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Claude Code × Databricks AI Dev Kit: 自然言語でDatabricksプラットフォームを構築・管理する

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Last updated at Posted at 2026-04-05

はじめに

Databricksには、自然言語でデータ作業を行える Genie Code が搭載されています。ノートブックやSQLエディタ上でETLパイプラインの構築、MLモデルのデプロイ、ダッシュボードの作成など、データエンジニアリングからMLまで幅広い作業を自然言語で指示できる強力なエージェントです。

では、Genie Codeがあれば十分でしょうか?

Genie CodeはDatabricksワークスペース内のデータ作業に最適化されていますが、プラットフォーム全体の管理・構築ローカル開発環境との連携は対象外です。例えば以下のような作業はGenie Codeではカバーされません。

  • Databricks Appsの開発・デプロイ
  • クラスタやウェアハウスの作成・設定変更
  • Unity Catalogの権限管理・セキュリティポリシーの設定
  • Vector Searchエンドポイント・インデックスの構築
  • Lakebaseデータベースの管理
  • ジョブの作成・更新・削除(※Genie Codeはジョブの監視・障害対応が中心)
  • ローカルファイルの編集、Git操作、PRの作成

Claude Code + Databricks AI Dev Kit は、この領域をカバーします。Genie Codeが 「ワークスペース内でデータを扱う」エージェント なら、Claude Code + AI Dev Kitは 「Databricksプラットフォーム全体を構築・管理する」エージェント です。

Claude CodeはAnthropicが提供するAIコーディングアシスタントのCLIツールです。AI Dev Kitと組み合わせることで、50以上のMCPツールを通じてDatabricksのリソースを自然言語で操作・開発できます。

Genie Code と Claude Code + AI Dev Kit の使い分け

Genie Code Claude Code + AI Dev Kit
得意領域 データ作業(EDA、ETL、ML、ダッシュボード) プラットフォーム構築・管理・アプリ開発
動作環境 Databricksワークスペース上(ブラウザ) ローカルのターミナル / VS Code
データ操作 ノートブック・SQLエディタでコード生成・実行 MCP経由でSQL実行・テーブル操作
パイプライン 構築・実行・監視・障害対応 構築・実行・ジョブのCRUD管理
アプリ開発 - Databricks Appsの構築・デプロイ
インフラ管理 - クラスタ、ウェアハウス、UC権限、Vector Search、Lakebase
ローカル連携 - ファイル編集、Git、PR作成、ローカルテスト

両者は競合するものではなく、補完関係にあります。ワークスペース内のデータ作業はGenie Codeで、プラットフォーム全体の構築・管理・ローカル開発はClaude Code + AI Dev Kitで、という使い分けが効果的です。

さらに、Claude CodeのバックエンドモデルとしてDatabricksがホストするClaudeモデルを利用することで、AIの利用状況をDatabricks AI Gatewayで一元管理でき、企業のAIガバナンス要件にも対応できます(詳細は付録を参照)。

本記事では、この開発環境を構築する手順を解説します。

本記事のインストール手順(手順1〜5)はWindows環境を対象としています。手順6以降のDatabricksホストモデルの設定やAI Dev Kitの構成はOS共通です。Mac/Linuxをお使いの方は手順1〜5を各OSのインストール方法に読み替えてください。

前提条件

  • Windows 10/11(ARM64またはx64)
  • Databricksワークスペースへのアクセス権限
  • PowerShellが利用可能であること

必要なソフトウェアの確認

以下のソフトウェアが必要です。既にインストール済みのものはスキップしてください。

PowerShellで以下のコマンドを実行し、インストール状況を確認できます。

git --version          # → 未インストールなら手順1へ
python --version       # → 未インストールなら手順2へ
uv --version           # → 未インストールなら手順3へ(オプション)
databricks --version   # → 未インストールなら手順4へ
claude --version       # → 未インストールなら手順5へ
ソフトウェア 必須/オプション 対応する手順 用途
Git 必須 手順1 Claude Codeのインストールに必要
Python 必須 手順2 AI Dev Kit等のツール実行に必要
uv オプション 手順3 AI Dev Kit利用時に必要
Databricks CLI 必須 手順4 ワークスペースへの認証・操作に必要
Claude Code 必須 手順5 本記事のメインツール

全体の流れ

以下の順序でセットアップを進めます。既にインストール済みの手順はスキップしてください。

ソフトウェアのインストール(Windows固有)

  1. Git for Windowsのインストール
  2. Pythonのインストール
  3. uvのインストール(オプション)
  4. Databricks CLIのインストールとログイン
  5. Claude Codeのインストール

Databricks連携の設定(OS共通)
6. Databricksホストモデルの設定
7. VS Codeのインストール(オプション)
8. Databricks AI Dev Kitのインストール(オプション)


ソフトウェアのインストール(Windows)

1. Git for Windowsのインストール

重要: Claude CodeのインストールにはGitが必要です。必ず先にインストールしてください。

  1. Git for Windows公式サイトにアクセス
  2. Standalone Installerからお使いの環境に合ったセットアップファイルをダウンロード
    • ARM64の場合: Git-2.49.0-arm64-bit.exe(※バージョンは時期により異なります)
    • x64の場合: Git-2.49.0-64-bit.exe
  3. ダウンロードしたインストーラーを実行し、デフォルト設定のまま進める

インストール後、PowerShellで確認します。

git --version
# 出力例: git version 2.49.0.windows.1

Gitのインストール手順の詳細はこちらの記事も参考になります。

2. Pythonのインストール

PowerShellで python と入力して実行すると、Microsoft Storeのインストール画面に案内されます。

python

Microsoft Storeが開いたら、Python 3.12以降をインストールしてください。

インストール後、PowerShellを再起動して確認します。

python --version
# 出力例: Python 3.12.x

3. uvのインストール

uvは高速なPythonパッケージマネージャーです。後述のDatabricks AI Dev Kitのインストールが高速になります。

uvはオプションです。インストールしなくてもAI Dev Kitは標準のpipで動作します。

powershell -ExecutionPolicy ByPass -c "irm https://astral.sh/uv/install.ps1 | iex"

インストール確認:

uv --version
# 出力例: uv 0.x.x

4. Databricks CLIのインストールとログイン

インストール

WinGetを使ってインストールします。

winget install Databricks.DatabricksCLI

インストール後、PowerShellを再起動して確認します。

databricks --version
# 出力例: Databricks CLI v0.xxx.x

ワークスペースへのログイン

OAuth認証(U2M)でログインします。

databricks auth login --host https://<your-workspace-url>

実行するとブラウザが開き、Databricksのログイン画面が表示されます。認証を完了すると、CLIにプロファイルが保存されます。

動作確認:

databricks clusters list

クラスタ一覧が表示されれば成功です。

5. Claude Codeのインストール

インストール

PowerShellで以下を実行します。

irm https://claude.ai/install.ps1 | iex

PATHの設定

claude コマンドが見つからない場合、PATHにインストール先を追加する必要があります。

  1. Windowsの 設定システムバージョン情報システムの詳細設定 を開く
  2. 環境変数 ボタンをクリック
  3. 「ユーザー環境変数」の Path を選択し、編集 をクリック
  4. 新規 をクリックし、%USERPROFILE%\.local\bin を追加
  5. OK で閉じる

PowerShellを再起動して確認します。

claude --version

WinGet (winget install Anthropic.ClaudeCode) でもインストール可能ですが、自動アップデートされません。定期的に winget upgrade Anthropic.ClaudeCode を実行する必要があります。


Databricks連携の設定(OS共通)

ここからの手順はWindows / Mac / Linux共通です。

6. Databricksホストモデルの設定

Claude CodeのバックエンドをDatabricks AI Gatewayに向けます。

6.1 設定ダイアログを開く

  1. Databricksワークスペースにログイン
  2. 左メニューから Serving ページを開く
  3. Coding Agents をクリック
  4. 「Integrate coding agents」ダイアログが開く
  5. Other Integrations タブを選択
  6. 「Select a Coding Integration」ドロップダウンから Claude Code を選択

6.2 Step 1: モデルの選択

ダイアログの Step 1. Select your models で使用するモデルを選択します。

設定項目 説明 必須
Default Anthropic Model Claude Codeがデフォルトで使用するモデル 必須
Default Opus Model "opus"エイリアスで使用するモデル オプション
Default Sonnet Model "sonnet"エイリアスで使用するモデル オプション
Default Haiku Model "haiku"エイリアスで使用するモデル オプション

ドロップダウンからワークスペースで利用可能なモデルを選択してください。

利用可能なモデルはワークスペースによって異なります。例としてdatabricks-claude-opus-4-6databricks-claude-sonnet-4-6databricks-claude-haiku-4-5などがあります。

6.3 Step 2: settings.jsonの生成と保存

ダイアログの Step 2. Update settings.json in Claude Code to point to Databricks セクションで、Generate API Key ボタンをクリックします。

すると、~/.claude/settings.json に保存すべきJSON設定が自動生成されます。右上のコピーボタンでコピーできます。

# ディレクトリ作成(存在しない場合)
New-Item -ItemType Directory -Force -Path "$env:USERPROFILE\.claude"

生成されたJSONをそのまま ~/.claude/settings.json として保存してください。以下のような形式です。

{
    "env": {
        "ANTHROPIC_MODEL": "<Step 1で選択したモデル>",
        "ANTHROPIC_BASE_URL": "https://<workspace-id>.ai-gateway.cloud.databricks.com/anthropic",
        "ANTHROPIC_AUTH_TOKEN": "<生成されたAPIキー>",
        "ANTHROPIC_CUSTOM_HEADERS": "x-databricks-use-coding-agent-mode: true",
        "CLAUDE_CODE_DISABLE_EXPERIMENTAL_BETAS": "1"
    }
}
環境変数 説明
ANTHROPIC_MODEL Step 1で選択したデフォルトモデル
ANTHROPIC_BASE_URL AI GatewayのエンドポイントURL
ANTHROPIC_AUTH_TOKEN 自動生成されたAPIキー
ANTHROPIC_CUSTOM_HEADERS Databricksコーディングエージェントモードの有効化
CLAUDE_CODE_DISABLE_EXPERIMENTAL_BETAS 実験的機能の無効化

6.4 動作確認

claude

Anthropicへのログインを求められずに、直接Claude Codeのセッションが開始されれば設定成功です。

7. VS Codeのインストール(オプション)

Claude CodeはVS Code拡張機能としても利用できます。

  1. VS Code公式サイトからインストーラーをダウンロード
  2. インストール後、拡張機能マーケットプレイスで Claude Code を検索してインストール

手順6で設定した ~/.claude/settings.json はCLI・VS Code拡張機能の両方で共有されます。VS Code側で別途Databricksの接続設定を行う必要はありません。

8. Databricks AI Dev Kitのインストール(オプション)

Databricks AI Dev Kitをインストールすると、Claude CodeにDatabricks固有のスキルとMCPツールが追加されます。SQLの実行、テーブル操作、ジョブ管理などをClaude Codeから直接行えるようになります。

インストール

irm https://raw.githubusercontent.com/databricks-solutions/ai-dev-kit/main/install.ps1 | iex

対話形式でセットアップが進みます。プロンプトに従って設定を完了してください。

インストールオプション

# スクリプトをダウンロードしてから実行する場合
irm https://raw.githubusercontent.com/databricks-solutions/ai-dev-kit/main/install.ps1 -OutFile install.ps1

# グローバルインストール(全プロジェクトで利用可能)
.\install.ps1 -Global -Force

# 特定のDatabricks CLIプロファイルを指定
.\install.ps1 -Profile DEFAULT -Force

デフォルトではプロジェクトレベルにインストールされます。インストールしたディレクトリからClaude Codeを起動する必要があります。-Global オプションを使うと全プロジェクトで利用可能になります。

トラブルシューティング

Claude Codeのインストールに失敗する

  • Gitがインストールされているか確認してください
  • PowerShellを管理者として実行してみてください

Databricksホストモデルに接続できない

  • ANTHROPIC_BASE_URLのURLが正しいか確認(末尾のスラッシュに注意)
  • Personal Access Tokenが有効か確認(databricks auth tokenで確認可能)
  • ワークスペースのServingページでモデルが有効になっているか確認

AI Dev Kitのインストールに失敗する

  • uvがインストールされているか確認
  • Databricks CLIで認証済みか確認(databricks auth token

まとめ

本記事では、Claude Code + Databricksの開発環境を構築する手順を解説しました(インストール手順はWindows向け)。

この環境により、データエンジニアリングからGenAIアプリケーション開発まで、Databricks上のあらゆる作業を自然言語で指示できるようになります。AI Dev Kitが提供する50以上のMCPツールでDatabricksリソースを直接操作できます。

ぜひ実際にClaude Codeを起動して、「Unity Catalogのテーブル一覧を見せて」「サンプルデータでダッシュボードを作って」など、自然言語で話しかけてみてください。

参考リンク

付録: DatabricksホストモデルによるAIガバナンス

本記事の手順6で設定した通り、Claude CodeのバックエンドとしてDatabricks AI Gatewayを利用できます。これは単に「もう一つのAPIエンドポイント」ではなく、企業がAIコーディングツールの利用をガバナンスするための仕組みです。

AI Gatewayが提供するガバナンス機能

機能 説明
利用状況の一元管理 誰がどのモデルをどれだけ利用しているかをsystem.ai_gateway.usageシステムテーブルで確認可能
レートリミット ユーザー・グループ単位でトークン使用量の上限を設定可能
推論テーブル リクエスト・レスポンスをUnity Catalogのデルタテーブルに自動記録
ダッシュボード 利用状況をリアルタイムで可視化するダッシュボードを標準提供
アクセス制御 DatabricksのPATで認証するため、個々の開発者にAnthropicアカウントを配布する必要がない

Anthropic直接利用との比較

観点 Anthropic直接 Databricks AI Gateway経由
認証 開発者ごとにAnthropicアカウントまたはAPIキーが必要 DatabricksのPATで一元管理
利用状況の把握 APIの利用ログを別途管理する必要あり システムテーブル・ダッシュボードで自動集約
利用制限 Anthropic側のレートリミットのみ 組織のポリシーに合わせてカスタマイズ可能
監査ログ 自前で構築が必要 推論テーブルに自動記録

特に企業環境では、個々の開発者がそれぞれAPIキーを管理するのではなく、Databricksのワークスペース管理者が一括してアクセス制御できる点が大きな利点です。

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