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怠け者による怠け者のためのGoogle Cloud資格全冠ガイド

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みなさんこんにちは。

今回は、Google Cloud認定資格を半年で全冠した話を書きます。ただし勉強法の王道ではなく、どこまで勉強せずに済ませられるか、という方向の話です。

先に結果だけ書いておきます。

項目 内容
期間 2026年3月11日から2026年9月8日までの181日
取得数 14資格(当時GA提供されていた全資格)
合格率 14戦14勝、全てストレート合格
総勉強時間 14時間50分(1資格あたり平均64分)

私が現在のCIerに入社したのは2026年3月1日です。その時点でのGoogle Cloud経験は、Vertex AIのハンズオンを受けるためにコンソールを少し触ったことがある、という程度でした。

この記事は武勇伝ではなく、最小限の準備でどこまでいけるかという実測データです。その最小化がどこまで可能で、どういう理屈で成立していたのかを書きます。

1. この記事の立場

参考にしてもいい人と、してはいけない人

この記事には再現性の範囲があります。

  • 参考にしてもいい
    • ある程度のITやクラウドの知識があり、急遽なんらかの理由で資格が必要になった人
  • 参考にしてはいけない
    • IT経験が乏しい人
    • 資格試験を通じて体系的で実践的な知識を得たいと考えている人 |

前者のパターンは、具体的には以下のような状況があるのかなと思います。

  • 来月までに資格が要る
  • 案件のアサイン要件に認定資格が入っている
  • 組織の目標として、とにかく数が必要

2. 筆者の経歴・前提知識

再現性の範囲を判断してもらうために、私のスペックを開示します。

経歴

時期 所属・役割
2026年2月まで データ活用ベンダー。DWH製品とBI製品のプリセールス、PMなど
2026年3月1日から CIer。プリセールス

Google Cloudの経験

CIerへ入社時点でほぼゼロでした。前職はデータ活用の領域でしたが、扱っていたのはDWH製品とBI製品であって、Google Cloudではありません。

現在の守備範囲はGoogle Cloud全般、とりわけAI系とBigQuery系なので、14資格のうち業務で日常的に触れている領域は2つか3つぶんしかありません。

保有資格(Google Cloud受験開始前)

分野 保有資格
AWS Solutions Architect Associate
Data Engineer Associate
Solutions Architect Professional
IPA 基本/応用情報
データベーススペシャリスト
システムアーキテクト
プロジェクトマネージャ
ITストラテジスト
システム監査技術者
情報処理安全確保支援士
その他 G検定

つまりどういう状態だったか

クラウドの型とIT全般の語彙は持っていたが、Google Cloudの知識はゼロだった、という状態です。

AWS Solutions Architect Professionalあたりを取得していたというのは一定の理由としてあったと思います。クラウドアーキテクチャの設問が何を問おうとしているのかという問いの構造は、AWSですでに体に入っていました。IPAの高度区分8つぶんの語彙も同じです。可用性、RPOとRTO、最小権限、疎結合、段階移行といった概念を、ゼロから学ぶ必要がありませんでした。

私が半年でやったのは、すでに持っている型にGoogle Cloudのプロダクト名を流し込む作業であって、型そのものを獲得する作業ではありません。だからこの記事の再現性は、型をすでに持っている人にしかありません。参考にしてはいけない人としてIT経験が乏しい人を挙げたのは、これが理由です。

3. 取得記録

Credlyの認定日順に、取得間隔と勉強時間を並べたものです。勉強時間はおおよそです。

# 認定日 資格 区分 前回からの日数 勉強時間
1 2026/03/11 Cloud Digital Leader 基礎 - 60分
2 2026/03/19 Generative AI Leader 基礎 8 60分
3 2026/04/03 Associate Cloud Engineer Associate 15 180分
4 2026/04/17 Associate Data Practitioner Associate 14 10分
5 2026/05/01 Professional Cloud Architect Professional 14 180分
6 2026/05/08 Professional Data Engineer Professional 7 30分
7 2026/05/18 Professional Cloud Database Engineer Professional 10 10分
8 2026/06/08 Professional Machine Learning Engineer Professional 21 30分
9 2026/06/22 Professional Cloud Developer Professional 14 60分
10 2026/07/10 Professional Cloud DevOps Engineer Professional 18 60分
11 2026/07/23 Professional Cloud Network Engineer Professional 13 60分
12 2026/08/07 Professional Cloud Security Engineer Professional 15 60分
13 2026/08/26 Professional Security Operations Engineer Professional 19 60分
14 2026/09/08 Associate Google Workspace Administrator Associate 13 30分
合計 181日 890分

入社日から数えると191日です。平均すると約13日に1資格のペースでした。2026年9月8日時点でGA提供されていた資格は14個なので、これで全冠になります。

4. 勉強時間の内訳

使った教材

某社の各資格試験対策ブログだけです。公式問題集も公式模擬試験も、一度も解いていません。

180分かけたのは2資格だけ

勉強時間の内訳を見ると、この半年の構造がそのまま出ています。

区分 資格 合計時間
土台にした2資格 Associate Cloud Engineer、Professional Cloud Architect 360分(各180分)
残り12資格 上記以外すべて 530分(平均44分)

この2つに時間をかけたのには理由があります。ご承知のように、Associate Cloud Engineerは以降の資格試験の基礎になるためです。IAM、プロジェクト構成、主要プロダクトの位置づけといった、ここで覚えたことが以降ほぼ全ての試験に出てきます。Professional Cloud Architectは、Associateより深くなったというより範囲が広がったという感覚に近く、組織設定などAssociate Cloud Engineerでは出てこなかったレイヤーが入ってきます。これも以降の資格に関わってきます。

それっぽい理由を後付けするならば、土台になる2資格に6時間を投資して、残り12資格をその上に乗せたと言えそうです。順序としては、Associate Cloud Engineerを最初に、Professional Cloud Architectを前半に置いています。この2つを先に済ませておくと、後続の試験で同じことを毎回調べ直さずに済みます。逆に、土台を作らずにProfessionalをバラバラに受けるのは、同じ勉強を何度もやり直しているのと同じです。総勉強時間は受験順序だけで大きく変わります。

守備範囲の3資格は合計50分

もうひとつ数字に出ているのが守備範囲の効果です。

資格 勉強時間
Associate Data Practitioner 10分
Professional Cloud Database Engineer 10分
Professional Data Engineer 30分

前職がデータ活用ベンダーだったので概念はすでに持っていて、やったのはその概念にGoogle Cloudでの呼び名を対応付ける作業だけでした。

5. 試験ごとの所感

1. Cloud Digital Leader(60分)

一般教養的な話です。クラウドとは何か、Google Cloudに何があるか、というレベルで、技術試験というよりビジネス試験に近いと思います。IT業界にいる人であれば、新しく足す知識はほとんどありません。試験の形式に慣れるために最初に受けるのは、悪くない選択だと思います。

2. Generative AI Leader(60分)

同じく一般教養的な話です。生成AIの概念と、Google Cloudの対応プロダクト名が結びついていれば足ります。モデルの内部構造に踏み込む試験ではありません。

3. Associate Cloud Engineer(180分)

14資格の中で最も時間をかけた2つのうちの1つで、最初に受けることを強く推奨します。ここで覚えたことが以降ほぼ全ての試験の土台になるからです。逆に、ここを飛ばしてProfessionalに行くと、各試験で同じ基礎を毎回調べ直すことになります。180分の投資が、後続12資格の勉強時間を圧縮してくれるでしょう。

4. Associate Data Practitioner(10分)

プロダクト名と概念の関係性を押さえれば十分でした。データ系の経験があるなら、ほぼ準備は要らないと思います。

5. Professional Cloud Architect(180分)

もう1つの投資先です。Associateより深くなったというより、範囲が広がったという感覚に近いです。組織設定など、Associate Cloud Engineerでは出てこなかったレイヤーが入ってきます。深掘りではなく拡張だと考えてください。これも以降の資格に関わってくるので、前半に取得することを推奨します。

6. Professional Data Engineer(30分)

データ系の経験があれば、プロダクト名をおさらいするだけで足ります。概念は前職までに持っていたので、Google Cloudでの呼び名に対応付ける作業でした。

7. Professional Cloud Database Engineer(10分)

こちらも10分です。プロダクト名と特長、BigQueryの基礎をさらっておけば大丈夫でした。

8. Professional Machine Learning Engineer(30分)

事前に調べると最難関と書いているブログが多く、Transformerの仕組みあたりまで問われるのかと警戒していましたが、そんなことはありませんでした。機械学習の基礎知識と、それに対応するプロダクトが紐づいていれば足ります。

ここで言いたいのは簡単だったということではなく、事前にどこまで問われるかを見誤らないことが勉強時間の最小化では一番効く、ということです。警戒したまま踏み込んでいたら、30分では終わっていません。

9. Professional Cloud Developer(60分)

コンテナに対する知識がないと辛いかもしれません。分かれ目はコードを書く能力ではなく、コンテナという実行単位の概念が理解できているかどうかだと感じました。

10. Professional Cloud DevOps Engineer(60分)

暗記ものが多かった印象です。開発経験がまったくないと、用語の確認から入る必要があるかもしれません。逆に言えば、用語さえ分かれば考えて解ける部分は少なくない試験でした。

11. Professional Cloud Network Engineer(60分)

知識が比較的薄い領域なのですが、設定値についての問題はほぼなかったと思います。パラメータの暗記は要りません。ただし、DNSやファイアウォールがそもそも何者なのかが分かっていないと、ここが最難関になるのかもしれません。ネットワークの基礎概念があるかどうかで難易度が大きく変わる試験だと思います。

12. Professional Cloud Security Engineer(60分)

セキュリティ製品の試験ではありませんでした。問われるのは、これまでの試験で出てきたプロダクト群について、そのセキュリティ関連の考え方や機能です。IAM、ネットワーク、暗号化、監査といった、すでに通ってきた領域をセキュリティの観点から見直す試験でした。Associate Cloud EngineerとProfessional Cloud Architectで作った土台がそのまま効くので、新しく覚えることは多くありません。

13. Professional Security Operations Engineer(60分)

14資格で唯一、受験直後に落ちたかなと思った試験です。直前のProfessional Cloud Security Engineerが既出プロダクトをセキュリティの観点から見る試験だったのに対して、こちらは専用プロダクトそのものの試験でした。同じセキュリティ系という括りで油断すると足をすくわれます。

SecOpsやSecurity Command Centerの専門用語が多く、国語力で押し切るには用語の密度が高すぎました。原理で解ける範囲を超えて、固有名詞そのものを知っているかを問われる場面があったという感覚です。結果的には通りましたが、ここは素直に勉強量が足りていませんでした。

14. Associate Google Workspace Administrator(30分)

最後に残った1つです。素直な問題が多く、苦戦した記憶がありません。最後になったのは難易度のせいではなく、単に守備範囲から最も遠かったので後回しになっていただけです。結果30分で済んだので、もっと早く受けてもよかったと思っています。

6. なぜ怠けられるのか

半年間で14資格を最小の勉強で通せた理由は、私の能力ではなく、Google Cloud認定試験という試験そのものの性質にあります。

試験はシナリオ問題でできている

Google Cloud認定試験、とりわけAssociate以上の設問は、そのほとんどがシナリオ問題です。ある企業がこういう状況にあり、こういう課題を抱えていて、こういう制約がある、このときどのプロダクトや構成を選ぶべきか、という形式がほとんどを占めます。Cloud Storageのストレージクラスを4つ挙げよ、といった単純な知識問題は主流ではありません。

つまり問われているのは暗記量ではなく、Googleが推奨する選び方を知っているかどうかです。

Googleの推奨には一貫性がある

そして、Googleの推奨にはプロダクト領域を跨いだ一貫した価値観があります。

劣位に置かれるもの 優位に置かれるもの
セルフマネージド マネージド
手続き的な手順 宣言的な定義
広い権限 最小権限
認証情報を配る 鍵を持たない
一括移行 段階的移行
人間による運用 自動化とガードレール

この価値観はコンピュートでもデータでもネットワークでもセキュリティでも変わりません。領域が変わっても、正解の形は同じです。

だからプロダクトを知らなくても選択肢は絞れる

この一貫性を知っていれば、個々のプロダクトの詳細を知らなくても選択肢はかなりのところまで絞れます。これが、私が半年で14資格を通せた理由の全てです。

私はProfessional Cloud Network Engineerの範囲を体系的に完全には理解していませんし、Professional Cloud Developerの範囲でコードを書いたこともありません。それでも通りました。知らない領域でも、正解の形が同じだったからです。

7. 回答のコツ

ここからは具体的な解き方です。3つに分かれますが、どれも6章の原理から出ています。

国語力で解く

設問文の中に答えの条件が全部書いてある

シナリオ問題には必ず修飾語が含まれていて、この修飾語がほぼそのまま答えの指定になっています。

設問に出てくる言葉 要求されているもの
運用上のオーバーヘッドを最小限に マネージドやサーバーレス。自分で手動運用する選択肢は消える
最も費用対効果の高い 要件を満たす中で安いもの。最安ではない
最小限の労力で、可能な限り迅速に 既製のサービスやツール。自前実装は消える
既存の何かを変更せずに 互換レイヤやプロキシ、アダプタ。作り直しは消える
ダウンタイムなしで レプリケーションや段階的切り替え。停止を伴う案は消える
コードを書かずに GUIやマネージドサービス。スクリプトもカスタム実装も消える

逆に言うと、この修飾語を読み飛ばすと知識があっても落ちます。技術的に正しい選択肢が複数並んでいて、そのうち運用負荷が最小のものだけが正解、という構造になっているからです。

複雑さを排する→GKEは選択外

最も分かりやすい適用例がこれです。

設問にシンプルに、運用負荷を下げたい、インフラ管理をしたくない、と書いてあるときにKubernetesを選ぶ理由はありません。Cloud RunやApp Engineで足りる要件に対してGKEが選択肢に並んでいたら、それは引っ掛けの側です。

GKEが正解になるのは、設問が明示的にそれを要求しているときだけです。具体的には次のような条件が書いてあるときに限ります。

  • すでにKubernetes資産がある
  • ノードレベルの細かい制御が要る
  • 特定のワークロード要件がある

書いていないなら選びません。複雑な方が高度で正解っぽい、という直感は、この試験では逆に働きます。

コーディングすることなく→GUIを選ぶ

コードを書かずに、開発リソースをかけずに、ビルド済みの、といった条件が設問にあれば、カスタム実装の選択肢は全部消えます。残るのは既製のテンプレート、マネージドなコネクタ、GUIで設定できるサービスです。

誰が困っているのかを読む

設問には必ず主語がいます。開発者なのか、運用者なのか、セキュリティ担当なのか、経営層なのか。これによって正解のレイヤーが変わります。

経営層がコストを気にしている設問にIAMの設定変更を答えてはいけませんし、セキュリティ担当が監査要件を気にしている設問にパフォーマンス改善を答えてはいけません。技術的に正しいが、その人の課題を解いていない選択肢は不正解です。この落とし方は非常に多いと感じました。

既存を壊す選択肢は常に不正解

移行系やモダナイゼーション系の設問では、ほぼ例外なく段階的移行と並行稼働が正解です。

次のような選択肢は、技術的には成立していても選ばれません。Googleの推奨が常に段階移行だからです。

  • 全部作り直す
  • 一度止めて切り替える
  • 既存システムを廃止してから新規構築する

コスト最適化は最安ではない

最も費用対効果の高い、という条件を、一番安いものを選べ、と読むと落ちます。正しくは、要件を満たす選択肢の中で最も安いもの、です。

そして最安の選択肢は、たいてい要件のどれかを満たしていません。可用性要件を落としている、RPOを満たしていない、スケールしない、といった具合です。選択肢を安い順に並べて上から見るのではなく、要件を満たさないものを先に落としてから残りを安い順に見ます。順番の問題です。

フルマネージドを選ぶ

迷ったらマネージド

選択肢の抽象度には、自前でVMに構築する、マネージドサービスを使う、サーバーレスやフルマネージドを使う、という序列があります。設問に特別な条件がなければ、後ろに行くほど正解です。これだけで正答率が上がります。

選ばない 選ぶ
自前でcronを組む Cloud Scheduler
自前で監視スクリプトを書く Cloud Monitoringのアラートポリシー
オブジェクトの削除バッチを書く Cloud Storageのライフサイクル管理
自前でバッチ基盤を組む Dataflow、Cloud Run jobs

手動運用が正解になることは絶対に無い

ここは強調しておきます。

実務では、とりあえず手で回す、が正解の場面はいくらでもあります。自動化のコストが運用コストを上回ることもありますし、頻度が低すぎて自動化する意味がないこともありますし、組織の事情で手動承認を外せないこともあります。現場にいれば日常的に遭遇します。

しかし、試験の世界にそれはほぼ存在しないと言っていいです。試験が描いているのはGoogleの理想世界で、そこでは手動運用は常に劣位ですし、手順書を整備するだけの選択肢は常に不正解です。
ここで現実を持ち込むと負けます。いや、実際この規模なら手でやった方が早いでしょ、と思った瞬間にその選択肢を選んでしまうからです。

最速で受かるための条件は、この現実と試験のズレを自覚して、試験中だけ割り切ることです。実務の判断力は、試験中はいったんしまっておきます。

絶対に正解にならない選択肢

消去法リストです。これを覚えておくだけで、知らない分野でも2択までは落とせます。

絶対に選ばない 代わりに選ぶもの
サービスアカウントキーをエクスポートして保存、配布する Workload Identity連携、権限借用、アタッチされたサービスアカウント
プロジェクトにOwnerやEditorを付与する 粒度の細かい事前定義ロール、必要ならカスタムロール
全体として基本的に禁止したいことを、ユーザーやグループに個別に設定する 可能な限り組織のポリシーを組織やフォルダに適用して継承させる
手順書を作る、人間の承認ステップを増やす 自動化、ポリシー、ガードレール
Googleの看板商品がある領域でOSSを自前構築する BigQuery、Cloud Storageなどの標準プロダクト

以下、それぞれの理由です。

サービスアカウントキーをエクスポートして保存、配布する

鍵ファイルは、作った瞬間から漏洩リスクを抱えますし、ローテーションの運用負荷を生みますし、どこにコピーされたか追跡できなくなります。Googleの価値観では、鍵を持たない、が常に上位です。

代わりに正解になるのは、外部IDや他クラウド、オンプレからの認証であればWorkload Identity連携、Podへの権限付与であればGKEのWorkload Identity、あるいはサービスアカウントの権限借用です。そもそもGoogle Cloud上のリソースであれば、アタッチされたサービスアカウントを使います。

鍵をどこに安全に保管するか、という問いが立った時点で、選択肢の設計を疑ってください。試験の正解は、鍵を作らない、です。

プロジェクトにOwnerやEditorを付与する

最小権限の原則に真正面から反します。正解の順序は、まず粒度の細かい事前定義ロールを検討し、それで足りなければカスタムロールを作る、という流れです。付与先も個人ではなくグループですし、スコープも組織やプロジェクトではなく可能な限り下位のリソースです。

とりあえず権限を広く付けて動かす、は実務では日常ですが、試験では常に誤答です。

禁止したいことを、ユーザーやグループに個別に設定する

組織全体で禁止したいことがあるとき、それをユーザーやグループ、あるいはプロジェクトに一つずつ設定していく選択肢がよく並びます。これも正解になりません。

正解は、組織のポリシー(Organization Policy)を組織やフォルダに適用して、リソース階層で自動的に継承させることです。組織のポリシーをアタッチしたリソースの子孫は、その制約を継承します。つまり一度設定すれば、すでにあるプロジェクトにも、これから作られるプロジェクトにも効きます。

個別に設定していく選択肢が不正解になる理由は2つあります。設定漏れが起きることと、新しく作られたプロジェクトに効かないことです。全プロジェクトを巡回して設定するスクリプトを書く、という選択肢も同じ理由で不正解です。

手順書を作る、人間の承認ステップを増やす

フルマネージドを選ぶ、の項と同じです。自動化、ポリシー、ガードレール、Organization Policy、IaCによる強制が常に上位になります。

運用担当者に教育を行う、チェックリストを整備する、といった選択肢は、人間に依存している時点で負けています。

Googleの看板商品がある領域で、サードパーティやOSSを自前構築する

データウェアハウスならBigQuery、オブジェクトストレージならCloud Storageというように、Googleが明確に推している領域があります。そこでOSSを自分でVM上に構築するという選択肢を選ぶ理由は、試験の中にはありません。

サードパーティが正解になるのは、マルチクラウド要件や既存契約、特定製品の指定といった形で、設問が明示的にそれを要求しているときだけです。


この5つを知っているだけで、まったく知らない分野の試験でも戦えます。4択から2つ落ちれば残りは50%ですし、そこに国語力を足せばだいたい決まります。

8. CIerに入社する

最後のコツだけは性質が違って、私の技能の話ではなく環境の話です。

受験料が無料である

私が所属するCIerでは、認定試験の受験料が会社負担です。これは失敗コストがゼロになるということで、失敗コストがゼロだと戦略そのものが変わります。

自腹で受験する場合 会社負担の場合
1回の不合格 痛い 痛くない
取る戦略 安全側に倒す 微妙なラインで受けにいける
模擬試験 解いてから申し込む 解かずに申し込める
結果 勉強量は増えるが確実 勉強量は最小化できる

自腹で受験する場合、模擬試験で安定して合格ラインを超えるまで受験を見送り、不安な領域を潰し、万全を期してから申し込むことになります。これは正しい判断です。受験料が自分の財布から出るなら、私もそうします。

しかし失敗コストがゼロなら、受かるかどうか微妙なラインで受けにいけます。そして微妙なラインで受けにいけることこそが、勉強量を最小化できる理由です。

181日で14冠、総勉強時間14時間50分という数字は、私が怠けられる人間だったから出たのではなく、怠けたリスクを取りに行ける環境に置かれていたから出たものです。この記事のタイトルは怠け者による怠け者のためのガイドですが、怠けることを可能にしていたのは個人の資質ではなく制度設計でした。

周りが当たり前に全冠を取っている

もうひとつは文化の話です。

社内では全冠を取っている人が珍しくありません。全冠がすごいことではなく普通のことになっている環境では、挑戦のハードルがそもそも低くなります。あの人もやっているから、という理由で始められるのは、想像以上に大きい力です。

資格取得を個人の意志の問題だと思っている間は、だいたい続きません。意志ではなく環境の問題として扱うと、話が変わります。

おわりに

この方法は実践的な知識を身に着けていきたい人はマネしてはいけません。

それでもこの記事を書いているのは、資格が必要になるタイミングが、だいたい自分の都合では決まらないからです。案件のアサイン要件、パートナー認定の要件、組織の目標。そういう理由で来月までに取る、が降ってくることは普通にあります。そのときに必要なのは正道の勉強法ではなく、最小の準備で通す技術です。この記事がその役に立てば十分です。

そして、資格は入り口であって出口ではありません。バッジを14枚持っている今の私がやるべきことは、15枚目を取ることではなく、通ってきた領域を実務で埋め直すことだと思っています。

ちなみに、Professional Agentic Architectの一般提供試験が2026年11月中旬に開始される予定です。全冠は取った瞬間から更新され続けるので、ゴールではなくただのスナップショットです。

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