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Django+Reactで学ぶプログラミング基礎(30): Reduxチュートリアル(概念とデータフローの詳細)

Last updated at Posted at 2022-06-18
[前回] Django+Reactで学ぶプログラミング基礎(29): Reduxチュートリアル(構成要素とデータフローの概要)

はじめに

前回は、Reduxの概念とデータフローの概要を勉強しました。
今回は、Reduxの概念とデータフローを深掘りします。

今回の内容

Reduxの概念とデータフロー

  • バックグラウンドのコンセプト
  • Reduxの用語
  • コアコンセプトと原理
  • Reduxアプリのデータフロー

バックグラウンドのコンセプト

状態管理

Reduxカウンターコンポーネントの例

  • コンポーネントのstateとなるカウンターを追跡し
  • ボタンがクリックされるたびにカウンターをインクリメント
  • 自己完結型のアプリ(self-contained app)で、下記要素を含む
    • state: アプリを動かす真実の源
    • view: 現在のstateに基づくUIの宣言型説明
    • actions: ユーザー入力により発生するイベント、またはstateを更新するトリガー
function Counter() {
  // State: a counter value
  const [counter, setCounter] = useState(0)

  // Action: code that causes an update to the state when something happens
  const increment = () => {
    setCounter(prevCounter => prevCounter + 1)
  }

  // View: the UI definition
  return (
    <div>
      Value: {counter} <button onClick={increment}>Increment</button>
    </div>
  )
}

一方向データフローの例

  • ①state
    • 特定の時点でのアプリの状態を表す
  • ②view(UI)
    • stateに基づき、レンダリング
  • ③actions
    • ユーザーのボタンクリックなどによりイベント発生すると、stateが更新される
  • ④view(UI)
    • UIは新しいstateに基づき、再レンダリングされる

image.png

※ 引用元: 一方向データフロー

複数コンポーネントで同じstateを共有したい

  • 候補案: 親コンポーネントにstateをリフトアップ(移管)する
    • 解決できる場合もあるが、必ずしも役立つとは限らない
  • 解決策: コンポーネントから共有stateを抽出し、コンポーネントツリー外側の中央に配置
    • コンポーネントツリーは大きなviewとなり、どのコンポーネントからも以下操作が可能
      • stateにアクセス
      • actionをトリガー

Reduxでstateの基本的な考え方

  • state管理の概念を定義し、viewから分離

    • viewとstate間で独立性を維持
    • コード構造化と保守性を向上
  • アプリのグローバルなstateを、同じ場所にまとめて保持

    • state更新時に従うべきパターンをあらかじめ定義し
      • コードを予測可能なものにする

イミュータビリティ(不変性)

  • ミュータブルとは、変更可能であること
    • JavaScriptオブジェクトと配列は、デフォルトで変更可能
    • メモリ上で同じオブジェクト/配列への参照であっても、オブジェクトの内容を変更可能
const obj = { a: 1, b: 2 }
// オブジェクト自身を変えず、そのフィールドを変えられる
obj.b = 3

const arr = ['a', 'b']
// 配列自身を変えず、その要素を変えられる
arr.push('c')
arr[1] = 'd'
  • イミュータブルとは、不変であること
    • Reduxで、すべてのstate更新がイミュータブルに行われる必要あり
    • 値をイミュータブルに更新するには、既存のオブジェクト/配列のコピーを作成し、そのコピーを変更
      • 方法1: JavaScriptの配列/オブジェクトスプレッド演算子
      • 方法2: 元配列の新しいコピーを返す配列メソッドを使用
const obj = {
  a: {
    // 安全にobj.a.cを更新するためには, オブジェクトのコピーが必要
    c: 3
  },
  b: 2
}

const obj2 = {
  // スプレッド演算子で、オブジェクトをコピー
  ...obj,
  // aを書き換える
  a: {
    // obj.aをコピー
    ...obj.a,
    // cを書き換える
    c: 42
  }
}

const arr = ['a', 'b']
// 配列の新しいコピーを作成し, 末尾に`c`を追加
const arr2 = arr.concat('c')

// または、元の配列のコピーを作成
const arr3 = arr.slice()
// コピーを書き換える(ミューテート)
arr3.push('c')

Reduxの用語

Actions

  • アプリで発生したことを説明するイベント
  • プレーンなJavaScriptオブジェクト
  • typeフィールド
    • actionを一意識別する、わかりやすい名前
    • 通常、domain/eventNameのような文字列で記述
      • 最初のdomainは、acitonが属する機能またはカテゴリ
      • 2番目のeventNameは、発生した特定イベント
  • payloadフィールド
    • 発生イベントの追加情報
const addTodoAction = {
  type: 'todos/todoAdded',
  payload: 'Buy milk'
}

Reducer

  • 現在のstateとactionを受け取り、stateの更新方法を決定し、新しいstateを返す関数

    • (state、action) => newState
    • 受信したaction(イベント)タイプに基づき、イベントを処理するイベントリスナーを決める
  • Reducer関数が従うべきルール

    • stateの更新は、イミュータブルである必要あり
      • stateとaction引数を受け取り、新しいstateを計算するのみ
      • 既存のstateを変更してはいけない
      • 既存のstateをコピーし、コピーされた値に変更を加える
    • 非同期ロジックを実行してはいけない
    • ランダムな値を計算してはいけない
  • Reducer関数内ロジックの手順

    • reducerが対応すべきactionの場合
      • stateのコピーを作成し、コピーを更新してから、返す
    • それ以外の場合
      • 既存のstateを変更せず、そのまま返す
const initialState = { value: 0 }

function counterReducer(state = initialState, action) {
  // reducerがactionを処理すべきか
  if (action.type === 'counter/incremented') {
    // stateのコピーを作成
    return {
      ...state,
      // コピーを新しい値に更新
      value: state.value + 1
    }
  }
  // さもなければ、既存stateをそのまま返す
  return state
}

Store

  • Reduxアプリのstateは、storeオブジェクトに存在
  • configureStoreメソッドにreducerを渡し実行することで、storeを作成
  • getStateメソッドを用いて、現在のstateを返す
import { configureStore } from '@reduxjs/toolkit'

const store = configureStore({ reducer: counterReducer })

console.log(store.getState())
// {value: 0}

Dispatch

  • stateを更新する唯一の手段は、
    • store.dispatchメソッドにactionオブジェクトを渡し、実行すること
  • storeは、reducer関数を実行し、新しいstate値を保存
  • getState()メソッドを用いて、更新されたstate値を取得
  • アプリでは、actionのdispatchをイベントのトリガーと見做すことができる
    • 何かイベントが起こったら、storeにそれを伝える
    • reducerは、イベントリスナーのように振る舞う
      • 関連するactionを受け取ったら、それに応じてstateを更新
store.dispatch({ type: 'counter/incremented' })

console.log(store.getState())
// {value: 1}

Selector

  • storeのstate値から特定情報を抽出するための関数
  • アプリが大きくなると、さまざまな部分で同じデータを読み取る必要が生じる
    • 共通関数化により、同じロジックの繰り返しを回避
const selectCounterValue = state => state.value

const currentValue = selectCounterValue(store.getState())
console.log(currentValue)
// 2

コアコンセプトと原理

信頼できる唯一の情報源は、一ヵ所にまとまって保存されるstate

  • アプリのグローバルstateは、単一のstoreにオブジェクトとして保存される

    • 特定のstateは、複数場所で複製されるのではなく、一つの場所にのみ存在する必要あり
  • これにより、状況の変化に応じてアプリの状態をデバッグ/調査しやすくなる

    • アプリ全体とやり取りするために必要なロジックを一元化できる
  • アプリで、すべてのstateがstoreに保存されるとは限らない

    • stateの一部がReduxに属するかUIコンポーネントに属するかを決定する必要あり
  • stateは読み取り専用

    • stateを変更する唯一の方法は、何が起こったかを示すactionオブジェクトをdispatchすること
    • メリット1: UIが誤ってデータを上書きすることを回避
    • メリット2: stateの更新が発生した理由を簡単に追跡できる
    • actionはプレーンなJSオブジェクトであるため
      • ログに記録可能
      • シリアル化して保存可能
      • デバッグやテストの目的で再生可能
  • stateの変更は、純粋(Pure)なreducer関数により行われる

    • reducer関数で、actionに基づきstateツリーを更新する方法を定義
    • reducer関数は、前のstateとactionを取り、次のstateを返す純粋関数(Pure Function)
      • reducerを小さな関数に分割し作業を支援したり
      • 一般的なタスク用に再利用可能なreducerを作成可能

Reduxアプリのデータフロー

一方向データフロー手順を詳細に分割

image.png

※ 引用元: Reduxのデータフロー

初期設定フェーズ

  • storeは、root reducer関数を使用し、作成される
    • storeはroot reducerを1回呼び出し、戻り値を初期状態として保存
    • UIが最初にレンダリングされるとき、UIコンポーネントはRedux storeの現在stateにアクセス
      • stateを使用し、何をレンダリングするか決定
      • store更新をsubscribeしておくと、stateの更新を検知できる

更新フェーズ

  • アプリで、ユーザーがボタンをクリックするなどイベント発生
    • アプリコードは、actionをRedux storeにdispatch
      • dispatch({type: 'counter/incremented'})
  • storeは、前のstateと現在のactionで、reducer関数を再度実行
    • 戻り値を新しいstateとして保存
  • storeは、subscribeされているUIに、store更新を通知
  • storeからのstate値を必要とする各UIコンポーネントは、stateが変更されているか確認
  • state更新を検知した各UIコンポーネントは、新しいstateで強制的に再レン​​ダリングする
    • 画面の表示内容が更新される

おわりに

Reduxの概念とデータフローを深掘りしました。
次回も続きます。お楽しみに。

[次回] Django+Reactで学ぶプログラミング基礎(31): Reduxチュートリアル(Todoアプリの要件定義と設計)
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