こんにちは。AIシフト(Qiitaでは初投稿です)の開発チームです。私たちが開発した「AIシフト」(日本でのサービス名はシフトラ)が、3ヶ月の開発期間を経てGoogle主催のGemini API開発者コンテストの最終選考に進出しました。この記事では、AIシフトの技術的な開発プロセスから世界進出までをご紹介します。
もし興味を持っていただけたら、以下のリンクから投票をお願いします:
https://ai.google.dev/competition/projects/ai-shift
プロローグ:5分でシフト作成?日本発のAI技術が実現
「AさんとBさんは仲悪いから別のシフトにして」
「店長と副店長はどちらかが毎日お店にいるようにして」
こんな言葉どこか聞き覚えはありませんか?そう、まるで勤務先の日常会話のような簡単な指示だけで最適な勤務シフトが作成できるとしたら――。
AIシフトではそれが可能です。自然な会話レベルの勤務ルールを書くだけで最適なシフトを作成してくれる。ずっと店舗や施設の管理者たちを悩ませ続けてきたシフト作成という課題に、やっと解決策をお届けできたと思っています。
2. AIシフト誕生秘話:現場の声から
私たちがAIシフトの開発を始めたきっかけは、ある小売店の店長さんの一言でした。「シフト作成に毎週何時間も使ってる。もっと簡単にならないのかな。今の自動シフト作成はダメダメでほとんど作り直す必要があって無理」この言葉を聞いた時、これは生成AIなら解決できるのではないかと考えました。
意外な簡単さと難しさ
複雑な現場のルールをAIに理解させること、それは実は一番簡単でした。このような文章理解は生成AIが最も得意とする部分でした。AIシフトの大きな特徴である部分である自然な会話レベルの勤務ルールを理解させること自体は簡単だったのです。
逆にきちんと必要人員数を満たすように配置を行う、これが最も生成AIが不得意とするところでした。いろいろ試行錯誤しても、この数理的な処理が生成AIで本当にうまくいかない。既知のアルゴリズムでできることが生成AIだとできないのです。
ブレークスルー
ただ何か方法はあるはずだと信じ、3ヶ月開発を続けて最終的に、5時間かかっていたシフト作成を5分に短縮できる機能を実現できました。テスト段階で実際の店舗に導入し、店長さんから「すごい!本当に自動で作成できてる!これなら使える!」と言われた時は、本当に嬉しかったです。
3. 世界の巨人たちとの戦い:Gemini API開発者コンテスト
世界初の生成AIグローバルコンペへの挑戦
AIシフトの開発チームは、Google主催のGemini API開発者コンテストへの参加を決意しました。このコンテストは、世界中の開発者がGemini APIを活用して革新的なアプリケーションを作り出す、生成AI初めての大規模なグローバルコンテストでした。
賞金も非常に高く1.5億円規模な上に、副賞は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンのEVカスタム!これはたくさんの応募が来るだろうな・・・というコンテストです。
日本の小さなチームが世界の巨人たちと戦うことになるこのチャレンジ。私たちは、日本のきめ細やかなサービス精神と最先端のAI技術を融合させた「AIシフト」が、世界でも通用する価値を持っていると信じていました。
応募まで:慌ただしい日々
応募には3分の動画が必要でした。コンセプト動画は非推奨、デモ動画メインのガチンコ動画です。海外ではProduct Huntなどで慣れているフォーマットでしたが、なかなか日本では親しみがないやり方でした。
機能開発を同時並行で進めつつ、動画の編成や素材を撮影し、進めていく。なかなかにハードな体験でしたが、非常に面白い体験でした。以下の動画がその提出動画です。
応募後
後の数週間は、まさに緊張と興奮の連続でした。世界中から集まった何千もの応募の中から、AIシフトが本当に選ばれるのか。シフト作成のつらさを理解してくれるのか。
応募者のコミュニティでは日々様々なアプリが紹介され、非常に強力なプロダクトばかりでした。ただ固唾を呑んで結果を待ちました。
そして、ついに朗報が届きました。AIシフトが最終選考に進出したのです!しかし、これは始まりに過ぎませんでした。最終選考では、世界中のトップレベルのプロジェクトと競い合うことになります。
日本のAI技術の底力:「使いこなし」で世界と戦う
短い時間の中、私たちは「使いこなし」という日本の強みに焦点を当てました。AIシフトの特徴は、複雑な現場のルールを自然言語で理解し、それを実際の運用に落とし込む能力にあります。これは、単なる技術的な革新ではなく、現場の声に耳を傾け、きめ細やかなニーズに応える日本のサービス精神が生み出した革新でした。
世界の巨人たちが提示する壮大なビジョンに対し、私たちは「今すぐに現場で使える」実用性を武器に戦いを挑みました。AIシフトは、生成AIの可能性を現実のビジネスシーンで最大限に引き出す、日本発のイノベーションなのです。
4. デモで体感:5分でシフトが完成する魔法
では実際にどんな風にシフトを作成できるのか、拙い前のバージョンのデモ動画ではありますが、こちらをご覧ください。
このように「プロンプティング」というレベルでなく、シンプルなシフト条件を書き出すだけで、Excelでシフトができていることがわかると思います。
もちろんですが、時間帯(早番・遅番など)や時間単位(15/30/60分制)なのかを設定したり、スキル持ちの人を設定するということも簡単に行えて、それぞれに応じて適切なExcelフォーマットで出力がなされます。
また、シフトを作成する前に必要な人員数をセットしたり、シフト希望の収集も簡単で、LINEやメールで収集が可能です。
このようにして、シフトで働く人もシフトを管理する人も簡単にする、それがAIシフトの使命だと思っています。
5. 未来への展望:AIシフトが切り開く可能性
世界中の働き方を変える:日本発のAIイノベーションの可能性
AIシフトは単なるシフト作成ツールを超えて、働き方改革のコアとなる可能性を秘めています。
例えば、小売業や飲食業では、AIシフトの導入により管理者の負担が大幅に軽減されるだけでなく、従業員のワークライフバランスの向上にも貢献します。複雑な希望やスキルを考慮したシフト作成が可能になることで、従業員満足度の向上や離職率の低下にもつながります。
さらに、医療や介護の現場では、スタッフの適切な配置が患者やお年寄りのケアの質に直結します。AIシフトは、ケアの質を維持しながら、スタッフの負担を最適化することができます。このように、AIシフトは様々な業界で働く人々の生活の質を向上させる可能性を秘めているのです。
次なる挑戦:世界展開
AIシフトの可能性は、まだまだ広がり続けています。特に世界中の労働人口の中で、20%も占めると言われているシフトの自動化は大きなインパクトがあります。
海外進出をも進めていく中で、以下のような機能を標準装備しています。
-
多言語対応:グローバル展開を見据え、様々な言語でのシフトルール入力に対応しています。かつシフト管理は日本語で、シフト希望は英語・中国語で、などスタッフと管理者にある言語の壁を除くシステムになっています。
-
各メッセージングツールへの連携:日本ではLINE、海外だとWhatsAppというように、シフト希望の収集にもやり方が異なります。もちろんメールが統一的ではあるのですが、メール見ている人は実は本当に少数です。AIシフトではすでにWhatsApp・LINE、さらにはSMSに対応しています。
-
様々なログイン機能や管理機能:同じ組織のメンバーを管理できる機能やGoogle・Microsoftアカウントログイン、ソーシャルログイン機能も標準装備しています。
さらに、以下の機能をこの1ヶ月でリリース予定です。
需要予測:過去のデータや外部要因(天候、イベントなど)を分析し、人材の需要を予測。その予測に基づいて最適なシフトを自動で作成する機能を開発中です。
リアルタイム調整機能:突然の欠勤や予期せぬ忙しさに対応するため、リアルタイムでシフトを調整する機能を追加予定です。
学習機能の強化:各企業や職場特有のルールや慣習を学習し、より精度の高いシフト作成を実現。
5分のその先へ:さらなる効率化と人間らしい働き方の両立
技術の進化に伴い、シフト作成にかかる時間はさらに短縮されるかもしれません。しかし、私たちが本当に目指すのは、単なる時間短縮ではありません。AIがルーチンワークを担うことで、管理者や従業員がより創造的で、人間にしかできない仕事に集中できる環境を作ること。それこそが、AIシフトの究極の目標です。
例えば、店長が複雑なシフト調整に時間を取られる代わりに、顧客サービスの向上や従業員のスキルアップに注力できるようになります。また、従業員自身も、より柔軟な働き方を選択できるようになり、自己啓発や家族との時間を大切にすることができるでしょう。
さらに、AIシフトが蓄積したデータを活用することで、より効率的な人材配置や、従業員の適性に合わせたキャリア開発支援なども可能になるかもしれません。
このように、AIシフトは単にシフト作成を効率化するだけでなく、働く人々の生活の質を向上させ、より人間らしい働き方を実現するための重要なツールとなる可能性を秘めています。私たちは、この可能性を最大限に引き出し、世界中の働く人々に貢献できるよう、日々努力を重ねていきます。
6. 読者の皆さまへ:日本のAI技術を共に世界のトップへ
世界のトップを目指す私たちの挑戦を、あなたの一票が後押しします。もし気に入っていただけたら、こちらのリンクから「投票」を押してください。
興味を持った方へ
- AIシフトの導入・サービスに関するお問い合わせ:https://support.ams.jp/hc/ja/requests/new
- AIシフトの開発に興味がある方:https://www.ams.jp/apply
締めくくり
AIシフトは、シフト作成の効率化だけでなく、より良い働き方の実現を目指しています。この挑戦に、皆さまのご支援とご参加をお待ちしております。
人に寄り添うシフトを自動作成。働き方の未来を今ここから。
シフトラ -未来のシフト管理、もう始まっています