はじめに
令和7年度の測量士試験を見ていると、国土地理院の 1/25,000 地形図(以下、単に「地形図」)の基本図郭と平面直交座標系の座標値についての問題(午後 No.4 の問B)が出題されていました。
この機会に、平面直交座標系や UTM 図法における経線・緯線の見え方を視覚的に確認しておこうと思いまして、備忘録的に記事に残します。
測量士の問題はこちら
地形図図郭について
地形図の図郭は、基本的に経線と緯線で区切られたグリッドとなっています。「平成25年2万5千分1地形図図式(表示基準)」(令和6年一部改正)から引用すると以下の通りです。
(地形図の区画及び図名)
第11条 地形図1枚の区画(以下「図郭」という。)は、グリニッジ子午線と赤道の交点を基準にして、経度差7′30″緯度差5′00″ごとの経線及び緯線によって区画 される地域(以下「基本区画」という)に、隣図との重複部を合わせた区域を原則とする。
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4 地形図は、常にその北方の緯線を上辺とする
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一方、地形図の投影法は、以下の通り、ユニバーサル横メルカトル図法(UTM 図法)となっています。
(投影法)
第10条 地形図の投影法は、ユニバーサル横メルカトル図法とする。
UTM 図法上では、経線・緯線は必ずしも直線ではありませんから、地形図の図郭は完全な長方形ではありません。
地形図図郭のゆがみ
地形図の図郭(すなわち UTM 図法上の罫線・緯線の形状)は、イメージとしては、以下のように南に向かってたわみ、子午線から離れる方向へ張り出すような形となっています。
実際に、経線・緯線のデータ(赤線)を UTM 図法(54帯)、平面直交座標系(9系)、地理座標系、ウェブメルカトルで表示してみると以下の通りです。ウェブメルカトルは、経線・緯線は直交します。
青線は UTM 図法又は平面直交座標系で、それぞれ基準となる子午線です。背景地図は、地理院タイルです。赤線は、基本図郭とは一致させていません。
(UTM 図法(54帯)/ EPSG 6691)
(平面直交座標系(9系)/ EPSG 6677)
(地理座標系 / EPSG 4326)
(ウェブメルカトル / EPSG 3857)
おわりに
地形図の図郭は長方形に見えますが、実際は曲がっているというのは結構面白い話なのではないでしょうか。