はじめに
私は普段、Claude Code や Cursor を使って SaaS の API 連携を書いているんですが、毎回こんなことで時間を溶かしてます:
- 「このSaaS、MCP サーバーあるっけ?」→ 公式サイト見に行く → 見つからない → GitHub 検索 → 30分経過
- 「認証は OAuth2?API キー?」→ ドキュメント探す → 古い情報に騙される → 動かない → 1時間経過
- 「kintone と freee を連携させたいけど、みんなどうやってるの?」→ 調べても情報がない
これ、私だけじゃないですよね?
で、「もう全部自分で調べてデータベースにしよう」と思って始めたのが KanseiLINK というプロジェクトです。現時点で 900 以上のサービスを登録して、MCP 対応状況・認証方式・エージェントの実利用データを蓄積しています。
この記事では、その中から日本で実際に使われている主要 SaaS を中心に、MCP 対応状況をカテゴリ別にまとめました。「このサービス、エージェントから使えるの?」と思ったときのリファレンスにしてもらえたら嬉しいです。
この記事のデータは 2026年5月時点のものです。MCP エコシステムは急速に変化しているので、最新状況は KanseiLINK AEO Checker で確認できます。
TL;DR
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 調査対象(詳細評価済み) | 156 サービス |
| データベース全体 | 975+ サービス |
| カテゴリ | 22 分類 |
| 公式 MCP サーバーあり | 23 サービス |
| サードパーティ MCP あり | 20+ サービス |
| API のみ(MCP 未対応) | 多数 |
| AEO グレード AAA(最高評価) | 9 サービス |
MCP サーバーがある = エージェントが npx 一発で使える。API のみ = エージェントが HTTP リクエストを自力で組む必要がある。 この差はトークン消費で 3〜5 倍の違いになります。
AEO グレードとは
KanseiLINK では、各サービスの「AIエージェントから見た使いやすさ」を AEO(Agent Engine Optimization)グレード として評価しています。
| グレード | 意味 | 該当数 |
|---|---|---|
| AAA | エージェントから即利用可能。公式 MCP、高い成功率 | 9 |
| AA | 公式 MCP あり、一部注意点あり | 7 |
| A | MCP あり(公式 or サードパーティ)、実用レベル | 12 |
| BBB | API は充実、MCP 化の余地あり | 29 |
| BB | API あり、エージェント利用に課題あり | 45 |
| B | 最低限の API、エージェント対応はこれから | 54 |
TOP 30 サービス — カテゴリ別
AAA グレード(9 サービス)— エージェントから即戦力
これらは公式 MCP サーバーがあり、エージェントの実利用でも高い成功率(80%以上)が確認されているサービスです。
| サービス | カテゴリ | MCP | Agent Ready | 成功率帯 |
|---|---|---|---|---|
| Notion | グループウェア | 公式 MCP | 🟢 verified | ★★★★ |
| Slack | コミュニケーション | 公式 MCP | 🟢 verified | ★★★★ |
| freee | 会計 | 公式 MCP | 🟢 verified | ★★★★ |
| Shopify Japan | EC | 公式 MCP | 🟢 verified | ★★★★ |
| Backlog | プロジェクト管理 | 公式 MCP | 🟢 verified | ★★★★ |
| Money Forward Cloud | 会計 | 公式 MCP | 🟢 verified | ★★★★★ |
| LINE Messaging | コミュニケーション | 公式 MCP | 🟢 verified | ★★★★★ |
| Microsoft Teams | コミュニケーション | 公式 MCP | 🟢 verified | ★★★★★ |
| SALES GO | CRM | 公式 MCP | 🟢 verified | ★★★★★ |
Notion と Slack は日本でもグローバルでもエージェント利用の定番。freee・Money Forward Cloud は日本の会計 SaaS として MCP 対応が最も進んでいて、請求書作成や仕訳登録がエージェントから直接できます。LINE Messaging と Microsoft Teams も最新の検証で高い成功率を記録し、AAA に昇格しました。
AA グレード(7 サービス)— 実用レベル、一部注意点あり
| サービス | カテゴリ | MCP | Agent Ready | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| kintone | プロジェクト管理 | 公式 MCP | 🟡 connectable | アプリ構成の理解が必要 |
| Chatwork | コミュニケーション | 公式 MCP | 🟡 connectable | レート制限に注意 |
| HubSpot Japan | CRM | 公式 MCP | 🟡 connectable | スコープ設定が複雑 |
| freee 人事労務 | HR | 公式 MCP | 🟡 connectable | 従業員データ操作可能 |
| Sansan | CRM | 公式 MCP | 🟡 connectable | 名刺データの検索に強い |
| Asana | プロジェクト管理 | 公式 MCP | 🟡 connectable | — |
| Garoon | グループウェア | 公式 MCP | 🟡 connectable | cybozu 製品群との連携 |
kintone は公式 MCP があるものの、アプリごとにフィールド構成が異なるため、エージェントが「どのフィールドに何を入れるか」を理解するのにコツが要ります。
A グレード(12 サービス)— 使えるが工夫が必要
代表的なサービス:
| サービス | カテゴリ | MCP | Agent Ready |
|---|---|---|---|
| SendGrid | マーケティング | サードパーティ MCP | 🟢 verified |
| Salesforce Japan | CRM | サードパーティ MCP | 🟡 connectable |
| DocuSign Japan | 法務 | サードパーティ MCP | 🟡 connectable |
| Treasure Data | マーケティング | 公式 MCP | 🟡 connectable |
| 1Password Business | セキュリティ | 公式 MCP | 🟡 connectable |
| Linear | プロジェクト管理 | 公式 MCP | 🟡 connectable |
| Zoom | コミュニケーション | サードパーティ MCP | 🟡 connectable |
| Trello | プロジェクト管理 | サードパーティ MCP | 🟡 connectable |
| Redmine | プロジェクト管理 | サードパーティ MCP | 🟡 connectable |
| PLAUD Note | 生産性 | サードパーティ MCP | 🟡 connectable |
BBB グレード — 注目サービス
BBB 以下は数が多いので、特に注目すべきものをピックアップ:
| サービス | カテゴリ | MCP | 注目ポイント |
|---|---|---|---|
| SmartHR | HR | API のみ | API は充実、MCP 化待ち |
| GitHub | 開発ツール | 公式 MCP | Claude Code 内蔵 |
| KING OF TIME | HR | API のみ | 勤怠 API は良好 |
| CloudSign | 法務 | API のみ | 電子契約 API あり |
カテゴリ別の傾向
調べてみて見えてきたパターンをまとめます。
MCP 対応が進んでいるカテゴリ
| カテゴリ | MCP 対応率 | 理由 |
|---|---|---|
| コミュニケーション | 高い | Slack、Teams、Chatwork、LINE — チャット系は API が元々充実 |
| プロジェクト管理 | 高い | Backlog、kintone、Asana、Trello、Linear — タスク CRUD との相性が良い |
| 会計 | 中〜高 | freee、マネーフォワード — 日本の会計 SaaS が積極的に MCP を出している |
MCP 対応が遅れているカテゴリ
| カテゴリ | MCP 対応率 | 理由(推測) |
|---|---|---|
| HR | 低い | 個人情報の塊なので、API 公開に慎重 |
| 法務 | 低い | 契約書の機密性。API はあるが MCP は手薄 |
| 物流 | 低い | 業界特化の API 仕様が多く、標準化しにくい |
認証方式の傾向
| 認証方式 | 割合(概算) | エージェントとの相性 |
|---|---|---|
| OAuth2 | 約 55% | ユーザー認可が必要。初回セットアップが手間 |
| API キー | 約 40% | エージェントから扱いやすい。ただしキー管理が課題 |
| その他 | 約 5% | JWT、HMAC 署名など |
個人的には、エージェント用途なら API キー認証のほうが圧倒的に楽です。OAuth2 は「ユーザーがブラウザで認可する」ステップが入るので、自動化しにくい。
実際にエージェントから使ってみた所感
調べるだけじゃなく、実際に Claude Code から使ってみて気づいたことを書いておきます。
うまくいったパターン
-
freee で請求書作成: OAuth2 のトークン取得さえ済めば、あとはスムーズ。
/invoicesエンドポイントが素直 -
Slack に通知: MCP 経由で
chat_postMessageするだけ。一番簡単 - Backlog の課題作成: プロジェクト ID さえ分かれば、課題の CRUD がすぐできる
ハマったパターン
-
kintone のフィールド指定: アプリごとにフィールドコードが違うので、事前に
GET /fieldsで構造を把握する必要がある - Chatwork のレート制限: 5分間で一定数のリクエスト制限がある。バッチ処理には向かない
- OAuth2 のリフレッシュトークン: freee は refresh_token の有効期限が公式ドキュメントに明記されていない場合があった
ハマりどころを事前に知りたい場合は、KanseiLINK の get_service_tips で他のエージェントが報告した落とし穴を確認できます。私はこれを作る過程で何度も自分のデータに救われました(笑)
MCP サーバーの探し方
「使いたいサービスの MCP サーバーがあるか知りたい」ときの探し方:
-
KanseiLINK で検索 —
npx @kansei-link/mcp-serverを Claude Code に追加すると、search_servicesで意図ベースの検索ができる -
GitHub で検索 —
{サービス名} mcp serverで検索。公式 org のリポジトリを優先 - MCP Registry — Anthropic の公式レジストリに登録されているか確認
- Glama / Smithery — コミュニティのMCPサーバーカタログ
個人的な体感だと、1 → 2 → 3 の順で効率が良いです。特に日本の SaaS は GitHub のタグ付けが甘いことが多くて、英語圏のレジストリに載っていないケースが結構あります。
まとめ
- 日本の SaaS の MCP 対応は コミュニケーション・プロジェクト管理・会計 が先行
- AAA(即戦力)は 9 サービス: Notion、Slack、freee、Shopify、Backlog、Money Forward Cloud、LINE Messaging、Microsoft Teams、SALES GO
- HR・法務・物流 は MCP 対応がこれから
- 認証は OAuth2 が主流だが、エージェント用途では API キーのほうが楽
- MCP があるサービスとないサービスでは、エージェントのトークン消費が 3〜5 倍 違う
ここまで読んでくれた方に質問です:
皆さんは、AI エージェント(Claude Code、Cursor、Codex など)から日本の SaaS を使うとき、どうやって連携してますか?
- 「このサービスの MCP、めちゃ便利だった」
- 「MCP ないからこうやって回避した」
- 「認証周りでこんなハマり方をした」
とか、あったらコメントで教えてもらえると嬉しいです。私も知らない tips がまだまだありそうなので...!
データソース: この記事のデータは KanseiLINK の AEO(Agent Engine Optimization)評価に基づいています。エージェントの実利用データ・API ドキュメント監査・MCP レジストリスキャンを組み合わせて評価しています。
エージェントから直接使う場合:
npx @kansei-link/mcp-server