はじめに
TypeScript。
それは「ただの型付きJavaScript」じゃない。
“コードを書く前に考えることを強制してくる言語” である。
JavaScriptではノリで書けたものが、TypeScriptでは止められる。
でもその「考える時間」こそが、プロジェクトを守る。
この連載『TSの鬼』では、TypeScriptを使うすべてのエンジニアに向けて、
「思想」と「設計」と「実践」までを地続きで鍛えていく。
TypeScriptは“読まれるために書く言語”
JavaScriptは“とりあえず書いて動かす”文化がある。
でもTypeScriptは、「これ何型?」「何が返ってくる?」「誰がこの値使う?」 を、書く前に考えさせる。
それってめんどくさい?
いや、実は逆。
✅ 最初に考えておくから、後で迷わなくなる。
✅ 最初に設計するから、チームで崩れにくくなる。
TypeScriptは、「読まれること」が前提の言語である。
JSとTS、どう違うの?
// JavaScript
function greet(name) {
return "Hello, " + name;
}
// TypeScript
function greet(name: string): string {
return "Hello, " + name;
}
JSでは name に数値を渡しても怒られない。
TSでは name: string と書くことで、**「この関数は文字列を受け取り、文字列を返す」**と明示されている。
つまり:
TypeScriptは“意図をコードで語る”ための言語である。
型があることで何が嬉しい?
✅ 間違いがその場でわかる(実行前に)
✅ エディタ補完が最強になる(VSCodeと親友)
✅ 読み手が「何を想定してる関数なのか」を理解しやすい
✅ 大規模開発での事故が圧倒的に減る
特にプロジェクトが3人以上になると、
「この変数って何?何入ってる?どこから来た?」
ってなる。
TSでは、それが“コード上に説明書として書かれてる” のが強すぎる。
「JSでいいじゃん」と言う人への答え
それ、正しい。
小さなスクリプトや個人開発ではJSの柔軟さも武器。
でも、
- サービスを長く育てたい
- チームで開発したい
- 保守コストを下げたい
このどれかに該当した瞬間、TypeScriptは“型の束縛”じゃなく“未来への優しさ”になる。
まとめ:TSの鬼、第1の心得
型は足かせではない。道しるべだ。
TypeScriptを使うということは、
「考えながら書く」「未来の自分と仲良くなる」っていう姿勢である。
この連載では、そんなTSの“考える力”を、書きながら鍛えていく。
次回予告:
『TSの鬼 第2回:numberとstringから“型の世界”は始まる』