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Azure × Databricks Managed Identityの仕組み

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Key Vault・Managed Identity・Access Connector

4.2 Managed Identityの仕組み

Azure を使ううえで、最も強力でありながら誤解されがちな機能が Managed Identity(MI) です。

「サービスプリンシパルとどう違うの?」
「結局どこで使われているの?」
「DatabricksでMIって何をしているの?」

この疑問を放置したまま構築を進めると、

  • 鍵管理地獄
  • 有効期限切れによる障害
  • シークレット漏洩のリスク
  • RBACエラーでのワークフロー停止
    といった問題に直面します。

逆に、MI を正しく理解すれば Databricks × Azure の設計が劇的にシンプルになります。
鍵を持たずに認証できる
これこそがクラウドネイティブ時代の“絶対ルール”です。

本記事では、Managed Identity の概念、内部動作、Databricksでの使われ方を体系的に説明します。


1. 🧩 Managed Identityとは何か?“鍵を持たないID”

Managed Identity(MI)は、Azure が自動的に管理する特別なアイデンティティです。

一言で言うと:

🔹 “Azureリソースに埋め込まれたユーザーアカウント”

ですが、通常のユーザーと異なる点は次の通りです。


MIは“鍵を持たない”

サービスプリンシパル(Client ID + Client Secret)は鍵の管理が必要ですが、
MI は 鍵を持ちません。

  • 鍵がない → 漏洩しない
  • 鍵がない → ローテーション不要
  • 鍵がない → セキュリティ事故が起きない

Azure が MI に対する“裏側のキー管理”を完全に担当してくれるため、
運用者も開発者も鍵を見たり触ったりする必要がなくなります。


MIはAzure ADに自動登録される

MI は Azure AD に“アプリケーションとして自動登録”されます。

登録時、自動で以下が生成されます:

  • Object ID(一意ID)
  • Principal ID(識別子)
  • 役割を付与するためのエントリ

運用者が手動で登録作業をする必要はありません。


MIは RBAC とセットで使われる

MI そのものは“本人証明”であり、
何ができるかは RBAC が決定します。

例:
Storage Blob Data Contributor
Key Vault Secrets User

つまり、
「MI=誰か?」
「RBAC=何ができるか?」
という関係です。


2. 🔐 DatabricksはどのようにMIを使うのか?

Databricksでは、Workspace に紐づく Managed Identity(Access Connector経由)
クラスターに紐づく PMI(Private Managed Identity) が利用されます。

役割が異なるため混同しがちなので、整理して解説します。


① Access ConnectorのMI:WorkspaceとAzureリソースの仲介役

Databricks Access Connector には MI が付与されています。

用途:

  • Key Vault へのアクセス
  • Storage Credential の作成
  • 外部ロケーションの登録
  • Unity Catalog メタストアへの接続

Workspace を Azure リソースへ安全に接続するための“代表者ID”です。


② クラスターのPMI:Spark実行主体のID

Databricksクラスターが処理を実行するとき、
Executor は PMI として Azure と通信します。

用途:

  • ADLS 読み書き(RBAC + ACL)
  • Key Vault の秘密参照(必要な場合)
  • AIモデル・APIコールの認証

Databricksを使う全ての処理は PMI の権限で動くため、
PMIに正しいRBAC・ACLが付いているかが最重要ポイント となります。


MIの認証フローを図解するとこうなる

  1. クラスター起動
  2. PMI が Azure AD のトークンエンドポイントにアクセス
  3. Azure AD からアクセストークンを取得
  4. PMI が RBAC に基づき Storage / KV にアクセス
  5. ABFS / REST API を通じて実処理を実行

ここで重要なこと:

トークンの取得は完全にAzureが管理するため、パスワードは存在しない。


3. 🚀 実務でのメリット:もう鍵管理で困らない世界へ

① 鍵管理が不要(最大のメリット)

  • Client Secret のローテーション不要
  • 鍵漏洩事故ゼロ
  • クレデンシャル更新による障害が消える

② セキュリティが強い

  • Azure内部の安全なチャンネルでトークン発行
  • RBAC・ネットワーク制限と自然に統合
  • 監査ログも Azure AD 側で確実に取得

③ 権限の一元化ができる

Databricksクラスターのアクセス権限は PMI に集約されるため、
“どの処理が何の権限で動いているか” が明確になります。

④ Key Vaultとの組み合わせで最強化

  • Secret は KV に置く
  • Databricks は MI 経由で参照する
  • Secret Scope は補助的に利用

“鍵を持たないデータ基盤”が実現します。


🏁 最後はまとめ:MIはAzureにおける“クラウドネイティブ認証の完成形”

Managed Identity は:

  • 鍵を持たない
  • 自動管理される
  • RBAC と強く統合
  • Databricks でも必須
  • Key Vault と組み合わせると最強

Databricks × Azure の世界では、
MIを理解することがセキュリティ設計の第一歩 です。


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