macOS や Linux には FITS ファイルを変換する手軽なツールがありません。
Python を利用してベイヤー FITS ファイルをデモザイクし、Photoshop などで編集できる TIFF 形式に変換する方法を紹介します。
撮影環境
- カメラ
- ZWO ASI 294MC
- 制御ソフト
- KStars + Ekos
ZWO ASI 294MC のベイヤーパターンは RGGB です。
環境構築
FITS ファイルの読み込みに Astropy、画像処理に OpenCV を利用します。
執筆時のパッケージバージョンは下記の通りです。
- anaconda3-2020.02
- opencv (4.1.0)
- astropy (4.0.1.post1)
処理
望遠鏡で撮影した月面の画像 (moon.fits
) を処理してみます。
1. FITS ファイルオープン
from astropy.io import fits
hdul = fits.open('moon.fits')
src = hdul[0].data
この段階ではベイヤー配列のままなので、モノクロのモザイク画像です。
2. デモザイク・保存
cvtColor
関数でベイヤー変換を指定することで、カラー画像を復元します。
import cv2
dst = cv2.cvtColor(src, cv2.COLOR_BayerBG2BGR)
cv2.imwrite('moon.tif', dst)
下記の TIFF 画像が出力されました。
任意の画像編集ソフトで明るさやカラーバランスを調整することができます。
3. Photoshop での編集例
レベル補正・カラーバランス調整を行い、シャープフィルタを適用したものです。