俺の得意技、全部封印されました
ADBを立ち上げて、いざログインしようとしたそのとき、俺は衝撃を受けた。
SSHできない
OSに触れない
listener.ora も見えない
cronすら組めない
「え、俺の十八番(おはこ)が全部封じられてる!?」
ADBという世界は、インフラもOSもOracleが管理していて、ユーザーは“DB部分”しか触れないというルール。
それはつまり――「俺が触れない」=「信じるしかない」ということ。
壁その1:listener.oraがない!?
オンプレでは接続できない時、真っ先に見るのが listener.ora と tnsnames.ora。
だがADBでは、それらは一切見えない。かわりにWalletと呼ばれるZIPファイルの中に、すべての接続情報が封じられていた。
「自分で設定できないんじゃ、調査もできねぇじゃん…」
と思ったが、慣れるとむしろ便利だった。
接続に必要な証明書・TNS名・サーバ名が一括で揃っていて、再設定の手間がほぼゼロ。
ADBは、Oracleが管理するフルマネージドDB。
オンプレでは自分で立ててた"門番"が、ADBではすでに完璧に仕事をしてくれる状態なのだ。
つまり、Listnerは、今も確かにそこにいる。
ただし、我々が構う必要がなくなっただけ。
壁その2:OSに入れないと、何が困るのか?
CPU使用率を top で見られない
ストレージ状況を df -h で確認できない
アーカイブログの容量監視もできない
つまり、「不調の兆しを拾う手段」が減る。
だがその代わりに、ADBには大量のメトリクスとダッシュボードが用意されている。
CPU使用率
セッション数
ストレージ使用量
SQL応答時間 などなど
SQLでクエリしてもOK。(WEBコンソールからもSQLが実行できる)
「なるほど、見る場所が変わっただけか」
“触れない”は“無力”ではない
最初は「ADBは俺の仕事を奪う」と思っていた。
だが実際には、“やること”は減っても、“見るべきこと”は減っていない。
いや、むしろ精度が求められる。
手動で監視していたものが自動になった
でも、本当に安心して任せられるのか
自動化の“死角”を見抜けるのが、これからのDBAなのかもしれない
新しい戦い方を覚えはじめた俺
ADBの世界では、
「手を動かすDBA」から「目を配るDBA」へ進化しないといけない。
そのためには、“今までのスキル”を捨てるのではなく、“新しいスキル”と結びつける必要がある。
オンプレ時代に鍛えた
SQL解析力
アーキテクチャ理解
チューニングの勘所
…これらは、ADBでもめちゃくちゃ武器になる。
次回予告
第4話|魔法陣(Wallet)がないと入れない!?ADBへの接続はこう使え
“鍵のかかった異世界”に入るためのパスはWalletだった。
初めてのADB接続、そこにはいくつもの落とし穴が…!