最近、Unreal Engine 5(以下UE5)の教本を読み始めたのですが、
「グレーボクシング」と「ブループリント」という言葉の意味が、最初はまったくわかりませんでした。
どちらも重要そうなのに、説明を読んでもピンとこない。
そこで実際に調べてみると、UEの開発初期を支える非常に重要な概念だと気づきました。
この記事では、当時の自分のように「この2つの用語が曖昧なまま進んでいる方」に向けて、
グレーボクシングとブループリントの違い・役割・使われ方をわかりやすくまとめます。
🧱 グレーボクシング(Grayboxing)とは
🔹 定義
グレーボクシングとは、ゲームのレベルやマップを仮のシンプルな形状(主に灰色のブロック)で構築する作業のことです。
「ゲームの遊びを形にするための最初のステップ」
と考えるとわかりやすいです。
🔹 目的
- アートやテクスチャを作り込む前にレベルデザインを検証する
- 移動感覚・スケール感・視界などを確認する
- プログラマーが仮データで機能を試せる環境を用意する
たとえば、キャラクターのジャンプ力や移動速度を調整する際、
まずは「箱でできたマップ」で十分です。
見た目よりもプレイフィール(遊びやすさ)の確認が目的です。
🔹 実際の作業例
- Cube や Plane を配置して床・壁を作成
- PlayerStart を置いて移動確認
- Trigger Box で当たり判定を仮設定
この段階では、見た目が地味でも“遊べる”ことが重要です。
💡 ブループリント(Blueprint)とは
🔹 定義
ブループリントは、ノードベースでゲームの動作を定義できるビジュアルスクリプトシステムです。
C++の知識がなくても、ノードをつなぐだけでロジックを構築できます。
🔹 仕組み
UEのブループリントは内部的にC++クラスを継承しています。
つまり、C++と同等の処理をノーコードで記述できる仕組みになっています。
ノードをつなぐ=関数を呼び出す
ピンをつなぐ=データを受け渡す
というイメージです。
🔹 メリット
プログラミング知識がなくてもゲームロジックを実装可能
実行中に値を変更して即テストできる
🔹 使用例
- キャラクター操作(移動・ジャンプ・攻撃)
- オブジェクトのインタラクション(ドア開閉・スイッチ操作)
- UI表示やアニメーション制御
たとえば「ボタンを押すとドアが開く」動作は、以下のようなノード構成で作成できます
Input Action → Open Door Event → Timeline(ドア回転)→ Set Rotation
すべてノードの接続で構築でき、コード不要です。
🔄 グレーボクシング × ブループリントの関係
この2つは、開発初期段階でセットで使われることが多いです。
- グレーボクシングで仮マップを構築
- ブループリントでキャラクター操作やギミックを追加
- 実際にプレイしてテンポや距離感を確認
- 問題なければアートチームが本番用アセットに差し替え
🎯 グレーボクシングは「形」を、ブループリントは「動き」をつくる。
このサイクルを繰り返すことで、
「見た目は仮でも、遊べるプロトタイプ」を短期間で作ることができます。
これがUE開発の大きな強みです。
🧩 まとめ
| 用語 | 意味 | 主な目的 |
|---|---|---|
| グレーボクシング | 仮の形状でレベルを構築 | ゲームの遊び・レベル設計を検証 |
| ブループリント | ノードで動作を定義 | ロジックを素早く構築 |
UEでは、「グレーボクシング+ブループリント」で遊べる状態を作ることが一般的です。
これにより、仕様変更にも柔軟に対応でき、完成後のクオリティを大きく引き上げることができます。
教本
UE5 極め本と呼ばれてたりします。