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Amazon EC2上のRed Hat Enterprise LinuxにX11転送でElixir ReportをGUIインストールする手順

Last updated at Posted at 2017-04-18

この記事はクラウド環境のLinuxインスタンスに、帳票ツールのElixir ReportをGUIインストールする手順についてまとめたものです。

以前の記事、Amazon EC2上にRed Hatインスタンスを作成してElixir Reportをコンソールインストールする手順では、デスクトップ環境のないLinuxインスタンスにコンソールインストールする手順を試してみました。

今回は、SSHのX11転送(X11フォワーディング)機能を使って、デスクトップ環境の入っていないAmazon EC2上のRed Hat Enterprise LinuxのインスタンスでElixir Reportのレポートサーバーのインストーラを実行し、GUIインストーラをWindows側に表示してインストールしてみたいと思います。

#環境
Windows 8.1
Elixir Report 8.7J
Amazon EC2 Red hat Enterprise Linux 7.3

#WindowsにTera Termをインストールする
この記事では、Linux OSへのSSH接続にTera Termを使用します。Tera TermのWindowsへのインストールは、以前の記事[SSH接続用にWindowsにTera Termをインストールする]を参考にしてください。

#WindowsにXサーバーをインストールする
Linux上のGUIアプリケーションをWindows側で操作するには、WindowsのリモートデスクトップやVNC経由でLinuxのデスクトップに接続することもできますが、この記事では、Linux上で動作しているアプリケーションのGUIをWindows側に表示する方法としてX11転送を利用します。

この方法ではWindows側にXサーバーがインストールされている必要があるので、今回はXmingというフリーのWindows用Xサーバーを使用します。こちらの記事を参考にしました。

【参考記事】フリーのWindows用Xサーバー「Xming」のインストールと基本設定、使い方

  1. Xmingインストーラをダウンロードサイトからダウンロードします。本記事の作成時(2016年11月)で最新のXming(Xming-6-9-0-31-setup.exe)と、Xming-fonts(Xming-fonts-7-7-0-10-setup.exe)をダウンロードします。1ダウンロードファイル選択.png  

  1. Xmingのインストーラをダブルクリックで起動します。選択項目は基本的にデフォルト設定を受け入れてインストールします。[Next]で進みます。
    2install01.png

  1. インストール先を指定して次に進みます。

  1. コンポーネントの選択画面では、デフォルト設定を受け入れて進みます。3install03.png

  1. アイコンやタスクの選択ステップも同様に、デフォルトのまま進みます。4install05.png

  1. インストール前の確認項目をチェックして進み、インストールを完了します。5install07.png

  1. インストールの完了画面で[Launch Xming]にチェックを入れて終了すると、Xmingが起動してタスクトレイにアイコンが表示されます。
    6icon.png

    [注意]Xming起動時に、Windowsファイアウォールの警告が表示されることがあります。その場合は、アクセスを許可します。


  1. 次にXming-fontsをインストールします。Xming-fontsのインストーラを起動し、コンポーネントの選択でデフォルトを受け入れます。
    7fontinstall01.png

  1. インストールの内容を確認して進めると、インストールが完了します。8fontinstall03.png

#Amazon EC2 Red Hatインスタンスの作成と準備
Amazon EC2上に、デフォルトの構成でRed Hatインスタンスを作成します。以前の記事[Red Hatインスタンスの作成と準備]セクションを参考にしてください。

インスタンスの作成と、Windows上のTera TermからRed Hatインスタンスへ接続するまでの手順が完了します。

#X11転送の設定をする
X11転送に関する、Red Hat側およびWindows側の設定と確認を行います。

##Linux側の設定

  1. Red Hatインスタンスで、X11転送が有効化されているか確認します。/etc/ssh/sshd_config内で、X11Forwardingyesになっていれば問題ありません。

    $ sudo cat /etc/ssh/sshd_config |grep X11
    X11Forwarding yes
    #X11DisplayOffset 10
    #X11UseLocalhost yes
    #       X11Forwarding no
    
  2. 手順1で、X11Forwardingnoになっている場合は、/etc/ssh/sshd_configをバックアップした上で設定をyesに変更し、sshdを次のコマンドに従って再起動します。

    $ sudo cp /etc/ssh/sshd_config /etc/ssh/sshd_config_org
    $ sudo vi /etc/ssh/sshd_config
    $ sudo service sshd restart
    Redirecting to /bin/systemctl restart  sshd.service
    
  3. XアプリケーションをX11転送によりWindows上に表示できるか確認するため、今回はxeyesというXアプリケーションをRed Hatインスタンスにインストールしておきます。

    $ sudo yum –y install xeyes
    

##Windows側の設定とテスト
4. Windows側でXmingが起動していることを確認します。


5. Tera Termの設定で、リモートのXアプリケーションをローカルに表示する設定を行います。Tera Termの[設定]-[SSH転送]をクリックします。
9TeraTerm_SSH転送設定.png

  1. [リモートの(X)アプリケーションをローカルのXサーバに表示する]にチェックを入れて、[OK]をクリックします。
    10TeraTerm_SSH転送設定01.png

  1. 一旦Tera Termからログアウトして、再度ログインし直します。

8. DISPLAY変数が設定されているかコマンドで確認します。
```shell-session
$ echo $DISPLAY
```
  1. 前の手順で何も返ってこなかった場合は、先ほどインストールしたxeyesを実行しても次のようなエラーになってしまいます。

    $ sudo xeyes
    Error: Can't open display:
    

    Red Hatインスタンス側にxauthと、x11のライブラリが不足しているようなので、必要なライブラリを次のコマンドでインストールしました。

    $ sudo yum –y install xorg-x11-xauth.x86_64 xorg-x11-server-utils.x86_64
    
  2. 一旦Tera Termでログアウトします。

    $ exit
    
  3. 再度Tera TermでRed Hatインスタンスにログインして、次のコマンドでDISPLAY変数を確認します。筆者の環境では自動でlocalhost:10.0が設定されていました。

    $ echo $DISPLAY
    localhost:10.0
    
  4. xeyesを実行してみます。無事Windows側にxeyesアプリケーションが表示されました。

    $ xeyes
    

    11xeyes.png

    [注意]次のようなX転送のエラーが出るときは、XmingがWindows側で起動していない可能性があります。起動していることを確認してください。
    12TTSSHエラー.png

#レポートサーバーのインストーラをRed Hatに転送する
Tera Termを利用して、Windows側にあるElixir ReportのレポートサーバーのLinux OS用インストーラ(elixirreport87_linux64.bin)と、ライセンスファイル(**.license*)をRed Hatインスタンスに転送します。

この手順については、以前の記事[レポートサーバーのインストーラをRed Hatに転送する]を参照してください。

ファイルの転送が完了したら、次の準備を行っておきます。

  1. インストールは現在ログインしているec2-userで行います。ec2-userのLANG環境変数が英語になっている場合は、日本語(ja_JP.UTF-8)に変更しておきます。

    $ echo $LANG
    en_US.UTF-8
    $ export LANG=ja_JP.UTF-8
    $ echo $LANG
    ja_JP.UTF-8
    
  2. 転送したインストーラに実行権限を与えます。

    $ chmod +x ./elixirreport87_linux64.bin
    $ ls -la
    -rwxr-xr-x. 1 ec2-user ec2-user 279506476 Sep 29 00:00  elixirreport87_linux64.bin
    

#GUIインストーラの実行とエラーの発生
いよいよインストーラを実行してみます。しかし、エラーでインストーラが終了してしまいました。必要なライブラリがRed Hat側に不足しているようです。

$ ./elixirreport87_linux64.bin
Preparing to install...
Extracting the JRE from the installer archive...
Unpacking the JRE...
Extracting the installation resources from the installer archive...
Configuring the installer for this system's environment...
strings: '/lib/libc.so.6': No such file

Launching installer...

Invocation of this Java Application has caused an InvocationTargetException. This application will now exit. (LAX)

Stack Trace:
java.lang.NoClassDefFoundError: Could not initialize class java.awt.Toolkit
        at java.awt.Component.<clinit>(Component.java:593)
        at com.zerog.ia.installer.LifeCycleManager.g(DashoA8113)
        at com.zerog.ia.installer.LifeCycleManager.h(DashoA8113)
        at com.zerog.ia.installer.LifeCycleManager.a(DashoA8113)
        at com.zerog.ia.installer.Main.main(DashoA8113)
        at sun.reflect.NativeMethodAccessorImpl.invoke0(Native Method)
        at sun.reflect.NativeMethodAccessorImpl.invoke(NativeMethodAccessorImpl.java:62)
        at sun.reflect.DelegatingMethodAccessorImpl.invoke(DelegatingMethodAccessorImpl.java:43)
        at java.lang.reflect.Method.invoke(Method.java:497)
        at com.zerog.lax.LAX.launch(DashoA8113)
        at com.zerog.lax.LAX.main(DashoA8113)
This Application has Unexpectedly Quit: Invocation of this Java Application has caused an InvocationTargetException. This application will now exit. (LAX)

#必要なライブラリをインストールして実行時エラーを解消する

  1. 上記のエラーを最初から確認すると、まずlibc.so.6ファイルが見つからないという内容のエラーが出力されているので、次のコマンドでlibc.so.6ライブラリをインストールします。

    $ sudo yum -y install libc.so.6
    
  2. 次に発生しているInvocationTargetExceptionは、X11のライブラリが不足していることが原因のようです。必要なライブラリをインストールします。

    $ sudo yum –y install libXtst
    

#起動したGUIインストーラの日本語が□に…フォントをインストールする

  1. 再度インストーラを実行してみます。

    $ ./elixirreport87_linux64.bin
    
  2. インストーラのGUIが起動しましたが、日本語が□表示になっています。Linux側に日本語フォントがインストールされていないことが原因でしょう。左下のキャンセルボタンをクリックしてインストールを中止します。
    13GUIトーフになる.png

    14終了02.png


3. 日本語フォントをインストールします。VLゴシック、IPA明朝、IPAゴシックをインストールしました。
```shell-session
$ sudo yum -y install vlgothic-fonts ipa-mincho-fonts ipa-gothic-fonts 
```

#GUIインストールを実行する

  1. 再度インストーラを起動します。今度は日本語も表示されるようになりました。
    15GUI_01.png

  1. [次へ]で進み、[使用許諾契約の条項に同意する]にチェックして、進みます。
    16GUI_02.png

3. [ライセンスキーファイルの登録]をクリックして、登録するライセンスファイルを選択します。 ![17GUI_03.png](https://qiita-image-store.s3.amazonaws.com/0/152421/5d83adef-b5d0-f136-9f2e-ae0f5823ef0b.png)
4. インストールするモジュールにチェックが入っていることを確認して、次に進みます。この画面では、先ほどの手順で追加したライセンスでインストールできるモジュールだけが表示されます。![18GUI_04.png](https://qiita-image-store.s3.amazonaws.com/0/152421/bbd0be1e-573b-87e0-0f1c-4384e7c86671.png)
5. レポートサーバーで使用するポート(今回はデフォルトの`7001`)、ログレベルを確認します。デフォルトのまま進みます。 ![19GUI_ポート設定.png](https://qiita-image-store.s3.amazonaws.com/0/152421/92546157-4e6e-5b21-7b3e-efe9a72092e5.png)
6. インストール先ディレクトリは、ec2-userにアクセス権のある場所を選択します。今回はユーザーディレクトリの下にします。 ![20GUI_インストール先.png](https://qiita-image-store.s3.amazonaws.com/0/152421/02469dbf-76a9-95b2-fc53-aead3e39d7cd.png)
[注意]ec2-userに書き込み権限のない場所を指定すると、エラーが表示されます。

7. 確認画面で内容を確認したら、[インストール]をクリックします。 ![21GUI_確認.png](https://qiita-image-store.s3.amazonaws.com/0/152421/a2f96b69-7bd8-15b7-8f1a-650a4860b1cf.png)
8. 次の画面が表示されれば完了です。 ![22GUI完了.png](https://qiita-image-store.s3.amazonaws.com/0/152421/12bca1b5-8925-bc50-7283-820717f40410.png)

#ヘッドレスモードの設定とレポートサーバーの起動
インストールはX11転送でGUIを利用しましたが、今後、レポートサーバーの実行時にX Window Systemに接続できない場合は、Javaのヘッドレスモードを有効にする必要があります。

  1. レポートサーバーのインストール先/binディレクトリに移動します。筆者の環境では/home/ec2-user/ElixirReport87J/bin/になります。

    $ cd /home/ec2-user/ElixirReport87J/bin
    
  2. レポートサーバーの起動シェルスクリプトをバックアップした後、編集します。

    $ cp reportserver-start.sh reportserver-start.sh_org
    $ vi reportserver-start.sh
    

    ※5行目のheadless設定を追加して、保存します。

    #!/bin/sh
    JAVACMD="../jre/bin/java"
    
    $JAVACMD -mx512M \
            -Djava.awt.headless=true \
            -Duser.home=../license \
     (以下省略)
    
  3. レポートサーバーの起動シェルスクリプトを実行します。

    $ ./reportserver-start.sh &
    

    ※”&”を付加してバックグラウンド実行にします。

    【注意】起動ユーザーのLANG環境変数が英語の場合、レポートサーバーが英語ロケールで起動され、Webインターフェースのメニューなどが英語表示になってしまいます。日本語ロケールへ変更して起動してください。


4. 起動に成功すると、コンソール上に次のようにCopyrightが表示されます。
```
INFO  [main] com.elixirtech.ers2.Main - Copyright 2016 Elixir Technology Pte Ltd
INFO  [Thread-19] com.elixirtech.ers2.EnsureServerStarted - Checking server     status
```
  1. Windows上のブラウザからレポートサーバーのWebインターフェースにログインしてみます。

    http://<パブリックIP>:7001
    

    23WebインターフェースURL.png

    【注意】ログイン画面が表示されないときは、以下のような原因が考えられます。
    ・レポートサーバーの起動に失敗している
    ・Red Hatインスタンスのセキュリティグループの設定で、ポート”7001”を追加していない


6. ログイン画面が表示されたら、デフォルトで用意されている次の管理者ユーザーでログインします。
```
ユーザー名: admin
パスワード: sa
```
  1. [リポジトリ]以下のサンプルテンプレートを実行してみます。
    [samples]‐[demo]-[sales2]-[sales2.rml]を選択して、出力形式に”PDF”を選んで[OK]をクリックします。
    24レポート生成PDF選択.png

8. PDF形式のレポートが生成できました。 ![25フォントインストール後の結果.png](https://qiita-image-store.s3.amazonaws.com/0/152421/94ca8523-80af-667a-dc77-fd559cec6eb7.png)

以上で完了です。

#参考情報

##Q1. No X11 DISPLAY variable was setエラーでインストールが終了する
X11などの設定を何も行っていない状態でGUIインストールを実行すると、X11のエラーでインストーラが終了してしまいます。この記事の[X11転送の設定をする]の項目を確認してみてください。

[参考情報]エラー出力の例
$ ./elixirreport87_linux64.bin
Preparing to install...
Extracting the JRE from the installer archive...
Unpacking the JRE...
Extracting the installation resources from the installer archive...
Configuring the installer for this system's environment...
strings: '/lib/libc.so.6': No such file

Launching installer...

Invocation of this Java Application has caused an InvocationTargetException. This application will now exit. (LAX)

Stack Trace:
java.awt.HeadlessException:
No X11 DISPLAY variable was set, but this program performed an operation which requires it.
        at java.awt.GraphicsEnvironment.checkHeadless(GraphicsEnvironment.java:207)
        at java.awt.Window.<init>(Window.java:536)
        at java.awt.Frame.<init>(Frame.java:420)
        at java.awt.Frame.<init>(Frame.java:385)
        at javax.swing.JFrame.<init>(JFrame.java:189)
        at com.zerog.ia.installer.LifeCycleManager.g(DashoA8113)
        at com.zerog.ia.installer.LifeCycleManager.h(DashoA8113)
        at com.zerog.ia.installer.LifeCycleManager.a(DashoA8113)
        at com.zerog.ia.installer.Main.main(DashoA8113)
        at sun.reflect.NativeMethodAccessorImpl.invoke0(Native Method)
        at sun.reflect.NativeMethodAccessorImpl.invoke(NativeMethodAccessorImpl.java:62)
        at sun.reflect.DelegatingMethodAccessorImpl.invoke(DelegatingMethodAccessorImpl.java:43)
        at java.lang.reflect.Method.invoke(Method.java:497)
        at com.zerog.lax.LAX.launch(DashoA8113)
        at com.zerog.lax.LAX.main(DashoA8113)
This Application has Unexpectedly Quit: Invocation of this Java Application has caused an InvocationTargetException. This application will now exit. (LAX)

##Q2. フォントをインストールしても、日本語が□のままになる
fc-listコマンドがRed Hatインスタンスで実行できるか確認してください。コマンドが入っていない場合は、フォントの管理に使用されるfontconfigパッケージを次のコマンドでインストールして、fc-listコマンドが使用できるようになるか確認した上で、再度インストールを試してみてください。

$ sudo yum –y install fontconfig

※この記事では、X11転送の確認用にxeyesアプリケーションをインストールしています。このインストール中、依存関係によりfontconfigが一緒にインストールされるため、日本語の表示には問題ありませんでした。xeyesをインストールしなかった場合は、別途fontconfigをインストールする必要があります。

##Q3. Xアプリケーションを起動したが、Windows側にX転送エラーが表示される
次のようなX転送のエラーが出るときは、XmingがWindows側で起動していることを確認してください。
12TTSSHエラー.png

##Q4. レポートサーバー起動時にWindows側にX転送エラーが表示され、レポートサーバーが起動できない
Q3と同様のエラーが表示され、レポートサーバーの起動中に次のようなjava.awt.AWTErrorが出力される場合は、ヘッドレスモードの設定が正しく行われていない可能性があります。この記事の[ヘッドレスモードの設定とレポートサーバーの起動]の項目を参考に、起動シェルスクリプトの編集を行ってみてください。

Exception in thread "main" java.awt.AWTError: Can't connect to X11 window server using 'localhost:10.0' as the value of the DISPLAY variable.
        at sun.awt.X11GraphicsEnvironment.initDisplay(Native Method)
        at sun.awt.X11GraphicsEnvironment.access$200(X11GraphicsEnvironment.java:65)
(以下省略)

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