始めに
2017年10月15日に2回目の応用情報技術者試験を受験し、合格することができました。
今回はその際の体験に基づいて、応用情報技術者試験の対策方法についてまとめたいと思います。
当時のスペック
SIerで働く1年目SEでした。文系の学部卒業ですが、ITパスポート、基本情報については学生時代に取得済みでした。また入社後の2か月間の新入社員研修で基本的なITに関する知識は身に着けていました。
ITパスポート、基本情報の受験に関しては以下でまとめていますので、参考にどうぞ。
試験情報
応用情報技術者試験とは
1.対象者像
高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者
2.役割と業務
基本戦略立案又はITソリューション・製品・サービスを実現する業務に従事し、独力で次のいずれかの役割を果たす。
(1) 需要者(企業経営、社会システム)が直面する課題に対して、情報技術を活用した戦略を立案する。
(2) システムの設計・開発を行い、又は汎用製品の最適組合せ(インテグレーション)によって、信頼性・生産性の高いシステムを構築する。また、その安定的な運用サービスを実現する。
(参照)IPA 応用情報技術者試験(AP)
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/ap.html
応用情報技術者試験とは、ITエンジニアとして求められるある程度高度な技術や知識を持ち、上位者の方針を理解して自ら業務を行うことができることを証明する国家資格です。
IT企業に入社してから基本情報を取得後に、取得することを奨励される資格です。管理や経営といった技術以外の知識についても身につきます。
また、基本情報と同様に、企業によっては合格することで報酬金や資格手当が出ることもあるようです。(私が勤務している会社でも報酬金が出ました)
(参考)IPA 情報処理技術者試験の活用事例
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_22example/index.html
難易度
応用情報技術者試験はIPAが公開している情報処理試験区分によると4段階中で3段階目にあたります。
出題される内容は基本情報の延長ではありますが、より高度な内容が出題されますので、ある程度難しい試験と言えます。(私も1度落ちてしまいました...)
(参考)IPA 試験区分一覧
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html
受験層と合格率
IPAが公開している統計情報によると、平成30年春季の受験者の平均年齢は30.9歳で合格者の平均年齢は29.3歳となっています。
また、合格率については毎回概ね20%の人が合格しているようです。
年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2018年春 | 49,223 | 30,435 | 6,917 | 22.7 |
2017年秋 | 50,969 | 33,104 | 7,216 | 21.8 |
2017年春 | 49,333 | 31,932 | 6,443 | 20.2 |
2016年秋 | 52,845 | 35,064 | 7,511 | 21.4 |
2016年春 | 44,102 | 28,229 | 5,801 | 20.5 |
(参照)IPA 公式統計情報
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/toukei_h30a_oubo.pdf
試験内容
試験は午前試験と午後試験に分かれ、両方とも60点以上を取得する必要があります。
基本情報と違い、免除制度などは存在せず、必ず両方の試験を受験する必要があります。
午前試験に合格していないと午後の試験は採点すらしてもらえません。
また、午後試験に関しては記述式となっています。
- | 午前 | 午後 |
---|---|---|
試験時間 | 9:30~12:00(150分) | 13:00~15:30(150分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 記述式 |
出題数 | 80問 | 11問 |
解答数 | 80問 | 5問 |
合格基準 | 60点以上/100点 | 60点以上/100点 |
受験のきっかけ
私が合格した2017年10月の試験は2回目の受験で、最初に受験したのは2017年4月の試験でした。
当時は2016年10月の試験で基本情報に合格していたこともあり、内容を忘れてしまわないうちに取得してしまおうと思い、受験しました。
しかし、午前の試験は合格点を取ることができたのですが、午後の試験で1点足らずに落ちてしまいました...
前回の試験でギリギリで落ちて悔しい思いをしたことと、年次を重ねて仕事が忙しくなる前に取得しておきたかったことから、2度目の受験をすることとしました。
勉強のデータ
勉強期間
勉強の期間は4カ月程でした。詳細な勉強時間は記録出来ていないのですが、合計で150時間程だと思われます。
この数字は2回の受験の合計であり、働き始めたこともあり、2度目の受験の方が勉強時間は少なかったです。(おそらく60時間程度です。)
結果
結果としては午前75点。午後63点で合格出来ました!(基本情報と同様に午後試験がギリギリでした)
※試験結果画面のスクショを取り忘れてしまったので、表で記載します。
午前分野別得点
分野 | 得点(得点率) | 満点 |
---|---|---|
ストラテジ系 | 18.75点(75%) | 25.00点 |
マネジメント系 | 11.25点(90.0%) | 12.50点 |
テクノロジ系 | 45.00点(72.0%) | 62.50点 |
おすすめの参考書
私が実際に使用してよかった参考書を紹介します。
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キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者 平成30年度 (情報処理技術者試験)
私にとって安心・安定のキタミ式です。ITパスポート、基本情報もこのシリーズの本で勉強しました。1度目の受験の際にはまだ発売されていなかったのですが、2度目の受験の際には発売されたため、すぐに買いました。イラストが豊富で読みやすく、内容も分かりやすくまとめられています。また文字の羅列ではなく、キャラクター同士の会話などもあり、飽きずに読むことができました。午前問題のインプットとしては十分なのですが、午後問題のインプットには不十分です。 -
平成30年度【春期】【秋期】応用情報技術者 合格教本 (情報処理技術者試験)
よくまとまっているのですが、情報量が多く、遊びも少ないため読むのはなかなかしんどかったです。教科書的な本と言えばいいでしょうか。午前の対策をするには情報過多ですが、午後の対策には必要です。午後の試験で受験する分野とネットワークについては内容を頭に入れておいた方がいいです。(解答が必須のセキュリティではネットワークの知識も必要なため) -
平成30年度【秋期】 応用情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集 (情報処理技術者試験)
大きめのサイズで勉強し易かったです。
過去問については特にこだわらなくていいと思いますので、無料で過去問を掲載しているサイトで勉強してもいいかもしれません。 -
2018 応用情報技術者 午後問題の重点対策 (午後問題対策シリーズ)
午後試験の過去問が分野別にまとまっています。解説が丁寧でなぜその解答になるのか理解しやすいです。午後試験は記述式なので、解答よりも解答を導くプロセスを理解することが大事です。個人的には前述のパーフェクトラーニングよりもこちらの解説の方が勉強になりました。また、掲載問題数もこちらの方が多いため、ぜひ取り組んでみてください。
おすすめの勉強方法
午前編
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午前問題よりも午後問題の対策に時間をかけるべし
午前問題についてですが、基本情報とそこまで難易度は変わらないです。また、応用情報を受ける方は既に基本情報を持っている方が多いと思いますので、基礎的な知識が問われる午前問題よりも、より応用的な内容を問われる午後問題の対策に時間をかけた方がいいです。特に、午後問題は記述式であるため、きちんと解答を記述することに時間をかけましょう。 -
インプットはサクっと終わらせて、過去問演習に力を入れるべし
基本情報と同様に応用情報でも午前問題は過去問から毎回一定数の同様の問題がある出題されます。(数字が変わるとかそんな事も無く、本当にそのまま出ます。)割合としては3割程度です。そのため、午前問題対策はキタミ式をサクっと1周してから過去問演習に力を入れましょう。過去問演習をする上で苦手な内容については適宜キタミ式を復習してください。 -
過去問演習はアプリを有効活用すべし
基本情報と同様に午前問題の過去問はアプリで出来ます。電車の中などの移動中にサクッと出来るのでぜひ有効活用してください。おすすめは知識のみで解ける問題は移動中に行い、計算が必要な問題は自宅でじっくり取り組む事です。
午後編
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得意な分野で勝負すべし
午後試験の出題は全11問から5問解答します。
問1の情報セキュリティは回答が必須で、問2~11の中から4問を選択して回答します。ちなみに私が回答したのは以下の表で★がついているものです。
問題番号 | 分野 | 配点 |
---|---|---|
問1 | ★情報セキュリティ(必須) | 20点 |
問2 | ★経営戦略 | 20点 |
問3 | プログラミング | 20点 |
問4 | システムアーキテクチャ | 20点 |
問5 | ネットワーク | 20点 |
問6 | データベース | 20点 |
問7 | 組み込みシステム開発 | 20点 |
問8 | 情報システム開発 | 20点 |
問9 | ★プロジェクトマネジメント | 20点 |
問10 | ★サービスマネジメント | 20点 |
問11 | ★システム監査 | 20点 |
お気づきの方も多いと思いますが、必須の情報セキュリティ以外はマネジメント系・ストラテジ系しか選択していません。エンジニアとして恥ずかしくないの?といった感じですが、1度目の試験で落ちてしまったこともあり、2度目でどうしても合格したかったため自分の得意な分野を選択しました。試験は受かってなんぼだと思いますので、**無理に苦手な分野に挑戦するよりも自分な得意な分野で受験した方がいいです。**苦手な部分に関しては試験に受かった後に勉強すればいいのです。(私もテクノロジ系の部分に関しては合格後に勉強しました)
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過去問の解答は必ず紙に書くべし
何度も言っていますが、午後問題は記述式です。そのため実際に自分の言葉で解答を記述するといった練習をする必要があります。**なんとなく解答を考えてポイントがあっていればそれでいいといった考え方は危険です。**なんとなくの考えを定められた文字数以内にまとめることは簡単ではないです。そのため、必ず解答を紙に書いて問題を解くことをおすすめします。また、問題を解き終わった後の解答は残しておくことをおすすめします。そうすることで後から振り返ることができ、自身の癖や傾向を把握することができます。
まとめ
IT業界(特にSIer)では基本情報はほぼ持っていて当たり前の資格ですが、応用情報は持っているとある程度は評価されます。特に若手の方は取得することで周囲と差別化できますので、ぜひ受験されてはいかがでしょうか。