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はじめての Salesforce【エンジニア向け】

Last updated at Posted at 2020-11-21

社内の基幹システムを Salesforce に統合することになったので、業務で得られた知見をアウトプットする。
本記事は Salesforce 超初心者向けとする。

Salesforce とは

Salesforce は所謂ローコードツールのひとつで、ざっくり言うとプログラマでなくてもWebアプリケーションが作れるというもの。
世界でもっとも売れているクラウド型のSFA/CRM(営業支援・顧客管理)プラットフォームである。
提供するのは米セールスフォース・ドットコム社で、B2B最大手のSaaS企業。若い企業だが時価総額はトヨタ自動車を超える。Herokuを傘下に収める。Slackを約3兆円で買収1することでも話題になった。
Microsoft365にAzure、AWS等、他のプラットフォームにもサービスコネクタ(連携API)が豊富に用意されているので、業務アプリケーション寄りエンジニア(AE)でなくても名前くらいは聞いたことがあると思う。
salesforce連携

エンジニアからみた Salesforce

エンジニアなら、やはり開発言語は気になるところ。
Java を易しくしたようなApex、そして、SQLORM を足したようなSOQLという専用言語を使うらしい。ユーザーインターフェースはVisualforceというHTML類似のマークアップ言語で定義する。いずれも、標準のカスタマイズでは実現できない要件に限り用いることになるが、フロントエンドエンジニアならその専門領域を存分に発揮できるだろう。

ApexはサーバサイドのプログラムだがVisualforceと合わせることで Servlet/JSP ライクに使える。

Apex
class Example {
    public String greet() {
        return 'Hello, world !';
    }
}
Visualforce
<apex:page>
    <h1>Example</h1>
    <p>
        <apex:outputText value="{! 'Hello, world !' }"/>
    </p>
</apex:page>

勿論 JavaScript を含められるので、React や Vue.js を載せることもできるが、Lightning Component フレームワークを使うのが Salesforce 的には推奨のようだ。

開発環境はブラウザ内で完結するが、Salesforce CLI を使うと、Visual Studio Code と連携できる。

作成したアドオンやコンポーネント、ビジネスアプリケーションは、Salesforce が提供する企業向けアプリマーケット AppExchange で公開(販売)できる。

Salesforce を構成する主なプロダクト

Salesforce の利用料金は、プロダクトとエディション、サポートプランによって決まる。
主なプロダクトは次の通り。

Sales Cloud

SFAに特化。営業・マーケティングを主な対象業務とする。
商談管理、Chatter(チャター)と呼ばれる社内SNS、レポート作成、ダッシュボード機能がある。

Service Cloud

カスタマーサポートに特化。コンタクトセンター・カスタマーサービス・フィールドサービスを主な対象業務とする。
サービス契約、ナレッジ、チャット機能がある。

営業の最前線に Sales Cloud、アフターサポートに Service Cloud という棲み分けであるが、近年はその差が曖昧になってきているようだ。

Salesforce Platform(Lightning Platform)

Salesforce から、上記 Sales Cloud、Service Cloud の機能を除いたもの。旧 Force.com。
つまり、ローコードで独自アプリケーションを開発できるPaaS環境である。
CRMオブジェクト(テーブル)は無いが、独自のカスタムオブジェクトを作成できる。
コストを抑えて小さく始めたい人向き。

Experience Cloud(Community Cloud)

企業やユーザー同士のコミュニティサイト、FAQの機能を提供する。
このようなサイトを運営する場合、ゲストユーザのアクセス権限を適切に設定しておかないと、148万件の企業・個人情報流出事例2 3 のようになる。肝に銘じることが賢明だ。

2021/2/18追記 ゲストユーザ問題については、こちらの記事がとても丁寧に纏められていたので、併せて参照されると良いと思う。

略語

コミュニティなどの書き言葉では次の略語が一般的。他にもあるかもしれない。

SF ▶ Salesforce
VF ▶ Visualforce
LEX ▶ Lightning Experience
SFDC ▶ セールスフォース・ドットコム

学習方法

まずは Trailhead から始めるのが良いと思う。

Trailhead

Salesforce が提供する無償のオンライン学習プログラム。
お題クリアでポイントやバッジ獲得。ゲーム感覚で楽しく学べるよう工夫されている。
ランクがあり、スキルの証明にも使える。
https://trailhead.salesforce.com/ja

Trailmix

誰もが作成できる学習コンテンツのコレクション。カスタムカリキュラム。
https://trailhead.salesforce.com/ja/trailmixes

取り敢えず次がオススメ。

Trailblazer

ユーザーコミュニティである。
https://trailblazers.salesforce.com

次のグループがオススメ。グループ名で検索し、参加すると良い。

  • 質問広場~初心者から上級者まで~ 日本
  • Japan Trailhead (日本)

活発かつ紳士的な交流が行われている。
なお、trailblazerとは先駆者という意味であるが、セールスフォース・ドットコム創業者で会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏による同名の本もある。
本の内容については 中田敦彦のYouTube大学 でザックリ解説してくれている。これはこれで面白いのでオススメ。

YouTubeチャンネル

もくもく会

オンラインだけではモチベーションが保てないって人には、もくもく会のオフラインイベントに足を運んでみるのがオススメ。

Salesforce の認定資格

Salesforce 認定資格は、基本資格と上位資格で構成され、基本資格に合格すると上位資格を受験できる。
試験区分は多岐に渡るが、エンジニアなら、開発者/アーキテクトに分類される試験が候補になる。
どの試験も実務経験がないと合格するのは難しいと言われている。合格率は非公開。受験料は20,000円から。

本記事の開発環境

分類 分類名 備考
プロダクト Sales Cloud 営業支援プロダクト
エディション Enterprise Edition 定価:18,000円/ユーザ/月(年間契約)
アドオン なし 機能強化アプリなど
サポートプラン Premier いつでもエキスパートの支援を得ることができる
UI Lightning Experience 従前のUIを Salesforce Classic という

プロダクトとエディションは Salesforceライセンスの「きほんのき」まとめ が分かり易い。

標準オブジェクトとカスタムオブジェクト

標準オブジェクトは、Salesforce組織がデフォルトで持っているオブジェクト。取引先、取引先責任者、商談などはすべて標準オブジェクトである。
カスタムオブジェクトは、ユーザが作成するもので、会社や業種固有の情報を保存するオブジェクトである。

オブジェクトは、オブジェクトマネージャやスキーマビルダーで確認できるが、非表示のオブジェクトもある。すべての標準オブジェクトは、SOAP API 開発者ガイドで確認できる。

公式サイトのER図を簡略化(概念データモデルへの置き換え)してみた。
Salesforce ER図
各オブジェクトの用途は、Salesforce 標準オブジェクト早見表 が分かり易い。
オブジェクトを作ると、対応するバリデーション付き入力フォーム(CRUD操作画面)やレポートの標準形を自動で作ってくれる。超簡単!

アクセス権限や共有ルールの制約を考慮すると、最低限の設計、つまり、業務フロー図とER図くらいは真面目に書いておかないと厳しいと感じた。

なお、独自項目の表現方法として、標準オブジェクトにカスタム項目を追加する方法、カスタムオブジェクトから標準オブジェクトにリレーションを張る方法とがあるが、後者は複雑になり易いので、基本、前者で作るらしい(業務にも因るだろうけども)。

使ってみよう

アカウントの作成

1つのアカウントを複数のユーザで使い回すことは禁止されている。
システム管理者アカウントでログインし、何はともあれ自分専用のアカウントを用意しよう。

  1. 歯車のアイコンから [設定] をクリック。
    image.png

  2. 管理 ▶ ユーザ ▶ 新規ユーザ をクリック。(クイック検索に「ユーザ」と入力しても良い)
    image.png

  3. 必要情報を入力。
    ユーザ名は、メールアドレスの形式にする必要があるが、実際のメールアドレスでなくても構わない。
    メールアドレスが全ての Salesforce 組織内でユニークなら、そのメールアドレスを使用できる。
    ユーザライセンスによって、そのユーザで利用可能なプロファイルが決まる。
    最初は、Salesforceユーザライセンス + システム管理者プロファイルで良いと思う。
    image.png

わかったこと

エンジニアであれば、Trailhead をひと通りこなすだけでも十分に理解できると分かった。

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