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DockerでLangchainDashアプリを快適運用!

Last updated at Posted at 2023-10-28

はじめに

Dashを用いたWebアプリケーション開発は非常に便利ですが、そのアプリケーションを他の環境で簡単に実行できるようにするにはいくつかの手順が必要です。今回は、Dockerを使用してDashアプリケーションを容易にデプロイする方法について解説します。この方法を用いれば、開発環境を問わず、安全かつ効率的にDashアプリケーションを実行することが可能です。

前提

‐ PythonとDashで作成された基本的なWebアプリケーション(ローカルでpython app.pyで実行可能)があること。
‐ Dockerがインストールされていること。
‐ 基本的なDockerとDashの知識があること。

ステップ 1: プロジェクトの準備

app.py: Dashアプリケーションの主要なPythonファイル
requirements.txt: 依存関係がリストされたテキストファイル

ステップ 2: Dockerfileの作成

プロジェクトのルートディレクトリにDockerfileを作成し、以下の内容を追加します。

# 基本となるイメージを指定
FROM python:3.9

# 作業ディレクトリの設定
WORKDIR /app

# 依存関係のコピーとインストール
COPY requirements.txt .
RUN pip install --no-cache-dir -r requirements.txt

# アプリケーションのコピー
COPY . .

# アプリケーションの起動
CMD ["python", "app.py"]

Dockerfile解説

FROM

FROM python:3.9という記述は、Dockerfileの中で非常に基本的な部分ですが、重要な役割を果たしています。この行は、Dockerイメージのベースとなるイメージを指定します。具体的には、Python 3.9がプリインストールされたイメージを使用するという意味です。

詳細
  • FROM: このキーワードは、ベースとなるイメージを指定するために使用されます。

  • python:3.9: この部分は、使用する具体的なイメージとそのタグ(バージョン)を指定します。ここでは、Python 3.9がインストールされたイメージを使用します。

このベースイメージにはPython 3.9とその標準ライブラリ、およびpip(Pythonのパッケージマネージャ)が含まれています。これにより、後続のRUN pip installのようなコマンドで、追加のPythonパッケージを容易にインストールすることができます。

ベースイメージは、Docker Hubや他のイメージレポジトリからダウンロードされます。python:3.9と指定した場合、公式のPythonイメージから3.9のタグを持つイメージがダウンロードされます。

この一行によって、それ以降のRUN, COPY, CMDなどの命令が実行される環境が整えられます。それらの命令によって、ベースイメージにアプリケーションのコードや依存関係、設定などが追加され、最終的なアプリケーションのDockerイメージが完成します。

WORKDIR

WORKDIR /appというDockerfileの命令は、Dockerイメージ内での作業ディレクトリを設定します。この命令が指定された後の各命令(RUN, COPY, CMD など)は、このディレクトリが現在のディレクトリとして扱われます。

詳細
  • WORKDIR: このキーワードは、Dockerイメージ内の作業ディレクトリを設定するために使用されます。

  • /app: これは設定するディレクトリのパスです。この例では、ルート(/)ディレクトリにappという名前のディレクトリを作成(または使用)します。

効果と用途
  • 整理と構造: 作業ディレクトリを設定することで、アプリケーションのファイルと依存関係を一箇所にまとめ、管理が容易になります。

  • 後続の命令の短縮: WORKDIRが設定されている場合、後続のCOPYやRUNなどの命令でフルパスを指定する必要がなくなります。例えば、COPY . .とすると、ビルドコンテキストの現在のディレクトリ(通常はDockerfileが存在するディレクトリ)から、イメージ内の/appディレクトリにファイルがコピーされます。

  • 実行時のデフォルトディレクトリ: コンテナが起動されたときに、このディレクトリがデフォルトの作業ディレクトリとなります。これは、アプリケーションがこのディレクトリ内で実行されることを意味します。

このように、WORKDIRはDockerイメージの構造と管理を効率的にするための重要な命令です。

COPYとRUN

COPY requirements.txt .RUN pip install --no-cache-dir -r requirements.txtの2つの命令は、Pythonアプリケーションの依存関係をDockerイメージにインストールし、COPY . .は、ビルドコンテキスト(通常はDockerfileが存在するディレクトリ)の全てのファイルとディレクトリを、Dockerイメージの現在の作業ディレクトリ(WORKDIRで設定されたディレクトリ)にコピーする操作を行います。

詳細な解説

COPY requirements.txt .

  • COPY: この命令は、ビルドコンテキスト(通常はDockerfileが存在するディレクトリ)からDockerイメージにファイルやディレクトリをコピーするために使用されます。

  • requirements.txt: このファイルは、Pythonアプリケーションが依存するパッケージがリストされています。

  • .: これは目的地のディレクトリを指定します。この場合、前に設定したWORKDIR /appになるため、requirements.txtは/app/requirements.txtとしてイメージ内にコピーされます。

RUN pip install --no-cache-dir -r requirements.txt

  • RUN: この命令は、イメージ内でコマンドを実行するために使用されます。生成された新しいレイヤーがイメージに追加されます。

  • pip install: Pythonのパッケージマネージャpipを使ってパッケージをインストールします。

  • --no-cache-dir: このオプションは、pipがキャッシュを使用しないようにするためです。これにより、イメージのサイズが小さくなります。

  • -r requirements.txt: requirements.txtファイルから依存関係を読み取り、それに基づいてパッケージをインストールします。

COPY . .

  • .(ソースdir) .(目的地dir): 最初の.は、ソースディレクトリを指定します。この場合、Dockerfileが存在するディレクトリ(およびその下の全てのファイルとディレクトリ)が指定されます。 二つ目の.は、目的地ディレクトリを指定します。この場合、WORKDIRで設定されたDockerイメージ内の作業ディレクトリが指定されます。

効果と用途

  • 依存関係の管理: これらの命令により、アプリケーションが必要とするすべてのPythonパッケージがDockerイメージ内にインストールされます。

  • 再現性: requirements.txtファイルを使用することで、どの環境でも同じ依存関係がインストールされるため、アプリケーションの動作が一貫します。

  • イメージの最適化: --no-cache-dirオプションにより、不必要なキャッシュデータがイメージに保存されないため、イメージのサイズが削減されます。

  • 一括コピー: この命令により、アプリケーションのコード、設定ファイル、スクリプト、リソース等、必要な全てのファイルとディレクトリがDockerイメージにコピーされます。

  • 効率と簡潔性: 一つの命令で全てをコピーするため、Dockerfileが簡潔に保たれ、ビルドプロセスも効率的になります。

  • 作業ディレクトリの利用: WORKDIRが前もって設定されている場合、そのディレクトリ内に全てがコピーされます。これにより、アプリケーションのファイル構造が整理され、管理が容易になります。

注意点としては、この方法では無関係なファイルまでコピーされてしまう可能性があるため、.dockerignoreファイルを用いて、コピーから除外するファイルやディレクトリを指定することが推奨されます。

参考

.dockerignoreファイルは、Dockerイメージをビルドする際に無視されるべきファイルやディレクトリを指定するためのファイルです。このファイルをプロジェクトのルートディレクトリ(Dockerfileと同じディレクトリ)に配置することで、不要なファイルをDockerイメージにコピーしないようにできます。

具体例
プロジェクトディレクトリが以下のような構造になっているとします。

.
├── Dockerfile
├── app.py
├── requirements.txt
├── test/
├── data/
└── config/

このとき、test/ディレクトリとdata/ディレクトリをDockerイメージに含めたくない場合、.dockerignoreファイルを作成して以下のように記述します。

# .dockerignore
test/
data/

これで、docker buildコマンドを実行するときに、test/とdata/ディレクトリは無視されます。これにより、イメージのサイズを削減し、ビルド時間も短縮できます。

CMD

CMD ["python", "app.py"]というDockerfileの命令は、Dockerコンテナが起動した際に実行されるデフォルトのコマンドを指定します。この場合、コンテナが起動するとpython app.pyが自動的に実行されます。

詳細な解説

  • CMD: この命令は、Dockerコンテナのデフォルトの実行コマンドを設定するために使用されます。

  • ["python", "app.py"]: この部分は、実際にコンテナ内で実行されるコマンドとその引数を配列として指定します。この例では、pythonがコマンド(プログラム)であり、app.pyがその引数(ここではPythonスクリプトの名前)です。

効果と用途

  • 自動起動: コンテナが起動したときに、python app.pyが自動的に実行されるため、手動でコマンドを入力する必要がありません。

  • 明示性: CMDを用いることで、このイメージがどのようにして使われるべきか(どのコマンドで実行されるべきか)が明示されます。これは、他の開発者やユーザーにとっても有用な情報です。

  • 柔軟性: CMDで設定されたコマンドはデフォルトであり、コンテナ起動時に手動で別のコマンドを指定することも可能です。

注意点として、CMDはDockerfile内で一度しか使用できません。複数回CMDを記述した場合、最後のCMDだけが有効になります。

ステップ 3: Dockerイメージのビルド

以下のコマンドを実行してDockerイメージをビルドします。

docker build -t my_dash_app .

docker build -t my_dash_app . コマンドは、現在のディレクトリ(. が指す場所)にある Dockerfile を用いて、Dockerイメージをビルドするものです。このコマンドが成功すると、新しいイメージが作成され、それに my_dash_app という名前(タグ)が付けられます。

詳細な解説

  • docker build: この部分は、DockerイメージをビルドするためのDockerコマンドです。

  • -t my_dash_app: -t オプションは "tag" の略で、ビルドされたイメージに名前を付けるために使用されます。ここでは my_dash_app という名前が指定されています。

効果と用途

  • イメージの作成: このコマンドを実行することで、指定された Dockerfile と現在のディレクトリの内容に基づいて新しいDockerイメージが生成されます。

  • タグ付け: -t オプションにより、生成されたイメージには my_dash_app という名前が付けられます。これによって、後で容易にこのイメージを参照、使用、または管理することができます。

  • 再現性と移植性: このコマンドによって生成されたイメージは、同じ Dockerfile とビルドコンテキストが与えられれば、どのマシンでも同じように再生成することができます。

ステップ 4: ローカルでのテスト

以下のコマンドでDockerコンテナをローカルで実行します。

docker run -p 8050:8050 my_dash_app

詳細な解説

docker run: この部分は、新しいDockerコンテナを起動するための基本的なDockerコマンドです。

-p 8050:8050: このオプションは、ホストマシン(実行しているコンピュータ)とDockerコンテナのネットワークポートをマッピングするためのものです。-p オプションの後に続く第一の 8050 はホストマシンのポート番号、第二の 8050 はDockerコンテナ内のポート番号を指定しています。

my_dash_app: これは、実行するDockerイメージの名前です。docker build -t my_dash_app . コマンドでビルドした後にこの名前が付けられています。

効果と用途

‐ コンテナの起動: docker run コマンドにより、my_dash_app イメージから新しいコンテナが生成され、起動します。

‐ ポートのマッピング: -p 8050:8050 オプションにより、コンテナ内で動作するDashアプリケーションが使用する8050番ポートが、ホストマシンの8050番ポートにマッピングされます。これにより、ホストマシンからコンテナ内のアプリケーションにアクセスできるようになります。

‐ アプリケーションのアクセス: 上記の設定により、ホストマシンのウェブブラウザから http://127.0.0.1:8050 というURLでDashアプリケーションにアクセスできます。

実行したがアクセスできないとき

この変更を行った後、Dockerイメージを再ビルドし、再度コンテナを実行してみてください。

if __name__ == '__main__':
    app.run_server(debug=True, host='0.0.0.0')

まとめ

Dockerを使用することで、Dashアプリケーションを簡単に、そして柔軟にデプロイすることができます。この記事を通じて、Dockerfileの基本的な構成から、実際にDockerコンテナを起動するまでの手順を学びました。これで、どの環境でもDashアプリケーションを確実に動作させることができるようになりました。

今後

クラウドにデプロイ

クラウドデプロイ: 今回はローカル環境でのDockerコンテナの起動に焦点を当てましたが、次のステップとしてAWSやGCPなどのクラウドサービスへのデプロイが考えられます。

セキュリティ設定

Dashアプリケーションのセキュリティを高めるための追加設定や、SSL/TLSの導入も考慮に入れられます。

参考: Docker用語

  1. Dockerfile:
    Dockerfileはコンテナイメージを作成するための設計図です。このファイルには、コンテナ内で実行されるコマンドや必要なソフトウェアのインストールなどの指示が記載されています。

  2. docker build:
    docker buildコマンドはDockerfileを使用してDockerイメージを作成します。

  3. Docker Image:
    Dockerイメージはコンテナの実行に使用される静的なスナップショットです。これはDockerfileから作成されます。

  4. docker run:
    docker runコマンドはDockerイメージを使用して新しいコンテナを起動します。

  5. Docker Container:
    docker runの結果として作成される実行中のコンテナのインスタンスです。

  6. Host Machine:
    ホストマシンはDocker Daemonと共に動作し、コンテナとイメージの実行を管理します。

  7. Docker Daemon:
    Dockerデーモンはコンテナのライフサイクルを管理します。ホストマシン上で実行され、docker buildやdocker runなどのコマンドの実行を担当します。実際には、Docker Daemonがホストマシン上で動作してコンテナを管理しています。

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