はじめに
「QAの仕事って、結局は仕様書通りに動くかを確認するテストだけでしょ?」
もしあなたが開発エンジニアなら、そう思うこともあるかもしれません。
今回は、私が途中から参加したあるシステム刷新プロジェクトの話です。開発とQAがどうやって壁を乗り越え、ひとつのチームとして品質に向き合ったか。その試行錯誤のプロセスを、振り返りとして綴ってみたいと思います。
手探りで掴んだシステムの「心臓」
私がジョインしたのは、すでに開発が走り出しているタイミングでした。
対象は、法人向け研修に講師をアサインする社内システムの刷新。属人化していた業務をシステム化して、あちこちに散らばっていた情報を集約するという、なかなか骨のあるプロジェクトです。
設計フェーズからの参加とはいえ、開発レビューには参加できていない状況。まずはドキュメントを読み込み、仕様を理解することから私の役割はスタートしました。
開発チームはすでにフロントエンドとバックエンドの実装に入っており、日々開発が進んでいく状況です。そのスピード感の一方で、まだ全体像を掴みきれていない自分は、少しだけチームの流れに乗れていないような、そんなもどかしさを感じていました。
まずはシステムの「心臓」である「講師アサイン担当者のペイン解消」をしっかり理解して、自分に何ができるかを探ることから始めました。
静かな壁と、小さな一歩
当時、チームは結成から半年ほど。開発フローも手探りでしたが、「QAが入ってくれたら品質が良くなるはずだから、ぜひ入ってほしい!」という期待の声はすごく大きかったんです。
ただ、具体的に「いつ」「何を」するかまでは決まっていなくて(笑)。とりあえず「まずは結合・総合テストをお願い!」という、期待と丸投げが入り混じったような(?)、ざっくりとしたスタートでした。
そのため、開発とQAの工程が分断されていて、ドキュメントだけじゃ設計の意図が見えない。「このエラー文言、ユーザー迷わないかな?」と、テスト設計をしていると「?」がたくさん浮かんできます。
そこで、チャットで「質問という名の対話」を始めてみることにしました。
正直、最初はかっこいい質問なんてできなくて、「ここの仕様、どうなってますか?」くらいの、かなりざっくりした質問を投げちゃってたんです(笑)。
「こんな適当な質問で大丈夫かな…」とおそるおそる投げてみたんですが、エンジニアたちはそんな質問にも嫌な顔ひとつせず、すごく真摯に答えてくれて。この小さなやりとりが、チームの壁を取り払うきっかけになりました。
「最後の砦」から「一番の相談相手」へ
いざ結合テストが始まると、現実は甘くありませんでした。機能的なバグがポコポコ出てきて、修正待ちでテストが止まっちゃう…なんてピンチに。
そこで私は「テストを止めない」ための工夫をしました。
時間がかかりそうな重いバグは早めに見つけて、影響が少なそうなものは後回しにする。優先順位をパズルみたいに柔軟に入れ替えて、開発メンバーが修正に集中できるリズムを作ったんです。
このちょっと泥臭い連携のおかげで、結合テストでは実に63件もの不具合を見つけ出し、修正しきることができました。膿を出し切ったおかげで、続く総合テストは予定通り期間内に完了。「使い心地」や「UI」をじっくり確認できる、平和な時間を確保できたんです。
そんな中、ある出来事が。
私がユーザー視点で「もし直前に講師がNGになったら?」みたいな「もしも」のシナリオを共有した時のことです。「うわ、そのパターン漏れてました!助かります!」って、すごく感謝されたんです。
この出来事をきっかけに、チームとの距離がグッと縮まった気がします。「QAって、ただテストするだけじゃなくて、自分たちが気づかないところをフォローしてくれる存在なんだ」って、なんとなく信頼してもらえたような。
それからは「ここ、QA的にどう思います?」なんて相談が自然と飛んでくるようになって。気づけば「外の人」ではなく、頼れるチームの一員として、リリースまで一緒に走ることができました。
リリースは新たなスタートライン
無事リリースを迎えましたが、私たちの物語はここで終わりません。
「次はもっと良くしたいよね」と、職種関係なく全員で振り返り(KPT)を行いました。
そこで、GitHubでの課題管理やユーザーテストといった良かった点は継続しつつ、ドキュメント不足などの課題に対しては、次は「設計の超初期段階からQAも参画する」「品質向上のため2週間スプリントを試してみる」といった、具体的なアクションを決めることができました。
リリースというゴールが、より良いチームになるためのスタートラインに変わった瞬間でした。
おわりに
社内内製による刷新プロジェクトは、まだ始まったばかりです。
この経験を通じて感じたのは、純粋な「楽しさ」でした。みんなの力でプロダクトが洗練されて、対話を通じてチームの雰囲気が良くなって、「もっと良くするには?」と全員で前を向ける文化。これこそ、チーム開発の醍醐味ですよね。