VPC、ALB、RDS、IAM。AWSは略語が多く、最初の壁が高く感じます。それでも現場では、既存の構成を読んで理解しなければならない場面がすぐにやってきます。
知識ゼロでも大丈夫です。AIを家庭教師にして、構成を「説明させる」ところから始めましょう。
この記事で使う例
説明のために、よくあるWebシステムの構成を例にします。
- ドメインの名前解決はRoute 53
- 画像などはCloudFrontとS3から配信
- アプリへのリクエストはALB(ロードバランサー)が受ける
- アプリはECS(Fargate)でコンテナを2つ動かしている
- データベースはRDS(PostgreSQL)で、プライベートサブネットに置いている
これを全部理解してから仕事を始めるのは大変です。順番にAIに聞いていきましょう。
手順1:構成をテキストで渡す
AIに読ませる材料は、次のどれでも構いません。
- CloudFormation、Terraform、CDKなどのコード
- 構成図の画像
- 上のような箇条書き
一番おすすめなのは、コードがあればコードです。設定の細かいところまで正確に伝わります。コードがなければ、構成図か箇条書きで十分です。
そのうえで、こう聞きます。
この構成を、AWS初心者向けに、ユーザーのリクエストが流れる順番で説明してください。専門用語が出てきたら、一言で意味を添えてください。
「流れる順番で」と付けるのがポイントです。サービスの一覧ではなく、つながりとして理解できます。
上の例なら、AIはおおよそこんな流れで説明してくれます。ユーザーがURLを開くと、まずRoute 53が住所を教える。画像はCloudFrontが近くのサーバーから素早く返す。画面の処理はALBが受け取り、空いているコンテナに振り分ける。コンテナがデータベースに読み書きする。こうした流れで聞くと、それぞれの役割がすっと頭に入ります。
手順2:「なぜこの構成なのか」を聞く
説明を聞いたら、次は理由を掘り下げます。使える質問の型は、次の3つです。
「なぜ」型
なぜRDSをプライベートサブネットに置いているのですか?
「もしなかったら」型
もしALBがなかったら、何が困りますか?
「どこが壊れたら」型
コンテナが1つ止まったら、ユーザーにはどう見えますか?データベースが止まったらどうですか?
「もしこれがなかったら」と聞くと、各サービスの役割が一気に分かりやすくなります。「どこが壊れたら」と聞くと、その構成がどんな障害に強いのか、弱いのかが見えてきます。
分からない単語が出てきたら、その場で聞き返せばOKです。
手順3:代替案と比較させる
理解が進んだら、別の作り方と比べさせます。
この構成をLambdaとAPI Gatewayで組んだらどう変わりますか?コスト、運用の手間、スケールのしやすさで比較し、表にしてください。
比較を繰り返すと、「何を基準に構成を選ぶのか」という設計の判断軸が身についてきます。
慣れてきたら、AWSのWell-Architected Frameworkの観点でレビューさせるのもおすすめです。
この構成を、AWS Well-Architected Frameworkの観点でレビューしてください。改善点があれば、影響の大きい順に3つ挙げてください。
手順4:分かったことをメモに残す
最後に、理解したことをMarkdownのメモにまとめさせます。
ここまでの説明をもとに、この構成の解説メモをMarkdownで作ってください。見出しは「全体の流れ」「各サービスの役割」「障害時の動き」「よく聞かれる質問」にしてください。
このメモをリポジトリやWikiに置いておけば、次に入ってくる人のオンボーディング資料になります。AIに読ませる資料としても使えるので、次から質問するときの精度も上がります。
注意点
- 機密情報は伏せる。 アカウントID、IPアドレス、社内のシステム名、シークレットはAIに渡す前に消しましょう。社内のAI利用ルールも確認が必要です。
- 料金や仕様は公式で確認する。 AWSの料金や制限はよく変わります。AIの説明はあくまで理解の入口と考えましょう。
- 一般論と自社の事情は別物。 AIは「一般的にはこう」と答えます。なぜ自社がその構成を選んだのかは、設計した人や資料に確認するのが確実です。
よくある失敗
一度に全部聞こうとする
「この構成を全部説明して」と頼むと、長い説明が返ってきて結局頭に入りません。まず流れ、次に気になるサービス1つ、と小さく区切って聞きましょう。
AIの料金見積もりをそのまま使う
AIに料金を試算させると、それらしい数字が出てきます。ただ、単価が古かったり、条件を取り違えていたりすることがあります。見積もりはAWSの公式の料金計算ツールで確認しましょう。
用語を全部覚えようとする
最初から全サービスの名前と機能を覚える必要はありません。目の前の構成に出てくるものだけで十分です。使っているうちに、自然と覚えていきます。
まとめ
AWSの知識は、教科書を最初から読まなくても身につけられます。目の前の構成をAIに説明させ、理由を聞き、別案と比べ、メモに残す。この4ステップで、構成図は「読めるもの」に変わります。
知識を先に揃えるのではなく、手元の実物から逆算して学ぶ。AI時代の学び方として、ぜひ試してみてください。
この記事は Zenn にも投稿しています。