2
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

ジュニアエンジニアへ送る心意気ガイド―新人らしくやったらええねん

Last updated at Posted at 2025-08-18

TL;DR

  • 完璧より透明性。 迷ったら小さく出して、早く相談。
  • レビューは人格審査じゃない。 仕様・品質・安全性の会話だと捉える。
  • 人はみんな不器用。 きつく見える言い方も“伝達コスト最適化”の副作用なことが多い。流してOK。
  • 記録は味方。 決定・前提・試行錯誤を短く残すと、未来の自分とチームの負債が減る。
  • AIは補助輪。 使ってよいが、検証・根拠・社内ルール順守は必須。

この記事の対象

  • 実務に入り 2〜6か月くらい のジュニアエンジニア
  • 「自分だけ進みが遅い?」と感じ始めた人
  • レビューの温度差や伝え方のギャップに戸惑う人

1. メンタルモデルを整える

  • スキルは階段状に伸びる。 しばらく停滞→ある日いきなり分かる、が普通。
  • “分からない”は欠点ではなく、観測点。 どこが分からないか言語化できた時点で強い。
  • レビューは共同生産。 「攻撃」ではなく「プロダクトを守るための防波堤」。

2. コードレビューとどう向き合うか

  • 先に背景を書く。 PR冒頭に「なぜ」「どうやって」「どこまで」を明示。
  • 反論より補足。 Thanks! + 「設計Aを選んだ理由」を短く。
  • 温度差の受け止め方(例)
    • きつい言い方 → 内容抽出だけして感情は横に置く。
    • 過度に優しい → 論点が流れることもあるので決定事項を必ず書面に。
    • 無言・遅い → リマインドは事実ベースで日付つきに。

PR 冒頭テンプレ

## 背景
{課題/依頼/バグの起点}

## 目的
{何が満たされれば完了か(受け入れ条件)}

## 方針
{主要な設計判断/代替案/非採用理由を1-3行}

## 影響範囲
{機能/DB/運用/ドキュメント}

## 動作確認
{スクショ/コマンド/手順}

## 残課題(任意)
{後続PR/技術的負債}

3. 質問は“検索可能な資産”にする

Slack/Chatの質問テンプレ(貼って使える)

【現象】〜を実装中、Xの時にYが起きる
【期待】〜になるはず
【試したこと】手順/ログ/ソース箇所(リンク)
【切り分け】環境/ブランチ/再現手順
【ブロッカー度】今日中/今週まで/学習
【求める回答の粒度】方向性/コード断片/設計レビュー
  • 試したこと」が入ると、一次回答が具体化し、返答が早くなる。

4. 仕事の進め方:小さく切って早く見せる

  • タスクは “1日で出せるドラフトPR” に分割する。
  • 仕様不確実 → プロトタイプPRでキャプチャを先出し。
  • 進捗は 事実の列挙(何を着手/完了/保留)で伝える。感想は二の次。

日次スタンドアップの型

【やった】#1234 PR作成、レビュー指摘A対応
【やる】#1235 API項目追加、ユニットテスト雛形
【詰まり】ステータス遷移の承認者ルール不明(誰に聞けば良いか?)

5. 仕様・期待値のすり合わせチェック

  • 誰の課題か(ユーザー/運用/法務)
  • 完了の定義(画面/API/テスト/ログ/監視)
  • 境界条件(タイムアウト/エラー/権限/並行実行)
  • 観測方法(スクショ/メトリクス/ログキー)

6. 記録は短く、でも残す

ライトADR(Architecture Decision Record)

# ADR-yyyymmdd-短いタイトル
- 決定: {Aにする}
- 根拠: {制約/評価軸(性能/保守/実装工数)}
- 代替: {B/Cを見送った理由を一行ずつ}
- 影響: {コード/運用/コスト}

1ファイル1分でOK。決定理由が残るだけで未来の議論が速くなる。


7. “人のタイプ”との付き合い方(現場あるある)

  • 直球型(言い方きつめ)
    • 内容要約で聞き返す:「要するにXをYにすると良い、で合ってますか?」
    • DMsではなく公開スレッドで透明性を上げる。
  • 菩薩型(超ソフト)
    • 決定と次アクションをあなたが文章で確定させる。
  • 寡黙・反応遅い型
    • 期限・意図・影響範囲を添えて再通知。忙しさの波を前提に。

8. 自己防衛と健全な境界

  • スコープ管理:依頼が増えたら「今のタスクが遅れる」ことを先に共有。
  • 見積りは幅で出す:理想1d / 現実2–3d / リスクあり4d。
  • ヘルスチェック:睡眠と食事はパフォーマンスの基盤。削らない。

9. 学びの積み上げ運用(軽量で続くやつ)

  • TIL(Today I Learned):1日1行。検索しやすい場所に。
  • 週次ふりかえり(10分)
    • 維持:うまくいったこと
    • 追加:次週試すこと
    • 破棄:やめること
  • 月次棚卸し:PR本数、学んだ論点、次の“1つの弱点”だけに絞る。

TIL/週次テンプレ

### TIL
- 2025-08-18: EF CoreのInclude後のWhereはSQLに落ちる/落ちない条件の理解
### 週次
- 維持: PRドラフトを午前中に出す習慣
- 追加: 仕様の曖昧さは図で確認
- 破棄: ノートにだけ残すやり方(Confluenceへ)

10. AI補助の賢い使い方

  • 使う→検証→根拠提示がセット。生成物は必ずローカルで再現
  • 社内ルール遵守(機微情報の取り扱い、外部貼り付け禁止など)。
  • 学びに変換:良かったプロンプトと落とし穴をTILに残す。

11. 小さなUX視点を常に入れる

  • “自分がユーザーならどこで詰まる?”を1つだけ改善する。
    例:エラーメッセージに次の一手(再試行/サポート連絡)を添える。

12. 付録:貼って使えるテンプレ集

12-1. PRテンプレ(再掲・短縮版)

目的: 
設計判断: 
影響範囲: 
確認手順: 
残課題: 

12-2. Slack質問テンプレ(再掲)

現象/期待/試したこと/切り分け/ブロッカー度/欲しい回答の粒度

12-3. 日報テンプレ

# 日報 2025-08-18
- 進捗: #1234 マージ、#1235 実装70%
- 学び: {TIL}
- リスク/相談: {あれば一行}
- 明日: {具体的な作業名}

12-4. ライトADRテンプレ(再掲)

決定/根拠/代替/影響

13. よくあるシーンと“次の一手”

  • レビューで詰んだ → 指摘を論点ごとに箇条書き→優先順に再PR。
  • 仕様が曖昧 → 2〜3枚のモック or シーケンス図を投げて合意形成。
  • 期限が危ない → いまの進捗%、残タスク、依頼したい支援を同時に共有。
  • チームの空気が重い → 事実ベースのGood/Keep/Tryをショートで発火。

14. 最後に

みんな元は初心者。言い方が強い人、優しすぎて逆に伝わりにくい人、寡黙な人等いろいろいる。気にしすぎず、プロダクトとチームの前進にフォーカスしよう。
小さく早く出す・背景を書く・記録を残す・質問を資産化する。これだけで、毎週少しずつ確実に強くなる。報連相は正義。徐々に自分の最適解を見つけていけばいいから、焦らず日々を積み重ねていけば、必ずあなたは強くなる。がんばれ。
ただし、がんばりすぎるな。合わないこともある。限界が来たら逃げろ。逃げは負けじゃない。次の勝利のための回り道だ。

明日のあなたは、今日の記録に助けられる。焦らず、でも手は止めない。
実務数ヵ月目、ここからが一番伸びる時期だ。

2
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
2
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?