問1:母平均の差の検定(母分散既知)
2つの母集団
$
X_1 \sim N(\mu_1, \sigma_1^2), \quad
X_2 \sim N(\mu_2, \sigma_2^2)
$
から独立に標本を得た。母分散は既知である。
帰無仮説 $H_0: \mu_1 = \mu_2$ を検定する際の検定統計量として正しい式はどれか。
選択肢:
A.
$Z = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{\sqrt{\sigma_1^2/n_1 + \sigma_2^2/n_2}}$
B.
$t = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{\sqrt{s_1^2/n_1 + s_2^2/n_2}}$
C.
$Z = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2 - (\mu_1 - \mu_2)}{\sqrt{s_p^2(1/n_1 + 1/n_2)}}$
D.
$t = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{s_p \sqrt{1/n_1 + 1/n_2}}$
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正答:A
母分散既知の場合は、母標準偏差を用いてZ検定を行う。
$$
Z = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{\sqrt{\sigma_1^2/n_1 + \sigma_2^2/n_2}}
$$
これは、標本平均の差が正規分布に従うことを利用している。
問2:母平均の差の検定(母分散未知・等分散と仮定)
母分散は未知だが等しいと仮定できるとき、
2つの母平均の差を検定する。
このときの検定統計量として正しい式はどれか。
選択肢:
A.
$t = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{\sqrt{s_1^2/n_1 + s_2^2/n_2}}$
B.
$t = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{s_p \sqrt{1/n_1 + 1/n_2}}$
C.
$t = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{\sqrt{s_1^2 + s_2^2}}$
D.
$Z = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{\sqrt{\sigma_1^2/n_1 + \sigma_2^2/n_2}}$
ただし
$$
s_p^2 = \frac{(n_1-1)s_1^2 + (n_2-1)s_2^2}{n_1 + n_2 - 2}
$$
を**プールした分散(pooled variance)**とする。
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正答:B
母分散が未知だが等しいと仮定できる場合は、プール分散を用いるt検定を行う。
$$
t = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{s_p \sqrt{1/n_1 + 1/n_2}}
$$
$s_p^2$ は両群の分散を自由度に応じて加重平均したものである。
問3:対応のある t 検定
同一の個体を前後で測定した結果について、
差 $D_i = X_{1i} - X_{2i}$ を考える。
帰無仮説 $H_0: \mu_D = 0$ の検定統計量として正しい式はどれか。
選択肢:
A.
$t = \frac{\bar{D}}{s_D / \sqrt{n}}$
B.
$t = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{\sqrt{s_1^2/n + s_2^2/n}}$
C.
$Z = \frac{\bar{D}}{\sigma_D / \sqrt{n}}$
D.
$t = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{s_p \sqrt{2/n}}$
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正答:A
対応のあるt検定では、差のデータ $D_i$ を1つの標本として扱う。
$$
t = \frac{\bar{D}}{s_D / \sqrt{n}}
$$
ここで $s_D$ は差の標本標準偏差である。
問4:母分散の等質性の検定
2つの母分散が等しいかどうかを検定する。
帰無仮説 $H_0: \sigma_1^2 = \sigma_2^2$。
このときの検定統計量として正しい式はどれか。
選択肢:
A.
$F = \frac{s_1^2}{s_2^2}$
B.
$t = \frac{s_1^2 - s_2^2}{\sqrt{s_1^2/n_1 + s_2^2/n_2}}$
C.
$Z = \frac{s_1^2 - s_2^2}{\sigma_1^2/n_1 + \sigma_2^2/n_2}$
D.
$F = \frac{s_1^2/n_1}{s_2^2/n_2}$
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正答:A
分散の等質性を検定する場合は、F検定を使用する。
$$
F = \frac{s_1^2}{s_2^2}
$$
このとき、分子・分母に対応する自由度はそれぞれ
$n_1 - 1$, $n_2 - 1$ である。
問5:2つの母比率の差の検定
2つの母集団の比率 $(p_1, p_2)$ の差を検定する。
帰無仮説 $H_0: p_1 = p_2$。
このときの検定統計量の式として正しいものはどれか。
選択肢:
A.
$Z = \frac{\hat{p}_1 - \hat{p}_2}{\sqrt{\hat{p}(1-\hat{p})(1/n_1 + 1/n_2)}}$
B.
$Z = \frac{\hat{p}_1 - \hat{p}_2}{\sqrt{\hat{p}_1(1-\hat{p}_1)/n_1 + \hat{p}_2(1-\hat{p}_2)/n_2}}$
C.
$t = \frac{\hat{p}_1 - \hat{p}_2}{\sqrt{\hat{p}(1-\hat{p})(1/n_1 + 1/n_2)}}$
D.
$F = \frac{\hat{p}_1(1-\hat{p}_1)}{\hat{p}_2(1-\hat{p}_2)}$
ただし
$$
\hat{p} = \frac{x_1 + x_2}{n_1 + n_2}
$$
はプール比率(pooled proportion)。
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正答:A
2つの母比率の差を検定するときは、Z検定を用いる。
$$
Z = \frac{\hat{p}_1 - \hat{p}_2}{\sqrt{\hat{p}(1-\hat{p})(1/n_1 + 1/n_2)}}
$$
ここで $\hat{p}$ は両群をまとめた全体の比率(プール比率)である。
解答・要点まとめ
| 問 | 正解 | 検定の種類 | 検定統計量 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | A | 平均の差(母分散既知) | Z検定 | 正規分布を使用 |
| 2 | B | 平均の差(母分散未知・等分散) | t検定 | プール分散使用 |
| 3 | A | 対応のある平均の検定 | t検定 | 差の平均で検定 |
| 4 | A | 分散の等質性検定 | F検定 | 分散の比を取る |
| 5 | A | 母比率の差の検定 | Z検定 | プール比率を使用 |