この記事は、「架空プロジェクトを通してシステム開発とドキュメント作成を体験してみる(2022 Late)」の記事の一部です。
運用計画書の概要
運用計画書は運用業務の定義、対応方法、体制などを記述します。
一般には運用計画書は保守計画書と合わせて作成しますが、ここでは運用計画書に必要な内容をマージしています。
なぜそうするのかは、作成方針・ポイントで記述します。
資料の概要は下記の感じです。
項目 | 内容 |
---|---|
作成目的 | 運用業務の定義、対応体制等を記載 |
記述すべき内容 | 運用業務とは、内容、体制 |
作成タイミング | リリース前のどこか |
対象者 | 運用対応者(非技術者、技術者) |
ファイル形式 | パワーポイント、Excel、Word |
備考 | 私はあまり運用と保守を区別しません(それを定義はします) |
一般的にはどうなのか?が気になる人は後半にある「一般的には(参考)」に先に目を通してもらったほうがいいかもしれません。
サンプルダウンロード
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作成してみる
では、作成していきましょう。
作成方針・ポイント
そもそも、みなさん運用って何だかわかりますか?さらに、運用と保守の違いってわかりますか?
ちなみに、私はよくわかりません(苦笑)。運用を計画する前に、そもそも運用とは何かを考える必要がありますね。
実践ガイドブックでもこれらの違いを理解しないとだめだよ!と書かれており、運用と保守は以下のように說明されています。
- 運用:情報システムの機能を利用者に提供し続けるための活動
- 保守:情報システム(インフラ含む)が予定された機能・レベルを提供するように、情報システムそのものを維持するために情報システムに対して働きかける活動
わかるような、わからないような。
実際の作業として以下のような内容が紹介されています(第3編9章 運用及び保守 P7, 8)。
実践ガイドブックが想定する運用は下段にある「運用報告書テンプレート」の目次を見たほうがイメージしやすいかも。
どうですか?わかります?
自分なりに要約すると、
- 日常的な監視、バックアップ、(システム利用の)サポート等は運用
- たまにあるハードとかソフトのアップデート、障害原因調査、監査対応とかは保守
って感じなんでしょうか。
でも、監視してエラーならそのまま原因解明するし、そもそもサーバレス環境を多用する私にとってはそもそもバックアップを取る概念がないし(Gmailのバックアップとってます?)、インフラとかOSのアップデートいらないし、開発物もCI/CD(開発者が開発の1行為として)で随時アップデートするし・・・となると明確な区別はないですし(まあ、いわゆるDevOps?)。。。
英語にしたほうがわかりやすいかも? 運用 = Operation, 保守 = Maintenance
そんな中、私の出した結論は、
- (システム)運用と保守は特に区別しない(区別する合理的理由がみつからない)
- 運用はシステム運用と業務運用で明確に区別する(これは分けておかないとおかしな話になる)
- システム運用:システムを安定稼働させるために必要な業務全て
- 業務運用:システムを使っておこなう一般業務
というものです。これを前提に計画書を作成してみたいと思います。
構成(目次)を考える
今回は下記のような項目を記述してみました。
- 運用業務一覧
- 運用体制
- コミュニケーション
- インシデントレベル
- インシデントレベルとエスカレーションフロー
- 連絡先リスト
- 運用テスト
各内容を記述する(サンプルの說明)
では、構成に従って作成したサンプルの内容について解説したいと思います。
表紙
目次
運用業務一覧
作成のポイントでも触れましたが、言葉の定義が曖昧だったりするので「運用業務とは以下ですよ!」と定義しています。
運用体制
体制図。外部会社とかが絡む場合はその旨明記し、分掌、契約内容等も明示しておきます。
参考:架空社への委託内容(システム運用)
外部委託の内容や分掌を補足。
コミュニケーション
連絡の種類や方法について記述しています。
インシデントレベル
発生事象によって対応が異なるので発生事象(インシデント)のレベルを定義しています。
インシデントレベルとエスカレーションフロー
インシデントのレベルに応じた連絡体制などを定義しています。
連絡先リスト
具体的な連絡先や、主担当、副担当等も決めておきます。
実業務では土日祝日どうするか?というのを明示的に決めておくのも重要です。
運用テスト
簡単に運用テストについても記述。
一般的には(参考)
実践ガイドブックでは?
実践ガイドブックでは運用と保守が区別され、それぞれに対して、計画書、要領、報告書のテンプレートが提供されています(保守は報告書のテンプレートはないです)。
なお、実践ガイドブックでの運用とはシステム運用のことです。
運用計画書
作業の概要、体制、スケジュール、納品方法など。
運用実施要領
こっちが本命って感じでしょうか。
でも、ITILとかに準拠してるわけでもなさそう。
運用報告書
これ、いつ(どんな頻度で)出す資料想定なんだろ?重め。ただ、報告すべき項目集としては参考になりますね。
保守計画書
運用とほぼ同じ。
保守実施要領
運用とほぼ同じ。