本記事では、IBM Engineering Lifecycle Management(ELM)の一部である DOORS Next を用いて、
Excelからの要求インポートを起点に、Change Set(変更セット)を活用した変更確認・管理の流れをご紹介します。
DOORS Nextを初めて触る方や、効率的な要求管理プロセスを構築したい方に向けた、基礎的な内容となっています。
🛠 環境設定の概要
今回使用した環境設定は以下の画像の通りです。
📂 成果物タイプ(Artifact Type)
今回のケースで使用する成果物タイプは以下の3種類です。
下にいくほど粒度が細かくなり、階層的に整理された要求管理が可能となります。
🖥 DOORS Nextの基本UI:Viewsパネル
画面左側の Views(ビュー)パネル では、任意の表示条件を保存することができます。
たとえば Artifact Type
を選択することで、以下のようなカラム構成の一覧ビューが表示されます:
- Artifact Type
- ID
- Contents(Primary Text)
これにより、特定条件に基づいた要求の確認や絞り込みが効率的に行えます。
📤 手順 1:現状の要求をエクスポート
エクスポートされるExcelには、以下のようなカラムが含まれます:
- Artifact Type
- ID
- Primary Text
- isHeading
- parentBinding
- module
これにより、外部ツールでも要求構造を確認・共有可能になります。
🔀 手順 2:Change Setの作成
- 右上の
10. Aviary Base
→Create Change Set
を選択 - 任意の名前を入力し、
Create
を押下
🎓 Change Setとは?
Gitで言うブランチ/コミットのようなもので、誰が・何を・いつ変更したかを記録する仕組みです。
本番(ストリーム)に直接反映せず、変更はレビュー後にDeliver
することで正式に反映されます。
Change Set を作成すると、左上の 「Create」ボタン が活性化され、編集が可能になります。
📥 手順 3:Excelから要求をインポート
-
Create
→Upload Artifact…
をクリック - 「Import requirements from a CSV or spreadsheet」を選択し、
Next
を押下 - 手順1でエクスポートしたExcelから、必要なカラムのみを新しいファイルに貼り付け
Excelのフォーマット例:
- 以下のインポートオプションを指定:
- Select file:インポートするExcelファイルを選択
-
Specify location:
Aviary Stakeholder Requirements
を指定 -
Choose import options:
Insert only
を選択(※新規追加のため) -
Finish
を押下
正常にインポートが完了すると、IDが自動採番され、モジュール内に要求が追加されます。
🔍 手順 4:変更内容の確認
-
10. Aviary Base
→Compare with Stream
をクリック - 作成した変更内容を一覧で確認
変更履歴は PDFなどのファイル形式でエクスポートすることも可能です。
関係者との情報共有やレビュー時にも非常に便利です。
さらに、変更を正式に反映させるには、**Deliver Change Set(変更セットの反映)**を行います。
✅ Deliver Change Set とは?
作業用のChange Setをストリーム(本番)に反映させる操作です。
反映前に第三者による レビュー(Review) を実施し、承認されたうえでDeliverすることで、
品質を担保しつつ安全に変更を管理できます。
これにより、意図しない変更の混入を防ぎながら、チームでの合意形成を経たプロセスで要求の更新が可能になります。
✅ まとめ
本記事では、以下のプロセスを通じて DOORS Next における変更管理の超基本を紹介しました:
- 要求のエクスポート(Excel)
- Change Set による変更準備
- 要求のインポート
- 変更内容の比較と確認
初めてDOORS Nextを触る方にとって、構成管理とトレーサビリティを意識した運用の第一歩として、ぜひ参考にしてみてください。
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