1.概要
よい組織を作るにはマネージャーの存在が不可欠だと思います。その中で、これまでの経験や書籍を読んでいる中で考えた、組織の成長段階によって求められるマネージャーのスキルを記載したいと思います。
マネージャーがうまく機能している会社は、おそらく以下の順序で成長していくと思います。
①混乱期
マネージャーがおらず、ギスギスした環境となっている。マネジメントを始める段階。心理的安全性を高め、なんでも言い合える環境を作る必要がある。
②闘争期
心理的安全性が高まり、なんでも言い合える環境となった。ただ、感情的な争いも増えている。できる限り感情的な争いを建設的な争いに変える必要がある。
③成長期
建設的な話が増え、いい環境となっている。今後、さらなる成長を則すための環境づくりが求められる。
④決断期
組織が成長し建設的な話題も増え、どんどんいい環境となっている。ただ、どうしても複数のいい案の中から、1つの案を選択しなければならない時が来る。その時に、マネージャーはきちんと選択できなければならない。
2.混乱期
マネジメントが行われていない、もしくはマネージャーが不在の状況となっているのが、最初の段階です。
この中でマネージャーの第一の仕事は、現場の心理的安全性を高め、お互いが安心して言い合える環境を作り出すことです。そのための必須スキルが**「傾聴」**になります。
相手が何を思っているのか、どんな課題を抱えているのか、なんでも言い合えるように「いってもいいんだよ」ということを伝え、聞いてあげることが重要です。
そのため、私がよくやっていたのは、
- 笑顔で話を聞く
ネガティブな話であれ、感情的な話であれ、けんかにならないように笑顔であることを心がけました
- 質問してきた場合、丁寧に返答する
何を言ってもいいよ、と伝えるために相手から何か質問が来た場合、どんなに些細なことでも必ず丁寧に返答するようにしました。
また、傾聴ではないのですが以下のようなこともやっていました。
- 自分の失敗談を話す
失敗したことを話しても問題ないよ、と伝えるために自分の失敗談を話します。よく話すのは、超大手の会議で取締役、部長陣10名ほどいる中、なぜか私一人(社会人歴3年目、平社員)で相手の組織の問題点をプレゼンし「御社はいったい何を考えているのですか?」と詰められ、しばらくまともに業務をできなかったたことです…
3.闘争期
お互いが言い合える環境ができた場合、いい意味での争いが多く発生します。その良い争いが続くのであれば問題ないのですが、大抵感情的な争いも発生し始めます。
そのため、第二に求められるスキルは、感情的な争いを建設的な争いに変えるための**「ファシリテーション」**スキルになります。
感情的な話題を建設的に変えるために、以下のようなことが必要と考えます。
- どうしてほしいのか聞き、相手の行動になるまで話をする
「あいつは全く人の話を聞かない!」⇒「○○さんは△△さんに話を聞いてほしいの?」
「聞いてほしいけど、そんな機会はない!」⇒「なら、機会があれば話してみる?」
「でもけんかになるかもしれないし。。。」⇒「なら、私が間に入りましょうか?」
「それならいいかも。。。」⇒「なら、その会議を設定してくれる。△△さんには私から事前に話すから」
「わかりました。会議の設定をします。」
※現実的にはこんなに単純ではなく、一度の行動を起こさせるのに30分以上会話します…
- どうしてもけんかになるなら、別々に聞きに行く
当事者同士をあつめて解決できるならいいのですが、感情的な争いではそれもできない可能性があります。そのため、まずは2人を別々な場所でヒアリングし、お互いどうしてほしいのか聞きます。そして、お互いの落としどころを探ります。
4.成長期
建設的な話が多くなってきた後は、「どのようにすればもっと相手が伸びてくれるのか」を考えるようになります。そのため、第三に求められるスキルは**「コーチング」**スキルになります。
目標の立て方
基本的には相手に目標を立てさせ、目標をもとにコーチングを行いますが、以下の点に注意ください。
- 目標は変わってもいい
一度立てた目標を何が何でもやらせようとする人もいますが、変えてもいいことを伝えてください。
⇒いきなり立てろと言っても立てられる人はほとんどいない+目標に縛られるようになる
- 目標は7割程度でできるもの
目標は大きくもなく小さくもないものを設定してください
⇒大きいと達成できずモチベーションが下がります。また、小さすぎるとすぐにできるのでやることの価値を見出せず、こちらもモチベーションが下がります。
コーチングで行ったこと
そしてコーチングする際は、以下のようなことを実施していました。
- 現状のフィードバックを行う
目標を達成できたのかどうか、できないなら何が要因か、自分の視点も含めフィードバックを行います
⇒1人だと周りが見えなくなって、なぜ間違えたのか理解できないことがあります。(感情的にならないようにファシリテーションを意識してください)
- 自分の目標が合っていたか確認する
一度立てた目標が、本当に本人に合っていたかどうか確認してください。
⇒目標が最初にキチンと決まることは、ほとんどありません。
5.決断期
そして最後に求められるスキルは**「リーダーシップ」**になります。どんなに建設的な話を行っていても、どんなに環境が良くても、決断をしなければならない時が必ず来ます。
その時は、どんなにいい意見でも、採用するしないを決めてください。そうしなければ、ずるずる会議が伸び、結果として双方身動きが取れなくなることが多いです。
また、私が決断を下すときは、必ず最初に立てた「目標」をもとに決断を下しています。例えば、「現場が楽しくなるような仕組みを作りたい」だった場合、
「双方を比較して○○の方が、~という理由で楽しくなる仕組み強いので、こちらを採用する」
この際、必ず決めた根拠を説明し、採用しなかった方に必ずフィードバックを行ってください。この振り返りの経験は、次の提案に必ず生きてきます。
6.まとめ
いかがでしょうか?
まとめると、個人的なマネージャーのスキルの優先度は以下となります。
1.傾聴
2.ファシリテーション
3.コーチング
4.リーダシップ
あくまで1つの目安ですが、今後のマネジメントの助けになれば幸いです。