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@mukoubuchi

[ハンズオン] watsonx によるチャットボット作成

Last updated at Posted at 2024-12-12
前書き

watsonx.ai、watsonx Assistant、Watson Discovery の 3 つを連携して、ユーザーフレンドリーなチャットボットを 1 つ 1 つ手を動かしながら順を追って開発していきます。

目次

1 | 前提知識

2 | シナリオ

2.1 | ビジネスゴール

fig.png

  • :umbrella: 現在の業務 :umbrella:
    1. 全ての問合せをコールセンターが受付
    2. 即時に回答できない問合せは専門部署にエスカレーション
    3. 質問内容の照合はしていない

チャットボットを導入することで改善が見込めます。

  • :sunny: 今後の業務 :sunny:
    1. 問合せは原則チャットボットが受付
    2. チャットボットが回答できない質問のみコールセンターまたは専門部署が回答
    3. チャットボットを活用して照合先文書を不断に改善
      • コールセンターの手間が減る分を学習データである文書 (FAQ、取説、応答履歴) の改善に充てる

2.2 | ソリューション概要

fig.png

  • レベル 1 (FAQ の応答)
    • watsonx Assistant
      • 会話形式で問合せに回答
      • 想定問答のみ
      • 属人性に依存する問題を解消
  • レベル 2 (社内文書の応答)
    • Watson Discovery + watsonx Assistant
      • 社内文書 (FAQ、取説、他) を学習
      • 幅広い問合せに対して迅速に回答
      • データのサイロ化を解消
  • レベル 3 (ユーザーフレンドリーな応答)
    • watsonx.ai + Watson Discovery + watsonx Assistant
      • 問合せの内容を解釈し回答 (:pushpin: 本ハンズオンの対象)
      • 過去の問合せから FAQ を自動生成
      • コンプライアンス遵守1

watsonx.ai を連携させて生成 AI を組み込むことで、質問意図を汲んで明確化した上で回答するユーザーフレンドリーなチャットボットを開発します。

2.3 | 3 つの製品を組合せる価値

fig.png

  • 3 つの製品を組合せることでロングテールに属する質問にも回答可能となります
  • ロングテールな質問へ対応する意義
    • さらなる入電数の低減
    • (多国籍企業の場合) 現地の言語や文化に即した応答

watsonx Assistant 単独でも定型質問には柔軟に回答でき、コールセンターの入電数低減による効率化が実現できます。ただし、ロングテールな質問には対応できません。

2.4 | アクションフロー

fig.png

  • エンドユーザー
    ↓ ① チャットで質問
  • watsonx Assistant
    ↓ ② 質問内容を自然文検索
  • Watson Discovery
    ↓ ③ パッセージを含む検索結果
  • watsonx Assistant
    ↓ ④ 検索結果と回答作成指示のプロンプト
  • watsonx.ai
    ↓ ⑤ 要約された回答文書
  • watsonx Assistant
    ↓ ⑥ 回答
  • エンドユーザー

各製品が担う役割は次の通りです。

  • watsonx Assistant
    • アクションフローを含むチャットボットの UI を作成
  • Watson Discovery
    • RAG で利用する検索対象ファイルを格納
  • watsonx.ai
    • LLM の要約機能でプロンプトの指示を満足する回答を作成

2.5 | [参考] アクションフロー (多国籍企業向け)

fig.png

  • エンドユーザー
    ↓ ① チャットで質問
  • watsonx Assistant
    ↓ ② 質問内容を自然分検索
  • Watson Discovery
    ↓ ③ パッセージを含む検索結果
  • watsonx Assistant
    ↓ ④ 検索結果と回答作成指示のプロンプト
  • watsonx.ai
    ↓ ⑤ 要約された回答文書
  • watsonx Assistant
    ↓ ⑥ 要約された回答文書と回答作成指示のプロンプト
  • watsonx.ai
    ↓ ⑦ 翻訳された回答文書
  • watsonx Assistant
    ↓ ⑧ 回答
  • エンドユーザー

⑥ と ⑦ を追加。文書生成 (翻訳) にも生成 AI を活用します。

3 | 環境構築

次を前提とします。

TechZone へログインするためには IBMid (作成無料) が必要となります。初めて TechZone を利用する方は、まず最初に IBMid を作成してください。

環境の表示言語を英語に設定しています。日本語表示されている場合、英語に設定し直す必要はありません。該当箇所を適宜お読み替えください。

3.1 | TechZone 環境予約

img.png

  • 画面右上のベントウメニュー () アイコンをクリック ➡︎「Environments」を選択

img.png

  • 検索窓(:mag:)に「Watson Discovery with Assistant, AI, and Speech」と入力 ➡︎ 画面下部に表示される環境から該当するものを見つける ➡︎「Reserve(:cloud:)」

紛らわしいですが、watsonx Discovery の方を選択しないよう注意してください。

fig.png

  • よしなに設定を進める
    • 「Purpose」は「Education」を選択

3.2 | IBM Cloud コンソールの作業

img.png

  • アカウント名が予約した TechZone 環境の Cloud Account と一致していることを確認
    • 一致していない場合 ➡︎ アカウント名の右隣にあるドロップダウンメニューアイコン () をクリック ➡︎ 一致するアカウント名を選択

Cloud Account は、TechZone の予約完了通知メールに記載されています。また、後述する TechZone の予約ページからも確認できます。

3.2.1 | IBM Cloud API Key の作成

img.png

  1. IBM Cloud の ダッシュボードを開く
  2. メニューバーの [Manage] ➡︎ [Access (IAM)] をクリック

img.png

  • 左メニューから [API Keys] ➡︎ [Create] をクリック

img.png

  • 適当な名前 (例:「AI Chatbot API」) を入力 ➡︎ [Create] をクリック

img.png

  • 作成された API キーを保管しておく

3.3 | watsonx.ai の作業

img.png

  • TechZone の予約ページに移動 ➡︎ 予約した環境を「Open this environment」をクリックして開く

img.png

  • 画面下までスクロール ➡︎「watsonx.ai URL」のリンクをクリック

img.png

  1. アカウント名が予約した TechZone 環境の Cloud Account と一致していることを確認
    • 一致していない場合 ➡︎ アカウント名の右隣にあるドロップダウンメニューアイコン () をクリック ➡︎ 通知されたアカウント名を選択
  2. 「Launch in」の右隣にあるドロップダウンメニューアイコン () をクリック ➡︎「IBM watsonx」を選択

3.3.1 | watsonx.ai の事前準備

img.png

  • 画面下までスクロール ➡︎ ダッシュボード上の要素「Projects」の [+] をクリック

img.png

  • 適当な名前 (例:「AI Chatbot」) を入力 ➡︎ [Create] をクリック
    • プロジェクトが作成される

img.png

  • [Manage] をクリック ➡︎ [Services & integrations] をクリック ➡︎ [IBM services] タブの [Associate service] をクリック

img.png

  • 「Name」の末尾が [-wml] のサービスを選択 (:heavy_check_mark:) ➡︎ [Associate] をクリック

img.png

  • [Manage] ➡︎ [General] ➡︎ [Project ID] をコピーして保管しておく

3.4 | Watson Discovery の作業

img.png

  • 画面下までスクロール ➡︎「Watson Discovery URL」のリンクをクリック

img.png

  1. Discovery の [API Key] をコピーして保管しておく
  2. アカウント名が予約した TechZone 環境の Cloud Account と一致していることを確認
    • 一致していない場合 ➡︎ アカウント名の右隣にあるドロップダウンメニューアイコン () をクリック ➡︎ 通知されたアカウント名を選択
  3. 「Launch Watson Discovery」をクリック

3.4.1 | Watson Discovery の事前準備

img.png

  • [New Project] をクリック

img.png

  • [Project name] に適当な名前 (例:「AI Chatbot」)、[Project Type] にプルダウンメニューから [Document Retrieval] をそれぞれ設定

img.png

  • 適当な Collection name (例:「IBM Careers FAQ」) を入力
  • Select Language はプルダウンメニューから「Japanese」を選択
  • Upload your data 欄に FAQ とデータの所在を教える CSV ファイルをアップロード
    1. ibm_careers_faq.csv をダウンロード
    2. Upload your data 欄にドラッグ & ドロップ
  • [Finish] をクリック

img.png

  • 左メニューから [Integrate and deploy] を選択 ➡︎ [API Information] ➡︎ Project ID をコピーして保存しておく

3.5 | watsonx Assistant の作業

img.png

画面下までスクロール ➡︎「Watson Discovery URL」のリンクをクリック

img.png

  1. アカウント名が予約した TechZone 環境の Cloud Account と一致していることを確認
    • 一致していない場合 ➡︎ アカウント名の右隣にあるドロップダウンメニューアイコン () をクリック ➡︎ 通知されたアカウント名を選択
  2. 「Launch watsonx Assistant」をクリック

3.5.1 | watsonx Assistant の初期設定

img.png

  • [Assistant name] ➡︎「AI Chatbot」と入力
  • [Assistant Language] ➡︎「Japanese」に設定

img.png

  • [Personalize your assistant] を上から順に次の通り設定する ➡︎ Next をクリック
    -「I'm not sure」
    -「N/A (I am a student)」
    -「Developer」
    -「Not sure at this time.」

img.png

  • デフォルトのまま [Next] をクリック

img.png

  • デフォルトのまま [Create] をクリック

3.5.2 | watsonx 接続用 Extension 設定

img.png

  • 左メニューから [Integration] を選択 ➡︎ 画面下にスクロール ➡︎ [Build custom extension]をクリック

img.png

  • [Next] をクリック

img.png

  • Extension name に「watsonx」と入力 ➡︎ [Next] をクリック

img.png

  • [Drag and drop file here or click to upload] をクリック ➡︎ watsonx-openapi.json をアップロード ➡︎ [Next]をクリック

img.png

  • デフォルトのまま [Finish] をクリック

img.png

  • watsonx の [Add +] をクリック

img.png

  • デフォルトのまま [Next] をクリック

img.png

  • Authentication は次の通りに設定
    • Authentication type: OAuth 2.0
    • Grant type: Custom apikey
    • Custom Secrets: 保存している IBM Cloud の API key ↩️
    • Client Authentication: Send as Body
    • Header prefix: Bearer
    • Servers: https://{region}.ml.cloud.ibm.com

img.png

  • デフォルトのまま [Finish] をクリック

3.5.3 | Watson Discovery 接続用 Extension 設定

img.png

  • 左メニューから [Integration] を選択 ➡︎ 画面下にスクロール ➡︎ [Build custom extension]をクリック

img.png

  • デフォルトのまま [Next] をクリック

img.png

  • Extension name に「Watson Discovery」と入力 ➡︎ [Next] をクリック

img.png

img.png

  • デフォルトのまま [Finish] をクリック

img.png

  • Watson Discovery の [Add +] をクリック

img.png

  • デフォルトのまま [Next] をクリック

img.png

  • Authentication を次の通りに設定 ➡︎ Next をクリック
    • Authentication type: Basic auth
    • Username: apikey
    • Password: 保存している Watson Discovery の API key ↩️
    • Servers: https://{discovery_url}

img.png

  • デフォルトのまま [Finish] をクリック

3.5.4 | アクションファイルのアップロード

img.png

  • 左メニューから [Actions] を開く ➡︎ 右上の設定アイコン (:gear:) から [Upload/Download] に移動

img.png

3.5.5 | プロジェクト ID の設定変更

img.png

  • 左メニューから [Actions] ➡︎ Variables の方の [Created by you] ➡︎ watsonxai_project_id をクリック

img.png

  • Initial value 欄に watsonx.ai ➡︎ [Projects] ➡︎ 保存している watsonx.ai のプロジェクト ID ↩️ を貼付 ➡︎ Save をクリック

img.png

  • [Created by you] を選択したままで watson_discovery_project_id をクリック

img.png

  • Initial value 欄に保存している Watson Discovey の プロジェクト ID ↩️ を貼付 ➡︎ Save をクリック

3.5.6 | アクションフローの紐付け

img.png

  • 左メニューから [Actions] ➡︎ All Items の方の [Set by assistant] ➡︎ Greet customer をクリック

img.png

  • [Conversational Steps] の「1」を選択 ➡︎ [And then] の項目 (デフォルトは「End the action」) をクリック

img.png

  • [Go to subaction] を選択

img.png

  • [Retrieval and generation] を選択 ➡︎ Apply をクリック

img.png

  • 画面右上の [Save] ボタンをクリック

3.5.7 | Home Screen の設定変更

img.png

  • 左メニューから [Environments] ➡︎ [Web chat] をクリック

img.png

  • [Home screen] ➡︎ Home screenを [off] にする ➡︎ Save and exit をクリック

4 | 動作確認

img.png

  • [Preview] ➡︎ 画面右下にチャットボットのある画面へ移動

chatbotHands-on.gif

質問意図を汲んで明確化した上で回答するユーザーフレンドリーなチャットボットが開発できました :beer:

ロングテールに属する質問にも対応しています。確認してみてください。

5 | 謝辞

本稿の執筆にあたり、tomnakam さんより一方ならぬお力添えをいただきました。

脚注

末尾の ↩ をクリックすると脚注元に飛びます。

  1. IBM は AI 倫理 を重視しています。IBM の生成 AI はユーザーフレンドリーでありつつも有害な回答をしないよう設計されています。詳細は、AI リスク教本 をご一読ください。 ↩

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