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VMware Cloud Foundation (VCF) 入門②:VCF のバージョンと構成製品のバージョンの関係

Last updated at Posted at 2025-07-19

前回の「VMware Cloud Foundation (VCF) 入門①:vSphere 単体利用との違いから理解する」では、VCFの基本概念と構成要素について解説しました。

VCF を利用していくにあたって、それぞれのコンポーネントのバージョンはどれが使用されるんだっけ?とわからなくなることや質問される機会が多かったため、今回は、VCFのバージョン体系と構成製品のバージョンの関係性について詳しく見ていきます。

VCF とは(おさらい)

VMware Cloud Foundation (VCF) は、VMware の Software-Defined Data Center(SDDC)を実装するための統合プラットフォームです。VCF は複数の VMware 製品(ESXi、vCenter、NSX、vSAN 等)をまとめて管理し、一貫性のあるインフラストラクチャを提供します。

本稿執筆時点でパブリックプレービューとして展開されている Amazon Elastic VMware Service (Amazon EVS) では、現在 VCF 5.2.1 にてデプロイされ、既存の AWS アカウントの中の VPC 内で直接オンプレミスと同じ既製の VCF を実行できます。

VCF 9.0 より前の VCF のバージョンと構成製品のバージョンの関係

VCF 5.2.x までの VCF のバージョンと構成製品のバージョンの関係は以下の URL から確認が可能です。

先日リリースされた VCF 9 が出る前は、VCF のバージョンと構成製品のバージョンはバラバラで管理されておりました。例えば、VCF 5.2.0 を導入した場合、ESXi は 8.0 U3a、vCenter は 8.0 U3、NSX は 4.2.0.0.0 といった具合に、それぞれ異なるバージョン番号が割り当てられています。

以下に、VCF 5.xの全バージョンと構成製品のバージョン対応表を示します(本稿執筆時点の情報です):

VCF バージョン リリース日 SDDC Manager vCenter ESXi NSX
5.2.1.2 (Build 24690695) 2025年4月30日 5.2.1.2-24690695 8.0 U3c (8.0.3.00100-24091160) 8.0 U3b (8.0.3-24280767) 4.2.1.0.0-24304122
5.2.1.1 (Build 24397777) 2024年12月5日 5.2.1.1-24397777 8.0 U3c (8.0.3.00100-24091160) 8.0 U3b (8.0.3-24280767) 4.2.1.0.0-24304122
5.2.1.0 (Build 24307856) 2024年7月23日 5.2.1-24307856 8.0 U3c (8.0.3.00100-24091160) 8.0 U3b (8.0.3-24280767) 4.2.1.0.0-24304122
5.2.0.0 (Build 24108943) 2024年7月23日 5.2-24108943 8.0 U3a (8.0.3.00100-24091160) 8.0 U3 (8.0.3-24022510) 4.2.0.0.0-24105817
5.1.0.0 (Build 22688368) 2023年11月7日 5.1-22688368 8.0 U2a (8.0.2.00100-22617221) 8.0 U2 (8.0.2-22380479) 4.1.2.1.0-22667789
5.0.0.1 (Build 22485660) 2023年9月29日 5.0.0.1-22485660 8.0 U1a (8.0.1.00100-21815093) 8.0 U1a (8.0.1-21813344) 4.1.0.2.0-21761691
5.0.0.0 (Build 21822418) 2023年6月1日 5.0-21822418 8.0 U1a (8.0.1.00100-21815093) 8.0 U1a (8.0.1-21813344) 4.1.0.2.0-21761691

このように、VCFのバージョンと各コンポーネントのバージョンが異なるため、環境管理者はそれぞれのバージョン関係を把握する必要があります。

ちなみに Amazon EVS は

ベースとして VCF 5.2.1.0 でデプロイされていますが、vCenter だけは新しいものが使用されておりました。

image.png

VCF 9からの新しいバージョン体系

VCF 9 からは、ESXi 含む各コンポーネントは、VCF リリースと同じバージョン形式とリリースサイクルを採用し、統一された体験を提供するようになるようです。

これに関連して、以前の vSphere リリースで使用されていた「Update 2a」や「U3b」などのユーザー向けリリース別名は廃止され、VCF 形式のリリースバージョン文字列に置き換えられます。

上述の通り、VCF 9.0 では、各コンポーネントのバージョンが統一され、管理がより簡単になりました。
以下に、VCF 9.0の主要コンポーネントとそのバージョンを示します(本稿執筆時点の情報です):

VCF バージョン SDDC Manager vCenter ESXi NSX
9.0.0.0 9.0.0.0 (Build 24703748) 9.0.0.0 (Build 24755230) 9.0.0.0 (Build 24755229) 9.0.0.0 (Build 24733065)

この表からわかるように、VCF 9.0では全てのコンポーネントが「9.0.0.0」という統一されたバージョン番号を持っています。これにより、VCF 5.xで見られたような複雑なバージョン対応を把握する必要がなくなり、環境管理者の負担が大幅に軽減されます。ビルド番号は各コンポーネントで異なりますが、メジャーバージョン、マイナーバージョン、メンテナンスバージョンが統一されることで、互換性の問題や運用上の課題を事前に把握しやすくなります。

新しいバージョン形式

従来のESXiリリースタイプは以下のように構成されていました:

  • メジャーリリース
  • アップデートリリース
  • パッチリリース
  • エクスプレスパッチ
  • ホットパッチ

ESXi 7.0/8.0では以下の形式が使用されていました:

<メジャーバージョンフィールド1>.<マイナーバージョン/メジャーバージョンフィールド2>.<アップデートリリース>-<内部四半期識別子>.<パッチ識別子>.<ビルド番号>

例えば、ESXi 8.0 Update 3eのバージョン文字列は 8.0.3-0.70.24674464 となります。

vSphere 9.0 からは、ESXi は VCF と統一されたリリースタイプで提供されます:

  • メジャーリリース
  • マイナーリリース
  • メンテナンスリリース
  • エクスプレスパッチ
  • ホットパッチ

この変更の結果、ESXi のバージョニングは以下の形式を使用します:

<メジャーバージョン>.<マイナーバージョン>.<メンテナンスバージョン>.<エクスプレス/ホットパッチ識別子>.<ビルド番号>

<エクスプレス/ホットパッチ識別子> フィールドは以下のようになります:

  • メジャー、マイナー、またはメンテナンスリリースの場合は単一の数字「0」
  • エクスプレス/ホットパッチの場合はEEHH形式の4桁の非ゼロ数字
    • EEはエクスプレスパッチの桁で01から始まる
    • HHはホットパッチの桁で01から始まる
    • 例:最初のエクスプレスパッチに対する最初のホットパッチは「0101」と表示される

例えば、9.0.1ホットパッチリリースのフルバージョン文字列は新しい形式で 9.0.1.0101.12345678 となる可能性があります。
大きな変更点は、3番目のバージョンセクション(<メンテナンスバージョン>)の後のハイフンの置き換えです。また、"quarterly" ビットが削除されたため、完全なバージョン文字列のフィールドが1つ少なくなっています。

新旧バージョン形式の比較

以下の表は、新しいリリース/バージョニング方式がどのように機能するかを示す比較です:

以前のリリースタイプ 8.0の例 実際のフルバージョン 新しいリリースタイプ 9.xの同様のリリース サンプルフルバージョン
メジャーリリース 8.0 GA 8.0.0-1.0.20513097 メジャーリリース 9.0.0.0 9.0.0.0.12345678
アップデートリリース 8.0 U2 / Update 2 8.0.2-0.0.22380479 マイナーリリース 9.2.0.0 9.2.0.0.23456789
パッチリリース 8.0 U2b / P03 8.0.2-0.30.23305546 メンテナンスリリース 9.2.1.0 9.2.1.0.34567890
エクスプレスパッチリリース 8.0 U2c / EP2 8.0.2-0.40.23825572 エクスプレスパッチリリース 9.2.1.0100 9.2.1.0100.45678901
ホットパッチリリース 8.0 U2b Hot Patch 1 8.0.2-0.30.23465881 ホットパッチリリース 9.2.1.0101 9.2.1.0101.56789012

まとめ

VCF 5.x では、各コンポーネントが異なるバージョン番号を持つため、環境管理者はそれぞれの関係性を理解しておく必要があります。VCF 5.2.x までの VCF のバージョンと構成製品のバージョンの関係は こちら から確認できます。

VCF 9 からは、ESXiを含む各コンポーネントのバージョン体系が統一され、より直感的で管理しやすいものになります。これにより、VCF環境の管理者は複雑なバージョン対応を把握する必要がなくなり、運用の効率化が期待できます。

新しいバージョン体系では、メジャー、マイナー、メンテナンス、エクスプレスパッチ、ホットパッチという明確な階層構造が導入され、リリースの種類や目的がより明確になります。この変更は、VMwareの製品ポートフォリオ全体でより一貫性のあるユーザーエクスペリエンスの提供が期待されます。

関連文書

参考文献

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