はじめに
2025年12月1~5日に開催されたAWS re:Invent 2025に現地参加し、現地限定である「Gamified learning」について、GameDay、Jamに加えて今年度初開催のre:Architecture Rodeo、Tabletop Experienceといったタイプのセッションに参加してみました。
今回の記事では、GameDayのようにAWS環境をガシガシ触るのではなく、AWSのコンソールいらずで参加できるre:Architecture Rodeo、Tabletop Experienceのセッションの魅力について紹介したいと思います。
re:Inventとは
AWS re:Inventは、AWSが総力を挙げて開催する公式の学習型カンファレンスです。例年11月末から12月初頭にかけてアメリカのラスベガスで開催され、一帯のホテルや展示場を利用して2,000以上の多様なセッションが行われます。2025年の開催概要は以下の通りです。
- 期間:2025年12月1日(月)から12月5日(金)まで
- 場所:アメリカ ネバダ州 ラスベガスのホテルやコンベンションセンター5か所
- 参加費:2,099ドル(=執筆時点で30万円超)
詳細については公式サイトを参照頂く他、国内から参加されている方が様々なレポートをあげていますので是非調べてみてください。
Gamified learningとは
AWS re:Inventの特徴の一つに、講演を受動的に聞くのではなく、ゲーム形式で競争しながら学習していく「Gamified learning」というカテゴリのセッションが挙げられるでしょう。セッション参加者がその場で即席のチームを組み、与えられたお題目を解決、チーム間で点数を競うという形式になっており、楽しみながら学習できます。
Gamified learningのコンテンツとしては、GameDayやJamと呼ばれるコンテンツが有名です。いずれも4人一組のチームを組み、実際にAWSのコンソールなどを操作しながら、クエストやタスクと呼ばれる課題を解決していくような内容になっており、AWSのシステム構築や運用の実践力が求められるほか、チームワークや問題解決力が求められるセッションとなっています。
実際の様子は、昨年のre:Inventで弊社メンバーが参加した際の記事を参照ください。
これ以外に昨年度なかったタイプのセッションとして、re:Architecture Rodeo、Tabletop Experienceが用意されました。
re:Architecture Rodeo
re:Architecture Rodeoは、7人1組のチームに分かれ、お題目となる要件を実現するアーキテクチャ構成をグループディスカッションしながら決定し、テーブル上に用意されたホワイトボードシート上で表現するというタイプのセッションでした。
テーブルには、今回の要件が書かれた指示書の紙とホワイトボードシートとマーカーが置かれていました。雰囲気を出すためかロデオ帽も用意されていました、、、が、これは採点には直接関係なさそう。。。。
審査員や各チームのサポートをしてくれるAWSのスタッフも馬にまたがって登場。世界観が徹底されています。
2時間のセッションの時間枠のうち、約50分間でチーム内で議論しアーキテクチャをホワイトボード上に図示、その後、審査員に対しプレゼンテーション及び質疑応答を行い、その内容によって点数付けされました。具体的な要件については記載を控えますが、今回私が参加した「Session Details re:Architecture Rodeo - Serverless Showdown (GHJ202)」では、既存のオンプレミス上に構築されたアプリケーションをAWS上でサーバレスなアーキテクチャに移行することが求められました。
Strap in for the Serverless Rodeo: a high-energy migration challenge where teams must transform a legacy application into a modern, global, service-oriented platform built on open-source databases with serverless technologies on the AWS Cloud. Your team will design incremental microservice decompositions, execute zero-impact data migrations from a commercial database to PostgreSQL or MySQL, and ensure the frontend is globally accessible via edge and multi-region patterns. AWS experts will coach teams as you make real-world tradeoffs around availability (99.99%), hybrid connectivity, and cost. Walk away with battle-tested modernization patterns, a playbook for global delivery, and bragging rights for whoever modernizes the monolith best.
(引用) re:Inventのイベントカタログ より
なお、筆者が参加したサーバレスをテーマにしたセッション以外にも、生成AI、ビッグデータ、レジリエンスといったテーマも用意されていたようです。
50分という短い時間で即席チーム内の役割分担決めをしつつ、要件を実現するためのアーキテクチャ案を検討しチーム内にまずは説明し合意をとっていくというのは大変でした。今回は日本人のみのチームで組んだので言語の壁はなかったですが、それでも時間が足らず、検討が十分でなかったところがあり、その部分を審査員に突っ込まれました。
筆者はAWS環境を触ることはあるものの、システム全体のアーキテクチャ設計に関わることのほうが多いため、GameDayやJamよりも自分にぴったりのセッションだと感じました。また、今回は全員別々の会社のメンバーで即席でチームを組んだのですが、他社の方とアーキテクチャの議論ができるいい機会であり、学びの多いセッションでした。
Tabletop Experience
Tabletop Experienceは10名程度のチームに分かれてグループディスカッションするタイプのセッションです。AWSの技術者が各チームの議論のファシリテーターを担当し、ある事象に対する複数の対策案の中からディスカッションによってより良い対策を決定し、その選択により点数を稼ぎ上位を目指します。こちらは技術戦略や経営戦略により近い部分を検討する内容になっていました。
実際の会場では、下の写真の通り1つのテーブルにファシリテーター、参加者がモニターを見ながら議論できるようになっています。

今回私が参加した「Cloud Migration Journey Tabletop Experience (GHJ207)」では、CEOから組織のクラウドへの移行をテーマにしたミッションが与えられ、CISOの立場としてチーム内で戦略を決定します。
Experience a dynamic simulation of leading a digital transformation initiative. Navigate cloud migration, security automation, and operational excellence challenges. Architect secure cloud environments while balancing stakeholder needs and compliance. Compete to optimize speed, security, and innovation amid real-world obstacles. Gain actionable insights into cloud security governance and risk-aligned architecture.
(引用) re:Inventのイベントカタログ より
なお、筆者が参加したクラウド移行をテーマにしたセッション以外にも、3rd Partyの製品を利用する際のリスク、生成AIに関するガバナンス、サプライチェーンで発生したインシデントに対する対応といったテーマも用意されていたようです。内容の詳細は不明なものの、いずれも開発の実務者よりも技術戦略を仕切る立場を想定したユースケースが組まれているように感じます。
以下の画面のように複数の戦略案が提示され、参加者はその場でどれがいいかを理由とともに説明していきます。
多数決を採るのではなく、他の方が説明してくれた内容を踏まえて自分の選択を変えることも。詳細な内容は割愛しますが、まず最初にどのような施策を取り組むか?を選択し、その後は前に選択した施策を踏まえて次に何をすべきか?という風に戦略を決めていきます。この時の戦略の選び方は、前までに選択した戦略を踏まえて決定する必要があり、最初に決めた戦略に矛盾する方針を選択すると、高得点が取れないようになっています。
Tabletop Experienceは技術者というよりは経営者向けのセッションになっていました。実際にファシリテーターの方は、どちらかというと経営者がいたほうが高得点取れるといったコメントをしており、普段意識しない部分をゲーム形式で学べるというのは新鮮でした。また、GameDayやre:Architecture Rodeo以上に英語でのプレゼンテーションが求められるセッションと感じました。
おわりに
今回は、AWS re:Invent 2025で登場したGamified learningのカテゴリ、re:Architecture Rodeo、Tabletop Experienceについて紹介しました。
GameDayやJamは実際にAWS環境を触る方を対象にしている印象ですが、今回導入されたre:Architecture Rodeoでは設計者、Tabletop Experienceでは経営層と、AWSに関わる様々な立場の方に向けてコンテンツを充実化しようという意思を感じました。
ビジネス戦略やアーキテクチャ設計といった開発の上流の領域を他の会社の方、海外の方と議論できるいい機会であり、来年度以降参加される方に是非オススメしたいセッションです。
それでは。


