💻 Kali Linux 基礎コマンドガイド:初心者向け備忘録
Kali Linux の学習を始めたばかりの方、コマンド操作にまだ慣れていない方へ向けて、覚えておきたい基本的なコマンドをまとめました。セキュリティに不可欠なシステムアップデートの方法から、日々の作業で使うコマンドまで、ステップごとに解説していきます。
Linuxのユーザーと権限について
Linuxは、複数のユーザーが安全にシステムを利用できるよう、細かく権限が設定されています。この「最小権限の原則」は非常に重要です。
- 管理者権限(root): システム全体を管理する最も強力な権限です。誤った操作がシステムに致命的な影響を与える可能性があるため、普段の作業で使うことは推奨されません。
- 一般ユーザー: 日常的な作業で使う権限です。
- sudo: 管理者権限が必要な場合は、sudoコマンドを使って一時的に権限を借ります。これにより、必要な時だけ強力な権限を行使し、普段は安全な一般ユーザーとして作業できます。
セキュリティの基本:定期的なシステムアップデート
セキュリティを保ち、最新の機能を利用するためには、システムの定期的なアップデートが欠かせません。以下のコマンドは、Kali Linux を使う上で常に覚えておきたい「おまじない」のようなものです。
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パッケージリストの更新:
sudo apt update
まず、利用できる最新のパッケージリストをインターネットから取得します。sudo apt update
もしエラーが出た場合は、
--fix-missing
オプションを付けて再試行すると解決することがあります。sudo apt update --fix-missing
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インストール済みパッケージの更新:
sudo apt upgrade
次に、現在インストールされているすべてのパッケージを最新版にアップグレードします。-y
オプションを付けると、途中の確認画面をスキップして自動で進めてくれるので便利です。sudo apt upgrade -y
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不要なパッケージの自動削除:
sudo apt autoremove
システムのクリーンアップを行い、不要になったパッケージを削除します。sudo apt autoremove -y
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パッケージキャッシュの削除:
sudo apt autoclean
パッケージのキャッシュも削除して、ディスク容量を節約しましょう。sudo apt autoclean
ファイル操作の基本
まず、日々の作業で頻繁に使うファイル操作のコマンドから覚えていきましょう。
ファイルの作成・編集:nano
テキストファイルを編集する際には、シンプルで使いやすいテキストエディタのnanoが便利です。
nano fileName.txt
このコマンドでfileName.txt
というファイルを開き、内容を編集できます。編集後は、以下のショートカットキーで保存や終了が可能です。
- Ctrl + O: ファイルを上書き保存します。
- Ctrl + C: 保存を中止します。
- Ctrl + X: nanoを終了します。
ファイル・フォルダの一覧表示:ls
現在のディレクトリにあるファイルやフォルダの一覧を確認するには、lsコマンドを使います。
ls
ファイルの中身を確認:cat
ファイルの中身をざっと確認したいときは、catコマンドが便利です。ファイル全体の内容がターミナルに表示されます。
cat fileName.txt
ファイルの削除:rm
不要なファイルを削除するには、rmコマンドを使用します。
rm fileName.txt
フォルダの作成:mkdir
新しいフォルダを作成するには、mkdirコマンドを使います。
mkdir NewFolder
連番のフォルダをまとめて作成することも可能です。
# Day1、Day2...Day10という10個のフォルダが作成されます。
mkdir Day{1..10}
🌐 Kali Linux の日本語化
Kali Linux を日本語で快適に使うための設定方法です。
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日本語パッケージのインストール
まず、日本語環境に必要なパッケージをインストールします。sudo apt install task-japanese task-japanese-desktop -y
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ロケールを再設定する
次に、以下のコマンドでロケール設定画面を開きます。sudo dpkg-reconfigure locales
リストの中から
ja_JP.UTF-8 UTF-8
を探して選択し、OKを押してください。 -
ロケールの適用
最後に、以下のコマンドで日本語ロケールを適用します。sudo update-locale LANG=ja_JP.UTF-8
これで日本語環境が整います。再起動後、デスクトップなどのデフォルトフォルダ名を日本語にするか尋ねられますが、コマンドラインで操作する際に不便なので「古い名前のままにする」を選択するのがおすすめです。
Google Chromeのインストール
使いやすいブラウザとして、Google Chromeを導入する手順を解説します。
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ダウンロード:
wget
wget
コマンドを使って、Google Chromeの公式サイトからファイルをダウンロードします。wget https://dl.google.com/linux/direct/google-chrome-stable_current_amd64.deb
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sources.list
への追記
Kali Linuxのパッケージ管理システムに、Chromeのインストール元を追加します。nano
で設定ファイルを開きましょう。sudo nano /etc/apt/sources.list
ファイルの最後に以下の行を追記し、保存して終了します。
deb http://ftp.jp.debian.org/debian stable main
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インストール
まずパッケージリストを更新し、ダウンロードしたファイルをインストールします。# パッケージリスト更新 sudo apt update # インストール sudo apt install -y ./google-chrome-stable_current_amd64.deb
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ファイルの削除:
rm
インストールに使った.deb
ファイルは不要になるので削除しましょう。rm google-chrome-stable_current_amd64.deb
🔐 openVPN接続方法
接続先の.ovpn
ファイル(例: FileName.ovpn
)が手元にある前提で、VPNに接続・切断する方法です。
接続方法
以下のコマンドを実行して、VPNに接続します。FileName.ovpn
の部分は、お使いのファイル名に置き換えてください。
sudo openvpn FileName.ovpn
切断方法
VPN接続を終了するには、以下のコマンドでopenvpn
プロセスを強制終了させます。
sudo pkill openvpn
エイリアスの設定
毎回コマンドを入力するのが面倒な場合は、エイリアスを設定すると便利です。これにより、短いコマンドで複雑なコマンドを実行できるようになります。
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zshrc
ファイルのバックアップ
まず、設定ファイルである.zshrc
のバックアップを取っておきましょう。cp .zshrc .zshrc_bkup
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エイリアスの追加
以下のコマンドで、VPN接続用のエイリアスを.zshrc
ファイルに追記します。$HOME/vpn/FileName.ovpn
は、.ovpn
ファイルがある実際のパスに置き換えてください。echo "alias vpn1='sudo openvpn $HOME/vpn/FileName.ovpn'" >> .zshrc
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設定の反映
.zshrc
ファイルを再読み込みして、エイリアスを有効化します。source .zshrc
alias
コマンドを実行すれば、登録したエイリアスを確認できます。 -
実行
これで、ターミナルにvpn1
と入力するだけでVPN接続が開始できます。vpn1