本記事ではOracle NetSuiteと経費精算システムの連携について概要の説明をします。経費精算システムやサービスについてはこの記事では限定をしないため、具体的なAPIやデータ項目については仮定かつ一般論としてお考えください。
【詳細】編もご参考に。
https://qiita.com/naoyamiyake/items/49fb8006f07dc512ba3d
1)NetSuiteと経費精算システムを連携する意義・ニーズ
経費精算システムは、従業員の出張・交通費・交際費などの申請・承認・精算を効率化する一方、ERPであるNetSuiteでは経理処理・会計記帳・支払処理が主な役割を担います。
しかし、両者が分離運用されている場合、以下のような課題が発生します:
- 二重入力・手作業によるデータ転記ミス
- 月次締め処理の遅延
- 支払処理や仕訳の手作業対応
- 経費利用状況のリアルタイム把握の困難さ
NetSuiteと経費精算システムをAPI連携することで、これらの課題を解消し、以下のような効果を得られます:
- 経費データの自動仕訳化・支払処理の自動化
- ワークフローの全社統一
- 監査対応の簡素化・証憑のデジタル一元管理
- 経費使用状況の即時反映と分析
2)利用者メリット
利用者 | メリット内容 |
---|---|
従業員(申請者) | スマートフォンやWebから簡単に申請・領収書アップロードが可能 |
承認者(部門長) | 一元化された承認フローで承認漏れなし、ワークフローの可視化 |
経理部門 | 申請情報が仕訳データとして自動生成、月次締め作業が大幅に短縮 |
経営層・CFO | 経費予算と実績をリアルタイムで把握、分析レポートも即時反映 |
3)連携する技術的なポイント
項目 | 内容 |
---|---|
データ連携形式 | JSON(REST API)、CSVインポート/エクスポート |
認証方式 | OAuth2.0(Concur、チームスピリット)、APIトークン(楽楽精算) |
API設計方針 | 経費申請→仕訳/支払トランザクションへの変換ロジックを要実装 |
主な連携対象データ | 経費申請情報、承認ステータス、支払情報、証憑URL、従業員ID・部門ID |
マスタ連携 | NetSuite → 経費精算(従業員、部門、プロジェクト) |
エラーハンドリング | APIエラー時の再送、整合性チェック、ログ管理が重要 |
4)連携方法(3つ)
① REST API 連携(Push型)
- 経費精算システムが、承認済み経費データをNetSuiteにPOST
- NetSuiteのCustom Recordまたは仕訳トランザクションを生成
② REST API 連携(Pull型)
- NetSuiteがスケジュールバッチで経費精算システムにGETリクエスト
- 承認済データを取得して加工・登録
③ CSVファイルバッチ連携
- 経費精算システムからCSVファイルを定期出力
- NetSuiteでSuiteScriptまたはCSVインポート機能を用いてデータ登録
5)代表的な連携ユースケース
ユースケース:経費精算システムから仕訳の自動作成
- 明細データの連携の前提としてマスタデータ関連の同期を行う
- 経費精算システム上で経費申請・承認
- APIでNetSuiteに経費科目ごとの仕訳データ(DR/CR)を生成
- 会計上のプロジェクト・部門・取引先に正確に紐づけ
6)連携開発プロジェクトにおける社内確認事項
確認項目 | 説明 |
---|---|
API利用規約の確認 | 経費精算システムのAPIの公開仕様、利用制限(レート制限など) |
ID統合方針の確認 | 従業員ID、部門ID、プロジェクトIDなどの一意性と整合性 |
業務部門との要件整合 | 誰が申請・承認・差戻しするか、ワークフローのルール確認 |
証憑の保管方針 | 原本PDF等の保存場所(NetSuiteへのURL連携 or 外部参照) |
支払サイクル確認 | 月次/週次などの支払タイミングと連携タイミングを明確化 |
内部統制対応 | 申請内容・承認者のログ保存や仕訳修正の制限要件の確認 |
【詳細】編に続きます
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