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【Claude Code】Agent SkillsとMCPの違いを徹底解説 - 補完関係を理解して使いこなす

Last updated at Posted at 2025-12-29

要約

Agent SkillsはMCPの「ファイルシステム版」とも言える存在で、よりシンプルで使いやすく、トークン効率に優れた仕組みである。両者の役割は明確に区別されており、かつ補完的な関係にある。

  • 対象読者: Claude Codeを活用してAIエージェントの自動化を検討しているエンジニア、MCPとAgent Skillsの違いを理解したい開発者
    • 検証環境: Claude Code 1.0.x / Agent Skills対応バージョン(2025年1月時点)

この記事を読むことで得られるメリット

この記事を読むことで以下のことが分かる:

  • Agent Skillsの定義と役割(ファイルシステムベースの手続き的知識)
    • MCPの定義と役割(外部システムへの接続プロトコル)
    • 両者の5つの決定的な違い(役割・実装レベル・トークン消費・メンテナンス性・知見の所在)
    • 個人開発とエンタープライズでの使い分け判断基準
    • 週報自動作成を例にした実践的な共存パターン

この記事を読むのにかかる時間: 約15分

はじめに:よくある誤解を解く

SNS上では「MCPは時代遅れ、Agent Skillsが未来だ」といった主張が見られる。しかし、この議論には根本的な誤解が含まれている。

結論から言えば、Agent SkillsとMCPは比較対象ではない。

プロトコル(通信規格)と知識(手順書)という異なるレイヤーで動作するものであり、両者は代替関係ではなく補完関係にある。

Agent Skillsが外部APIへの接続を可能にしたといっても、実際に代替しているのはbashやcurlである。Agent Skillsはその使い方を文書化しているに過ぎない。

Agent Skillsとは?

定義:ファイルシステムベースのMCP

Agent Skillsとは、エージェントに与える**「手続き的知識(Procedural Knowledge)」**の集合体である。具体的には、Markdownファイルやスクリプトが含まれた「フォルダ」として構成される。

構造は非常にシンプルで、フォルダの中に以下の要素が含まれているだけである:

  • SKILL.md: スキルの内容や使い方を記述したMarkdownファイル
    • 関連ファイル(オプション): エージェントが使用するスクリプトやドキュメントなど

これらは、AIエージェントが自分でファイルを読み込み、実行するために設計された「ローカルエージェントのためのプラグイン」のようなものである。

Agent Skillsの役割

Agent Skillsは、Claudeにタスクをどのように実行するかを教える「再利用可能な説明書(instruction manual)」である。具体的には以下のような役割を持つ:

役割 具体例
定型業務の自動化 特定のフォーマットに従ったドキュメント作成、プレゼンテーションスライドの生成
ブランドルールの遵守 独自のブランドカラーやトーン&マナーを定義したカスタムスキル

つまり、Skillsは**「How(どのように作るか)」**を司る要素である。

MCPとは?

定義:外部システムへの接続口

MCP(Model Context Protocol)は、AIエージェントと外部データソースやツールを接続するためのオープン標準プロトコルである。クライアント・サーバーアーキテクチャを採用し、JSON-RPC 2.0でトランスポートされる。

AIモデルは学習データに含まれない最新情報や、個人のプライベートなデータにはアクセスできない。MCPは、AIに「目」や「手」を与え、外部の世界と対話させるためのインターフェースとして機能する。

MCPの役割

役割 具体例
リアルタイムデータの取得 Google Analytics 4(GA4)からWebサイトのパフォーマンスデータを取得、SEOツール(Ahrefs)からキーワードデータを取得
外部ツールへの操作 Notionのカレンダーに投稿内容をスケジュール

つまり、MCPは**「What/Where(どのデータを使うか、どこに接続するか)」**を司る要素である。

Agent SkillsとMCPの5つの決定的な違い

MCPは「道具(ツール)」であり、Skillsはその道具を使いこなすための「職人の腕(ノウハウ)」である。

①役割の違い

項目 Agent Skills MCP
提供するもの 特定のタスクをどう遂行するかという専門知識 外部世界への接続
具体例 プレゼン資料のスタイル修正スクリプト、社内独自のドキュメント作成ルール データベースへのアクセス、外部APIの利用

②実装レベルの違い

項目 Agent Skills MCP
動作レベル ローカルのファイルシステム(フォルダとファイル) API統合レベル
実装方法 エージェントが直接ファイルを読み込んで使用 サーバーとクライアント間で通信、アプリケーションを通じて実装

③トークン消費量(効率性)

これが最大の違いであり、Agent Skillsの大きなメリットである。

項目 Agent Skills MCP
初期読み込み 軽量なメタデータ(スキルの概要と説明程度) すべてのツールの定義や説明を読み込む
必要時の動作 必要なスキルのみ詳細なSKILL.mdをロード 開始時に大量のトークン(数万トークン)を消費することも

④メンテナンス性

項目 Agent Skills MCP
更新方法 フォルダ内のファイルを編集・置換するだけ MCPサーバーの仕様管理、実装変更が必要
難易度 非常に容易 中〜高

⑤知見の所在

項目 Agent Skills MCP
アプローチ 知見をClient側に集約 知見をServer側に集約

使い分けの判断基準

Agent Skillsが向いているケース

  • トークン消費量を抑えたい場合
    • メンテナンスを簡単に済ませたい場合

MCPが向いているケース

  • 外部APIサーバーやDBとの連携が必要な場合
    • 自身でAgent Skillsを構築することができない、またはしたくない場合

プロジェクト規模別の推奨

規模 推奨アプローチ 理由
個人開発・小規模プロジェクト curl + Agent Skills 外部接続はcurlやCLIで行い手順をSkillsとして文書化、MCPのセットアップコストに見合うメリットが薄い
エンタープライズ・チーム開発 MCP利用が適切 監査ログや権限管理が必要な環境、複数ユーザー間で接続設定を共有する場合や組織的なOAuth認証管理が必要な場合

共存:新しいエージェントアーキテクチャ

両者の役割は明確に区別されているものの、補完的な関係にある。新しい領域(ドメイン)でエージェントを活躍させるためには、以下の2つをセットで使う必要がある。

「振る舞い vs 接続」ではなく「振る舞いと接続」の両方があって初めて効果的なアウトプットが出せる。

  • 適切なMCPサーバー: その仕事に必要なデータやツールへのアクセス権を与える
    • 適切なSkillsライブラリ: そのツールを使ってどう仕事を進めるかという知識を与える

**「MCPで素材を集め、Skillsで料理する」**という分担を意識することで、実用的で高度なAIエージェントチームを構築できる。

実践例:週報の自動作成

「毎週金曜に週報を作成してSlackに投稿する」というタスクを例に、両者の補完関係を見てみる。

MCPの役割(接続を担当)

MCPを設定すると、Claudeは以下の外部サービスと「会話」できるようになる:

  • Googleカレンダーに接続 → 今週の予定を取得できる
    • Slackに接続 → メッセージの取得・投稿ができる
    • Notionに接続 → タスク管理データを取得できる

ただし、この時点ではClaudeは「何ができるか」を知っているだけで、「週報をどう作るべきか」は知らない。

Agent Skillsの役割(手順を担当)


## 手順
1. Googleカレンダーから今週参加した会議を取得する
2. Slackの自分の投稿から主要な活動を抽出する
3. Notionから今週完了したタスクを取得する
4. 以下のフォーマットで週報を作成する:
- 今週の成果
- 進行中の作業
- 来週の予定
5. Slackの#weekly-reportチャンネルに投稿する

Agent Skillsを設定すると、Claudeは「週報を作って」と言われたとき、どのデータをどの順番で取得し、どうまとめるべきかを理解できる。

両者が組み合わさった時の動作

「週報を作って」の一言で、Claudeは以下を自動実行する:

  1. Skillsの手順に従い、まずGoogleカレンダーのデータが必要だと判断
  2. MCPを通じてGoogleカレンダーAPIを呼び出し、今週の予定を取得
  3. 次にSlackのデータが必要だと判断し、MCPを通じてSlack APIを呼び出し
  4. 同様にNotionからタスクを取得
  5. Skillsに定義されたフォーマットに従って週報を整形
  6. MCPを通じてSlackに投稿

MCPが「何にアクセスできるか」を定義し、Agent Skillsが「それをどう使うか」を定義する——この組み合わせにより、複雑な業務フローを自動化できる。

まとめ

Agent SkillsとMCPは比較対象ではなく、補完関係にある:

観点 Agent Skills MCP
本質 手続き的知識(How) 接続プロトコル(What/Where)
実装 ファイルシステムベース API統合レベル
効率 トークン消費が少ない 初期読み込みが多い
適性 ローカル・個人開発向け エンタープライズ・チーム開発向け

Claude Codeで本格的な自動化を実現するには、MCPで外部接続を確保し、Agent Skillsで業務知識を定義するという組み合わせが最も効果的である。

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