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【オンプレDBAのためのクラウド転生ガイド_第5話】自動パッチと自動バックアップに戸惑うDBAの叫び

Last updated at Posted at 2025-08-09

パッチを当てるのは、俺の役目だったはずだ

オンプレ時代、パッチ適用はDBAの戦場だった。

事前に影響調査
動作確認用のテスト環境構築
本番適用の手順書(20ページ)
リカバリプランも用意
深夜の作業、成功しても拍手はされない

それでも、自分の手でDBを守ってきたという実感があった。

そんな俺に、OCIの通知が飛んできた。
「Autonomous Databaseのパッチ適用が完了しました」

え?
…やった記憶がないんだが。

勝手にパッチ!?そんなのアリかよ…

調べてみると、ADBは定期的に自動パッチが適用される設計だった。

運用停止の必要なし
ユーザー操作も不要
基本的には「気づいたら終わってる」

まさに「魔法のようなメンテナンス」。

でも、逆に不安になった。
「本当に落ちたりしないのか?」
「動作保証はどうなってる?」
「パッチの詳細は見られるのか?」

パッチの適用はコントロールできるのか?

ADBでは、 事前に定義されたメンテナンス・ウィンドウ の中でOracleは勝手にパッチを適用する

スクリーンショット 0007-08-09 11.32.45.png

「次回のメンテナンスは ◯月◯日 XX:00 〜 XX:00」
それは、運営(Oracle)が決めた"世界の運行スケジュール"

DBAが日付を動かすことは出来ない。避けられぬ運命(スケジュール) なのだ。

Oracle Cloud Supportでサービス・リクエストを提出することで、割り当てられたメンテナンス・ウィンドウを、別の2時間のウィンドウに変更することは可能。
ユーザ自身でのスケジュール変更は出来ない。

しかし!選べる"2つの時の流れ"があった。

Oracleは我々に 「早期(Early)」と「定期(Regular)」 という2つのときの流れを用意してくれている。

モード 適用時期 特徴
早期(Early) 定期パッチより1週間早い 新しいパッチを即体験できる
定期(Regular) 早期パッチの1週間後 より安定した運用向け

もし本番環境を 定期(Regular) にしておき、
検証環境を 早期(Early) にしておけばーー

「1週間前に新パッチが検証環境に降ってくる」
-> 本番適用前に事前テストができる!

これはまさに 時空魔法
本番の未来を、検証環境で先取りできるのだ。

「未来を知る者は、災いを避けられる」
それが、クラウドDBAの新しい戦いなのか。

バックアップも自動。でも、本当に使えるのか?

ADBは1日1回、自動でバックアップを取ってくれる。

しかも、以下のような恩恵付き:
最大60日間保持
ポイントインタイム・リカバリ(PITR)可能
OCIコンソールから“ポチッ”で復元できる

だけど最初は不安だった。

「ログアーカイブが壊れてたら?」
「RMANの検証は?チェックサムは?」
「“戻したつもりが戻ってない”とかないの?」

試してみた:PITR(ポイント・イン・タイム・リカバリ)

意を決して、開発環境でPITRを実行してみた。

スクリーンショット 0007-08-09 11.52.38.png

スクリーンショット 0007-08-09 11.57.12.png

結果:
任意の日時を指定して復元
数分〜十数分で別インスタンスが生成
そのまま検証・切り戻し可能

「……これは、めちゃくちゃラクだ」

オンプレでは丸一日かかっていた作業が、数クリックで終わる。
だがラクだからこそ、理解しておかないと事故る。

DBAの役割が変わる瞬間だった

「パッチもバックアップも、やらなくていい」

それは“仕事が減る”ではなく、“責任の持ち方が変わる”ということ。

手作業がなくなっても
監視すべき指標はあるし
復旧の手順も知っておく必要がある

自動化された世界でも、DBAは消えない。

ただ、信じて任せる力が試される。

次回予告

第6話|SQLの性能劣化、気づいたら治ってた件〜そしてまだ封印された力もあった〜
あの面倒なSQL性能劣化対応が"ゼロ運用に"ーー
オンプレDBA必見、監視・原因特定・計画修復まで全自動の仕組みを暴く!

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