Generative AI Leaderを受けてきました。
結果は合格しましたので、試験の概要や勉強方法についてまとめておきます。
この記事の内容には個人の経験や見解を含んでいますので、必ずしも正しいとは限りませんので、ご了承の上閲覧してください。
Generative AI Leaderとは
Google Cloud 認定資格「Generative AI Leader」の試験概要について、その目的、形式、評価分野を中心に説明します。
この認定資格は、生成AIによる企業変革を理解し、Google Cloudを活用して戦略的イノベーションを推進する先見的なプロフェッショナル向けです。技術実装よりもリーダーシップと啓蒙に重点を置いています。
本認定資格は、実践的な技術経験の有無を問わず、あらゆる職務のすべての方が対象であり、必須条件は特にありません。
1. 試験の形式とロジスティクス
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 試験時間 | 90 分 |
| 問題形式 | 50~60 問の多肢選択式問題(MCQ) |
| 登録料 | $99(税別)※14,000~15,000円 位 |
| 言語 | 英語、日本語 |
| 実施方法 | オンライン監督試験、またはオンサイト監督試験 |
| 有効期間 | 3 年間 |
| 再認定(更新) | 認定資格の有効期限の 180 日前から更新可能。再認定試験の再受験および合格が必要。 |
| 再受験ポリシー | 不合格の場合、再受験まで 14 日間の待機期間が必要。1年間に最大10回まで受験可能。 |
2. 評価される知識分野(試験ドメイン)
Generative AI Leader 認定資格試験では、次の 4 つの主要分野の知識が評価されます。特に、「Google Cloud の生成 AI サービス」が最も比重の高いセクションとなっています。
| セクション | 試験の比重 | 評価される主な知識領域 |
|---|---|---|
| 1. 生成 AI の基礎 | 約 30% | AI、ML、ディープラーニング、生成 AI の関係性、基盤モデル (LLM) の特徴、プロンプト エンジニアリング、ML ライフサイクル、Google の基盤モデルファミリー(Gemini、Gemma、Imagen、Veo)の用途、データタイプと品質の重要性など。 |
| 2. Google Cloud の生成 AI サービス | 約 35% | Google Cloud の生成 AI 分野における強み、個人/チームの生産性向上ツール(Gemini for Google Workspace、NotebookLM)、エンタープライズプラットフォーム(Vertex AI Studio、Model Garden、Vertex AI Search、Agent Builder)、顧客体験向上サービス(Customer Engagement Suite)の機能とビジネス価値など。 |
| 3. 生成 AI モデル出力を改善する手法 | 約 20% | プロンプト技術(ゼロショット、フューショット、CoT、ReAct)、グラウンディングと RAG の概念とユースケース、ハルシネーションなどのモデルの限界と対処法、Human in the Loop (HITL) の役割、サンプリングパラメータ(温度、Top-P、トークン数)など。 |
| 4. 生成 AI ソリューションを成功に導くビジネス戦略 | 約 15% | 生成 AI 戦略の計画、ユースケースの優先順位付け(ビジネスインパクトと実現可能性)、責任ある AI(Responsible AI)の原則と倫理的ガイドライン、セキュア AI フレームワーク(SAIF)の目的など。 |
3. 受験者に求められる能力と試験の特徴
この試験は、単なる知識の暗記ではなく、比較分析と課題解決マッピングの思考プロセスを重視しています。
- ビジネス課題解決能力: 特定のビジネス上の課題やユースケース(例:最新情報に基づいた顧客対応、社内文書の検索精度向上など)に対し、最適な Google Cloud の生成 AI サービス(例:Vertex AI Search、NotebookLM、Gemini for Workspaceなど)を選択する能力が問われます。
- 製品間の違いの理解: Vertex AI の各サービス(Model Garden、AI Studio、Search、Conversation)や、モデルをカスタマイズする手法(RAGとファインチューニング)など、類似する機能を持つツール間の違いと使い分けを理解している必要があります。
- 戦略的リーダーシップ: AI 導入に伴う倫理的、セキュリティ的側面(責任ある AI や SAIF)に関する質問も含まれ、リーダーとしての戦略的視点が評価されます。
合格のためには、公式の「Generative AI Leader 学習プログラム」や「学習ガイド」を利用して、試験のシラバス全体を体系的に学び、各 Google Cloud 製品の具体的なユースケースと価値提案を深く理解することが重要です。
重点ポイント
Generative AI Leader 認定資格試験は、単なる技術用語の知識を問うものではなく、「特定のビジネス課題に対して、どの Google Cloud サービスを、なぜ、いつ選択すべきか」という課題解決マッピング能力を評価する戦略的な試験です。
試験の成功に不可欠な重点ポイントを、用語の定義、サービス間の比較、およびシナリオへの適用を中心に詳細にご説明します。
1. 生成 AI の基礎 — 概念と Google モデルの区別(試験比重:約 30%)
このセクションでは、AI の階層構造と、Google が提供する基盤モデルの用途を理解することが重要です。
1-1. 中核となる用語の定義
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 生成 AI (Gen AI) | 機械学習の応用分野の一つで、新しいオリジナルのコンテンツ(文章、画像、コードなど)を AI 自らが「創り出す」ことに特化した技術です。ビジネス用途は、作成 (Create)、要約 (Summarize)、発見 (Discover)、自動化 (Automate) の4つに分類されます。 |
| 基盤モデル (Foundation Models) | 非常に大規模で多様なデータで事前訓練され、プロンプト調整やファインチューニングを通じて幅広いタスクに適応できる汎用性の高いモデルです。LLM(大規模言語モデル)は、その中でも特に自然言語に特化したモデルです。 |
| マルチモーダル | テキスト、画像、音声、動画など、複数の異なる種類の情報(モダリティ)を統合的に理解し、処理できる能力を指します。 |
| プロンプト エンジニアリング | 生成 AI モデルから望ましい出力を得るために、効果的な「プロンプト(指示)」を設計し、最適化する理論的かつ実践的な手法です。 |
| データ品質 | AI の性能を最大限に引き出すために、データが満たすべき特性です。特に正確性、完全性(欠損がない)、一貫性、関連性が重要とされます。 |
1-2. Google の基盤モデルファミリーのユースケース(モダリティに基づく選択)
ビジネスニーズに応じて適切なモデルファミリーを選択する必要があります。
| モデルファミリー | 主な用途 | モダリティ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Gemini | 高度な会話型 AI、コンテンツ作成、マルチモーダルな質問応答 | テキスト、画像、音声、動画 | Googleの最も高性能なモデルファミリーであり、マルチモーダルを統合的に理解・処理できます。 |
| Gemma | 軽量な AI アプリケーション、ローカル / エッジでのデプロイ | テキスト | Geminiと同じ技術を基に構築された、カスタマイズ可能なオープンモデル。 |
| Imagen | 高品質な画像生成 (Text-to-Image) | テキスト $\rightarrow$ 画像 | テキストの説明文から画像を生成する拡散モデルです。 |
| Veo | 高品質な動画生成 (Text-to-Video) | テキスト、画像 $\rightarrow$ 動画 | テキストや静止画像に基づいて動画コンテンツを生成します。 |
2. サービス選定の極意 — Google Cloud サービス間の比較(試験比重:約 35%)
試験で最も比重が高いです。
シナリオに基づき最適な Google Cloud サービスを選択する能力が問われます。特に、類似機能を持つツール間の違いを明確にすることが重要です。
2-1. 生産性向上ツール(Gemini vs. NotebookLM)
| シナリオ/目的 | 最適なサービス | 違いと選択の理由 |
|---|---|---|
| 日常業務の効率化 (メール作成、文書の要約、スライド生成) | Gemini for Google Workspace | Gmail, Docs, Sheets など、使い慣れた Workspace アプリに直接統合された AI アシスタント。アプリ内でコンテンツの作成・支援を行います。 |
| 特定の内部資料に基づく研究/執筆 (社内 PDF、研修動画、URLなど) | NotebookLM | ユーザーがアップロードした特定のドキュメント群(ソース)を知識ベースとし、その情報にグラウンディング(根拠付け)された回答を生成します。回答にソースの引用元が明示されるのが最大の特徴です。 |
2-2. エンタープライズ開発プラットフォーム(Vertex AI ファミリー)
Vertex AI は、ML モデルと生成 AI のための統合プラットフォームです。
| シナリオ/目的 | 最適なサービス | 違いと選択の理由 |
|---|---|---|
| 企業独自のデータに基づく検索/Q&Aアプリの迅速な構築 | Vertex AI Search | 企業が持つ独自のデータ(ドキュメント、ウェブサイト、BigQueryなど)に対して、Google 品質の大規模検索機能とRAG(検索拡張生成)ベースの対話機能をフルマネージドで迅速に構築できる。 |
| モデルのプロトタイピング/チューニング/比較 | Vertex AI Studio | Model Garden で選んだモデルを、実際にテストし、プロンプトを設計し、サンプリングパラメータ(温度など)を調整するための Web ベースの IDE(統合開発環境)。本格的な AI アプリケーションを大規模に構築、デプロイする目的で使用されます。 |
| 利用可能なモデルの発見/選択 | Vertex AI Model Garden | Google(Geminiなど)、サードパーティ、オープンソースの既存の基盤モデルを探し、選択するためのカタログ。 |
| 複雑な対話型エージェントの構築と管理 (チャットボット、音声ボット) | Vertex AI Conversation (Dialogflow CX) | 大規模で複雑な会話型 AI エージェント(ボット)を設計し、デプロイするためのプラットフォーム。Vertex AI Search を連携させることで RAG 機能を持たせることも可能。 |
2-3. エージェントのツール(Tools)
生成 AI エージェントは、目標を達成するために外部環境とやり取りするツールを使用します。
| ツール種別 | 目的とユースケース |
|---|---|
| 拡張機能 (Extentions) | 外部 API に接続し、エージェントが統一された方法で外部サービスにアクセスできるようにする(例:旅行会社の API を使って予約を行う)。 |
| 関数 (Functions) | 特定の仕事をするためのツールで、複雑なロジックをカプセル化してエージェントから使えるようにする(例:特定のロジックで料金計算を行う)。 |
| データストア (Data stores) | エージェントに正しい情報を提供する(例:顧客情報、リアルタイムの株価、ナレッジベース)。 |
| プラグイン (Plugins) | エージェントに新しいスキルを与えたり、外部システムとの統合を実現する(例:カレンダーアプリと連携して予定を作成する)。 |
3. 出力改善のテクニック — RAG vs. ファインチューニング(試験比重:約 20%)
モデル出力を改善する手法として、特に RAG と ファインチューニング の使い分けは重要です。
3-1. RAG(検索拡張生成)とファインチューニングの比較
| 観点 | RAG (Retrieval-Augmented Generation) | ファインチューニング (Fine-tuning) |
|---|---|---|
| 目的 | モデルに新しい「知識」を動的に与える。 | モデルの「振る舞い」や「スタイル」を恒久的に変える。 |
| ハルシネーション対策 | 最も効果的。回答を検証可能な情報源にグラウンディングする。 | 直接的な対策ではない。 |
| 更新頻度 | 高頻度の更新(ニュース、製品カタログなど)に適している。 | 知識の更新には再トレーニングが必要で、コストがかかる。 |
| 学習データ | 外部のナレッジソース(ドキュメント、データベース)。 | 特定のタスクやドメインに特化した追加学習データ。 |
| 最適なユースケース | 最新情報に基づく Q&A、社内文書に基づく応答、情報の信頼性担保。 | ブランドボイスの模倣、特定のタスク(分類)の精度向上、出力形式の統一。 |
3-2. 高度なプロンプト技術
| 技術 | 目的とユースケース |
|---|---|
| Chain-of-Thought (CoT) | 複雑な問題解決や推論の精度向上。モデルに「ステップバイステップで考えて」のように思考プロセスを明示的に生成させる。 |
| ReAct (Reason + Act) | LLM が自律的に複雑なタスクを遂行できるようにするフレームワーク。推論(次に何をすべきか)と行動(ツール/API の利用)を交互に実行させる。 |
| ロール プロンプト | モデルに特定の専門家やペルソナを割り当て、出力のトーンや専門性をコントロールする。 |
3-3. モデルの限界と対策
| 限界 | 意味 | 主な対策(Google Cloud推奨) |
|---|---|---|
| ハルシネーション | モデルが事実に反する、もっともらしい嘘を生成すること。 | グラウンディング (RAG) の適用。 |
| ナレッジ カットオフ | モデルの知識がトレーニングデータの収集時点で止まっていること。 | RAG を使用して外部から最新情報を取得する。 |
| バイアス/公平性 | トレーニングデータの偏見をモデルが学習し、不公平な出力をすること。 | データの多様性確保、責任ある AI の原則適用、継続的な評価。 |
| Human in the Loop (HITL) | AI の判断がクリティカルな場合(医療、金融など)、人間がプロセスに介在し、検証や承認を行うことで、システムの安全性と信頼性を確保する。 | - |
4. ビジネス戦略と責任ある AI(試験比重:約 15%)
AI 導入の戦略的側面と倫理的・セキュリティ的側面を理解することが求められます。
4-1. 戦略的なアプローチ
- 戦略の組み合わせ: AI 導入を成功させるには、経営層が示すトップダウンのビジョンと、現場の具体的な課題やアイデアに基づくボトムアップの知見を組み合わせることが不可欠です。
- ユースケースの優先順位付け: ユースケースは、ビジネスインパクトと実現可能性の2軸で評価されます。特に、インパクトが高く実現可能性も高い「Quick Win」から着手することが推奨されます。
- モデル選択の考慮事項: ビジネスニーズに基づき、モダリティ(データタイプ)、コンテキスト ウィンドウ(一度に考慮できるテキスト量)、パフォーマンス(精度、速度、費用)、可用性と信頼性(SLA、冗長性)を考慮して最適なモデルを選びます。
4-2. 責任ある AI とセキュリティ
- 責任ある AI (Responsible AI): AI アプリケーションが害を及ぼさず、倫理的に使用されるようにする指針です。公平性、安全性、プライバシー、アカウンタビリティ、説明可能性といった原則を、AI ライフサイクル全体で考慮する必要があります。
- セキュア AI フレームワーク (SAIF): AI/ML モデルのリスクを管理し、セキュリティを確保するための Google の概念的フレームワークです。従来のセキュリティ対策に加え、プロンプトインジェクションなどの AI 固有の脅威からシステムを保護することを目的としています。
- セキュリティツール: Google Cloud のツール(Cloud IAM、Security Command Center など)を使用して、リソースへのアクセス制御やセキュリティポスチャーの可視化を行い、安全な AI システムの構築と維持をサポートします。
受験のきっかけ
GoogleさんでLT登壇の予定があり、Google関連の資格が無かったのでネタのために取得しました。
また、自作アプリの操作性を自ら体感する目的もあります。
受験勉強の方法
まずは自分が作った問題集を解き、単語やサービスなどを理解した上で公式の問題集を解いて十分に理解できてると判断してから受験しました。
問題集は以下のアプリを使っています(自作アプリ)
※iPhoneしか対応していません・・・
このアプリの情報ページ(アプリを起動して右上に(i)マークがある)の下部に公式チャネル(LINEページ)に飛べるようになっています。(SkillStackGymというLINEチャネルに飛びます。AIが自分のイメージから名前とアイコン作ってくれました)

LINEに飛んだら「問題集」「クラウド」「GoogleCloud」を選択すると問題集が取得できるようになります。

こちらは随時問題集や単語帳は作成中ですが、個人の趣味の範囲なので不定期更新となりますことご了承ください。(リクエストあれば優先的に作ります)
CSV取得したらアプリで問題作成(名前入れて新規)→問題集のフォルダのようなアイコンをクリックして、ページ切替えたら右上の↑(上矢印)をクリックすると問題集をインポートできるようになるので、そこで取得した問題集を選択すれば問題の一覧が並びます。ページ戻って▼で問題開始できますので、やってみてください。
※問題を自作できるようにしているものなので初期状態では何も問題は入っていません。問題集は自分でもつくれます。同じ様式で作ればcsvインポートもできるしアプリ上で直接作成することも可能です。(いつかマニュアル作成します)
50問の問題集が2セットありますが、それぞれ完璧になったら公式の模擬問題を解いて自信がついたら十分でしょう。
模擬問題はこちら
勉強時間
合間にアプリを解いている、という感じで特にまとまった時間を確保して勉強はしていません。(これはあえてです)
試験の難易度も高くないこともありますが、だいたい2週間かかっていない気がします。
移動時間、待ち時間、ちょっとしたリフレッシュ等隙間時間を活用するとなんだかんだ結構時間確保ができるので、アプリの利用は有用でした。
試験当日
自分は試験センターで受けました。
問題は思ったよりも長文問題が多いな、とも思いましたがAIの基礎やGoogleのAIサービスをきちんと理解していればあまり難しいものではありませんでした。
類似問題で選択肢が変わるようなものもあるので、消去法で悩んだときは他の問題解きながら閃くこともあるので一旦チェック入れて振り返るといいと思います。
試験は大体20分くらいで終わった気がします。
画面に合否だけ出て特にプリントをもらうという感じではありませんでした。(画面には合格と出ましたがこの時点では仮合格らしいです)
2~3日後に正規の合格メールが来た感じです。
最後に
試験を受け、AIの基礎の復習やGoogleのAIサービスをしっかり学べたので非常に良い経験になりました。他の試験を受けるかは検討中ですが、自己研鑽は引き続き続けていこうと思います。
アプリは自画自賛になりますが、ホントに理想的なものができたと思っています。(作りが少し複雑なので所見だと扱いにくいところがあるかもしれませんが・・・)
それでは頑張ってください。
最後まで見て頂いてありがとうございました。



