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Nerves Systems ビルダーを使ってソースコードからビルドする

Last updated at Posted at 2023-11-05

Nerves コアチームが公式サポートする Nerves システムをビルドする時は、通常は取扱説明書の通りの手順でを利用することが多いと思います。自分のNervesプロジェクトの依存性リストにターゲットデバイスに対応するパッケージを追加するだけで自動的に必要なツールやプログラム、設定等をダウンロードしてくれます。

しかしながら、それは既にリリースされている Nerves システムにおける話であって、未リリースのシステムを試したい場合は自分でソースコードからビルドする必要があります。例えば、リリース前の最新の機能を試したい場合、Nerves コアチームの開発・テストの支援をしたい場合、カスタムシステムを構築したい場合などが考えられます。

本記事の内容は Nerves Systems Builder の README に毛が生えたようなものです。原典も合わせてご参照ください。

Nervesシステムをビルドする方法

  • Mix
    • 推奨
    • 複数のOSに対応
  • Nerves Systems Builder
    • Nerves コアチームが便宜上つかっているスクリプト
    • Nerves システムを構築および保守するためのスクリプトを提供
    • Buildrootを頻繁に使用する場合、または複数のNervesシステムを保守する場合にビルドが比較的高速
    • x86_64 または aarch64 上の Linux でのみで動作 (仮想機械のLinuxでも動作するらしい)

ここでは Nerves Systems Builder に挑戦します。

Linuxマシンを準備

  • CPUアーキテクチャ: x86_64 または aarch64
  • OS: Linux
  • 空きディスク容量: 128 GB 以上

必要なライブラリをインストール

Debian 系の Linux ディストリビューションの場合、以下のコマンドで必要なライブラリをインストールします。

terminal
sudo apt update
sudo apt install git build-essential bc cmake cvs wget curl mercurial python3 python3-aiohttp python3-flake8 python3-ijson python3-nose2 python3-pexpect python3-pip python3-requests rsync subversion unzip gawk jq squashfs-tools libssl-dev automake autoconf libncurses5-dev

Erlang と Elixir をインストール

ErlangElixir をインストールします。

一例として asdf を用いて最新版をインストールする方法は以下の通りです。

terminal
git clone https://github.com/asdf-vm/asdf.git ~/.asdf --branch v0.13.0
asdf update

plugins=(erlang elixir)

for plugin in "${plugins[@]}"; do
  asdf plugin add "$plugin"
  asdf install "$plugin" latest
  asdf global "$plugin" latest
done

asdf をインストールした後のやり方がお使いのシェルによって異なるため、詳しくは asdf 公式ドキュメントをご参照ください。bash の場合は以下の通りです。

terminal
echo '. $HOME/.asdf/asdf.sh' >> ~/.bashrc
echo '. $HOME/.asdf/completions/asdf.bash' >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc

hex と rebar をインストール

  • hex : Erlang エコシステムのパッケージマネージャ
  • rebar : Erlang ビルドツール
terminal
mix local.hex
mix local.rebar

これで、nerves_bootstrapMix 環境に追加する準備が整いました。

nerves_bootstrap をインストール

nerves_bootstrap アーカイブをインストールすることにより、Nerves 開発用の Mix 環境を構築し、各対象ボードに対応するクロスコンパイラが利用可能になります。また、nerves_bootstrap アーカイブには、新しい Nerves プロジェクトの作成に使用できるプロジェクトジェネレーターも含まれています。

terminal
mix archive.install hex nerves_bootstrap

ここでインストールするのは nerves_bootstrap アーカイブです。nerves パッケージではないので注意してください。

https://github.com/nerves-project/nerves/blob/37c7312d51e7e17908910bd534cbc36807ad2de9/mix.exs#L115-L120

Nerves Systems Builder をダウンロード

Nerves Systems Builder は現時点ではバージョン管理されていません。あくまで Nerves コアチームが使っている便利ツールという位置付けのようです。

terminal
git clone git@github.com:nerves-project/nerves_systems.git

Nerves Systems Builder の設定

設定は config/config.exs ファイルにて行います。

設定サンプルが config/starter-config.exs にありますので、それを config/config.exs にコピーし、適宜調整するのが手っ取り早いです。

Nerves Systems Builder 用のターミナル
cd path/to/nerves_systems

cp config/starter-config.exs config/config.exs

open config/config.exs

ビルドしたいNervesシステム以外をコメントアウトするとビルドにかかる時間を短縮できます。

ビルドしたいNervesシステムのソースコードをダウンロード

mix ns.clone タスクで設定ファイルに列挙したNervesシステムを src ディレクトリにダウンロードします。

Nerves Systems Builder 用のターミナル
mix ns.clone

mix ns.clone はだた git clone するだけなので、ご自分で git clone されても結果は同じです。

src ディレクトリはこんな感じ
src/
    nerves_system_br
    nerves_system_rpi0
    nerves_system_bbb
    ...

やり直す時は迷わず src ディレクトリを消去してしまって大丈夫です。

Nerves Systems Builder で Nerves システムをビルド

Nervesシステムをビルドには2つの段階があります。mix ns.build は両方のステップを実行します。

  1. 出力ディレクトリ内の nerves_defconfig.config ファイルに変換
  2. 出力ディレクトリ内で make を実行

出力ディレクトリは o/<システムの短縮名>(例、o/rpi0)です。

インクリメンタルビルドはできる場合とできない場合が考えられます。うまくいかない場合は、出力ディレクトリを削除してビルドを最初からやり直してください。

Nerves Systems Builder 用のターミナル
mix ns.build
  • mix ns.build が失敗した場合は、失敗した出力ディレクトリに移動し、make を再実行してください。
  • make source を実行するとまず全てをダウンロードし、のちに make することが可能です。
  • ダウンロードされたものは ~/.nerves/dl/ に保存されます。
  • make menuconfig を実行した後には make savedefconfig を実行してください。src/nerves_system_piyopiyo に更新内容が反映されますので、必要に応じてコミットしてください。

ビルドした Nerves システムを使ってファームウエアを作る

別のターミナルを開く

別のターミナルを開き、そこでご自身のNervesファームウエアプロジェクトを開きます。

環境変数をセットする

mix.exs で参照されている通常のパッケージ化されたNervesシステムではなくカスタム Nerves システムを使用するようにと nerves に指示するための特別な環境変数がいくつかあります。

  1. 対象ボード に対応する nerves.env.sh スクリプトを見つけます。
  2. ご自身のNervesファームウエアプロジェクトのターミナルで実行します。

nerves.env.sh スクリプトは各対象ボードに対応する出力ディレクトリ内にあります。

対象ボードは Raspberry Pi Zero の場合、スクリプトのパスは ~/path/to/nerves_systems/o/rpi0/nerves-env.sh となります。

ご自身の Nerves ファームウエアプロジェクト用のターミナル
. ~/path/to/nerves_systems/o/rpi0/nerves-env.sh

また、通常どおり MIX_TARGET を設定することを忘れないでください。Raspberry Pi Zero の場合は以下の通りとなります。

ご自身の Nerves ファームウエアプロジェクト用のターミナル
export MIX_TARGET=rpi0

あとはいつも通り

:tada::tada::tada:

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