はじめに

SQLを実務で扱っていると、「正しく書けているのに遅い」クエリに出会うことがあります。
とくに WHERE句の書き方がパフォーマンスに与える影響は大きく、たった一行の書き方で実行時間が数十倍変わることもあるんです。

本記事では、SQL Server・PostgreSQLなど主要RDBMSで共通して効果がある「WHERE句最適化テクニック」 を、実務ベースで解説していきます。

1. 関数を使うとインデックスが死ぬ

WHERE CONVERT(VARCHAR, date_column, 112) = '20250101'

WHERE date_column = '2025-01-01'

関数をWHERE句内で使うと、インデックスが効かなくなります（スキャンになる）。
日付や文字列の整形は事前に変換しておくか、列そのままで比較しましょう。

WHERE type = 'A' OR status = 'active'

WHERE CASE 
         WHEN type = 'A' THEN 1 
         WHEN status = 'active' THEN 1 
         ELSE 0 
      END = 1

またはUNIONで分割して個別にインデックスを効かせることも可能です。

SELECT * FROM table WHERE type = 'A'
UNION
SELECT * FROM table WHERE status = 'active'

OR句はインデックスを無効化しやすく、フルスキャンを引き起こしがち。
状況に応じてリファクタリングしましょう。

WHERE column = NULL

WHERE column IS NULL

また、NOT IN と NULLの組み合わせにも注意です。

-- NGパターン（NULLが1つでも混じると全体が除外される）
WHERE id NOT IN (SELECT user_id FROM blacklist)

→ 代替：NOT EXISTSの使用を推奨

WHERE NOT EXISTS (
  SELECT 1 FROM blacklist WHERE blacklist.user_id = main.user_id
)

WHERE name LIKE '%太郎'

WHERE name LIKE '太郎%'

先頭に%があるLIKEは全件スキャン確定。
全文検索が必要なときは、全文検索エンジン（pg_trgmやFREETEXTなど）に任せちゃいましょう。

WHERE numeric_column = '123'   -- 文字列リテラルとの比較

WHERE numeric_column = 123

または、列側の型に合わせたリテラルにすること。

結論から言うと、SQLエンジンは最適化処理を行うため、条件の順番は基本的に関係ないです。
ですが、人間の目で読んだときに重い条件は後ろに書いた方がバグ発見しやすいという利点があります。
自分とチームメンバーのためにも、わかりやすいクエリ文を書くことを意識しましょう。

WHERE句の書き方ひとつで、SQLのパフォーマンスは劇的に変わります。
特に大規模テーブルを扱う業務SQLでは、こうした小さな最適化が「爆速化のカギ」 になります。

この記事が「最近SQL遅いな…」と感じている方の一助になれば幸いです！

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