1. はじめに
2025/6/16~17に東京(お台場)で開催された「KubeCon+CloudNativeCon Japan 2025」(以下Kubecon)に初参加しました。以前から一度参加してみたいとは思っていたのですが、今回は日本開催(初!)ということで、比較的ハードルが低く、ついに念願の初参加となりました。
普段からガッツリK8sを使っているわけではなく、技術的についていけなかったセッションが多かったのですが、初心者目線で雰囲気をレポートしたいと思います。(技術的な内容は不正確かもしれません…)
自分のレベル感としては以下になります。
- 以前CKA取得のために学習して、最低限の基本用語は分かっているが、普段触っていないので、いざとなるとkubectl get pods みたいな基本的なコマンドしかできない
- AWSのEKSしか使っていないので、コントロールプレーン管理、アドオン管理、各種アップグレードなどがAWS頼りになっており、自分でできない
2. 開催概要
- 日時: 2025/6/16(月), 17(火)
- 場所: ヒルトン東京お台場
- 参加: 1,500名(満員、チケット売切とのこと)
- 内容: Keynote、ブレイクアウトセッション、スポンサー展示など
※付帯イベントとして、別の日にもJapan Community Dayなどが開催されていましたが、都合が合わず残念
3. Keynote
1,2日目の午前中にそれぞれKeynoteがありました。いくつかピックアップします。
Keynote: Community Opening Remarks - Chris Aniszczyk, CTO, Cloud Native Computing Foundation
Keynoteの最初のスピーカーで、CNCFの活動状況についての紹介がありました。
今回は初の日本開催ですが、非常に盛況で、定員の1500名が売切れたとのこと。

日本人が始めた or リードしているプロジェクトに以下があるとのこと。containerd以外は名前を聞いたことがあるかどうか…というレベルでしたので勉強が必要…。

Keynote: Service Mesh is Evolving into the Service Network - Lin Sun, Head of Open Source, Solo.io
ユーザからのRAGアプリケーションへのアクセスを、Istio Ambient Meshを用いて旧アプリ⇒新アプリへスムーズに切替えるデモでした。(Ambient Meshという新型のIstioがあることを初めて知りました…)

Keynote: From ECS To Kubernetes (and Sometimes Back Again): A Pragmatist's Guide To Migration - Marc Hildenbrand, Canva
ECSからEKSに移行したというCanva社の発表でした。我々もECS/EKS両方の環境があり、「結局どちらがいいのか…?」と悩んでいて、このセッションは気になっていたのですが、「ECSのどこに課題があってEKSに移行したのか?」という理由の部分があまり語られず、EKSへの移行方法にフォーカスした説明でしたので、少し残念でした。

移行のステップごとの苦労点、注意事項が和風デザインでまとめられていました。
4. ブレイクアウトセッション
ブレイクアウトセッションは複数の部屋で並行して講演が行われます。こちらもいくつかピックアップします。
The Grand Adventure of Production Apps: Build, Break, and Survive! ~ A Kawaii Manga Journey Through - Aoi Takahashi, Independent
割と初心者向けで私にちょうどよいセッションでした。猫の勇者になって、武器(kubectl)を手に各種トラブルを解決していくストーリーとなっています。技術的な内容を分かりやすく、かつ楽しく伝えられるのはすばらしいなと思いました。登壇者の方の執筆されたK8s入門書籍もあるようなのでチェックしたいと思います。

ContainerがReadyにならない場合のログの見方などを解説。
What's New in Open Source Kubernetes? - Kaslin Fields, Google
K8s(Upstream)の最近の主要な変更・改善について紹介するセッションです。内容はまあまあ難しいと思うのですが、すごく楽しく解説するプレゼンテクが素晴らしいと思いました。

以下のアジェンダでの紹介がありました。いろいろ知らないことが多くて勉強になりました。
- K8sの機能追加はKEP(Kubernetes Enhancement Proposal)という仕組みで管理されていること
- Gateway APIというネットワーク機能(Ingressとは別)が提供されていること(EKSだと利用は難しい?のでなじみがなかった)
- registry.k8s.io への移行によりCNCFのコスト負担減やネットワーク最適化が行われていること など

No More Disruption: PlayStation Network’s Approaches To Avoid Outages on Kubernetes Platform - Tomoyuki Ehira & Shuhei Nagata, Sony Interactive Entertainment
PlayStation Network (PSN) の安定稼働のためにどんなことを行っているかの発表でした。10,000台以上のワーカーノード、10万個以上のpodが稼働する大規模なEKS環境で、99.995%の稼働率を実現しているとのこと。
オーバープロビジョニングによるスケーリングの高速化など、一部「うちでもやってる!」というものもありましたが、設計面、運用面でたくさんの工夫がされており、真似できるものは取り入れたいと思いました。

「普通のことを普通にやる」とのことですが、大規模な環境でそれができるのがすごいところと思いました。
5. 展示
スポンサーやK8s Projectメンバーなどの展示ブースがありました。
GoogleやAWSのK8s関連のマネージドサービス情報、Lineヤフーやメルカリなどの大規模導入事例、KubecostやOctopusDeployなど日本ではあまり見ない企業のサービス・製品について聞くことができました。
また、一緒に参加したチームメンバーが、Cillium(cniのプロジェクト)のブースで、気になっているIssue(ipv6のL2 announcement)について質問したりしていて、現地参加した意義があるなと思いました。
6. その他(会場の様子)
昼食やコーヒータイム(おやつが充実!)、また1日目の最後にはパーティタイムがあり、他の参加者との交流を楽しむことができました。
以前、OpenStack導入などのOSS関連の業務を少ししていたため、その頃付き合いのあった方と数年ぶりにお会いするなど、様々な情報交換ができました。


Job Boardもありました。

7. 所感、今後のアクション
- 普段普通にEKSを使っているだけでは得られない最新情報・ノウハウが学べたり、またCNCFやユーザ企業の方の熱いプレゼンを聴いて刺激が得られたりで、有意義な時間を過ごすことができました。学んだことを業務に活かしていきたいと思います。
- 学習バックログ
- AWS EKS Auto Mode を使ってみる
- 普通のistioの復習と、istio ambient meshを使ってみる
- Akamaiにサインアップして何か作ってみる(K8sと関係ないが、展示ブースでプロモコードをもらったため) など