【時間対効果最大化】中堅若手SEが応用情報技術者試験を最大限効率的に合格へ導くための学習ロードマップ
はじめに
この記事は、筆者が2025年10月12日に受験した「応用情報技術者試験」の勉強法、その結果、および感想をまとめたものです。
私は、一般的にこの試験の合格に必要と言われているよりも圧倒的に少ない勉強量で合格できたと考えています。
その背景には、勉強は、かけた時間よりも内容(質)が大事であるという考え方があります。
本記事では、特に業務経験3〜5年程度の中堅・若手SEの方々に向けて、その経験を最大限に活かし、効率的に合格するためのコツと具体的な学習ロードマップを共有します。
なぜ効率的に合格できたか? 2つの理由
私が短期間・最小限の努力で合格できた理由は、以下の2点に集約されると考えています。
1. SEとしての業務経験(満5年)
応用情報技術者試験、特に午後問題は、SEとしての実務経験(要件定義、設計、テスト、プロジェクト管理、監査対応など)をフルに活かせる内容です。知識ゼロからスタートする学生や未経験者とは異なり、私たち現役SEには想定以上の大きなアドバンテージがあります。
2.「記録」と「分析」による学習の最適化
これが本記事の核心です。
私は、学習内容とその結果(得点率、所要時間、間違えた理由)を正確に記録し続けました。そして、そのデータをAIも活用しながら解析することで、「今、自分に足りないものは何か」をピンポイントで特定し、効率的に学習を進めました。
3ヶ月間の学習ロードマップ
私が実際に行った3ヶ月間の学習スケジュールです。
フェーズ1:8月 (午前対策 - 基礎固め)
- 概要: 午前試験の対策。使用したのは「過去問道場」のみ
- 勉強量: 272問
- 結果: 272問中 184問正解(正答率 67.6%)
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ポイント:
- 1日あたり8〜9問しか解いていない計算です。
- まずは「SEとしての現在の知識レベル」と「試験で問われる知識」のギャップを把握することに注力しました。
- 電車移動などの隙間時間でちょこっとやるといいでしょう。「過去問道場」の計算問題スキップ機能がおすすめです。
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上述のように自分の学習を振り返れるのはもちろんのこと、分野ごとの正答率から苦手な領域を把握して効率的に学習をすすめることができます。
フェーズ2:9月 (午後対策 - 得意分野の選定)
- 概要: 午後試験の対策。テキストは「応用情報技術者 午後問題の重点対策」の1冊のみ
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内容:
- まず、午後試験の出題分野(10問程度)を一通り解き、得意・苦手を選別
- 【1】の結果と合わせ、過去の受験者のブログ(や自身の業務経験)を参考に、受験する選択分野を7問選出
- 選出した分野の過去問を2周(計14問)解きました
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結果:
- この月は合計で過去問を24問ほど解きました。1日1問解いてもお釣りがくるペースです
- 自分が得意だと見込んでいた「アルゴリズム」で思ったより得点できず、まったく業務経験のない「組込みシステム開発」で高得点がでたりしました
- 最初から選択分野を決めつけず、一通り解いてみることは大事です
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ポイント:
- 午後試験は全分野を完璧にする必要はありません。「自分が確実に得点できる分野」を見極めることが最重要です
出題分野を一通り解く。と言いましたが実は例外があります。
ストラテジ系の3分野は「出題範囲が他の3倍ほど広い」「SEが触れることのない前提知識を一定求められる」ことから、学習効率向上のためにすべて捨てました。
AI活用ポイント
・学習記録用フォーマットの作成
・一週目の正答率や自分の経歴をプロンプトで与え、選択分野選別のアドバイスをもらう
フェーズ3:10月1日〜12日 (直前期 - 弱点潰しと総仕上げ)
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概要: 午前・午後の全般対策と、弱点のピンポイント補強
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内容 (午前):
- 過去問道場で628問を追加で解きました。最終的な正答率(8月~10月)は74.5%でした。
- 試験一週間前直近の正答率が71.2%とギリギリの状況であることに気づけたので、焦って2日ほどがっつり過去問をやりこみました
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内容 (午後):
- 選択分野の絞り込み: フェーズ2での結果記録から、得点が伸び悩んだ「サービスマネジメント」を捨てることで最終的な選択分野を6分野に絞り、その過去問を2周(計12問)しました。
- 通し演習: 10/10に、本番と同じ時間(150分)で過去問を通して解きました。
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結果分析と追加対策:
- 通し演習の結果は 75点 。合格ラインは見えましたが、内訳を見ると「データベース」が8点と壊滅的でした。
- 「データベース」や「ネットワーク」は得意分野ではあるものの、試験回によっては点数が取れない傾向がここまでの記録からも見えていました
- この「記録」に基づき、最終日2日前の10/11に、苦手であると見えた分野である「データベース(特に正規化、サブクエリ)」と「ネットワーク」の対策を追加で1問ずつ行いました。
- 通し演習の結果は 75点 。合格ラインは見えましたが、内訳を見ると「データベース」が8点と壊滅的でした。
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ポイント:
- 午前試験は時間にかなり余裕があるため、難しそうな計算問題にも十分時間をかける意識を持つといいでしょう
- 記録と分析こそが効率化の鍵です。これまでの過去問を解いた記録から「データベース(特に正規化、サブクエリ)」と「ネットワーク」という最も対策の効果がでる分野を可視化できたからこそ、直前期の貴重な時間をピンポイントの対策に充てることができました。
得点率が60~70%くらいになってしまう分野を補強したくなるかもしれませんが、それよりも20~90%くらいで安定していないものの高得点が取れることのある分野の苦手を分析し、対策することが大切です。
AI活用ポイント
・試験当日までの学習計画の策定
・午後問題の選択手順のアドバイス
・学習記録からの苦手分野や対策のためのアドバイス
結果(自己採点)と考察
- 試験日: 2025年10月12日
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自己採点結果: 合計 81点 (合格基準 60点)
- 記述は「意味が同じであれば正解」「部分点はつけない」とし、少し厳しめに採点しました 。
| 分野 | 自己採点 | 10/10 通し演習 |
|---|---|---|
| 情報セキュリティ | 14点 | 16点 |
| ネットワーク | 17点 | 16点 |
| データベース | 18点 | 8点 |
| 情報システム開発 | 14点 | 18点 |
| システム監査 | 18点 | 17点 |
| 合計 | 81点 | 75点 |
注目すべきは「データベース」「ネットワーク」です。
通し演習で8点だったように、これまでの過去問では点数を落とすこともあった2分野が、弱点を特定し、追加演習を行うことで、本番(自己採点)では得点源とすることができています。
これが「時間をかける」のではなく「内容(質)を重視する」学習の効果です。
SE経験者が活用すべき「午後問題」戦略
現役SEにとって、午後問題は得点源です。私が実践した選択手順と解き方の心得を紹介します。
※ 各々選択分野は異なると思いますので、あくまで参考程度に。
私の午後問題 選択手順
- まず「情報セキュリティ(必須)」を解きます。
- 次に、「システム監査」と「ネットワーク」の問題全体にざっと目を通し、極端な難問・奇問でないことを確認したら、この2つを選択します。
- 残り1分野を、「データベース」と「情報システム開発」で比較検討します。
- データベース: 標準的な内容(SQL、正規化、ER図など)であれば、こちらを選択するのが最も安定します。
- 情報システム開発: テーマが自身の得意分野(例: アジャイル、テスト手法、要件定義など)であれば、業務経験を活かして高得点が期待できるため、こちらを選択します。
- (万が一、上記4分野のうち複数が難化していた場合の最終手段として「組込みシステム開発」を検討します)
解き方の心得(テクニック)
- 読みながらキーワードに目印(マルや下線)をつける
- まず「問1」に目を通し、問われている内容を意識しながら文章を読み進めます。該当箇所が出たらそこで読むのをやめ、解いていく
- 後続の設問が前の設問を解くためのヒントを含むことがあるので、難しそうなら次の問題を解いてみる
- 「情報システム開発」は、得意分野なら高得点が期待できるため、早めにチェックして「イケる」か「捨てる」か判断する
- 誤字脱字防止のため、必ず大問ごとに見直しをする
試験当日の感想とアドバイス
当日のTIPSを共有します。
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昼休みが短い!: 午前・午後ともに150分の長丁場ですが、昼休みの時間が実質40分ほどしかありません(事前に届いた書類には1時間と書いてあるのに!)
- なので飲み物、昼ごはんは絶対に持っていくべきです
- 食事はinゼリーのような軽いもの、糖分補給できるものがおすすめです
- トイレは混む: 早めに行動しましょう
- 時間配分: 午後問題は、1問25分を基本ペースとすることで、難しい問題にフォーカスする時間や見直しの時間を確保できました
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持ち物:
- 教室に時計が無い場合がるので時計は必須です。
- 私は100均の置時計を使いましたが、見づらかったのでおすすめしません。腕時計を持っていくのがベストでしょう
- 定規は(図表問題などで)少し使えました
- 教室に時計が無い場合がるので時計は必須です。
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自己採点のために:
- 午前問題は、当日すぐに過去問道場などで自己採点できるため、選択肢を(問題用紙などに)記録しておきましょう
- 午後は記述回答が多いうえ、時間がシビアなので、記録はしなくていいです
- 問題数が少ないこともあり、記録しなくてもどんな回答をしたか案外覚えてられます
おわりに
応用情報技術者試験において、SEとしての実務経験は大きなアドバンテージとなります。
重要なのは、闇雲に勉強時間を増やすことではありません。
自分の現状(得意・不得意)を正確に「記録」し、「分析」し、最短距離で「対策」することです。
この記事が、多忙な中堅・若手SEの皆さんの、効率的な合格の一助となれば幸いです!