はじめに
Amazon FSx for NetApp ONTAP を利用しているお客様から
「ボリュームのサイズを拡張したのに空きが増えない」
というお問合せをいただくことがありました。
これだけ聞くと 「AWSで何か問題が起きているのか?」 と思ってしまいがちですが
理由がわかってしまえば単純な内容でした。
意外と躓いてしまう方がいらっしゃるのでは?と思いましたので
今回記事にしてみました。
事象再現
SVM1 にあるボリューム vol1 のサイズを増やしてみます。
1.コマンド df -f -volume vol1 で total、used、avail、capacity などを確認します。
FsxId****7****cd32****::> df -h -volume vol1
Filesystem total used avail capacity Mounted on Vserver
/vol/vol1/ 950GB 332KB 859GB 0% /vol1 SVM1
/vol/vol1/.snapshot 50GB 176KB 49GB 0% /vol1/.snapshot SVM1
2 entries were displayed.
⇒vol1のサイズ(total)は950GB、空きサイズ(avail)は859GBです。
2.コマンド volume size -vserver svm1 -volume vol1 -new-size 1200GB で
ボリューム vol1 のサイズを950GB から 1200GB へ拡張します。
FxId****7****cd32****::> volume size -vserver SVM1 -volume vol1 -new-size 1200GB
vol size: Volume "SVM1:vol1" size set to 1.17t.
⇒ 拡張が成功した旨が出力されました。
3.コマンド df -f -volume vol1 で total、used、avail、capacity などを確認します。
FxId****7****cd32****::> df -h -volume vol1
Filesystem total used avail capacity Mounted on Vserver
/vol/vol1/ 1140GB 392KB 859GB 0% /vol1 SVM1
/vol/vol1/.snapshot 60GB 200KB 59GB 0% /vol1/.snapshot SVM1
2 entries were displayed.
⇒vol1のサイズ(total)は1140GBに増えましたが、空きサイズ(avail)が859GBのまま増えていません。
ボリュームのサイズを増やしたので、それに伴って空き領域も増えると思いきや、増えませんでした。
これがなぜなのか?というのが今回お客様より発生したお問合せでした。
原因と対処
原因は ボリューム vol1 が存在するファイルシステムのストレージキャパシティを拡張していなかったからです。
ボリュームのサイズを大きくしたい場合は、ストレージキャパシティのサイズも大きくしてあげる必要があります。
つまり vol1 を入れている箱であるストレージキャパシティのサイズが vol1 よりも小さいと、ストレージキャパシティのサイズが上限となります。
1.ストレージキャパシティを 1,024GiB から 1,500GiB へ拡張します。
2.コマンド df -h -volume vol1 で確認します。
FxId****7****cd32****::> df -h -volume vol1
Filesystem total used avail capacity Mounted on Vserver
/vol/vol1/ 1140GB 344KB 1139GB 0% /vol1 SVM1
/vol/vol1/.snapshot 60GB 388KB 59GB 0% /vol1/.snapshot SVM1
2 entries were displayed.
⇒無事、空き(avail) が 859GB から 1139GB に増えました。
補足
ボリュームのサイズをストレージキャパシティのサイズよりも大きく設定できてしまうのは
guarantee の設定が none となっているためです。
FxId****7****cd32****::> volume show -vserver SVM1 -volume vol1 -fields space-guarantee
vserver volume space-guarantee
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SVM1 vol1 none
これはONTAPの仕様ですが、シンプロビジョング等・・・別途学習が必要です。
この辺の話をすると本題よりも長くなりそうなので割愛します。
まとめ
ストレージキャパシティ以上のサイズのデータは格納できないので、それ以下のサイズで設定しましょう。
FSx for NetApp ONTAP は ONTAP の仕様を深く理解せずとも気軽に利用できて便利ですが
細かい仕様についてはどうしても ONTAP を勉強しないとわからないことがあります。
そのため、NetApp社の技術情報ページもあわせて確認すると理解が深まるかと思います。
どなたかのお役に立てますように。