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ドキュメントが苦手なエンジニアが、よりAIに頼り始めたここ3か月の話

Last updated at Posted at 2025-12-16

はじめに

エンジニアにとって、ドキュメントってどれくらい大事でしょうか?
正直、「できれば書きたくない」と思っている人も多いと思います。

自分もその一人です。
文章作成は苦手、英語も苦手、いわゆるバリバリの理系タイプ。
できるなら VSCode を開いて、コードを書いて、Git にコミットして終わりたい。

その延長で言うと、
Power Automate のような オブジェクトをポチポチ組み立てる系のツール も正直あまり好きではありません。

調べたい内容を検索しても、欲しい情報がなかなか見つからない。
言語設定によってオブジェクト名が違うので、日本語で作業したいのに
「英語にしないと検索に引っかからない」ということも普通にあります。

「ここ、少しコードを書ければ一発なのに」と思う場面でも、
実際には回りくどいやり方をしないと実現できず、
やりたいことをオブジェクトで再現するだけで、かなりの時間を使う
そんな経験を何度もしてきました。

ベンチャーにいた頃は、アジャイル開発ということもあり、
「この機能で何をやるか」「どう実装するか」といった
機能単位の要件整理や簡単な設計 は書いていましたが、
いわゆる立派な設計書を作ることは、ほとんどありませんでした。

それでもプロジェクトは回っていました。
少人数で、会話が早く、暗黙知が共有できていたからです。

ところが、AI時代になって状況が変わります。
Claude Code などの生成AIを使うようになってから、
コードを書くスピードは上がった一方で、
「何をやっているのかを説明する時間」 が明らかに増えました。

さらに昨年、ベンチャーからフリーランスになり、
現在はデータラーニング経由で大企業の案件に関わるようになって、
ドキュメントは「あると便利なもの」ではなく、
仕事を前に進めるための前提条件 だと強く感じるようになりました。

なお、ここまで書いておいてアレですが、
この記事自体も ChatGPT に添削してもらっています。
文章が苦手なエンジニアが、AIの力を借りながら文章を書いている、
まさに今の時代らしい状況だと思っています。

この記事では、

  • コーディングは好きだが、文章やGUIツールは苦手な自分が
  • AI時代・大企業案件で
  • なぜドキュメントの重要性を痛感するようになったのか

その実体験を、同じタイプのエンジニア向けに整理して書いてみます。

忙しい人向けまとめ

  • ドキュメントが苦手なエンジニアが
  • 客先から「足りない」と指摘されて
  • 生成AIに頼り始めたここ2〜3か月の話です

結論:
ドキュメントは相変わらず苦手だけど、
生成AIがないと多分何も始まっていません。

AI時代に変わった「仕事の進め方」

AIを使うようになってから、仕事の進め方はかなり変わりました。
体感として一番大きいのは、仕事でコードを書く時間が格段に減ったことです。

Claude Code などの生成AIを使えば、
実装の下書きや雛形はかなりの部分を任せられます。
以前なら自分で書いていたコードも、
今は「AIが書いたものを読んで修正する」作業が中心になりました。

一方で、AIを使うことで新たに困るようになったこともあります。
それが 情報の裏どりに意外と時間を使うようになった という点です。

「とりあえずAIに聞く」
この癖がつくと、

  • 回答が正しいか確認する
  • 公式ドキュメントや一次情報を探しに行く
  • 前提条件やバージョン差分をチェックする

といった作業が必ず発生します。

結果として、
調べるスピードは上がったのに、確認に使う時間が増えた
という少し不思議な状況になりました。

さらに、
「あれ、これ前にも聞いた気がするな……」
ということが起きがちなのもAIあるあるだと思っています。

会話が流れてしまうと、

  • 同じ内容を何度もAIに聞いてしまう
  • 過去の判断理由が残らない
  • なぜその結論に至ったのか思い出せない

といった問題が出てきます。

これはコーディングでも昔からよくありました。
「なんで直ったのかは正確には分からないけど、とりあえず動いている」
という状態です。

AI時代になると、これがさらに起きやすくなります。
修正案が一瞬で出てくる分、
自分の中に思考の過程が残りにくい からです。

そのため最近は、

  • コードを直した理由
  • ハマったポイント
  • 次に同じことが起きたときのための補足

といった 自分やチームのための情報 を、
AIに整理させてファイルとして残すようにしています。

加えて、先方への連絡文も ChatAI に一度投げて、
整えてもらったものを微修正して送る、という流れが定着しました。

  • 書きたい内容を箇条書きで渡す
  • ChatAI に文章として整えてもらう
  • 違和感のある部分だけ修正する
  • そのまま先方に送る

「全部AI任せ」ではなく、
下書きと整理をAIに任せて、判断だけ人間がやる
という使い分けです。

AIによってコードを書く量は減りましたが、
代わりに

  • 判断
  • 説明
  • 記録

こういった部分の重要性は、以前より確実に上がりました。

AI時代のエンジニアの仕事は、
「どう書くか」よりも
「なぜそうなったのかを残せるか」
にシフトしてきていると感じています。

それでも企業ドキュメントは難しい(し、正直まだできていない)

ここまで書いておいてなんですが、
企業向けのドキュメントが書けるようになった、という感覚は正直ありません。

むしろ、
「まだまだ全然足りていないな……」
と感じることの方が圧倒的に多いです。

AIを使って下書きを作ったり、
判断理由を整理したりはしていますが、
それでも 企業ドキュメントは別の難しさ があります。

一番大きいのは、
形式と期待される粒度が最初から決まっている ことです。

  • この章には何を書く想定か
  • どこまで背景を書くのが前提か
  • 何が「書いたこと」になるのか

こういった暗黙ルールがあり、
自由文のように ChatAI に整えてもらうだけでは、
なかなか期待値を満たせません。

自分では
「これで十分説明したつもり」
「必要なことは書いたはず」
と思っていても、

  • 判断理由が足りない
  • 他の選択肢を検討した形跡がない
  • 前提条件が読み取れない

といった指摘を受けることが、今でも普通にあります。

ベンチャー時代は、
口頭で補足すれば済んでいたことや、
Slackで軽く流していたことが、
大企業ではそのままでは通用しません。

ドキュメントは、

  • 今その場にいない人
  • 後から参加する人
  • 数か月後の自分

が読んでも判断できる必要があります。

頭では分かっています。
「これは意思決定の履歴なんだ」ということも理解しています。

ただ、
理解していることと、毎回それを満たせることは別 で、
実際には「書いたつもり」「足りていなかった」を
何度も繰り返しています。

AIは文章を整える手助けはしてくれますが、
「この粒度で足りるか」
「この説明で第三者が判断できるか」
といった部分は、まだ自分の経験と感覚に頼るしかありません。

今はせめて、

  • この文章で、前提を知らない人に伝わるか
  • 書いているつもりになって、説明を省いていないか
  • 自分の頭の中だけで補完してしまっていないか

このあたりを
毎回かなり疑いながら書いている
という段階です。

それでも結局、
「ここが分からない」「情報が足りない」
と言われることは普通にあります。

できている、とはとても言えませんが、
少なくとも
何も考えずに書くよりはマシ
くらいの感覚で続けています。

それでもAIとドキュメントを使い続けている理由

正直に言うと、
ドキュメントが得意になった実感は、今でもほとんどありません。

そもそものきっかけは、
案件先からのフィードバックとして、
自分のドキュメント作成能力が十分ではない
と伝えられたこと
でした。

  • 情報が足りない
  • 判断の背景が読み取れない
  • 読み手を想定した書き方になっていない

自分では
「最低限は書いているつもり」
だったのですが、
期待されているレベルには全く届いていなかった、
というのが正直なところです。

そこで初めて、
「これは気合や慣れでどうにかなる話じゃないな」
と感じました。

そして思ったのが、
生成AIを使えばいいのでは、ということでした。

なお、生成AI自体は最近になって使い始めたわけではなく、
ChatGPT については以前から個人で課金していました。

ただ、当時は

  • 調べもの
  • アイデア出し
  • 軽い壁打ち

といった用途が中心で、
実務の中で本格的に使う、という意識はあまりありませんでした。

客先からのフィードバックを受けて、
「これは日常的に使わないと無理だな」
と感じてから、使い方が大きく変わりました。

文章の下書きや整理、
考えが散らかっている状態の言語化など、
実務の一部として生成AIを使う ようになったのは、
ここ2〜3か月のことです。

なお、大企業案件に関しては、
外部の生成AIではなく、
企業内で用意されている生成AI環境を利用しています。

案件や情報の扱いに配慮しつつ、
「考えを整理する補助輪」として
生成AIを使っている、という位置づけです。

コードを書くときと同じで、
最初から完成形を目指すのではなく、

  • 今考えていることを雑に投げる
  • 文章として整えてもらう
  • それを見て「足りていない点」に気づく

この使い方なら、自分にもできそうだと思いました。

ドキュメント関連について、
本格的に意識し始めたのは ここ2〜3か月くらい です。

今でも
「これで十分か?」
と聞かれたら、正直かなり怪しいですが、

  • なぜこの判断になったのか
  • どこで迷っているのか
  • どこが自分でも曖昧なのか

こういった点を、
生成AIに整理させてファイルとして残す
ということは、少しずつやり始めています。

※ ここで書いている生成AIは、
 大企業案件とは切り分けた別プロジェクトや個人作業で
 使っているものも含みます
 (Claude Code など)。

コードでも
「なんで直ったか分からない修正」
が後で一番困るように、
ドキュメントも
何も残っていない状態が一番つらい
と感じるようになりました。

完璧なものを書こうとしても無理なので、
今は
残さないよりはマシな状態を作る
くらいの意識で続けています。

おわりに

この記事くらいの分量のテキストを、
自分ひとりでまとめたり、書いたりしようとしたら、
たぶん生成AIなしでは一か月以上かかっていたと思います。

そう考えると、
今こうして形になっている時点で、
もう十分にAIに助けられています。

ドキュメントが苦手なエンジニアにとって、
生成AIは「ズル」でも「近道」でもなく、
やっとスタートラインに立たせてくれる存在
なのかもしれません。

今後は、ドキュメントが得意になることを目標にするというより、
「AIを前提に、判断や背景をちゃんと残せる人」でありたいと考えています。

……と、ここまで書いておいてアレですが、
やっぱり文章を書くのが苦手なのは今でも全く変わりません。

生成AIがなかったら、
この文章もおそらく下書きのまま寝かせて、
世に出ていなかった気がします。

ハハハ。

データラーニングギルドとは?

データラーニングギルド は、株式会社データラーニングが運営する、
データサイエンスを中心とした学習者・現役データサイエンティスト・エンジニアのためのコミュニティです。

学びの共有・キャリア形成・横のつながりを大切にし、
勉強会、LT会、技術相談、キャリア支援、案件紹介など、
「データ領域で挑戦したい人を応援する活動」を幅広く行っています。

初心者から実務者まで、誰もが成長できる場づくりを目指しています。
公式サイト:https://data-learning.com/guild

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