はじめに
その2の記事からしばらく時間が経ってしまいましたが、24年11月にシカゴで開催されたMicrosoft Ignite 2024に現地参加した際の様子を紹介します。第3回目の今回は、Microsoft Igniteのセッションがどのような種類のものがあったか、また実際の現地の会場ではどのような雰囲気だったのかをDay1~3の様子を中心に紹介したいと思います。
前回までの記事は、こちらから参照ください。
同じく現地参加した弊社同僚も以下の記事でPre-day SessionのPlatform Engineering関連の情報を投稿しています。こちらも是非ご覧下さいませ。
https://qiita.com/melrhase/items/f2343449c197710c2165
Microsoft Igniteの各セッションについて
セッションの種類
Microsoft Igniteのセッションの種類について整理すると、以下の表のようになります。タイプによってオンライン配信有無などの形式が分かれていました。
Type名 | 説明や補足 | オンライン有 | アーカイブ有 |
---|---|---|---|
Keynote | Microsoft会長兼CEOのSatya Nadella氏らが登壇し、新サービスの一般公開や今後のリリース予定などを紹介。 | ○ | ○ |
General Session | Satya Nadella氏をはじめ、Microsoftの各プロダクトの責任者らによる技術動向や戦略を中心に紹介。 | ○ | ○ |
Breakout | 特定の技術や製品に焦点を当てたセッション。 | ○ (Day4は現地のみ) |
○ |
Lab | 会場に用意されたPCを使って特定のサービス・機能に対するオペレーションを行うハンズオン。 | × | × |
Theater | Microsoftの技術者やパートナー企業が登壇し、15分程度の簡単な技術紹介やデモを行うセッション。 | × | × |
Community | 登壇者とのQAに時間を割いたCommunity Forum、円卓に集まり特定のトピックについて参加者間で議論するCommunity Roundtableといった、少人数での議論を行うことを重視したインタラクティブなセッション。 | × | × |
Interview | スタジオでのMicrosoftの技術者による対談や、各企業ブースでのインタビュー。 | ○ | ○ |
KeynoteやGeneral Session、Breakout、Interviewはアーカイブが残っているので、今からでも公式サイトから参照可能です。いずれも特にセッション入場の予約などは行われないため、人気のあるセッションで前のほうで聴講したいという場合は並ぶ必要がありました。一方、Lab、Theater、Communityはいずれも会場限定のセッションで、アーカイブなども残らない形となっていました。以降、Lab、Theater、Communityのセッションそれぞれの会場の様子を紹介します。
Labセッションの様子
その1の記事でも紹介しましたが、Microsoft側で用意してくれたPCを操作しながらハンズオンを行う形式のセッションとなっています。Pre-day sessionの際は半日の枠を使った長めのセッションでしたが、Day1~4のLabは75分程度の時間枠しかなかったため、ワンテーマ程度の内容となっています。テーマによっては同一内容のハンズオンが複数回開催されており、ある程度参加する日程を選ぶことができました。ただ、このセッションは事前に予約が必要で、生成AI関連のテーマは2週間前には申込締め切られていました。予約は直前まで変更は可能なので枠の空きは出る可能性がありますが、気になるテーマがある場合は受付開始早々に申し込んでおくのが良さそうです。
実際の会場のPC端末の様子です。席の配置は、2~3人の同行者が並んで受講できるようにはなっていましたが、少なくとも私が受講したLabは1人1環境用意されており、複数人で協力するような形式のものではありませんでした。
Theaterセッションの様子
TheaterのセッションはHub会場内のエリアにあるステージで開催されていました。おおよそ15分から長くても30分程度のセッションとなっていたため、特定の技術トピックの紹介、15~30分という短めのテーマ紹介、Breakoutや各ブースへの導線的な位置づけの内容が多かった気がします。セッションによっては満席で立ち見でないと見られないものもありました。
Communityセッションの様子
CommunityはHub会場内にあるCommunityエリアで行われる小規模なセッションで、メインのプレゼンテーションの後の聴講者からのQAを受け付けるパターン(Community Forum)と、数人でテーブルに座って議論するパターン(Community Roundtable)とがありました。写真は前者のパターン。
Interviewセッションの様子
InterviewはスタジオでのMicrosoftの技術者による対談や、各企業ブースでのインタビュー形式のセッションです。このInterviewの模様はリアルタイムで配信されており、オンラインだとMicrosoft Igniteのトップページにライブストリーミングで公開されているほか、Hub会場内のモニターでも音声は流れないものの字幕付きで投影されていました。
なお、セッションの枠組みでタイムテーブルに掲載されていましたが、実際には一般参加者が入れないスタジオ内で撮影されていたり、Hubの各企業ブースでのインタビューも聴講者を避けての撮影だったので、会場で生で見ることは難しかったです。
聴講したセッションについて
それでは、私が現地で聴講・参加したセッションの中で、Day1~Day3のChicago-OnlyのセッションであるTheater、Lab、Communityそれぞれで気になったものを紹介していきたいと思います。
Day1:Theater:Enhance cloud native troubleshooting with Azure Monitor & Chaos Studio
Microsoft Principal PM ManagerのRahul Bagaria氏、Azure Chaos StudioのProduct ManagerのRigel Carlson氏による、Azure Monitor、Chaos Studioのデモ紹介のセッション。混雑しており後ろのほうで立ち見になってしまい細かい文字までは見れませんでしたが、Azure Chaos Studioでの障害注入や、Code Optimizationsの機能によるソースコード内のパフォーマンスの課題を抽出するといったデモを紹介していました。最後に紹介していたCode Optimizationsは、2024年12月時点では、最適化結果の概要の紹介ページやVisual Studio Codeで使える拡張機能などPreview段階の機能も多いようですが、パフォーマンスチューニングなど支援してくれるというのは便利ですね。
この講演に限らず、Theaterセッションの傾向としては、詳細までは触れずに、ざっと内容を確認したいという人向けのセッションという印象を持ちました。もう少し内容を知りたい場合は関連するBreakoutを聴講する、細かい質問がしたい場合はHub内のMeet with Expertsブースで直接質問をするという建付けになっているようです。実際のこの講演でも以下のようなリンクの紹介がありました。
Day3:Lab:Transform industries with Azure IoT, AI, Edge and operational excellence
Azure IoT operationsをテーマにしたハンズオンとなっています。エッジ環境にAzure IoT Operationsが用意され、Azure IoT Operations内のMQTT BrokerにMQTTが送信される、Azure上のData Explorerで送信されたデータを確認するという流れとなっていました。ハンズオンセッションではあるものの、Azure IoT OprationsでMQTTを扱う場合のアーキテクチャがどうなっているかといった中身の仕様も紹介されており、ハンズオンの操作もしつつ、発表内容を聞きつつという形でしたので、個人的には75分では足りないような内容に感じました。
今回紹介したセッションは同一の内容はWeb上で公開されていないようですが、その他のLabの内容はMicrosoft Learnなどのサイトに掲載されているものが多いようで、ハンズオンを行うだけならば現地で受講するメリットはなさそうです。環境構築に失敗したのか事前に用意されているはずのリソースが生成されていないなどといったトラブルもちらほら発生していました。一方で、今回のようなローカル含めた環境構築など準備が大変なハンズオンを気軽に出来るというのは現地参加のメリットの一つだと思います。また、実際にサービスの開発を担当しているMicrosoftの技術者がハンズオンの講師をやっているので、製品に関する質問も出来そうな雰囲気ではありました。(今回は、環境のトラブルシューティング対応で時間切れになりましたが、、、)。定員という枠はあるものの1時間ぐらい前までは予約受付変更ができるので、Breakoutなど他のセッションで気になったサービスをその場で試してみるという形で参加するのが良さそうだと思いました。
Day3:Community Forum: Azure Unplugged: Virtualization & Hybrid Cloud Modernization!
Microsoft Principal Program Manager LeadのDan Cuomo氏、Principal PM ManagerのJeff Woolsey氏による仮想化環境、ハイブリッドクラウド環境のモダナイゼーションがテーマとなっているCommunity Forumのセッション。VMwareのライセンス体系が変わったことを踏まえ、VMWareからのシステムの移行方法についてAzureを利用するケース、オンプレミスを利用するケースとのオプションを紹介した内容となります。発表の後のQAでは、具体的なライセンスの範囲などに関するやりとりが多くされていました。50人程度入る会場だったのですが、立ち見での聴講者が出ているほどで、こういうライセンス関連の課題は万国共通なのだなぁと感じました。
おわりに
今回はMicrosoft Igniteの各セッションの解説、現地限定のセッションの聴講内容を中心に紹介しました。次回最終回ではこれまで紹介できなかった現地限定のアクティビティなどを含めた総括を出来ればと思います。それでは、また。