はじめに
これは、いちマネージャーである私が、同じチームにいるメンバーとの1on1でメンバーが話してくれるとうれしいことを書いた記事です。
一般的な「1on1はこうあるべし」話は書きません。
「1on1は何を話すべきか」「1on1をより有意義な時間にするために」のような一般的な話はすでに世の中に良質な記事や講座があふれているのでそちらにお渡しします。
もくじ
忙しい方はここだけでどうぞ。
大前提
- あなたの話を聴いたり、困りごと解決の糸口を見つける場です
- あなたとの1on1はマネージャーにとって最重要業務の1つです
- 「話すことないからスキップ」はしないでください
- それ以外の理由は週内リスケ、移動先がなければスキップしてください
1on1で話してほしいこと
大前提
話したいことの前に、1on1という場の大前提について記載します。
あなたの話を聴いたり、困りごと解決の糸口を見つける場です
基本的にはあなたのための場、あなたのための時間です。自由に使ってください。
そのため、私が主体でトピックを提供するわけではありません。あなたが話したいトピックを持ってきてください。
とはいえ、慣れるまではどんなことを話せばいいかわからないですよね。なのでこの後に1on1で話してほしいことを用意しているのでご一読ください。
慣れてきたら本当に自由に使ってください。
なお、トピックによっては私の意見を聞きたいものもあると思います。そのときはガンガン話します。
そうでなくても、私は意識しないとついついしゃべりがちなので、「私が話すからおまえちょっと黙って」と遠慮なく言ってください。
あなたとの1on1はマネージャーにとって最重要業務の1つです
マネージャーにとってメンバーとの1on1は最重要事項の1つです。遠慮をしないでください。
私の場合週次で30分予定を入れています。「特に話したいことがないし、moromi25さん忙しそうだからキャンセルしたほうがいいかな・・・」などという気の回しは不要です。むしろ私から最重要業務の機会を奪わないでください。
もちろん日々チームマネジメント業務をしていると、さまざまなミーティングや作業の調整をする必要があります。そのときに1on1は関係者が2人しかいないので調整がしやすく、リスケの対象になりやすいです。ですがそれは蔑ろにしているわけでは全くもってありません。それだけは誤解なきよう。
「話すことないからスキップ」はしないでください
話すことはきっとあります。この理由ではスキップしないでください。
昔から「1on1は話すことがなくなってからが本番」とよく言われます。
ふと出た話題でおおいに盛り上がることも多々あります。
それ以外の理由は週内リスケ、移動先がなければスキップしてください
締め切り間際でタスクに集中したい、休暇予定でやむなく、ということはあります。そんなときは無理せずリスケしてください。
あるいは、話したいことはあるので15分だけ、このトピックだけ話して終わりにしてください、もOKです。
次回までにリスケ先がない、リスケ先と次回1on1が近いから今週はいいか・・・という場合はスキップしてください。
1on1で話してほしいこと
この先の記載順は話してほしいことの優先順位ではありません。
この先書く内容は、この先に書いてある内容でなくても、いつでも、大歓迎です。
まとまっていないこと
「ちょっと悩んでることがあるんですけど自分の中でまとまってなくて・・・まとまったら話します/////」という告白をときどき受けるのですが、それ今話してください。
これは業務のこと、業務外のこと、なんでも共通です。
とりとめなくて、まとまってなくて大丈夫です。
私のことはちょっとしゃべるラバーダックだとでも思ってください。
まとまらない状態で話してくれると、そのトピックに対する理解の経路や深度がわかるのでありがたいです。
何も話してくれないと、何も助けられないので。
また、話し始めると案外言葉はすらすら出てきます。しゃべるために頭がフル回転しますしね。
誰かに話しているうちに自己解決できるというのは実によくある話です。その誰かに私を使ってください。
自己解決まで至らなくても、話していくと自分で辻褄が合っていないことに気づけたり、うまく言語化できていないポイントを明確にできたりします。
聴いている側もあなたがとりとめなく話しても全く気にしません。
むしろ客観的に聴いているので、まとめるお手伝いができます。
と言っても、以下のような問いかけをするくらいしかしませんが。
- 「○○の部分が理解が追い付かなかったのだけど、もう1回説明してくれる?」
- 「○○の部分って、~~~という意味で合っている?」
- 「ここまではよくわかった、ここからよくわからなかった、まとまってないのはこの辺から?」
あるいは、自己解決でもなく、私でもなく、ほかの誰かにサポートしてもらったほうがいいと判断した場合は、その人に繋ぐこともできます。
とはいえ本当にまだ話したくなければ無理強いはしないので安心してください。2ターンくらいは粘りますが。
業務のこと
マネージャーとして最も重要な仕事の1つは、自チームのメンバーが日々の業務を円滑に進められるような状態を作ることです。
マネージャーのアウトプットとして重要なのはマネージャー個人のものではなくチームのアウトプットだからです。
1on1は業務のことをマネージャーとゆっくり話せる時間として使ってください。
わざわざ別枠で時間を取らなくてもいいというのは心理的負荷も軽いですよね。
一方で、1on1が日々のタスクの話だけで埋まってしまうのもまたもったいないですし、場合によっては週次30分では足りないこともありますよね。
必要に応じて1on1とは別で時間を取ってください。あるいは、私が必要だと感じた場合は別枠を取ります。
今取り組んでいるタスクの相談
厳密には報連相すべて1on1で実施してもらって大丈夫ですが、報告や連絡は朝会でもしてもらえるので、1on1ではより腰を据えて話した方がよい内容を重視した方がいいかなと個人的には思っています。
そもそものタスクの必要性を質問するもよし、
タスクの細分化や優先順位付け、進め方を一緒に考えるもよし、
具体的なソースコードを一緒に見るもよし、
諸々の開発レビューのプレレビューを依頼するもよし、
何かチーム内外に相談事を持っていきたいがその根回しに協力してほしいという依頼をするもよし。
なんでもよいです。
結果的に私が見聞きすることで解決できることもあればできないこともありますが、後退することはないはずです。
一旦相談してみてください。
担当しているサブシステムのこと
WHIはCOMPANYというパッケージソフトウェアを自社開発しています。
プロダクト開発に配属されると、その多くはCOMPANYのあるプロダクトのある業務ドメインの課題を解決するための機能群(サブシステム)を担当することになります。
そのサブシステム、プロダクト、COMPANYについて、わからないことを訊いたり、自分自身の理解を話してみたりしてください。
すでにドキュメント等があればそれを教えることができますし、私自身の理解見解をお伝えすることもできます。
COMPANYは歴史もある大きな製品なので、私もわからないことはたくさんありますが、誰かに訊けばより深くわかることであればその誰かに繋いだりすることはできますし、自分たちで定義しなければいけないところであれば定義していかなければいけないね、と目線を合わせることができます。
チーム運営のこと
- チームで開催しているイベント(朝会、モブワークタイム、プランニングや四半期報告会など)
- 開発レビュー(企画書、PR、テストケース、リリースノートなど)
などの内容や進め方など、チームの運営について何か違和感ややりづらさ、マンネリ感を感じたら遠慮なく話してください。
具体的な改善案がなくても大丈夫です。うちのチームは割と違和感駆動で運営方法を変えているので。
特に何も感じていなくても、たとえば「どうして今のやり方を取っているの?」など素朴な疑問を感じていたらぜひ質問してください。
やりたい/やるべきと感じたことの提案
私からタスクをアサインすることは多いのですが、実際にサブシステムを開発しているのはあなたです。
割り振られたタスク以外にやりたい/やった方がいいと感じることがあれば教えてください。
基本的に私は「自分がやるべきと思ったらやったらいいじゃん」と思っているので、よほどのことがない限りは止めません。
あなたがやりたいのであればやったらいいです。あるいは、ほかの誰かがやった方がよさそうとお互いに思うのであれば、その人にやってもらうという判断をしましょう。
キャリアのこと
「キャリアのこと」と書くとやたらかっこよく聞こえますが、そんなにキラキラしたかっこつけたことを1on1で用意する必要はありません。
今の仕事について
2025年9月現在、私のチームにいるメンバーはプロダクト開発者なので、その前提で記載します。
1on1以前に、下記はずっと自問していった方がいいと個人的には思っています。
- 開発のお仕事楽しい?
- どんな時に楽しい?
- 逆にどんな時に楽しくない?
- それはやむを得ないこと?何かを変えることで改善すること?
この自問自答の結果を共有してくれるとうれしいです。
この仕事楽しそうに進めているなあと私は感じていたけれど、本人もやっぱりそう思っていたんだな、と答え合わせできるだけでありがたいです。
あなたが気づいていない強みが私に見えている場合もあります。
あなたが弱いと捉えている部分ももしかしたら発想の転換で捉え方が変わるかもしれません。
「楽しくない」「苦手」と感じるものに対して、引き続きがんばってみるか、適度な距離を取るかを一緒に考えることもできます。
私は日々、メンバーにいろんなタスクをお願いします。
まんべんなく機会均等に割り振るものもあれば、適性を見て依頼するものもあります。
日々の業務への取り組み方を見ていると、聴かずともなんとなく適性や志向が見えるものではあるのですが、実は本人は別のことを思っていた、ということもときどきあります。
もちろんすべてがそうできるわけではありませんが、伸ばしたい領域に関わるタスク、適性のあるタスク、やっていて楽しいタスクの方が絶対にパフォーマンスは上がるので、できる限りそういったタスクの振り方をしたいと思っています。
そのための判断材料の1つとして、今の仕事についてどう感じているか、定期的に教えてほしいです。
自分語り恥ずかし~~~と思うかもしれないですが、私としてはありがたい限りです。
今後どうしたいか
将来的にどうしたいかがはっきりしている/はっきりしていない、どちらでもかまいません。
あるいは、この人にあこがれている、みたいな具体的な人のイメージでもかまいません。
ゆくゆくはこういうことをしたいんです、この人を目指してます、を教えておいてもらえるとうれしいです。
じゃあどういう仕事をしていくとその目標に近づきやすいかを考えながらアサインすることができます。1
「moromi25さんから何かトピックありますか?」
尋ねてもらってかまいません。
私から相談したいトピックがあるときもあるので。
ただ、前述した通り基本的には1on1はあなたの話を聴いたりタスクを前に進めたりする助けにするための場なので、自分優先でかまいません。
ちなみに私も上長との1on1があるわけですが、以下のような優先度で話しています。
- 今日絶対に話しておきたいトピック
- できれば今日話しておきたいトピック
- 「${上長}さんから何かトピックありますか?」
- 時間あるときに話そうと思っていたトピック
- 雑談
そのうえで、2を話す前に一旦上長に「あとはそこまで優先度高くないんですけど、何か○○さんからトピックありますか?」と訊くようにしています。
雑談
特にWHIのプロダクト開発は基本的に多拠点×フルリモートワークでのチーム編成です。
出社時代はランチや座席でお互いに伸びをした瞬間など、ちょっとした機会に雑談することができましたが、リモートだとその機会はどうしたって減ります。
なので、1on1での雑談は大歓迎です。
特にチームに配属されたばかりのときは、お互いの雰囲気や性質がわかると仕事がより円滑に進められるので、そのツールとして雑談はとても有効です。
雑談は数年来のメンバーともよくします。たとえば30分間ずっと子育ての話をしたり(これは共通の話題なので私も大いに話します)、株の話聴いたりするだけ(私は株は全くわからないので聞き専ですが、楽しそうに話すメンバーを見てると私もとても楽しいです)の日もあります。万博やオリンピックなどのタイムリーな話もしますし、メンバーより私の方が年上なことが多いので、ライフステージ別の相談を受けることもしばしばあります。
そしてラスト1分であわてて業務の話を早口でして終了、ということも(いや必要なら延長or別途時間取るのでご安心ください)。
ちなみに業務でバタバタしていると業務関連の話だけで30分終わってしまうこともあるので、雑談の多さは平和のバロメーターだとも思っています。
(おまけ)いつでもメモできるネタ置き場を作っておくとネタ切れを減らせる
1on1の当日に「何か話したいことあったかな・・・」と思い起そうとしてもなかなか出てこないものです。
思いついたときに雑にメモする場所を作っておくとよいです。Slack上でも、手元のメモ帳でも、オンラインドキュメントツールでもかまいません。
私の場合、1on1を定期的にしている方々用にSlackで#p_topic_1on1_${相手の名前}-${自分の名前}
という自分だけが参加しているプライベートSlackチャンネルをつくっています。
みんながいる朝会などではなく1on1で話したいことの断片を、思いついたときにそのチャンネルにメモしておきます。
依頼事項の頭出し、腰を据えて話したい、ちょっと個別に意見を聞きたいなどが多いです。
トピックとして話が完了したら「済」リアクションなどを残しておけば一見してわかります。
その相手の方からトピックがあった際のメモもこのチャンネルに残しています。
自分1人のチャンネルでもいいですし、自分と1on1のお相手だけ入っているチャンネルを作るのもありだと思います。
まあ、ネタ切れてても気にしないのでお気楽にどうぞ。
おわりに
チームにメンバーが配属になるたびにこのお話をしているのですが、絶対に取りこぼすので言語化しました。
執筆時点で取りこぼしていた内容もあるかもしれないので、その際は随時加筆修正します。
-
たとえば私は将来的な目標の1つに「なんでもいいから本を1冊出してみたいな~」があります。じゃあ日々の業務でどうアサインするか・・・にはあまり影響していないと思いますが、きっと上長からは「ああだからmoromi25はやたらとQiita書いてるんだろうな・・・」くらいには思ってくださっている気がします。 ↩