はじめに
日々QAとして業務をしている中で、もちろんQAの技術は非常に大切ですが、同等あるいはそれ以上にビジネススキルが大切だと感じることが多々あります。こちらの記事では、テスター、設計者、リーダー、マネージャーそれぞれに求められるビジネススキルを記載するとともに、次の段階へレベルアップするためのポイントを書いてみたいと思います。QAとしてのレベルアップを図りたいと思っている人の参考になれば幸いです。
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役割の定義
この記事においては各役割を以下のような形で定義します。
役割 | 業務内容 |
---|---|
テスター | テスト実施者。テストやバグチケット起票を行う |
設計者 | テスト設計者。仕様からテスト観点やテストケースの作成を行う |
リーダー | テストリーダー。テストの取りまとめやテスト進捗、テスターの管理を行う |
マネージャー | テストマネージャー。テスト計画、スケジュール、予算管理、改善業務、チーム全体のマネジメントを行う |
各役割毎の必要スキルについて
1.テスターに必要なスキル
テスターにはテストの実行力、不具合を検知する力も重要ですが、ビジネス面としては以下のような能力が必要です。
①自身のテスト進捗を把握し完了目途を見積もる力
②不明点や課題を言語化し報・連・相する力
③不具合を適切にバグチケットに記載する文章作成能力
特に②、③に関わる、状況を説明するために言語化/文章化する能力は、あらゆる業務における基本的な能力なので、苦手だと思ったら本を読むなどして習得していきましょう。
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2.設計者に必要なスキル
テスト設計者には、QA設計技法以外に、実装仕様を読み取り、テストが必要な内容をアウトプットする力が重要です。
具体的には以下のような内容です。
①仕様書を読み取り不明点を確認して正確な情報を集める力
②テストの内容や手順などを文章化する力
③必要に応じて観点やパターン、手順をマトリクスや表にまとめて表現する力
②はテスターの時に培う文章力を用いますが、①はそれに加えてコミュニケーション能力も一定必要となります。
③のマトリクスや表にまとめる力は、説明資料などを作る際にも重要なビジネススキルなのでこの段階で意識的に習得しておきましょう。
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3.リーダーに必要なスキル
テスト全体の進捗や課題の管理を行い、問題発生時には上長や開発担当へ報告、対応方針を検討、相談して決定事項をメンバーに展開します。QA的なスキルは前提となり、以下のようなビジネススキルが重要となります。
①テスト全体の進捗を管理する力
②メンバーや開発側からの課題や報告、連絡事項を取りまとめて文章化する力
③各メンバーや上長、開発担当者とコミュニケーションを取り報・連・相を行う力
テストリーダーは進捗管理、課題管理の力が重要になるほか、各セクションとのコミュニケーションが業務の主な内容となります。
メンバーの状況を取りまとめる、メンバーの声を聞くといったマネジメントの要素も入ってくるので、意識的に勉強していきましょう。
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4.マネージャーに必要なスキル
案件全体のテスト工程を管理し、テストの計画を立て、スケジュールや工数、費用を見積もり、開発担当と調整を行います。
リーダーレイヤでは対応できないような課題が発生した場合、開発側の上位層と相談し解決を図り、改善策の提案もします。
それ以外にリーダーやメンバーに対するマネジメントも行います。必要なスキルは以下です。
①計画を立て、スケジュールや工数を見積もりドキュメント化する力
②課題の状況や改善のための資料を作成し報告/提案を行う力
③リーダー、設計者、テスターに対するマネジメント力
テストマネージャーは案件全体をマネジメントする立場になります。
案件開始時は計画を立てて開発側とすり合わせ、それをリーダーやメンバーに共有しQA全体を推進していく立場です。
それまでに培ってきた経験を発揮し、リーダーシップをもって方針を決め、開発側の役職者とも対等にコミュニケーションを取っていく総合的な力が求められます。
自分がやること、人に任せるべきことを意識し、人の動かし方を勉強していきましょう。
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ビジネススキルの勉強方法
QA技術は資格試験があり勉強もしやすいですが、ビジネススキルは実践ベースなところがあるので勉強しづらい、と思う方もいるかもしれません。いくつかビジネススキルの勉強法について例を挙げてみたいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
①本を読む
上で記載したような本を読んでみるとそれだけで様々な気づきに繋がります。
資料作成の本などは手元に置いておいて、作成時に常に見る等、意識的に実践すると良いと思います。
②セミナーに参加する
ビジネススキルに関する様々なセミナーを調べてみると色々出てきます。上長と相談して可能なら参加してみると良いでしょう。
その際、きちんとレポートを作成することを意識すると自身の学びにもなり、他者にも共有できるのでお勧めです。
③意識的に業務での成長機会を増やす
例えば、
・テスターであれば、打合せ等議事を意識的に取って文章作成能力を鍛える
・設計者であれば、日々の課題などを意識的に資料化して作成能力を鍛える
・リーダーであれば、意識的な1on1等を行いコミュニケーション能力を鍛える
・マネージャーであれば、大型案件で必ずテスト計画を意識的に立てて計画力を鍛える
等、自身で能力を伸ばすための機会を自分に課すと成長につながります。
最後に
いかがだったでしょうか。各役割においてビジネススキルが重要であることが伝わったかと思います。
特に、テスターから設計者、リーダーと、QAとして上の役割を目指したいと思っている人は、QA技術だけ勉強していてもどこかで行き詰ってしまうと思います。
そんな時にはこの記事を参考にして意識的にビジネススキルを学び、マネージャー、そしてさらに上の立場を目指してみてください。