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【IBM Cloud】Kubernetes Service の strongSwan IPSec VPN サービス廃止に伴う代替手段

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はじめに

IBM Cloud より Kubernetes Service のクラシッククラスターで提供されていた strongSwan IPSec VPN Helm チャートアドオンが廃止され、2025年12月10日でサポートを終了するとの通知がありました。
引き続きオンプレ環境と拠点間VPNを使用するためには代わりの手段へ移行する必要があります。
いくつかの代替手段が案内されているので、それぞれどのようなものか調査してまとめてみました。

代替手段

  • IBM Cloud VPC VPN
  • WireGuard
  • OpenVPN
  • strongSwan

1. IBM Cloud VPC VPN

IBM Cloud VPC VPN は、IBM Cloud が提供するマネージドVPNサービスで、VPC間やオンプレミスとの接続を簡単に構築できます。
運用負荷が低く、IBM Cloud のネットワークサービスと統合されているため、クラウド環境での利用に適しています。
また、冗長構成やSLAによる高可用性も魅力です。
ただし、カスタマイズ性は低く、独自要件への対応が難しい場合があり、クラシッククラスターから移行する場合は Kubernetes Service の再構築が必要になります。
さらに、利用料が発生するためコスト面での検討が必要です。

メリット

  1. マネージドサービス:運用負荷が低い
  2. 統合性:IBM Cloud のネットワークサービスと連携
  3. 高可用性:冗長構成やSLAがある

デメリット

  1. カスタマイズ性が低い:独自要件に対応しづらい
  2. 環境の再構築:クラシッククラスターから環境の再構築が必要
  3. コスト:利用料が発生

2. WireGuard

WireGuardは、軽量で高速なVPNプロトコルであり、Linux カーネルに統合されているため、非常にシンプルな構成で高いパフォーマンスを発揮します。
最新の暗号化アルゴリズムを採用しており、セキュリティ面でも優れています。
設定が簡単で、低レイテンシかつ高スループットを実現できる点が魅力です。
ただし、機能はシンプルで、複雑な認証方式やポリシー制御には対応しづらく、企業環境での互換性や大規模管理には課題があります。

メリット

  1. 高パフォーマンス:低レイテンシ、スループットが高い
  2. シンプルな設定:構成ファイルが簡潔
  3. セキュリティ:モダンな暗号化技術

デメリット

  1. 機能がシンプル:複雑なVPN機能(認証方式やポリシー制御)は弱い
  2. 互換性:一部の企業環境や古いOSでサポートが不十分
  3. 管理ツールが少ない:GUIや大規模管理に不向き

3. OpenVPN

OpenVPNは、最も広く利用されているオープンソースVPNソリューションで、TLSをベースに柔軟な認証と暗号化を提供します。
多くのOSやデバイスで利用可能であり、成熟した技術と豊富なドキュメント、コミュニティによるサポートが強みです。
認証方式や暗号化設定の柔軟性も高く、カスタマイズ性に優れています。
一方で、WireGuard と比較するとパフォーマンスは劣り、証明書管理や設定が複雑で、大規模環境ではメンテナンス負荷が高くなる傾向があります。

メリット

  1. 高い互換性:多くのOSやデバイスで利用可能
  2. 成熟度:豊富なドキュメントとコミュニティ
  3. 柔軟性:認証方式や暗号化設定が多様

デメリット

  1. パフォーマンス:WireGuard より遅い
  2. 複雑な設定:証明書管理や設定が煩雑
  3. メンテナンス負荷:大規模環境では管理が難しい

4. strongSwan

strongSwanは、IPsec をベースとしたVPNソリューションで、企業ネットワークで広く採用されている標準プロトコルに準拠しています。
強固な暗号化と認証を提供し、サイト間VPNや高度なセキュリティポリシーに対応できる柔軟性があります。
特に、ポリシーベースVPNやロードバランス構成など、複雑なネットワーク要件に対応可能です。
しかし、IPsec 特有の設定の複雑さやトラブルシューティングの難しさがデメリットであり、パフォーマンスも WireGuard ほど高くない場合があります。

メリット

  1. 標準プロトコル:IPsec は企業ネットワークで広く採用
  2. 高いセキュリティ:強固な暗号化と認証
  3. 柔軟な構成:ポリシーベースVPNやロードバランス対応

デメリット

  1. 設定が難しい:IPsec 特有の複雑さ
  2. パフォーマンス:WireGuard より遅い場合がある
  3. トラブルシューティングが難しい:ログ解析が複雑

まとめ

IBM Cloud で構築するので拠点間VPNを構築するだけなら IBM Cloud が提供する IBM Cloud VPC VPN が最も手間がなく構築できます。
ただ、クラシッククラスターからの移行と考えた場合、Kubernetes を再構築する必要があり、VPCクラスターにあわせた Kubernetes の設定の変更や、IPアドレスが変わることによるオンプレ側の対応が必要になります。
同様に WireGuard, OpenVPN についても IPsec から変更することになるためオンプレ側での対応が必須です。

以上のことから、オンプレ側ので対応が可能であれば、IBM Cloud VPC VPN が構築・運用面から最もおすすめです。
オンプレ側の対応を最低限にする場合は strongSwan が適しています。


以上、Kubernetes Service の strongSwan IPSec VPN サービス廃止に伴う代替手段についてでした。
運用時の参考になれば幸いです。

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