はじめに|ちょっと遊びにきました
こんにちは、anyのnerumaru(ねるまる)です。Xは こちら。
この記事は、anyプロダクトチームAdventCalendar2025、14日目の記事となります。
以前はエンジニアとして開発に携わっていて、
今は開発職のリクルーター(中途採用担当)として、日々エンジニアの方々と対話する仕事をしています。
そんな背景もあって、今回、Productチームのエンジニアのみんなが企画したAdventCalendarに、「人事だけど、ちょっと遊びにきました」という気持ちで参加してみました。
技術的な話ではないけれど、
エンジニア文化にしっかり馴染む “軽いデバッグの話” を書いてみたかったからです。
コードにも、チームにも、そして自分自身にも、 “その日のコンディション” があります。
私は最近、それを一行のログとしてそっと残すというやり方を続けています。
深掘りも最適化もいらなくて、まずは “今日の自分がどう動いているか” を軽く見てみるだけ。
そんな小さな観察が、一日の進み方をふっと変えることがあります。
Ⅰ. “観察する”という入り口
1|今日のコンディションを扱うということ
仕事でも開発でも、
「今日は作業の立ち上がりに少し時間がかかりそうだ」
そんな日があります。
逆に、スッと集中に入れる日もあります。
人のパフォーマンスはコードと同じで、そのときのコンディションに左右されると、
エンジニアとして働いていた頃から感じていました。
ただ、そのコンディションを無理に改善しようとしなくてもよくて、
まずは 「いまどう動いているか」を軽く見ておくだけで十分でした。
そこで最近は、一言だけログにする という方法を使っています。
理由や背景を書く必要もなく、ただ「今はこんな感じかもしれない」と一行だけ残すだけ。
そのくらいの軽さでも、
今日の入り方がふっと軽くなる日があります。
2|うまく言えない日は、ログを小さくする
Slack でメッセージを書こうとして指が止まったり、
最初のひと言だけがなかなか形にならない日があります。
それはきっと、“今日は言語化の回路がゆっくり動いている” だけなのかもしれません。
そんな日は、無理に整えようとしなくて大丈夫です。
ログも小さくていい。
こんな言葉にならない感じも、そのまま一行のログになります。
- 「まだうまく言えない」
- 「最初の一言がどこか遠い」
- 「何から作業を始めたらいいのかしっくりこない」
これだけで、
その日のコンディションは十分に見えてきます。
大事なのは、
“まとめる” のではなく、“いまの挙動を残す” こと。
言えない日は、言えないまま一行だけ。
そのくらいの軽さがちょうどいい日があります。
Ⅱ. “挙動を見る”という視点を育てる
3|GPTは“挙動の輪郭”をいっしょに見る相手
朝、集中のスイッチが入りにくかったり、Slackの未読が視界の端にずっと居座る日があります。
そんなとき、「今日は立ち上がりが少し重いかも」と一言ログにしてみる。
その一言をGPTに投げても、深掘りされたり原因を断定されることはありません。
ただ、 “いまの挙動” の輪郭を一緒に見てくれる。
あなた:
「今日は最初の一歩が少し重いかも」
GPT:
「その“重さ”、どんな場面で一番感じました?」
あなた:
「Slackを開く前に、手がちょっと止まりました。」
GPT:
「その“止まり方”、どんな感触でした? ためらい?
それとも整理したい感じ?」
このくらいの距離感がちょうどいい。
結論を求められなくていいし、アドバイスがほしいわけでもない。
一行ログ → GPT → 状態の輪郭が少し見えてくる。
それくらいが心地よい日があります。
4|今日は“いつもと少し違う”と感じる日の扱い方
理由がわからないのに、
「今日はいつものペースと少し違う」と感じることがあります。
作業の立ち上がりが重かったり、逆にやたらスムーズに進んだり。
ただ単に “今日の自分のリズム” が違うだけ。
そんな日は、無理にいつものペースへ戻さなくて大丈夫です。
「今日はこういうリズムなんだ」とログとして置いておく。
- 「テンポが半歩ずれる」
- 「ペースがつかみにくい」
- 「逆に想像以上に進む」
こうした一行だけでも、今日の挙動の傾向 は十分見えてきます。
波があるのは自然で、良し悪しでもありません。
そのまま受け止めるだけで動きやすくなる日があります。
5|同じ言葉でも、“ふと引っかかる日”と“すっと入る日”がある
同じメッセージなのに、ある日はスッと読めて、別の日はふと引っかかる。
それは相手の問題でも自分の機嫌でもなく、今日の自分のリズム が違うだけ。
- いつもは流せる言葉でふと止まる
- 逆に、普段なら気になるのにスッと入る
- 「なんで?」と感じる小さな揺れ
同じ言葉なのにふと止まるのは、その日の自分がどこに反応しやすいか、その “ポイント”が少しずれているだけなのかもしれません。
こうした“引っかかり”はその日の揺れやすいポイントのサイン。
ときどき、GPTとのやり取りのなかに
「なぜか、ずっと気になっている一言」が混ざっていることがあります。
その “気になり方”の理由は、その瞬間にはまだわからなくても、後になって「ああ、これのことだったんだ」とふとつながる日があります。
あなた:
「今日は、同じ言葉なのに少しふと引っかかった」
GPT:
「その“引っかかり”、どのあたりで出た感じでした?」
“ふと引っかかる日” は、受け取り方のクセがそっと顔を出す日。
小さくログにしておくと、自分の動き方を読む精度が上がっていきます。
Ⅲ. “今日のリズム”をそのまま扱ってみる
6|最初の負荷を軽くするという選択肢
リズムが掴めない日は、
いきなり大きなタスクに行くと入りづらくなります。
「今日はこういうリズムなんだ」とわかっていれば、最初の負荷のかけ方を調整できる。
- 作業量を少し減らして入る
- 最初の5分だけ軽い作業にする
- Slack は1通だけ返す
- 書き出しをラフに置く
これだけで、タスクの入りが変わることがあります。
あなた:
「作業に入る手前で、ほんの少しだけ足踏みしている感じがあります。」
GPT:
「その“足踏み”、どのあたりで出ていますか?
入る直前なのか、もっと手前のところなのか。」
あなた:
「取りかかろうとした瞬間の、ほんの手前で迷いが出ます。」
GPT:
「なるほど。入口の少し前に負荷がある感じですね。
そこが軽くなると、今日の入り方が変わりそうです。」
“どこに負荷を感じていたか” が見えると、入り方のヒントになります。
7|小さなひっかかりを“軽くデバッグ”する
一日のなかで、「あれ、ここだけ少し気になる」という瞬間があります。
そんな“小さなひっかかり”を一行だけGPTに投げてみる。
深掘りされすぎず、結論を求められず、ただ輪郭が少し整うだけ。
コードのペアデバッグのように、挙動のひっかかりポイントを一緒に眺めてみる。
そこにはときどき、
自分の “対話のクセ” がふっと表れる瞬間があります。
8|一行ログは、今日を整えるための“軽いクセ”
忙しい日でも、
一行だけ残しておく。
それだけで流れが整いやすくなる日があります。
朝の30秒で:
「Slack の最初のひと言が出てこない」
移動中の3分で:
「Todo を開くまでが少し重い」
戻ってその一行を見ると、
「あ、今日はここを軽くすればいいんだ」
と自然に進みやすくなる。
一行ログは、
がんばって続けるものではなく、気づいた時にそっと残せる “軽いクセ”。
“軽いクセ” というのは、意図して動かす処理ではなく、
無意識の中で静かに立ち上がる、小さなトリガーのようなものです。
その日の挙動を一行にして残すだけでいい。
あなた:
「今日は作業に入るまでが、ほんの少しだけ重いかも。」
GPT:
「その“重さ”、どこをそっと軽くすると進みやすそうですか?」
深掘りではなく、流れが整うための小さなヒントが返ってくる。
おわりに:一行は未来の自分につながる
そのときは何気なく書いた一行が、
後になって「あれ、伏線だったんだ」と気づく日があります。
一行はただの記録ではなく、未来の自分を動かすスイッチになることもあります。
コードのデバッグで、
過去のログが挙動の手がかりになるように、
今日の自分の一行ログも、
いつか「このときのリズムはこうだったんだ」と読み解くヒントになります。
もし、明日のあなたがそのログを読み返して、
そっとスイッチを押すとしたら──
どんな一行を残しますか?


