspace workspace shell present
Fix the 3 sections that need you now? [Y/n]: y
Record settings in [project recommended/local/global]: project
Model policy for claude
Preset: none (shipped defaults)
All 14 agents inherit your session model and effort, except:
Reviewing (2 agents): sonnet / medium
Review-only agents use the measured medium baseline; raising effort trades review time and cost for deeper correctness checking.
Recorded in: nothing yet - run 'aidlc config models --preset balanced --project --yes'
Full per-agent list: aidlc config models --show --json
Pins bind in both directions, and shipped tiers never raise an agent above the session.
Models [Enter keep everything, 1 preset, 2 group efforts, 3 set each one myself]:
model policy unchanged
Runtime needs one manual action:
Add ~/.local/bin to the login-independent PATH the harness inherits (a file in /etc/paths.d), not only an interactive shell rc file.
Full diagnostics: aidlc config runtime --show
runtime configuration unchanged
Model provider
Found AWS credentials (credentials profile xxx); detected region ap-northeast-1.
1. keep current inherit the provider already configured in the harness (default)
2. amazon-bedrock write the AWS region and profile to settings.json (AWS credentials detected)
Provider [1]:
Keeping the current harness provider; attributable AI-DLC Bedrock overrides will be removed when present, and other provider settings will be kept.
Providers current harness provider; attributable AI-DLC overrides cleared when present
configured providers settings for /Users/xxx/aidlc-config-replay
Setup complete. 2 actions still need you
runtime aidlc config runtime
models aidlc config models
初期設定では外部ツール(MCP)、保存先、モデル、プロバイダーなどがありました。v1のコピーだけに比べると多めですが、お試しのためほとんどはEnterを押すだけでサクッと始めることができました。
スコープを選んで始まる
依頼を貼ると、進め方(スコープ)の選択画面が出ます。express、classic、featureといったすでに用意されているものと、依頼内容に合わせて組み立てる compose です。推奨の compose を選ぶと poc が提案されました。下の画面では「8工程・承認5か所」と出ていますが、既存コードがないため reverse-engineering が自動でスキップされて、実際に動いたのは33工程のうち7工程、承認は4か所でした。
最初の質問は4問でした。一番解決したいこと、成功の基準、自分以外の関係者の有無、進め方(poc)と作る範囲の確認です。回答はチャットの選択肢で選べました。v1の16問より少なく、Approveであればファイルも開かなくて済みました。
レビュアーエージェントの指摘
v2では各工程の成果物を別のエージェントがレビューしてくれます。Intent Capture(意図の整理。何を作りたいか、何をもって成功とするかをまとめる工程)では、レビュー役が「NOT-READY(まだこのまま承認できない)」を出しました。主な指摘は次の3つです。
- 問題数のずれ: 本番モードは85問を想定しているのに最初に作る問題は40問程度で、どうやって85問を出すのかが決まっていない
- 確認していない数字: 試験時間や問題数は受験記事を参考に書いた数字で130分と170分の記載ゆれもあるのに、確定した事実のように書いている
- 成功の基準が目的とずれている: 目的は「本番に近い形で実力を測ること」と「弱点を見つけて克服すること」なのに、成功の基準が「READMEで起動できる」「機能が動く」だけになっている
今回は指摘を直さずに承認したので、6件すべてが「許容するリスク(Accepted risk)」として記録されました。レビュー役は指摘するだけで直すかどうかは人間が決める仕組みです。本番モードは、85問を上限に、いまある40問から出す形に落ち着いています。
自分が見落としそうなところを承認の前に指摘してくれてシゴデキでした。
「学び」を残す仕組み
承認の前に、「今後も守るルールとして残したいものはどれか」と聞かれます。選ぶと project.md に追記されて、次回から使われます。今回は4件残しました。
学びを残す仕組みがあるのはすごく良いなと思いました。だいたいあとで残そうと思って忘れるパターンをやってしまいがちなので仕組みとしてあるのは助かりました。
できあがった画面
こちらもv1と同様にnpm install と npm run dev で起動できます。本番モード、練習モード、解説の表示、間違えた問題の再挑戦が動きました。
出力されるフォルダ・ファイルの違い
同じ「AI-DLC」でも、ルールの置き方と成果物の出力先が違います。
v1は大まかにはシンプル
ルールは CLAUDE.md と .aidlc-rule-details/ の2つだけです。
CLAUDE.md 全体の流れを書いた中核ファイル(1枚)
.aidlc-rule-details/
├── common/ 11ファイル 共通ルール(用語、質問の書式、エラー対応など)
├── inception/ 7ファイル 「何を作るか」を決める工程
│ ├── workspace-detection 新規か既存コードがあるかを判定
│ ├── requirements-analysis 質問して要件をまとめる
│ ├── workflow-planning 実行する工程を決める
│ ├── application-design コンポーネントなどの設計
│ ├── user-stories 利用者目線でストーリーにまとめる
│ ├── units-generation 作業を単位に分ける
│ └── reverse-engineering 既存コードの解析(既存システムがある場合)
├── construction/ 6ファイル 「どう作るか」と実装・テストの工程
│ ├── functional-design 業務ロジックの設計
│ ├── nfr-requirements 非機能要件(性能など)の整理
│ ├── nfr-design 非機能要件を満たす設計
│ ├── infrastructure-design インフラの設計
│ ├── code-generation コードの生成
│ └── build-and-test ビルドとテスト
├── operations/ 1ファイル 運用の工程(今は枠だけのプレースホルダー)
└── extensions/ 追加で選べるルール(security, resiliency, testing)
extensions/ は、要件の確認で「使いますか」と聞かれて、有効にするかを選びます。今回はテストのルール(プロパティベーステスト)を一部使いました。
成果物は aidlc-docs/ にまとまります。
aidlc-docs/
├── aidlc-state.md 進捗(どの工程が済んだか)
├── audit.md 質問と回答の全ログ
├── inception/
│ ├── requirements/ 要件定義書と、AIからの質問ファイル
│ ├── plans/ 実行計画、アプリ設計の計画
│ └── application-design/ コンポーネント、サービス、依存関係の設計書
└── construction/
├── plans/ 機能設計とコード生成の計画(承認する対象)
├── aib-mock-exam/ 作業の単位(ユニット)ごとの成果物
│ ├── functional-design/ 業務ロジック、ルール、画面部品の設計
│ └── code/ コードの要約(コード本体は外に出力)
└── build-and-test/ ビルドとテストの手順書、結果のまとめ
AIがルールのMarkdownを読んでその指示どおりに動く作りです。
v2は部品が多い
ルールは .claude/ に展開されて役割ごとに分かれています。
.claude/
├── agents/ 14 役割ごとのエージェント(product, architect, quality, composer ...)
├── skills/ 42 ステージや進め方ごとの起動口(/aidlc など)
├── scopes/ 11 進め方の型(poc, classic, feature, express ...)
├── aidlc-common/
│ ├── stages/ 5フェーズ分の工程定義(33工程)
│ └── protocols/ 承認・レビュー・学びの手順
├── hooks/ 19 進行を監視・記録するスクリプト
├── sensors/ 6 成果物の自動チェック(リンター、型、トレーサビリティなど)
├── knowledge/ 59 エージェントが読む知識
└── tools/ 100 エンジン本体
成果物は aidlc/spaces/ の下に出ます。
aidlc/spaces/default/
├── intents/261001-aib-mock-exam/ 今回の依頼1件分の記録(日付と名前のフォルダ)
│ ├── ideation/ 意図の整理(intent-capture)の成果物
│ ├── inception/ 要件分析(requirements-analysis)の成果物
│ ├── construction/ 実装(code-generation)とテスト(build-and-test)の成果物
│ ├── initialization/ 初期化の記録用(今回は空)
│ ├── verification/ (今回は空)
│ ├── audit/ 質問と回答、レビューなどの全ログ
│ ├── aidlc-state.md 進捗
│ ├── project-description.json 依頼文の控え
│ └── runtime-graph.json 各工程の開始・完了時刻、担当エージェントの記録
└── memory/ 残した「学び」
├── org.md 組織全体のルール(初期値)
├── team.md チーム共通のルール
└── project.md このプロジェクトのルール(今回の4件はここ)
工程ごとのフォルダ(たとえば inception/requirements-analysis/)には、質問ファイル、成果物、memory.md(AIの判断メモ)、reviews/review-01.md(レビュー結果)が入ります。v1にはない、レビューとメモのファイルです。
気になった部分の比較
| 項目 | v1 | v2 |
|---|---|---|
| 導入 | ファイルのコピー | 設定の質問がある |
| 最初の質問 | 16問(ファイルに記入) | 4問(チャットで選択) |
| 成果物(設計書など) | 24ファイル | 約28ファイル(レビュー記録を含む) |
| 問題数 | 41問 | 40問 |
| 自動テスト | 122件 | 60件 |
出来上がりの差はスコープの差
v1のほうが成果物もテストも多く見えますが、v2は最小のpocスコープを選んだ結果、機能設計などの工程がありません。テストが少ないのも同じ理由だと思います。classicで動かしていたら、もう少し近い比較になったかもしれないです。
おわりに
AI-DLCは本来はチームやいろんな方々を巻き込んで一緒に進めていくものだと思いますが、事前に一人で体験することもできるので、いつかに備えてやっておいて損はないなと思いました。
始め方もClaude Codeなどと一緒にやれば、大きくハマることなく進められました。
みのるん式の本では、仕事のファイルを1つの作業フォルダー(モノレポ)にまとめて、記録を残しながら続けることを勧めています。今回も、依頼文、計画のメモ、v1とv2の作業場所を1つのフォルダーに置いて進めたので、次に何かやるときの土台になりそうだと感じました。書籍の中でも触れられていた、学びをスキルやルールに反映して次の作業に活かすという考えは、AI-DLC Workflow V2の「学習ループ」と通じると肌で感じました。
それとAI-DLC Workflow V2の解説シリーズを久しぶりに見てみると、記事が30個までありました。(2026/10/14時点)
1つ目の記事が2026年8月の頭ごろに公開されており、1つ目は見ていたのですがそれ以降は見れていなかったのでこの機会に熟読しようと思います。そしてまた触って理解を深める無限城ループへ。





