1. はじめに
生成AIをBI・データ分析業務に組み込む動きが加速しており,Microsoft Fabric / Power BI のセマンティックモデルに対しても,自然言語で問い合わせてDAXクエリを生成・実行させたいという要望が増えている.一方で,企業利用においては,AIの利用料金を既存のクラウド請求に統合したい,認証情報を端末側に残したくない,といったガバナンス上の要件も無視できない.
この課題に対するアプローチとして,本記事では,Claude Desktop の推論先を Claude Platform on AWS に切り替えたうえで,Microsoft が公開しているリモート Power BI MCP サーバー(以後 Fabric MCP と呼ぶ)を Claude のマネージドエージェントから利用し,Fabric のセマンティックモデルを操作する手順について述べる.利用料はAWS請求に統合され,Fabric MCP の認証情報は Claude 側の認証情報ボールトに保管されるため,上記の要件を満たす構成になると考えられる.
本記事は2部構成である.第1部では Claude Desktop を Claude Platform on AWS に接続するための設定について,第2部では Claude Platform on AWS 上で Fabric MCP を使えるようにするエージェント設定と,それを踏まえた Fabric の操作について述べる.なお,Fabric MCP・マネージドエージェントはいずれもプレビュー段階あるいは新しい機能であり,画面や仕様は今後変更される可能性がある点に留意されたい.
2. 全体アーキテクチャ
全体の構成を次の図に示す.
ポイントは次の3点である.
- Claude Desktop のサードパーティ推論設定(接続タイプ Gateway)により,推論リクエストは Claude Platform on AWS(Anthropic Messages API 互換)へ送られる.そのため,利用料はAWS請求に統合される.
- Fabric MCP への接続は,Claude 側(認証情報ボールトに保管されたクレデンシャル)から行われる.これにより,Fabric MCP の認証情報が端末側に残らない.
- Fabric MCP の OAuth 認証には,Microsoft Entra ID へのアプリ登録(クライアントID/シークレット)と,Power BI Service への委任アクセス許可+管理者同意が必要になる.ここが本手順の最大のつまずきポイントである(第5.3節).
3. 検証環境
| 項目 | 値 |
|---|---|
| Claude Platform on AWS Workspace | リージョン us-east-1 |
| Claude Desktop | Windows 版(サードパーティ推論=Gateway 接続) |
| 使用モデル | claude-fable-5 |
| Fabric MCP | https://api.fabric.microsoft.com/v1/mcp/powerbi(プレビュー) |
前提条件は次のとおりである.
- AWSアカウントで Claude Platform on AWS のサインアップが可能であること(AWS Marketplace 課金).STS の外向き Web ID フェデレーションをアカウントで有効化しておく必要がある(無効のままだと全リクエストがエラーになる).
- Claude Desktop がインストール済みであること.
- Fabric / Power BI テナントがあり,対象セマンティックモデルへのビルド(Build)権限を持つこと.テナント設定「Users can use the Power BI Model Context Protocol server endpoint (preview)」が有効であること.
- Microsoft Entra ID にアプリを登録できる権限(または登録を依頼できるテナント管理者)があること.
4. 第1部:Claude Desktop を Claude Platform on AWS に接続する
4.1 Claude Platform on AWS のサインアップと Workspace 作成
まず,AWS マネジメントコンソールで「Claude Platform on AWS」のサービスページを開き,「Get Started」を選択する.Anthropic から「Set up your Claude organization」というメールが届くので,リンクを開いて組織情報を入力し,「Complete setup」を実行する.
セットアップ後は,AWSコンソールの「Claude Platform on AWS → アクセス」ページから Claude Console へサインインできる.役割として「デベロッパー(閲覧専用)」と「管理者(フルアクセス)」が選択でき,本検証では管理者を選択して「サインイン」を実行した.
サインイン時には,対象のAWSアカウントで Claude Console にサインインするかどうかの確認画面が表示される.
なお,AWSコンソール経由のサインアップでは,AWSアカウントに紐づく新しい Anthropic 組織が作られる(組織名は AWS-<アカウントID> 形式).これは既存の Anthropic 組織とは別物であり,既存組織のAPIキーやワークスペースは引き継がれない点に注意が必要である.組織情報は,Claude Console 左下のアカウントメニューから「組織の設定」を開くと確認できる.
「組織の設定 → ワークスペース」で Workspace を確認する.新規に作る場合は「+ワークスペースを作成」を選択する.
作成ダイアログでは名前・カラー・AWSリージョンを指定する.Workspace は単一リージョンに固定されるため,後述する Gateway のベースURLはこのリージョンに合わせることになる.作成後,Workspace の ID(wrkspc_…)とリージョンを控えておく.
4.2 API キーの発行
続いて,Claude Desktop の Gateway 設定で使用するAPIキーを発行する.AWSコンソールの「Claude Platform on AWS → アクセス」ページにある「API キー」を開く.
APIキーには,12時間で自動失効する短期キーと,有効期限を設定できる長期キーの2種類がある.初回のお試しには短期キーが推奨されているが,本検証では再設定の手間を減らすため長期キーを使用した.「長期キーを生成」を選択する.
生成ダイアログで有効期限(API key expiration,例:365 days)を指定して「Generate」を実行する.
生成されたAPIキーの値が表示されるので,控えておく.この値が後述する「ゲートウェイAPIキー」になる.表示は発行時のみで,閉じると再表示できないため注意が必要である.
ここで注意すべき点として,Amazon Bedrock のAPIキーは使えない.Claude Platform on AWS と Bedrock はエンドポイント・認証フロー・IAM名前空間が異なる別サービスである.また,長期キーを使う場合は,漏洩時のリスクを考慮して有効期限の管理と不要時の削除を徹底することが望ましい.
4.3 Claude Desktop の開発者モードを有効化
サードパーティ推論の設定は開発者モードでのみ表示される.Claude Desktop のメニューから「ヘルプ → トラブルシューティング → 開発者モードを有効にする」を選択する.
確認ダイアログで「有効にする」を選択すると,メニューバーに「開発者(開発)」メニューが追加される.
4.4 サードパーティ推論の設定(Gateway 接続)
「開発(開発者)→ サードパーティ推論を設定」を開く(Windows 版では左上のメニューから辿る).
「接続」で接続タイプに Gateway を選択する.Claude Desktop の接続タイプには Gateway / Bedrock / Vertex / Foundry の4つがあるが,Claude Platform on AWS は Anthropic Messages API(/v1/messages)をそのまま提供するため,Gateway を使う.ここでいう Gateway は AWS API Gateway のことではなく,Claude Desktop の設定における接続タイプの名称である.
ここで設定する値のうち,anthropic-workspace-id(Workspace ID)とゲートウェイURLのリージョンは,4.1 のワークスペース一覧画面から取得できる.
設定値は次のとおりである.
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| 認証情報の種類 | 静的APIキー |
| ゲートウェイ ベースURL | https://aws-external-anthropic.[REGION].api.aws |
| ゲートウェイAPIキー | 4.2 で発行したキー |
| ゲートウェイ認証スキーム | bearer(既定) |
| カスタム推論ヘッダー | anthropic-workspace-id = wrkspc_…(必須) |
ベースURLのリージョン部分は Workspace のリージョンに合わせる.カスタム推論ヘッダーは「+追加」でヘッダー名 anthropic-workspace-id と値(wrkspc_…)を登録する.入力が終わったら「接続をテスト」を実行する.成功すると「推論 — 1トークン補完:2006 ms・via static key」のような緑の表示が出る.
4.5 モデル設定・適用・再起動
「モデル」セクションでは,モデル検出をONにすると起動時に /v1/models からモデルピッカーへ自動入力される.手動で設定する場合はモデルリストに「+追加」する(先頭のエントリが既定モデルになる).
モデルリストの各エントリは展開すると,モデルIDと表示名を個別に設定できる.
設定すべきモデルIDは,Claude Console のダッシュボードでモデルカードを開くと確認できる(例:Fable 5 → claude-fable-5).
「変更を保存」→「変更を適用」の後,アプリを完全終了(Windows 版はメニューの「ファイル → 終了」)して再起動する.設定はアプリ起動時に1回だけ読み込まれるため,変更後の再起動は必須である.初回起動時にサードパーティ推論モードの選択画面が表示されたら,ローカル設定側を選択する.
設定内容は通常の Claude Desktop 設定とは別のディレクトリ(macOS の場合 ~/Library/Application Support/Claude-3p/configLibrary/)に,次のようなJSONとして保存される.
{
"inferenceProvider": "gateway",
"inferenceGatewayBaseUrl": "https://aws-external-anthropic.<REGION>.api.aws",
"inferenceGatewayAuthScheme": "bearer",
"inferenceGatewayApiKey": "xxxxx",
"inferenceGatewayHeaders": {"anthropic-workspace-id": "wrkspc_xxxxx"},
"inferenceModelList": ["claude-sonnet-4-6", "claude-opus-4-7"]
}
4.6 動作確認
モデルピッカーで設定したモデルを選択し,チャットを送信して応答が返ることを確認する.Cowork(Claude Desktop のエージェント機能)も Gateway 経由で動作し,画面左下に「Gateway」と表示される.検証では,ファイル読み取り・要約,Web検索ツールの呼び出し,スキル(pptx等)の利用がいずれも動作した.
4.7 レート制限と認証方式に関する補足
Claude Platform on AWS は現時点で Tier 1 固定(自動昇格なし)であり,検証時のレスポンスヘッダからは ITPM 30,000 / OTPM 8,000 / RPM 50 のレート制限が観測されている.Cowork でWeb検索+ページ要約のような重めのタスクを実行すると ITPM 制限に到達しうるため,ヘビーユースには制約がある.引き上げが必要な場合は Anthropic 担当への個別相談になる.
また,固定のAPIキーを設定ファイルに保存したくない場合は,認証情報ヘルパー(Credential helper script)で短期キーを動的に取得する構成も選択できる.TTL を短期キーの有効期限に合わせて 43,200 秒(12時間)に設定すると,キー有効期間中の再呼び出しが発生せず扱いやすい.
5. 第2部:Fabric MCP を使えるようにするエージェント設定
5.1 前提:Fabric テナント設定の有効化
リモート Power BI MCP サーバーを利用するには,Power BI 管理者が Fabric 管理ポータルのテナント設定で「Users can use the Power BI Model Context Protocol server endpoint (preview)」を有効化しておく必要がある.また,利用ユーザーが対象セマンティックモデルへのビルド権限を持つことも前提となる.
なお,リモートサーバーは既存モデルの照会(スキーマ取得・DAX生成/実行)用であり,モデルの編集にはローカルの Power BI Modeling MCP を使う棲み分けである.サービスプリンシパル認証では行レベルセキュリティ(RLS)が適用されない点にも注意が必要である.
5.2 認証情報ボールトの作成と MCP OAuth クレデンシャルの追加
Claude Console の「マネージドエージェント → 認証情報ボールト」を開き,「+ボールトを作成する」を選択する(本検証では fabric という名前にした).
作成ダイアログでは名前を入力して「続ける」を選択する.画面の注意書きにあるとおり,ボールトはワークスペース全体で共有され,追加された認証情報はAPIキーにアクセスできるすべてのユーザーが使用できる.
続いて「+クレデンシャルを追加」を選択し,タイプに MCP OAuth を選ぶ.MCPサーバー欄では Anthropic の MCP レジストリに登録済みのサーバー(GitHub 等)をプリセットから選べるほか,カスタムURLを直接入力できる.Fabric MCP はレジストリに無いため,カスタムサーバーとして https://api.fabric.microsoft.com/v1/mcp/powerbi を入力する.
共有に関する確認にチェックを入れて「接続」を実行すると,ブラウザで Microsoft のサインイン画面が開く.
ここで補足すると,ボールトはワークスペース単位で共有される.同じ Workspace のAPIキー保持者は誰でもこのクレデンシャルを使ってセッションを作成できるため,運用時はボールトの共有範囲を意識する必要がある.また,Microsoft 365 MCP のようにプリセットとして選択できるサーバーは,OAuth 同意のみでそのまま接続できた.
5.3 つまずきポイント:そのままでは AADSTS700016 エラー
「接続」後のサインインで組織アカウントを選択すると,次のエラーが表示された.
AADSTS700016: Application with identifier '…' was not found in the directory '…'. This can happen if the application has not been installed by the administrator of the tenant or consented to by any user in the tenant.
原因は,Microsoft Entra ID が動的クライアント登録に対応していないため,Claude が提示するクライアントIDが自テナントに存在しないことである.VS Code や GitHub Copilot CLI などは Microsoft の事前登録アプリを持つためそのまま接続できるが,Claude のような外部 MCP クライアントでは自テナントへのアプリ登録が必要になる.これは Microsoft Learn の外部クライアント向けドキュメントに記載されている挙動であり,対処としては,自テナントにアプリを登録し(第5.4節),そのクライアントID/シークレットをクレデンシャルの「OAuthクライアント認証情報」に設定する(第5.7節).
5.4 Microsoft Entra ID にアプリを登録
Azure Portal(または Entra 管理センター)の「Microsoft Entra ID → アプリの登録」を開き,「+新規登録」を選択する.
登録フォームでは次のとおり設定する.
- 名前:Claude-Fabric-MCP(任意の表示名)
- サポートされているアカウントの種類:この組織ディレクトリのみに含まれるアカウント(シングルテナント)
- リダイレクトURI:プラットフォームに Web を選択し,https://claude.ai/api/mcp/auth_callback を入力
リダイレクトURIが完全一致しないと OAuth が失敗する(provider_error)ため,正確に登録することが重要である.登録後,「概要」ページでアプリケーション(クライアント)ID をコピーして控える.
続いて「証明書とシークレット → +新しいクライアントシークレット」でシークレットを作成し,「値」列の文字列を控える(表示は作成時のみである).クライアントシークレットには有効期限があるため,期限管理と失効時の再発行手順を決めておく必要がある.
5.5 API アクセス許可の追加
登録したアプリの「API のアクセス許可」を開き,「+アクセス許可の追加」を選択する.
「所属する組織で使用している API」タブで「power」を検索して「Power BI Service」を選択する(Microsoft API の一覧からも選択できる).
Power BI Service(リソースURI:https://analysis.windows.net/powerbi/api)では「委任されたアクセス許可」を選択する.リモート Power BI MCP はサインインユーザーの代理で Power BI REST API を呼び出すため,アプリケーション許可ではなく委任アクセス許可を使う.
本検証で付与した委任アクセス許可は次のとおりである.最小権限の原則から,読み取り検証だけであれば Read 系のみで開始し,必要になったら追加するのが望ましいと考えられる.
| 委任アクセス許可 | 用途 |
|---|---|
| Workspace.Read.All | ワークスペース一覧の取得 |
| Item.Read.All | Fabric アイテムの読み取り |
| Dataset.Read.All | セマンティックモデルの参照・DAX実行 |
| Dataset.ReadWrite.All | モデルへの書き込みを伴う操作(必要な場合) |
5.6 管理者の同意を付与
「API のアクセス許可」画面で「✓ 既定のディレクトリに管理者の同意を与えます」を選択し,確認ダイアログで「はい」を選ぶ.各アクセス許可の「状態」が緑のチェックになれば完了である.
なお,本検証のアプリには最終的に次のアクセス許可が構成されていた.Fabric API Access(fabric・委任)と Microsoft Graph User.Read は OAuth フローの過程で構成されたものであり,Power Platform API は別検証用である.
| API | アクセス許可 |
|---|---|
| Fabric API Access | fabric(委任) |
| Microsoft Graph | User.Read(委任) |
| Power BI Service | Dataset.Read.All / Dataset.ReadWrite.All / Item.Read.All / Workspace.Read.All(委任) |
| Power Platform API | CopilotStudio.Copilots.Invoke(任意・別検証用) |
5.7 OAuth クライアント認証情報の設定と再認証
Claude Console の認証情報ボールトに戻り,再度「+クレデンシャルを追加」(タイプ=MCP OAuth,MCPサーバー=Fabric MCP のURL)を開く.なお,タイプには MCP OAuth のほかに Bearer トークンと環境変数も選択できるが,Fabric MCP は OAuth 2.0 を使うため MCP OAuth を選ぶ.今回は「OAuthクライアント認証情報(任意)」を展開し,第5.4節で控えたクライアントIDとクライアントシークレットを入力する.
入力後,共有確認にチェックを入れて「接続」を実行する.
ブラウザが開いたら,Fabric にアクセスできる組織アカウント(アプリを登録したテナントのアカウント)を選択してサインインし,要求されたアクセス許可に同意する.
認証が成功すると,ボールトに api.fabric.microsoft.com のクレデンシャルが「有効」ステータスで登録される.
なお,シークレット等の秘密値は書き込み専用であり,以後APIレスポンスに返らない(Claude 側でエグレス時に実値へ置換される).アクセストークンの有効期限が切れても,リフレッシュ情報があれば Claude 側で自動更新される.
5.8 エージェントの作成(クイックスタート)
Claude Console の「マネージドエージェント → クイックスタート」を開き,作りたいエージェントの要件を自然言語で入力する.本検証では次のプロンプトを入力した.
Microsoft Fabricのセマンティックモデルを操作する検証用エージェント。
MCPサーバー https://api.fabric.microsoft.com/v1/mcp/powerbi に接続し、
ワークスペース一覧の取得、セマンティックモデルのメタデータ(テーブル・カラム・
リレーションシップ)取得、DAXクエリ実行を行う。認証は認証情報ボールト
「fabric」のMCPクレデンシャルを使用する。
右側のプレビューにYAMLのエージェント定義が生成されるので,内容を確認して「このエージェントを作成」を選択する(POST /v1/agents が実行される).
本検証で使用したエージェント定義の全文は次のとおりである.
name: Fabric セマンティックモデル検証エージェント
description: Microsoft Fabricのセマンティックモデルを操作・検証するエージェント。
ワークスペース一覧取得、メタデータ(テーブル・カラム・リレーションシップ)取得、
DAXクエリ実行を行う。
model:
id: claude-fable-5
effort: low
system: あなたはMicrosoft Fabricのセマンティックモデルを検証するための専門
エージェントです。接続されたFabric MCPサーバーのツールを使って、(1) ワーク
スペース一覧の取得、(2) セマンティックモデルのメタデータ(テーブル・カラム・
リレーションシップ)の取得、(3) DAXクエリの実行を行います。対象のワークスペース
やセマンティックモデルの名前が指定されていない場合は、まずツールで一覧を取得し、
最も適切と思われるものを選んで、どれを選んだかをユーザーに明示してください。
DAXクエリを実行する前には、対象モデルのメタデータを確認し、クエリの意図と対象
テーブル・カラムを簡潔に説明してください。エラーが発生した場合はエラー内容を
そのまま報告し、推測で結果を作らないこと。すべての回答は簡潔・正確に、日本語で
行ってください。
mcp_servers:
- type: url
name: fabric-powerbi
url: https://api.fabric.microsoft.com/v1/mcp/powerbi
tools:
- type: agent_toolset_20260401
- type: mcp_toolset
mcp_server_name: fabric-powerbi
default_config:
permission_policy:
type: always_allow
ここで重要なのは,mcp_servers の name と tools 内 mcp_toolset の mcp_server_name を一致させることと,定義自体には認証情報を一切含めないことである.認証はセッション実行時にボールトから注入される.この分離により,エージェント定義を再利用可能に保ったまま,シークレットを排除できる.なお,Managed Agents API を直接利用する場合はベータヘッダー managed-agents-2026-04-01 が必要である(SDKは自動付与する).
5.9 環境を設定してセッションをテスト(DAX 実行確認)
クイックスタートの手順に沿って「環境を設定する」に進み,環境(本検証では fabric-semantic-model-env)にボールト fabric を紐付ける.これにより,セッション実行時に MCP 認証が注入される.続いて「セッションを開始」(POST /v1/sessions)を実行し,右側のテスト実行パネルからメッセージを送信する.本検証では次のプロンプトを送信した.
利用可能なFabricワークスペースの一覧を取得して、それぞれのセマンティック
モデルを教えてください。
エージェントは Fabric MCP サーバーの GetSemanticModelSchema や ExecuteQuery といったツールを使ってワークスペース一覧の取得・スキーマ取得・DAX実行を行い,約12秒で応答を返した.また,Fabric のモデルURL(app.fabric.microsoft.com/groups/…)を貼り付けて特定モデルを指定した問い合わせも可能であった.テストセッションには予算(例:$5.00)が設定でき,超過時に自動停止する.
5.10 エージェント設定の確認・編集
作成したエージェントは「マネージドエージェント → エージェント」から開ける.名前・モデル・説明・システムプロンプトの確認・編集(バージョン管理あり),サブエージェントやスキルの追加,セッションの開始がこの画面から行える.エージェントID(agent_…)と環境ID(env_…)は次節のAPI統合で使用するため控えておく.
設定画面を下にスクロールすると,エージェントが呼び出せるツールの構成も確認できる.組み込みツール(agent_toolset:bash / read / write / edit / glob / grep / web_fetch / web_search の8種)と,MCPサーバーとして Fabric PowerBI(api.fabric.microsoft.com/v1/mcp/powerbi)が登録されており,ツールごとに許可ポリシー(常に許可等)を制御できる.
5.11 API からの統合
クイックスタートの最終ステップ「統合」では,アプリケーションへの組み込み用サンプルコードが提示される.流れとしては,/v1/sessions でエージェントIDと環境を指定してセッションを作成し,GET /v1/sessions/{id}/events/stream でイベントをストリーミングしながら,POST /v1/sessions/{id}/events でユーザーメッセージを送信する.session.status_idle を検知して次のメッセージを送るという連携になる.
from anthropic import AnthropicAWS
client = AnthropicAWS()
session = client.beta.sessions.create(
agent={"type": "agent", "id": "agent_xxxxxxxxxxxx"},
environment_id="env_xxxxxxxxxxxx",
)
with client.beta.sessions.events.stream(
session_id=session.id,
) as stream:
...
5.12 Claude Desktop から Fabric を操作する
第1部で設定した Claude Desktop(Gateway 接続)から Fabric を操作するには,サードパーティ推論設定の「コネクタ」(Connectors & extensions)で Fabric MCP(https://api.fabric.microsoft.com/v1/mcp/powerbi)をコネクタ/マネージドMCPサーバーとして追加し,「この接続をテスト」→「ローカルに適用」→再起動の手順を踏む.OAuthクライアントIDの入力欄がある場合は,第5.4節で登録したアプリのクライアントIDを使用する.コネクタの追加UIや認証方法はバージョンにより異なるため,画面の案内に従うのがよい[要確認:検証時の Desktop コネクタ設定画面].
設定後は,チャット/Cowork から次のようなプロンプトで Fabric への問い合わせを実行できる.ツール呼び出しの許可を求められたら,内容を確認して許可する.
利用可能なFabricワークスペースの一覧を取得して、それぞれのセマンティック
モデルを教えてください。売上テーブルの月別合計をDAXで集計してください。
また,Desktop のコネクタ機能を使わず,第5.11節のエージェント/セッションAPI経由でアプリケーションから利用する方法も選択できる.
6. つまずきポイントまとめ
本検証で遭遇した,あるいは遭遇しうるエラーと対処を整理する.
| 症状 | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| AADSTS700016(アプリが見つからない) | Entra が動的クライアント登録に未対応で,クライアントアプリが自テナントに未登録/別テナントにサインイン | アプリ登録を実施し,クライアントID/シークレットをクレデンシャルに設定.アプリを登録したテナントのアカウントでサインインする |
| 認証に失敗しました(ofid_… / provider_error) | リダイレクトURI不一致,API許可不足,管理者同意なし | アプリの「認証」のリダイレクトURI(Web:https://claude.ai/api/mcp/auth_callback),APIアクセス許可,管理者同意を確認して再試行する |
| MCP接続はできるがツールがエラー | Fabric テナント設定が無効/モデルへのビルド権限なし | Power BI MCP エンドポイント(プレビュー)設定の有効化とビルド権限付与を管理者に依頼する |
| Gateway の接続テスト失敗 | ベースURLのリージョンと Workspace の不一致,APIキー失効,workspace-id 誤り | URLのリージョンを Workspace に合わせる.短期キー(12時間)は再発行する |
| 429(レート制限)が多発 | Claude Platform on AWS は Tier 1 固定(ITPM 30,000 / OTPM 8,000 / RPM 50 目安) | 利用を分散するか,Anthropic 担当にレート引き上げを相談する |
| 設定変更が反映されない | サードパーティ推論設定は起動時に1回だけ読み込まれる | 「変更を適用」後にアプリを完全終了して再起動する |
7. まとめ
本記事では,Claude Desktop から Claude Platform on AWS+Fabric MCP 経由で Microsoft Fabric を操作するための手順について,第1部(Desktop の Gateway 接続設定)と第2部(Fabric MCP を使うエージェント設定)に分けて述べた.
第1部については,開発者モードを有効化し,サードパーティ推論設定にベースURL・APIキー・anthropic-workspace-id を設定するだけで,チャット・Cowork とも問題なく動作した.Tier 1 のレート制限があるため,PoC や少人数での評価用途に向く構成といえる.
第2部については,Fabric MCP の OAuth 認証で AADSTS700016 エラーに遭遇したが,Entra へのアプリ登録+Power BI Service の委任アクセス許可+管理者同意+クライアントID/シークレットの設定により解決できた.エージェント定義に認証情報を含めず,ボールトからセッション実行時に注入するというマネージドエージェントの設計は,シークレット管理の観点から実用的であると考えられる.テストセッションではワークスペース一覧取得からDAX実行までが約12秒で完了しており,セマンティックモデルの検証用途には十分な応答性能と思われる.
ただし,本記事の内容は特定のテナント・限られた検証に基づいており,Fabric MCP・マネージドエージェントはいずれもプレビュー/新機能であるため,画面や仕様の変更に対しては最新の公式ドキュメントでの確認が必要である.また,ボールトがワークスペース単位で共有される点や,サービスプリンシパル認証でRLSが適用されない点など,本番利用に向けてはアクセス制御の設計を別途検討することが望ましい.
8. 参考リンク
- Set up your account - Claude Platform on AWS(AWS公式):https://docs.aws.amazon.com/claude-platform/latest/userguide/setup.html
- Claude Platform on AWS - Claude Platform Docs:https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/claude-platform-on-aws
- Authenticate with vaults - Claude Platform Docs:https://platform.claude.com/docs/en/managed-agents/vaults
- MCP connector - Claude Platform Docs:https://platform.claude.com/docs/en/managed-agents/mcp-connector
- Get started with the remote Power BI MCP server - Microsoft Learn:https://learn.microsoft.com/en-us/power-bi/developer/mcp/remote-mcp-server-get-started
- Register the remote Power BI MCP server with external MCP clients - Microsoft Learn:https://learn.microsoft.com/en-us/power-bi/developer/mcp/remote-mcp-server-external-clients
- Claude Desktop を Claude Platform on AWS 経由で使ってみた - DevelopersIO:https://dev.classmethod.jp/articles/claude-desktop-on-claude-platform-on-aws/
- Claude Desktop (Cowork) を Amazon Bedrock 経由で利用してみた - DevelopersIO:https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-bedrock-claude-desktop-cowork-3p-inference/







































