Oracle AI Database 26ai Freeとは
2025年のOracle AI Worldイベントにて、Oracle DatabaseをOracle AI Databaseに改称する発表が行われました。それに伴いメジャーバージョンも23から26に引き上げられてOracle AI Database 26aiが発表され、23aiの時代に続いてそのフリー版も提供されることとなりました。
なお、本記事の情報は一部を除き基本的にマニュアルや製品情報ページの抜粋となります。
26ai Freeの基本仕様
- 23ai Freeと同様に無償です。極論自社業務の本番環境としてご利用いただいても構いませんし、内容を変更せず追加費用も徴収しなければ再配布も可能です。ただし、従来と同様に有償のサポートサービスとパッチは提供されません。言い換えると自己責任でのご利用となります
- 利用可能な形態の詳細については、無償利用規約 (英語)をご確認ください。特に動作確認や試使用のレベルを超えた利用をご検討される場合はご確認をお願いいたします
- Enterprise Editionがベースとなっています。ただし、Enterprise Editionのすべての機能が利用できるわけではありません(次項を参照)
- 有償サポートは提供されませんが、サポートフォーラム (英語)があります
- 稼働リソースの制限は以下のとおりです。リソース制限を上回るH/Wリソースの環境へのインストールは可能ですが、下記の範囲でしか稼働しません
- 2スレッドまでのCPU
- 2GBまでのRAM
- 12GBまでのユーザーデータ(圧縮機能利用時は圧縮結果で計算)
利用可能なデータベース・オプション、機能
他のエディションと同様、ライセンスのマニュアル(英語)に、機能ごとに利用可否がわかる形で記載されています。以下は一部のみの紹介です。利用可能となっている機能も、細かい部分で非対応の機能があるのでご注意ください。
- Multitenantに関して、16個までPDBの作成が可能です。EE/SE2へのPDBクローンも不可です (Datapumpは可)
- RAC (Real Application Clusters) やData Guardのような、複数ノードを連携させる機能は利用できません。GoldenGateもGoldenGate Free 26aiを除いて利用不可です。例外としてGlobally Distributed Database (21cまでのShardingの後継機能) は3シャードまでの利用が可能です。Raftを使用したレプリケーションも可能です。26ai Freeで高可用性構成を組まれたい場合はGlobally Distributed Databaseの利用をご検討ください
- Flashback Database/Tableは利用できますが、Flashback Transaction/Transaction Queryは利用できません
- Enterprise ManagerのオプションパックはCloud Management PackおよびLifecycle Management Pack以外が利用可能です。RAT (Real Application Testing) は利用不可です
- True Cacheの利用は可能ですが、1ノードに限定されます
- Database In-memoryは基本機能が利用可能です。2GBのメモリ制限下でインメモリDB? という話はありますが、機能確認用途であれば十分ですね
- セキュリティ関係の機能はTDE (Transparent Data Encryption), Database Vaultをはじめ、大半の機能が利用可能です。23ai新機能のSQL Firewallも利用可能です
- パラレル処理関連機能は利用できません
- Spatial and Graphは利用可能です。地理データベースやグラフデータベースとしても利用可能です
- パーティション機能は利用可能です
- 圧縮関連の機能は大半の機能が利用可能です
- Oracle Machine Learning (Advanced Analytics) は利用可能です。機械学習やデータマイニング、R言語からのアクセスが可能です
- Transactional Event Queues (TEQ) はご利用いただけます。これらの機能をうまく使って、小規模データのマイクロサービスの基盤に26ai Freeという選択肢もありかもしれません
- ASMやACFSの利用は可能ですが、Oracle Clusterwareは利用できません
- RMANのリカバリ・カタログのような、Oracle Database関連機能のリポジトリ・データベースとして26ai Freeをご利用いただくことはできません
- 以下のツールは同梱されていませんが、別途ダウンロードして利用することが可能です
- APEX (Oracle Application Express)
- ORDS (Oracle REST Data Services)
- Oracle SQL Developer
- Oracle Developer Tools for Visual Studio
- SQLcl
- データベースのキャラクタセットはAL32UTF8です。推奨されてはいませんがDB作成前に変更することは可能です。Oracle Clientでのキャラクタセット変換は利用できるので、SJISや日本語EUCなどUFT-8以外の文字コードをアプリケーションで利用したい場合でも、デフォルト設定のままで26ai Freeの利用は可能です
インストール要件
以下の提供形式があります。Oracle VM VirtualBox用のovaファイルに関しては本記事執筆時点ではまだ23ai向けのみです
- RPM (Linux)
Oracle Linux版とOracle Enterprise Linux版のバージョン8向けと9向けがあります。基本x86_64向けですが、OL8のみArm向けも提供されています - ZIP (Windows)
- ファイル解凍後setup.exeを実行してインストール
- Dockerイメージも提供されています。詳細はこちらをご確認ください。
その他ソフトウェアの稼働要件は以下のとおりです。
- 同一OS環境に他のエディション(SE2/EEなど)との共存は可能
- 同一OS環境にインストールできるFreeはひとつのみ
- 最低1GB以上のRAM、推奨は2GB以上
- インストール先の領域として9GB以上のディスク容量(プラットフォームにより多少前後します)
- 2GBないしメモリ容量の2倍のスワップ領域
- 変更が必要なカーネルパラメータやその他細かい事項はマニュアル(英語)をご確認ください
26ai Freeのインストール
Oracle Linux向け
dnf install -y oracle-ai-database-free*
/etc/init.d/oracle-free-26ai configure
Oracle Enterprise Linux(互換)OS向け
dnf -y install oracle-ai-database-preinstall-26ai
dnf install -y oracle-ai-database-free*
/etc/init.d/oracle-free-26ai configure
Docker Image
docker pull container-registry.oracle.com/database/free:latest
より詳細なインストール記事
[26ai] 3コマンドで Oracle AI Database 26ai Free の インストール
Oracle AI Database 26aiをDockerやPodmanで動かしてみる
参考リンク
-
Oracle AI Database 26ai Freeの製品情報
https://www.oracle.com/database/free/ (英語)
https://www.oracle.com/jp/database/free/ (日本語) -
26ai Free発表のブログ
https://blogs.oracle.com/database/post/23ai-autonomous-database-free -
26ai Freeのサポート・コミュニティ(掲示板、英語)
https://forums.oracle.com/ords/apexds/domain/dev-community/category/oracle-database-free -
インストールガイド(英語)
https://docs.oracle.com/en/database/oracle/oracle-database/26/xeinl/index.html (Linux版)
https://docs.oracle.com/en/database/oracle/oracle-database/26/xeinw/index.html (Windows版) -
ライセンス情報(英語)
https://docs.oracle.com/en/database/oracle/oracle-database/26/dblic/index.html -
Oracle Database 26aiのマニュアル(サイト閲覧、英語)
https://docs.oracle.com/en/database/oracle/oracle-database/26/index.html